固定資産税評価額の調べ方や計算方法、税額を抑えるポイントを解説
家づくりの基本
2024/12/25
2024/12/25
固定資産税は土地や建物を所有する際に避けては通れない税金です。本記事では、固定資産税評価額の基本的な概念から具体的な調べ方、計算方法、さらには税額を抑えるための実践的なポイントまでを詳しく解説していきます。
固定資産税評価額とは
固定資産税評価額は、地方税法に基づいて市町村が固定資産税を課税するために算定する価格のことです。固定資産税の課税標準額として使用され、土地・建物・償却資産といった固定資産の価値を評価するための基準となります。
評価額の基本的な特徴
固定資産税評価額は、適正な時価を基準として評価されます。土地の場合、地価公示価格の7割程度を目途として評価されることが一般的です。これは、不動産取引の際の実勢価格とは異なる場合があり、純粋な市場価値を示すものではありません。
評価の対象となる固定資産
固定資産税評価額の対象となる資産は以下の3種類に分類されます。
1. 土地:宅地、農地、山林などすべての土地が対象となります。ただし、道路や公園など公共の用に供される土地は除外されます。
2. 家屋:住宅、店舗、工場など、土地に定着する建物が対象です。簡易な構造の物置やビニールハウスなどは除外される場合があります。
3. 償却資産:事業用の機械、設備、車両などの事業用資産が対象となります。個人の生活用動産は含まれません。
評価額の決定時期と有効期間
固定資産の評価は、基準年度(3年に1度)に行われます。この評価額は、特別な事情がない限り、次の基準年度までの3年間据え置かれます。ただし、土地の分合筆や家屋の増改築などが行われた場合は、その都度評価額が見直されます。
評価額の意義と役割
固定資産税評価額は、以下のような重要な役割を果たしています。
1. 課税の公平性確保:統一的な基準に基づいて評価することで、納税者間の公平性を保ちます。
2. 行政運営の基盤:固定資産税は市町村の重要な財源となっており、適正な評価額の算定は地方自治体の財政運営に直接影響します。
3. 相続税や登録免許税の算定基準:固定資産税評価額は、他の税金の算定にも利用されることがあります。
評価額に関する権利と義務
固定資産の所有者には、評価額について以下の権利と義務があります。
1. 縦覧制度:毎年4月1日から20日間程度、土地・家屋価格等縦覧帳簿を確認する権利があります。
2. 審査申出制度:評価額に不服がある場合、固定資産評価審査委員会に審査を申し出ることができます。
3. 申告義務:償却資産の所有者は、毎年1月1日現在の資産状況を申告する義務があります。
評価額の変動要因
固定資産税評価額は、以下のような要因により変動することがあります。
1. 地価の変動:土地の評価額は、地価公示価格の変動に連動して変化します。
2. 経年減価:建物は築年数の経過とともに評価額が減少していきます。
3. 周辺環境の変化:道路整備や区画整理などの都市開発により、評価額が変動することがあります。
4. 用途地域の変更:土地の利用制限が変更されることで、評価額が変動する可能性があります。
固定資産税評価額の調べ方
固定資産税評価額を調べる方法には複数の選択肢があり、所有者が自身の固定資産の評価額を知るためには、以下のような方法を利用することができます。
固定資産税納税通知書での確認
最も一般的な方法は、毎年5月頃に市区町村から送付される固定資産税納税通知書を確認することです。通知書には、その年度の評価額や課税標準額が記載されています。納税通知書には固定資産の所在地と地番、固定資産の評価額、課税標準額、税額の内訳、納付期限と納付方法などの重要な情報が含まれています。
固定資産課税台帳の縦覧
毎年4月1日から最低20日間は、市区町村の固定資産税課で土地・家屋価格等縦覧帳簿を確認することができます。縦覧期間中は、自己の資産の評価額だけでなく、同一市区町村内の他の土地・家屋の評価額も確認することが可能です。この縦覧制度は無料で利用できますが、所有者本人であることの証明が必要となります。また、同一市区町村内の比較が可能である一方で、縦覧期間が限定されているという特徴があります。
固定資産評価証明書の取得
市区町村の窓口で固定資産評価証明書を請求する方法も広く利用されています。この証明書は年間を通じて取得可能で、金融機関への提出や不動産取引の際にも活用できます。証明書を取得する際には、本人確認書類(運転免許証など)、印鑑、手数料が必要となります。なお、手数料は市区町村により金額が異なります。また、代理人が申請する場合は委任状が必要となります。
オンラインでの確認方法
近年は、マイナンバーカードを利用したオンラインでの証明書取得が可能な自治体が増えています。マイナポータルを通じて、評価証明書をオンラインで請求できる場合があります。このオンラインでの確認方法は、24時間365日申請可能で、窓口に行く必要がなく、データでの受け取りが可能であり、手続きが迅速に行えるといった利点があります。
代理人による調査
税理士や不動産鑑定士などの専門家に依頼して、評価額を調査することも可能です。特に複数の物件を所有している場合や、評価額に疑問がある場合には、専門家による調査が有効な選択肢となります。専門家は豊富な経験と知識を活かし、適切な評価額の確認や必要な手続きのアドバイスを提供することができます。
確認時の注意点
固定資産税評価額を調べる際には、いくつかの重要な注意点があります。まず、権限の確認に関して、所有者本人以外が確認する場合は委任状が必要となります。また、相続人の場合は相続人であることの証明が必要であり、法人の場合は代表者印が必要です。時期についても考慮が必要で、縦覧期間は限定されており、評価替えは3年に1度行われます。さらに、年度途中での変更確認も重要な要素となります。記録の保管に関しては、納税通知書は必ず保管し、評価証明書はコピーを取っておくことで、経年変化の記録として活用することができます。
評価額に関する相談窓口
評価額について疑問や不明点がある場合は、様々な相談窓口を利用することができます。市区町村の固定資産税課では、評価額に関する一般的な質問や手続きについての相談を受け付けています。また、固定資産評価審査委員会では、評価額に関する不服申し立ての相談ができます。さらに、税理士会の無料相談や法務局の登記相談など、専門家による相談サービスも利用可能です。これらの窓口を適切に活用することで、評価額に関する疑問を解決することができます。
固定資産税評価額の計算方法
固定資産税評価額の計算方法は、土地、建物、償却資産のそれぞれで異なる計算方式が採用されています。ここでは、それぞれの資産における具体的な計算方法について詳しく解説していきます。
土地の評価額計算方法
土地の評価額計算には、主に路線価方式と倍率方式の二つの方式が用いられています。路線価方式は主に市街地において採用されており、土地が接する道路の価格(路線価)を基準として評価額を算出します。具体的には、路線価に土地の面積を乗じた後、奥行きや形状による補正率を加味して評価額を決定します。
一方、倍率方式は主に郊外の地域で採用されており、固定資産税の課税のために国税局が定める評価倍率を基準として計算します。この方式では、土地の固定資産税評価額は、その土地の地目に応じた標準宅地の価格に評価倍率を乗じることで算出されます。
建物の評価額計算方法
建物の評価額は、再建築価格方式という方法で計算されます。この方式では、評価の対象となる建物と同一のものを、評価の時点で新築する場合に必要な建築費を基準として計算を行います。具体的な計算過程では、まず建物の標準的な建築費を算出し、そこから建物の構造や用途による補正を行います。
その後、経年減点補正率を適用して築年数による価値の減少を反映させます。経年減点補正率は建物の構造や用途によって異なり、木造建築物は年数の経過とともに評価額が大きく減少する一方、鉄筋コンクリート造などの建物は比較的緩やかな減少となります。
償却資産の評価額計算方法
償却資産の評価額は、取得価額を基準として、減価償却を考慮して計算されます。具体的には、取得価額から各資産の耐用年数に応じた減価償却費を控除する方式で計算します。この際、定率法や定額法など、税法で定められた減価償却の方法に従って計算を行います。
評価額の補正要素
評価額の計算には、様々な補正要素が考慮されます。土地については、不整形地や無道路地などの土地形状による補正、建物については、増改築や修繕による価値の変動も評価額に反映されます。また、土地と建物の両方において、災害による価値の下落なども補正要素として考慮されます。
住宅用地の特例措置
住宅用地については、特例措置が設けられており、小規模住宅用地(200平方メートル以下)については評価額の6分の1、一般住宅用地(200平方メートル超)については評価額の3分の1が課税標準額となります。この特例措置は、居住用財産に対する税負担を軽減する目的で設けられています。
評価替えと負担調整措置
固定資産税評価額は3年ごとに見直される評価替えが行われます。ただし、評価額が大幅に上昇する場合には、税負担の急激な増加を防ぐため、負担調整措置が適用されます。この措置により、前年度の課税標準額に一定の上昇率を乗じた額を上限として、段階的に新しい評価額に近づけていく仕組みが採用されています。
特殊な場合の評価方法
市街化区域農地や、区分所有建物(マンションなど)については、それぞれ独自の評価方法が定められています。市街化区域農地については、宅地並み課税が原則とされており、農地としての評価ではなく、宅地としての評価額が適用されます。区分所有建物については、専有部分と共用部分を区分して評価を行い、それぞれの持分に応じた評価額が算出されます。
固定資産税の税額を抑えるポイント
固定資産税の税額を適正に抑制するためには、法律で認められた様々な制度や特例を活用することが重要です。以下では、具体的な税額抑制の方法について、土地、建物、そして一般的な対策に分けて詳しく解説していきます。
土地に関する税額抑制方法
住宅用地の特例制度は、土地に係る固定資産税を抑制する最も基本的な方法です。小規模住宅用地(200平方メートル以下)については評価額の6分の1、一般住宅用地(200平方メートル超)については評価額の3分の1を課税標準とすることができます。この特例を最大限活用するためには、土地の用途が適切に住宅用地として認定されていることを確認する必要があります。
土地の現況確認も重要な要素です。実際の土地の形状や利用状況が課税台帳の記載と異なる場合、修正を申し立てることで評価額の適正化を図ることができます。特に、がけ地や不整形地、無道路地などの状況がある場合は、補正率の適用により評価額が減額される可能性があります。
建物に関する税額抑制方法
建物の評価額は、経年減点補正率の適用により年々減少していきます。この減価の過程を正確に反映させるため、建物の現況や修繕履歴を適切に管理し、必要に応じて申告することが重要です。特に、建物の一部取り壊しや用途変更があった場合は、速やかに市区町村に届け出ることで、評価額の適正化を図ることができます。
住宅の耐震改修や省エネ改修を行った場合、一定期間の固定資産税が減額される特例措置があります。これらの改修工事を検討する際は、税制上の優遇措置も考慮に入れることで、より効果的な投資判断を行うことができます。また、バリアフリー改修についても同様の減額措置が適用される場合があります。
評価額の見直し請求と審査申出
固定資産税の評価額に疑問がある場合は、固定資産評価審査委員会に審査を申し出ることができます。この制度を活用する際は、近隣の類似物件との比較データや、不動産鑑定士による評価書など、具体的な根拠資料を準備することが重要です。審査の申出は、納税通知書を受け取ってから60日以内に行う必要があります。
特別な軽減措置の活用
災害や事業用資産の買い換えなど、特別な事情がある場合には、様々な軽減措置が用意されています。例えば、災害により被害を受けた資産については、被害の程度に応じて固定資産税が減免される制度があります。また、事業用資産の買い換えに関しては、特例措置を利用することで税負担を軽減できる場合があります。
共有資産の適切な管理
複数の所有者で資産を共有している場合、持分の適切な管理と申告が重要です。特に相続発生時には、相続登記を速やかに行い、課税情報を正確に更新することで、不要な税負担を防ぐことができます。また、共有者間で税負担の按分方法を明確にしておくことも、将来的なトラブル防止につながります。
長期的な税負担管理の重要性
固定資産税の負担を適正に管理するためには、長期的な視点での計画が必要です。特に、新規に不動産を取得する際は、将来の税負担も考慮に入れた投資判断を行うことが重要です。また、定期的に評価額や課税状況を確認し、必要に応じて専門家に相談することで、より効果的な税負担の管理が可能となります。
専門家の活用
税理士や不動産鑑定士などの専門家に相談することで、より専門的な観点からの税額抑制策を検討することができます。特に、事業用資産の場合は、減価償却の方法や特例措置の適用など、複雑な判断が必要となるため、専門家のアドバイスが有効です。また、定期的な評価額の見直しや、申告内容の確認においても、専門家の知見を活用することで、より確実な税負担の管理が可能となります。
よくある質問(Q&A)
固定資産税について、納税者からよく寄せられる質問とその回答を、テーマ別にまとめて解説します。
評価額に関する質問
Q:固定資産税評価額はどのくらいの頻度で見直されるのでしょうか?
A:固定資産税評価額は基本的に3年に1度の評価替えで見直されます。これを基準年度といい、その評価額は次の評価替えまでの3年間、原則として据え置かれます。ただし、土地の分合筆や家屋の増改築などが行われた場合は、その都度評価額が見直されることになります。
Q:評価額が近隣の物件と比べて高すぎると感じた場合、どうすればよいですか?
A:評価額に疑問がある場合は、固定資産評価審査委員会に審査の申し出をすることができます。申し出は、固定資産税の納税通知書を受け取った日から60日以内に行う必要があります。申し出の際は、近隣の類似物件との比較データなど、具体的な根拠資料を準備することが望ましいです。
税額計算に関する質問
Q:固定資産税の税率はどのように決まるのでしょうか?
A:固定資産税の標準税率は1.4%と定められていますが、市町村の条例によってこの税率を変更することが可能です。ただし、実際には、ほとんどの市町村が標準税率を採用しています。この税率に課税標準額を乗じて税額が算出されます。
Q:住宅用地に対する税の軽減措置について教えてください。
A:住宅用地については特例措置が設けられており、小規模住宅用地(200平方メートル以下)は評価額の6分の1、一般住宅用地(200平方メートル超)は評価額の3分の1が課税標準額となります。この特例は、居住用財産に対する税負担を軽減する目的で設けられています。
支払いに関する質問
Q:固定資産税の支払い方法には、どのような選択肢がありますか?
A:固定資産税の支払い方法には、納付書による支払い、口座振替、クレジットカード納付(対応している自治体の場合)などがあります。また、年4回の分割納付が一般的ですが、一括納付による前納報奨金制度を設けている自治体もあります。
Q:支払いが困難な場合、どのような対応が可能でしょうか?
A:災害や事業の休廃止など、特別な事情により支払いが困難な場合は、徴収猶予や減免制度を利用できる可能性があります。こうした場合は、早めに市区町村の窓口に相談することをお勧めします。具体的な状況を説明し、適用可能な救済制度がないか確認することが重要です。
特別な状況に関する質問
Q:相続した不動産の固定資産税はいつから支払う必要がありますか?
A:固定資産税は、毎年1月1日時点の所有者に課税されます。したがって、相続が発生した年の1月1日より後に相続した場合、その年度の固定資産税は被相続人に課税され、翌年度から相続人に課税されることになります。
Q:空き家の固定資産税は通常の住宅と同じ扱いになりますか?
A:空き家であっても、住宅用地としての利用実態があれば、住宅用地の特例が適用されます。ただし、著しく管理が不適切な状態にある特定空家等に指定された場合は、住宅用地の特例が適用されなくなり、税負担が増加する可能性があります。
手続きに関する質問
Q:固定資産税の課税証明書はどのように取得できますか?
A:課税証明書は、市区町村の窓口で取得できます。取得の際は、本人確認書類(運転免許証など)と手数料が必要です。また、最近では、マイナンバーカードを利用してオンラインで取得できる自治体も増えています。
Q:住所変更した場合、固定資産税の手続きは必要ですか?
A:固定資産を所有したままでの住所変更の場合は、市区町村に住所変更の届出を行う必要があります。これは、納税通知書を確実に受け取るために重要な手続きです。届出を怠ると、納税通知書が届かず、納付が遅れる可能性があります。
まとめ
固定資産税評価額は、不動産所有者にとって重要な指標となります。評価額の仕組みを理解し、適切な調査と対策を行うことで、無駄な税負担を避けることができます。定期的な確認と、必要に応じた修正申立てを行うことで、適正な評価額と税額を維持することが可能です。
なお、当社が提供している「housemarriage」では、住宅コンシェルジュが理想の家づくりのサポートとして、住まいを探す上で重要なハウスメーカーや工務店の営業担当者とのマッチングサポートをさせていただきます。住宅購入の資金計画の相談・作成や、相性良く親身になってくれる「営業担当者」をご紹介します。家づくりに関して少しでも不安を感じるようであれば、お問い合わせください。
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