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日本家屋の間取りの特徴をプロが解説

間取り・住宅の特徴

2022/05/27

2023/09/26

記事監修者

1級ファイナンシャル・プランニング技能士 / 渡辺 知光

日本家屋の間取りの特徴をプロが解説

昨今ではその姿が減りつつある日本家屋。

しかし、そこには長い歴史と先人の技と知恵が詰まっており、いずれも日本独自の気候や風土を考慮されて作られています。

「日本家屋じゃなければ家じゃない」と、昔言われたことあるくらい日本家屋への思い入れの強いケースもあります。
そこで今回は、日本家屋の間取りの特徴をはじめ、日本家屋のメリット・デメリットについてまとめてみました。

日本家屋の6つの特徴

ここでは、日本家屋の間取り特徴として以下の6つを取り上げてみました。
● ふすま
● 土間
● 引き戸
● 縁側
● 坪庭
● 畳

さっそくそれぞれについて見ていきましょう。

ふすま

ふすまは、日本家屋でよく見られる和室と和室を仕切る引き戸を指します。
ふすまの柄で空間を楽しむこともあるような重要なアイテムです。

最近は和室の続き間は見かけなくなり、和室と洋室の続き間にも使用されます。片面はふすまで裏面は洋風の引き戸のことも。

基本的に紙と細い木材から成るふすまは軽く、取り外しが容易です。
そのため、ふすまを開け放すことはもちろん、取り外すことによっても空間を広く見せられるでしょう。
壁や扉で仕切られている現代の住宅と違い、ふすまひとつで部屋の間取りや広さを変えられるのは日本家屋ならではの特徴といえます。

土間

近代化が進むにつれ、土間のある家は少なくなりました。
私自身、ご依頼を受けたことはありませんでした。

しかし、土間も日本家屋の特徴のひとつ。
土間とは、屋内にありながら土足でいられる空間のことを指します。

屋外と違い、天井や壁もあるため雨風をしのぐことができるため、近所の人や親しい人が立ち寄ったときに軽くもてなす場所として使われていました。
また、コミュニケーション空間としてだけではなく、収納スペースや趣味スペースなど用途に応じて使い分けが可能です。

昨今では土間に再び注目が集まるようになり、最近では自転車や趣味のモノや替えタイヤを置くこともあるみたいです。
玄関と部屋の風通し用として活用しながらも、きれいに収納しておしゃれに仕上げるケースが増えつつあります。

引き戸 

引き戸も日本発祥と言われています。
引き戸は開き戸のように開閉の際に大きなスペースを必要としません。
また、出入り口としての仕切りだけでなく、ふすまのように空間の仕切りとしての間取りを自在に変える役割も果たせるでしょう。

なお、引き戸の誕生には日本の風土が大きく影響していると考えられており、高温多湿の日本の風土に適応できるよう開放的な構造を追及した結果とされています。
昨今では日本家屋だけでなく、病院の診察室や病室の出入り口にも引き戸が多く採用されています。

開き戸と比べスペースをとらないといった利点はもちろん、お年寄りや患者さんであっても軽い力で開閉ができることも魅力の一つです。
昔は引き戸のデメリットとしてレールが必要だったので段差が出ましたが、最近は床面にレールの無いタイプが普及したのでスッキリして掃除もしやすくなりました。

縁側

縁側は、和室から張り出した板張りで、屋内と屋外をつなげる中間領域のこと。
一言で縁側と言ってもいくつか種類があり、「くれ縁」「濡れ縁」などが知られています

● くれ縁:雨戸や窓の内側に作られた縁側のこと。
 雨の日も濡れる心配がなく、椅子やテーブルを置いてくつろぎの空間としても利用可能。
● 濡れ縁:壁や雨戸の外側に作られた縁側のこと。
 室内に出入りするための踏み台としても利用され、掃除の際の移動場所として利用されるケースも多く見受けられる。

このうち、くれ縁では省エネ効果や部屋を広く見せる視覚的効果が期待できます。

縁側は夏の暑さはもちろん、冬の寒さからも室内を守ってくれるほか、梅雨の時期には洗濯物を干す場所としても活躍してくれるでしょう。

また、縁側は古くから団らんの場や憩いの場として使われてきたように、家族はもちろん近隣の人とのコミュニケーションスペースとしても機能します。
防犯の観点やスペースの事情から昨今ではあまり見なくなった縁側ですが、設置場所を工夫したり防犯対策のされた窓やドアを使用することで設置可能です。

坪庭

坪庭は、周りを堀や垣根で囲んだ小規模な和風の庭のことを指します。
主に採光や通風、鑑賞等を目的として設けられ、閉塞的になりがちな空間に季節感をもたらしてくれるでしょう。

最近では和風にこだわらず、洋風の坪庭やモダンなデザインなど、バリエーション豊かな坪庭も見受けられるようになってきました。
坪庭を取り入れるメリットとして、建物の構造上光と取り入れにくい家に明かりをもたらす効果が期待できます。

また、通気性の面でも高温多湿な日本では役立ってくれるでしょう。

手入れの手間がかかることが少々ネックですが、その点を考慮しても、坪庭を導入することで得られるメリットは大きいといえます。

最近では海外からの人気も高い畳。
床としての役割だけでなく、多機能に活用できることが畳の最大の魅力です。

畳の上でごろんと寝転ぶもよし、ケガの心配が少ないことから子どもの遊び場として使うもよし、家族でくつろぐ場として使うもよし。
床として、座面として、畳はさまざまな側面を有しています。

畳は高い調湿効果を持っていることも特徴のひとつ。
夏の不快な湿気は回収し、乾燥している冬はい草が含む水分を放出して湿度を適度に調節してくれます。

また、新しい畳はい草の香りを楽しむことができ、リラックス効果も期待できるでしょう。

ただ、近年では人工畳もかなり普及してきました。畳替えの手間が無く汚れた時にも目立ちにくいのが一番のメリットです。
最近の間取りでは畳に変わりフローリングが主流となりつつありますが、フローリングの上に敷くユニット畳などもあることから、気になる方は一度検討してみるとよいかもしれません。

小さいお子様がいる方は畳一畳あるだけでも便利です。

ほかにもまだある日本家屋の特徴

ここまでにお伝えした以外にも、日本家屋には次のような特徴があります。

● 格子戸:木材を縦横の格子状に組んだ扉や引き戸のこと
● 網代天井:木や竹を薄くスライスしたものを編んで作られた天井のこと
● 見せ梁:梁をあえて見せることで部屋を広く見せたり、木のぬくもりを感じさせる効果がある
● 地窓:床から伸びた背の低い窓のこと。掃き出し窓という名称でも知られる

いずれも「空間」や「採光」を意識した特徴となっており、すべてでなく、デザインの一環としていずれかを採用している住宅も多く見受けられます。

日本家屋に用いられる素材

日本家屋の代表的な特徴がわかったところで、日本家屋に用いられる素材についても見ていきましょう。
ここでは以下3つの素材を取り上げてみました。
● 瓦
● 塗り壁
● 和紙

日本瓦は粘土を原料に作られる焼き物の瓦のことで、日本家屋の象徴ともいえる屋根材です。
別名、和瓦とも呼ばれ、メンテナンスせずとも50年以上もつことから耐久性が非常に高い屋根材であるといえるでしょう。

また、耐久性が高いだけでなく、塗装が必要ないことからメンテナンスの手間がほとんどかかりません。
定期的にメンテナンスが必要となる近年の屋根材に比べ、修繕費用を節約できるでしょう。

とはいえ、日本瓦は他の屋根材に比べて重量があることから、地震に弱いといったデメリットも有しています。

しかし、日本瓦が弱いからといって建物がすぐに倒壊するわけではなく、建物全体の強度によって大きく左右されるのもまた事実。
そのため、日本瓦を屋根材として利用する場合は建物全体のバランスをきちんと考慮することが大切です。

塗り壁

塗り壁には土と藁や麻、細かい紙やスサ、砂、水をこねた材料が用いられます。

すべて自然素材で構成され、化学物質が一切含まれていないことから人体に影響が出る恐れもありません。
塗り壁には調湿機能に加え、消臭効果や防火性能も期待できますが、原材料が希少なことに加え、扱える職人さんも限られています。

そのため、費用が高額になりやすいことに加え、対応してくれる業者さんを探すのも一苦労でしょう。最近では見た目だけ塗り壁のような代用品が多く出てきております。

和紙

和紙は日本古来の自然素材の一つです。
伝統的な日本家屋においては障子や小窓などに使われているケースがほとんどです。

和紙は樹木の外皮の下にある柔らかい内皮の繊維を元に作られます。
それらの繊維は長くて薄いわりに強靱で、光沢があるといった特徴を有しており、それらが和紙ならではの手触りや光沢、光の透過性を生み出していると言っても過言ではないでしょう。

また、和紙を構成する繊維は不揃いであることから、和紙を通した光は拡散されたり、反射されたりすることでさまざまな側面を見せてくれます。

日本家屋のメリット

日本家屋のメリットは主に以下の3つです。

● 快適な湿度を維持してくれる
● 瓦の機能性が高い
● 耐久性がある

快適な湿度を維持してくれる

和紙や畳など、日本家屋には日本の気候に適した天然素材が多く使われています。
また、木は呼吸すると言われるように、木造建築の家では湿度が高いと湿気を取り込み、逆に下がると湿気を吐き出すと言った特徴があります。

そのため、室内の湿度をある程度一定に保つ効果が期待できるでしょう。

瓦の機能性が高い

日本瓦は耐久性の高さに加え、防音性や防火性が高いことでも知られています。

また、通気性も良く、外気を適度に室内へと取り込んでくれるでしょう。
従来は日本瓦の重さがネックとして指摘されていましたが、最近では現在の家屋の作りに合わせて軽量化されたものも登場しています。

耐久性がある

木造建築の家は、私たちが思うよりずっと耐久性に優れており、災害に強い建材としても知られています。
良質な材料できちんと作られた日本家屋は地震にもめっぽう強いです。

歴史的な建築物が100年を超えてもいまなおその姿を保っていることからも、納得がいくのではないでしょうか。

柱や梁を組む技術が非常に高度で優れていることはもちろん、木材そのものの性質も大きく関わっているといえるでしょう。
材料そのものは高価となりますが、災害に強い建物を建てるのであれば、木造建築を選択肢の一つに入れることをおすすめします。

日本家屋のデメリット

日本家屋にはさまざまなメリットがある一方で、デメリットも存在します。
ここではデメリットについても、見ていきましょう。

広い敷地が必要

日本家屋は開口部が大きいことが特徴でもあり、家を支える壁や柱が設置しづらい構造になっています。

そのため、一般的な二階建にしにくく多くの日本家屋は平屋であり、ある程度広い敷地が必要となるでしょう。
比較的土地が確保しやすい地方であればともかく、都市部で日本家屋を建てるとなると予算以外にそもそも建てられるだけの敷地がないといった問題が浮上する恐れがあります。

建築費用が高い

日本家屋を建てるにあたり、多額の費用が必要となります。
坪庭や畳のように、どこか一カ所に和の要素を取り入れるのであればそこまで高額にはなりませんが、すべてを昔ながらの日本家屋に近づけようとなると大変でしょう。

建築に必要となる資材がかなり高額なことに加え、日本家屋の技法をもつ職人さんの数も年々減っています。
このことが一番のデメリットかもしれません。
そのため、家の至る所に日本家屋の特徴を取り入れたいのであれば、それ相応の予算と時間がかかることを念頭に置く必要があります。

インテリアを和風にしないと合わない

日本家屋の間取りを採用する場合、インテリアを和風に統一しないと全体の雰囲気を損ねてしまう恐れがあります。
本格的な日本家屋を検討する場合は、インテリア担当者をつけてもらい和テイストの家具を採用するようにしましょう。

寒暖の差を受けやすい

ハウスメーカーの施工する家屋と異なり日本家屋の寒暖の対策は手間がかかるかもしれません。
通気性や通風性を優先する日本家屋は最新の建築工法とは住まいに対する考え方が少し異なります。
床暖房の設置が難しかったり、気密性を高めることが難しかったり、遮音性に劣ることもあるかもしれません。

維持費がかかりやすい

職人さんの技術を取り入れて手作業の工程が多く、一定期間ごとにメンテナンスは必要になってきます。

特に屋根や外壁、床下のメンテナンスは必須となり10年おきに点検することを推奨してる建築会社が多いです。
メンテナンス費用は30坪~40坪の家屋で200万円程度はかかる計画をしてください。

まとめ

今回の記事では日本家屋の間取りの特徴について、お伝えしました。
費用や建築スペースの問題から減りつつある日本家屋ですが、そこには多くの魅力が詰まっています。
金銭面と建築スケジュールに余裕があり、最新機能よりも日本特有の季節を感じて暮らしたいかたは一度検討してみてはいかがでしょうか?

なお、当社が提供している「housemarriage」では、住宅コンシェルジュが理想の家づくりのサポートとして、住まいを探す上で重要なハウスメーカーや工務店の営業担当者とのマッチングサポートをさせていただきます。住宅購入の予算計画からもご相談を承っております。サービス詳細は以下をご参照ください。

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ハウスメーカーの垣根を超えて地域ごとに担当者をご紹介しておりますので、まずは希望地域を絞って頂き、その地域に登録している担当者の様々な趣味嗜好や家づくりに対する熱い思いを確認してください。きっと皆さんの家づくりに対するこだわりをきちんと受け止めてくれて、どうすればその夢を解決できるのか一緒に悩みながらも満足のいく家づくりを導いてくれる担当者に出会えるはずです。担当者との偶然の引き合わせも良いかもしれませんが、ご自身で家づくりのパートナーを指名してしてください。

記事監修者

1級ファイナンシャル・プランニング技能士 / 渡辺 知光

大学卒業後、積水化学工業に入社し住宅「セキスイハイム」を販売。3年8カ月千葉県内で営業に従事し、営業表彰を6期連続受賞。
途中、母の急死に直面し、自分の将来について悩み始める。結果、大学のゼミで学んだ「保険」事業に実際に携わりたいと思いFP資格を取得して日本生命に転職。4年間営業に従事したが、顧客に対して提供出来る商品がなく退職を決意。FP兼保険代理店を開業する。

収入も顧客もゼロからのスタート。しかも独立直前に結婚し住宅購入した為、返済不安に陥り貯蓄が日々減っていく恐怖を覚える。

人生で初めて家計の見直しを行い、根本的な改善により失敗と不安を減らすコツを発見。自分の経験を生かしお客様が同じ道を歩まないよう伝えるべく「マイホーム検討者向けFP」として活動中。

運営会社情報

  • 会社名

    :有限会社ティーエムライフデザイン総合研究所

  • 代表者

    :渡辺知光

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