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親から資金援助を受ける3つの方法(贈与、借り入れ、共有)を解説

家づくりの基本

2024/12/20

2024/12/20

記事監修者

1級ファイナンシャル・プランニング技能士 / 渡辺 知光

親から資金援助を受ける3つの方法(贈与、借り入れ、共有)を解説

マイホーム購入において、親からの資金援助は重要な選択肢の一つとなっています。しかし、資金援助の方法は贈与や借入、共有など様々な形態があり、それぞれにメリット・デメリットが存在します。この記事では、親からの資金援助方法について詳しく解説していきます。

親からの資金援助方法について

住宅購入における親からの資金援助は、近年ますます重要性を増しています。特に都市部での住宅価格の高騰により、若い世代の住宅取得がより困難になっているためです。ここでは、親からの資金援助の基本的な考え方と注意点について詳しく解説していきます。

資金援助を検討する前の確認事項

親からの資金援助を受ける前に、まずは以下の点について家族間でしっかりと話し合うことが重要です。援助する側とされる側の双方が将来にわたって気持ちよく過ごせるよう、事前の確認が欠かせません。

親の資金状況の確認

親の老後の生活資金に影響が出ないかどうかを慎重に検討する必要があります。親の年齢や今後の収入見込み、預貯金残高、将来の医療費などを考慮し、無理のない援助額を設定することが大切です。

援助の時期と金額

住宅購入のタイミングと親の資金計画を擦り合わせる必要があります。退職金の受け取り時期や、他の兄弟姉妹への援助予定なども考慮に入れて検討します。また、援助金額については具体的な数字を明確にしておくことで、後々のトラブルを防ぐことができます。

資金援助の三つの形態

親からの資金援助は主に「贈与」「借入」「共有」の3つの方法があります。それぞれの特徴を理解し、自身の状況に最も適した方法を選択することが重要です。

将来を見据えた検討の必要性

資金援助の方法を選択する際は、現在の状況だけでなく、将来の相続や家族関係への影響も考慮する必要があります。特に他の兄弟姉妹がいる場合は、将来の相続時のトラブル防止のため、援助の内容や条件を書面で残しておくことをおすすめします。

専門家への相談の重要性

資金援助の方法によって税務上の取り扱いが異なるため、税理士などの専門家に相談することをおすすめします。特に贈与税の特例措置の適用要件や、借入の場合の契約書の作成方法などは、専門家のアドバイスを受けることで適切な対応が可能となります。

記録と書面の保管

資金援助に関する話し合いの内容や決定事項は、必ず書面に残し、関係者全員で保管するようにしましょう。特に金銭の授受や返済に関する約束事は、後々のトラブル防止のため、詳細な記録を残すことが重要です。

金融機関への事前相談

住宅ローンと親からの資金援助を組み合わせる場合は、事前に金融機関に相談することが必要です。金融機関によって親からの援助に対する考え方が異なる場合があり、住宅ローンの審査に影響を与える可能性があるためです。

将来的な返済計画の立案

借入の場合は、住宅ローンの返済と併せて無理のない返済計画を立てることが重要です。返済額や返済期間は、将来の収入見込みや生活設計を考慮して現実的な設定にする必要があります。

親からの資金援助方法(1) 贈与

住宅取得における親からの贈与は、子世代の住宅購入を支援する一般的な方法です。ここでは、贈与による資金援助の詳細について、税制や手続き、注意点を含めて解説していきます。

住宅取得等資金の贈与税非課税措置

住宅取得等資金の贈与を受けた場合、一定の要件を満たせば贈与税の非課税措置を利用できます。2024年度の場合、省エネ住宅は最大1,000万円、一般住宅は最大500万円まで非課税となります。この制度は、若年層の住宅取得支援を目的とした政策的な措置です。

非課税措置の適用要件

非課税措置を受けるためには、贈与を受ける者が20歳以上で、年収が2,000万円以下であることなどの要件があります。また、取得する住宅は一定の品質基準を満たす必要があり、贈与を受けた年の年末までに居住することが求められます。

贈与の手続きと必要書類

贈与を行う際は、贈与契約書の作成が推奨されます。契約書には贈与の金額、時期、目的などを明記します。また、非課税措置を利用する場合は、住宅取得後に必要書類を添えて税務署に申告する必要があります。

暦年贈与との併用

住宅取得等資金の贈与税非課税措置は、毎年利用できる基礎控除(110万円)と併用することが可能です。これにより、より多くの資金を非課税で贈与することができます。

贈与のメリット

贈与による資金援助のメリットとして、子世代の住宅ローン借入額を抑制できることが挙げられます。また、生前贈与により将来の相続財産を減らすことで、相続税の節税対策としても活用できます。

贈与のデメリットと注意点

贈与は一度行うと取り消すことができません。また、他の兄弟姉妹との公平性の観点から、将来の相続時に特別受益として持ち戻しの対象となる可能性があります。贈与を行う際は、これらの点について家族間で十分に話し合うことが重要です。

贈与の時期と金額の検討

贈与のタイミングは、住宅の購入時期や親の資金状況、税制の適用期限などを考慮して決定します。特に、非課税措置は期間限定の制度であることが多いため、制度の期限や改正の動向にも注意が必要です。

複数年にわたる贈与計画

まとまった金額を一度に贈与するのではなく、複数年に分けて贈与することで、税負担を抑えることも可能です。ただし、この場合は住宅ローンの審査などにも影響が出る可能性があるため、金融機関との事前相談が必要です。

記録の保管と将来の相続対策

贈与に関する書類(契約書、振込記録、申告書の控えなど)は、将来の相続時に必要となる可能性があるため、確実に保管しておく必要があります。また、贈与を受けた事実は、将来の相続時の遺産分割協議に影響を与える可能性があることも認識しておく必要があります。

税理士への相談

贈与税の計算や申告手続きは複雑なため、特に高額な贈与を行う場合は、税理士などの専門家に相談することをおすすめします。適切な助言を得ることで、税務上のリスクを最小限に抑えることができます。

親からの資金援助方法(2) 借入

親からの借入は、贈与とは異なり将来的に返済する前提での資金援助方法です。この方法は、贈与税の心配がない一方で、適切な契約と返済計画の策定が重要となります。ここでは、親からの借入に関する重要なポイントを詳しく解説していきます。

親からの借入の基本的な仕組み

親からの借入は、一般的な金銭消費貸借契約に基づいて行われます。返済期間や利息の有無、返済方法などを明確にした契約書を作成し、双方が合意した上で資金を借り入れることになります。

契約書作成の重要性

親子間の借入であっても、正式な金銭消費貸借契約書の作成が必要です。契約書には借入金額、返済期間、返済方法、利息の有無と利率、返済が滞った場合の取り決めなどの重要事項を明確に記載する必要があります。また、連帯保証人を立てる場合は、その旨も契約書に明記します。

借入における利息の設定

親子間の借入でも、適正な利息を設定することが推奨されます。無利息や著しく低い利率での貸付は、税務上で贈与とみなされる可能性があるため、市中金利を参考にしながら適正な利率を設定することが重要です。

利息設定の注意点

利息を設定する際は、市場金利と著しく乖離していないことを確認する必要があります。また、返済計画に影響を与えない適正な利率であることも重要です。利息の計算方法や支払い時期についても、契約書で明確に定めておくことが求められます。

住宅ローンとの併用

親からの借入を住宅ローンと併用する場合は、金融機関への事前相談が必須となります。金融機関によっては、親からの借入を自己資金として認めない場合や、住宅ローンの審査に影響を与える可能性があるためです。

金融機関への対応

金融機関に親からの借入を申告する際は、金銭消費貸借契約書のほか、親の収入証明書や資金の出所を証明する書類、返済計画書などの提出を求められる場合があります。これらの書類は、借入の正当性を証明する重要な資料となります。

返済計画の立案

返済計画は、自身の収入や生活設計を考慮して、現実的なものにする必要があります。特に住宅ローンと併用する場合は、両方の返済負担を考慮した計画を立てることが重要です。月々の収入と支出のバランス、将来の収入見込み、緊急時の対応なども含めて検討します。

将来的なリスク管理

親からの借入には、将来的なリスクも考慮する必要があります。特に親の相続が発生した場合、借入金の取り扱いが問題となる可能性があります。債務の承継方法や他の相続人との調整方法、返済継続の可否、債務の免除条件などについて、事前に取り決めておくことが重要です。

借入記録の管理

借入に関する書類や返済の記録は、適切に管理・保管する必要があります。金銭消費貸借契約書、返済の証明となる振込記録、利息の支払い記録、返済計画書、やり取りの記録や議事録など、将来の相続時や税務調査の際に重要な証拠となる書類は、確実に保管しておくことが求められます。

親からの資金援助方法(3) 共有

住宅購入における親との共有は、親子で物件の所有権を共有する方法です。この方法は、住宅ローンの負担軽減が期待できる一方で、将来的な相続や売却時の手続きが複雑になる可能性があります。以下では、共有に関する重要なポイントを詳しく解説していきます。

共有の基本的な仕組み

不動産の共有とは、一つの不動産を複数の人が共同で所有する形態です。共有者それぞれが持分(所有権の割合)を持ち、その割合に応じて権利と義務が発生します。住宅購入時の出資額に応じて持分を設定するのが一般的な方法となります。

持分の設定方法

持分は通常、購入資金の負担割合に応じて決定されます。たとえば、親が購入資金の30%を負担し、子が70%を負担する場合、親:子=3:7の割合で持分を設定することになります。この持分は、将来の固定資産税の負担割合や売却時の利益配分にも影響を与えます。

共有のメリット

親子での共有には、住宅ローンの借入可能額が増加する可能性があるというメリットがあります。親の収入も考慮されることで、より高額な物件の購入が可能になることがあります。また、将来の相続時に共有持分の移転で済むため、相続手続きが比較的スムーズになる場合があります。

住宅ローン審査への影響

共有の場合、金融機関の審査では親子両方の収入が考慮されます。ただし、金融機関によって共有に対する考え方が異なるため、住宅ローンの申し込み前に十分な確認が必要です。持分の割合によっては審査基準が変わる場合もあります。

共有における注意点

不動産の共有には、いくつかの重要な注意点があります。まず、物件の売却や増改築などの重要な判断には、共有者全員の同意が必要となります。また、固定資産税や管理費などの諸経費の負担方法についても、事前に明確な取り決めが必要です。

将来的な課題への対応

親子での共有は、将来的にいくつかの課題が発生する可能性があります。たとえば、親の介護が必要になった場合の持分の取り扱いや、親が亡くなった場合の相続問題などです。これらの課題に備えて、事前に対応方針を決めておくことが重要です。

相続時の対応

親の相続が発生した場合、親の持分は相続財産となります。他の相続人がいる場合、その持分の取り扱いについて協議が必要となる可能性があります。円滑な相続を実現するためにも、親の生前から相続時の対応について話し合っておくことが推奨されます。

共有持分の売買・譲渡

将来的に共有関係を解消する場合、持分の売買や譲渡が必要となります。この際、適正な価格での取引が求められ、場合によっては税務上の問題が発生する可能性もあります。専門家に相談しながら、適切な手続きを進めることが重要です。

共有契約書の作成

共有に関する取り決めは、書面で残しておくことが重要です。共有者間の権利義務関係、費用負担の方法、将来の持分譲渡に関する取り決めなどを、明確に契約書に記載しておく必要があります。これにより、将来的なトラブルを防ぐことができます。

管理規約の重要性

日常的な住宅の使用や管理に関する取り決めも、書面化しておくことが推奨されます。修繕費用の負担方法、居住者の範囲、使用方法の制限など、具体的な管理ルールを定めておくことで、円滑な共有関係を維持することができます。

よくある質問(Q&A)

住宅購入における親からの資金援助について、多くの方が疑問や不安を抱えています。ここでは、特に問い合わせの多い質問についてQ&A形式で詳しく解説していきます。

贈与に関する質問

Q:住宅取得等資金の贈与を受ける場合、申告は必要ですか?

A:非課税措置を受ける場合は申告が必要です。贈与を受けた年の翌年の2月1日から3月15日までに、贈与税の申告書と必要書類を税務署に提出する必要があります。

Q:贈与を受けた資金は、必ず住宅購入に使用しなければいけませんか?

A:住宅取得等資金の贈与税非課税措置を利用する場合は、その資金を住宅取得等の対価に充てる必要があります。目的外使用が判明した場合は、贈与税が課税される可能性があります。

借入に関する質問

Q:親からの借入は、住宅ローンの審査に影響しますか?

A:金融機関によって判断が異なります。親からの借入を自己資金として認めない金融機関もあるため、事前に金融機関に確認することが重要です。

Q:親からの借入は、必ず利息を設定する必要がありますか?

A:法律上は無利息での貸付も可能ですが、税務上で贈与とみなされる可能性があります。一般的には、市中金利を参考にした適正な利率を設定することが推奨されます。

共有に関する質問

Q:共有の場合、固定資産税はどのように負担しますか?

A:原則として、持分に応じて負担することになります。ただし、共有者間の取り決めにより、実際の負担割合を変更することも可能です。

Q:将来、共有物件を売却する場合はどうなりますか?

A:売却には共有者全員の同意が必要です。売却益は原則として持分に応じて分配されますが、共有者間で別途取り決めることも可能です。

税金に関する質問

Q:親からの資金援助を受けた場合、必ず税金がかかりますか?

A:援助の方法によって税金の取り扱いが異なります。贈与の場合は贈与税の対象となりますが、特例措置の活用により非課税となる可能性があります。借入の場合は、適切な契約と返済があれば原則として税金は発生しません。

Q:将来の相続時に、資金援助は影響しますか?

A:贈与を受けた場合、将来の相続時に特別受益として持ち戻しの対象となる可能性があります。借入の場合は、返済が完了していれば原則として相続への影響はありません。

手続きに関する質問

Q:資金援助を受ける際は、必ず書面を作成する必要がありますか?

A:法律上の義務ではありませんが、将来のトラブル防止のため、書面での取り決めが強く推奨されます。特に借入や共有の場合は、正式な契約書の作成が重要です。

Q:資金援助に関する書類は、いつまで保管する必要がありますか?

A:贈与税の申告書類は、申告期限から7年間の保管が必要です。借入や共有に関する書類は、取引が完了するまで、また将来の相続に備えて永年保管することが推奨されます。

その他の質問

Q:兄弟姉妹がいる場合、資金援助は公平にする必要がありますか?

A:法律上の義務はありませんが、将来の相続時のトラブル防止のため、家族間で十分な話し合いを持ち、理解を得ておくことが重要です。

Q:親の扶養に入っている場合、資金援助に制限はありますか?

A:扶養関係自体は資金援助に直接的な制限を与えませんが、大規模な資金援助を受けた場合、扶養控除の適用に影響が出る可能性があります。

まとめ

親からの資金援助を受ける際は、家族の状況や将来的な影響を考慮しながら、最適な方法を選択することが重要です。特に税制面での影響や将来の相続対策なども含めて検討し、必要に応じて専門家への相談も検討しましょう。どの方法を選択する場合でも、親子間で十分な話し合いを行い、書面での取り決めを行うことをおすすめします。

なお、当社が提供している「housemarriage」では、住宅コンシェルジュが理想の家づくりのサポートとして、住まいを探す上で重要なハウスメーカーや工務店の営業担当者とのマッチングサポートをさせていただきます。住宅購入の資金計画の相談・作成や、相性良く親身になってくれる「営業担当者」をご紹介します。家づくりに関して少しでも不安を感じるようであれば、お問い合わせください。

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記事監修者

1級ファイナンシャル・プランニング技能士 / 渡辺 知光

大学卒業後、積水化学工業に入社し住宅「セキスイハイム」を販売。3年8カ月千葉県内で営業に従事し、営業表彰を6期連続受賞。
途中、母の急死に直面し、自分の将来について悩み始める。結果、大学のゼミで学んだ「保険」事業に実際に携わりたいと思いFP資格を取得して日本生命に転職。4年間営業に従事したが、顧客に対して提供出来る商品がなく退職を決意。FP兼保険代理店を開業する。

収入も顧客もゼロからのスタート。しかも独立直前に結婚し住宅購入した為、返済不安に陥り貯蓄が日々減っていく恐怖を覚える。

人生で初めて家計の見直しを行い、根本的な改善により失敗と不安を減らすコツを発見。自分の経験を生かしお客様が同じ道を歩まないよう伝えるべく「マイホーム検討者向けFP」として活動中。

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    :有限会社ティーエムライフデザイン総合研究所

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    :渡辺知光

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