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抵当権の概要や費用、手続きの流れ、必要書類などについて解説

家づくりの基本

2024/12/26

2024/12/26

記事監修者

1級ファイナンシャル・プランニング技能士 / 渡辺 知光

抵当権の概要や費用、手続きの流れ、必要書類などについて解説

不動産取引や住宅ローンで重要となる抵当権について、基本的な概要から具体的な手続き方法まで、わかりやすく解説します。初めて不動産を購入する方や相続に直面している方にとって、必要な知識を網羅的にまとめました。

抵当権とは

抵当権は、債権者(主に金融機関)が債務者の所有する不動産を担保として設定する物権のひとつです。民法第369条に規定された権利であり、債務の支払いが滞った際に、債権者が担保物件を売却して優先的に債権を回収することができる制度です。

抵当権の基本的な特徴

抵当権の最大の特徴は、債務者が担保物件を実際に使用・収益しながら、債権者の債権を保全できる点です。住宅ローンを例にすると、借主は抵当権が設定された住宅に居住しながらローンの返済を続けることができます。

抵当権の優先的効力

抵当権は登記することで第三者への対抗力が発生します。複数の抵当権が設定される場合は、登記の前後関係により優先順位が決まります。これにより、債務者が破産した場合でも、抵当権者は一般債権者より優先して債権を回収できます。

抵当権の設定対象

抵当権の設定対象となるのは、土地、建物などの不動産が一般的です。ただし、工場財団や鉱業権、漁業権など、法律で認められた特定の財産にも設定が可能です。近年は、マンションの区分所有権や借地権にも設定されるケースが増えています。

抵当権の実行方法

債務者が返済を怠った場合、抵当権者は競売などの法的手続きを経て担保物件を換価し、その代金から優先的に債権を回収することができます。この手続きは「抵当権の実行」と呼ばれ、裁判所を通じて行われます。

抵当権設定の効果

抵当権が設定されると、債務者は以下の制限を受けることになります。第一に、担保物件を処分する際には抵当権者の承諾が必要となります。第二に、担保物件の価値を著しく減少させる行為が制限されます。第三に、賃貸等による収益は可能ですが、抵当権者の利益を害する程度の変更は認められません。

根抵当権との違い

通常の抵当権は特定の債権を担保するのに対し、根抵当権は取引から生じる不特定の債権を一定の極度額まで担保します。事業用の融資や当座貸越契約などで活用される制度です。

抵当権設定時の注意点

抵当権を設定する際は、対象となる不動産の評価額や設定金額、抵当権設定にかかる費用、将来の抹消手続きなどについて、十分に確認することが重要です。また、複数の抵当権が設定される場合は、その順位関係にも注意が必要です。

抵当権のメリット・デメリット

抵当権設定は債務者(借主)と債権者(貸主)の双方にメリット・デメリットがあります。ここでは、それぞれの立場から詳しく解説していきます。

債務者(借主)のメリット

不動産を担保として提供することで、より有利な条件での借入が可能になります。具体的には、無担保融資と比較して低金利での借入や、より長期の返済期間の設定、より高額の融資を受けられます。また、不動産を手放すことなく資金調達ができるため、継続して居住や事業での使用が可能です。

債務者(借主)のデメリット

抵当権が設定されると、不動産の処分に制限がかかります。売却や贈与する際には債権者の承諾が必要となり、手続きが煩雑になります。また、抵当権の設定時には登録免許税や司法書士報酬などの費用が発生し、これらは通常、債務者が負担することになります。返済が滞った場合は、不動産を失うリスクがあります。

債権者(貸主)のメリット

債権の保全が確実になります。債務者が返済不能となった場合でも、担保物件を換価することで債権を回収できます。また、抵当権は登記により第三者にも対抗できるため、債務者が破産した場合でも、一般債権者に優先して債権を回収することが可能です。

債権者(貸主)のデメリット

担保物件の価値が下落するリスクがあります。不動産市況の変動や建物の経年劣化により、当初の評価額を下回る可能性があります。また、抵当権を実行する際には法的手続きが必要となり、時間とコストがかかります。

不動産取引への影響

抵当権が設定された不動産は、売買時に特別な配慮が必要です。買主が新たに住宅ローンを組む場合、既存の抵当権を抹消する必要があり、残債務の精算や手続きの調整が必要となります。これにより、取引の成立までに時間がかかったり、取引自体が難しくなったりする場合があります。

相続時の影響

相続発生時には、抵当権付きの不動産を相続する際に注意が必要です。相続人は被相続人の債務も承継することになるため、残債務の返済計画を立てる必要があります。また、相続人が複数いる場合は、債務の承継について協議が必要となります。

経営面での影響

事業用融資の担保として抵当権を設定する場合、企業の信用力や経営の自由度に影響を与える可能性があります。不動産に抵当権が設定されていることで、新たな融資を受けにくくなったり、事業展開の制約となったりすることがあります。

抵当権設定の判断ポイント

抵当権設定を検討する際は、借入の目的や返済計画、将来の不動産活用計画などを総合的に考慮することが重要です。特に、返済が滞った場合のリスクや、将来の売却や相続時の影響について、十分に理解しておく必要があります。

抵当権付きの不動産を相続する場合

抵当権が設定された不動産の相続は、通常の不動産相続と比べて複雑な手続きや判断が必要となります。相続人は被相続人の債務も承継することになるため、慎重な検討が求められます。

相続時の基本的な考え方

抵当権付き不動産を相続する場合、不動産の所有権と同時に被相続人の借入債務も承継することになります。ただし、相続人には相続放棄の選択肢もあり、相続開始を知った日から3ヶ月以内に家庭裁判所に申述する必要があります。

相続発生時の抵当権の取り扱い

抵当権は物権であり、相続が発生しても消滅することはありません。そのため、相続人が不動産を相続した場合でも、抵当権は引き続き存続します。ただし、債務の承継については、相続人の意思によって選択することが可能です。

共同相続の場合の注意点

複数の相続人がいる場合、不動産と債務の配分について協議が必要となります。特に注意が必要なのは、不動産を相続する人と債務を承継する人を分けることも可能である点です。ただし、このような場合は関係者全員の合意と金融機関の承諾が必要となります。

相続時の選択肢

相続人には以下の選択肢があります。

1. 不動産と債務をそのまま相続し、返済を継続する

2. 相続を放棄し、不動産も債務も承継しない

3. 不動産を相続せず、債務のみを承継する

4. 不動産を売却して債務を清算する

金融機関との調整

相続が発生した場合は、速やかに金融機関に連絡し、今後の返済について相談することが重要です。金融機関によっては、相続人の収入状況に応じて返済条件の変更に応じてくれる場合もあります。また、団体信用生命保険に加入していた場合は、保険金での返済も検討できます。

必要な手続きと書類

相続手続きには以下の書類が必要となります。

・相続人全員の戸籍謄本

・被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本一式

・被相続人の死亡診断書

・印鑑証明書

・住民票

・遺産分割協議書

・その他金融機関が指定する書類

また、相続登記も必要となり、この際は司法書士への依頼が推奨されます。

相続税の評価と計算

抵当権付き不動産の相続税評価額は、原則として抵当権が設定されていない場合と同じです。ただし、債務は相続財産から控除されるため、実質的な相続税の負担は減少します。相続税の申告期限は相続開始を知った日から10ヶ月以内です。

売却する場合の注意点

相続した抵当権付き不動産を売却する場合は、残債務の処理が重要となります。売却代金で残債務を完済できる場合は比較的スムーズですが、売却代金が残債務を下回る場合は、不足分の支払い方法について金融機関と協議が必要です。

専門家への相談

抵当権付き不動産の相続は複雑な法律問題を含むため、弁護士や司法書士、税理士などの専門家に相談することが推奨されます。特に、共同相続の場合や債務が多額な場合は、専門家のアドバイスが重要となります。

抵当権抹消の手続き方法

住宅ローンの完済や不動産売却時など、抵当権を抹消する必要が生じた際の具体的な手続き方法について解説します。抵当権抹消は正確な手順と必要書類の準備が重要となります。

抵当権抹消が必要となるケース

抵当権抹消が必要となる主なケースは以下の通りです。

・住宅ローンの完済時

・不動産の売却時

・借り換えによる既存ローンの返済時

・相続による債務の清算時

特に不動産売却の場合は、新しい所有者が新たな抵当権を設定するため、既存の抵当権を抹消する必要があります。

抵当権抹消の基本的な手続きの流れ

抵当権抹消の手続きは以下の順序で行われます。まず債権者から抵当権抹消承諾書を取得し、次に法務局で登記申請を行います。登記完了後、登記事項証明書を取得して手続きが完了となります。この一連の手続きは通常、司法書士に依頼することが一般的です。

必要書類と準備するもの

抵当権抹消に必要な書類には以下のものがあります。

・抵当権抹消承諾書(原本)

・印鑑証明書

・登記識別情報

・権利証

・委任状(司法書士に依頼する場合)

・本人確認書類

これらの書類は、金融機関や法務局の要求に応じて準備する必要があります。

抵当権抹消にかかる費用

抵当権抹消には複数の費用が発生します。主な費用としては、登録免許税(1件につき1,000円)、司法書士報酬(通常3〜5万円程度)、印紙代、各種証明書取得費用などがあります。これらの費用は通常、抵当権設定者である債務者が負担することになります。

抵当権抹消の注意点

抹消手続きを行う際は、以下の点に注意が必要です。金融機関による抵当権抹消承諾書の発行には数日から数週間かかる場合があること、抹消登記の申請期限が定められている場合があること、共同担保となっている場合は全ての物件について手続きが必要となることなどです。

金融機関ごとの違い

金融機関によって抵当権抹消の手続き方法や必要書類が異なる場合があります。特に抵当権抹消承諾書の発行手続きや、費用負担の取り決めについては、金融機関ごとに独自のルールがある可能性があります。事前に取引金融機関に確認することが推奨されます。

登記完了までの期間

抵当権抹消の登記完了までの期間は、通常1〜2週間程度かかります。ただし、混雑状況や書類の不備などにより、さらに時間がかかる場合があります。特に不動産売却に伴う抹消の場合は、売買契約のスケジュールに影響が出ないよう、余裕を持って手続きを進めることが重要です。

トラブル防止のポイント

抵当権抹消のトラブルを防ぐためには、以下の点に注意が必要です。期限に余裕を持って手続きを開始すること、必要書類を事前に確認して準備すること、専門家に依頼する場合は費用や手続きの内容について事前に確認すること、抹消登記完了後は登記事項証明書で確実に抹消されていることを確認することなどが重要です。

抵当権抹消後の確認事項

抵当権抹消後は、登記事項証明書を取得して確実に抹消登記が完了していることを確認する必要があります。また、関連書類は将来の参考のために適切に保管しておくことが推奨されます。特に、抵当権抹消承諾書や登記完了証などの重要書類は、確実に保管しておく必要があります。

よくある質問(Q&A)

抵当権に関して、多くの方が疑問に感じる質問とその回答をまとめました。実務的な観点から、具体的な説明を心がけています。

設定・費用に関する質問

Q:抵当権の設定費用は具体的にいくらかかりますか?

A:主な費用は以下の通りです。登録免許税(借入額の1000分の4)、司法書士報酬(約5万円前後)、印紙代(数千円)、各種証明書取得費用(数千円)。例えば3000万円の住宅ローンの場合、登録免許税は12万円となり、合計で約18万円程度が必要です。

Q:抵当権は複数設定できますか?

A:可能です。ただし、先に設定された抵当権が優先されるため、後順位の抵当権での借入条件は一般的に厳しくなります。また、金融機関によっては、他の抵当権が設定されている不動産への追加融資を認めない場合もあります。

売買・取引に関する質問

Q:抵当権が設定された不動産は売却できないのですか?

A:売却は可能です。ただし、①残債務を完済して抵当権を抹消する、②買主が残債務を引き継ぐ、③売却代金で残債務を精算する、のいずれかの対応が必要です。売却前に金融機関との調整が重要です。

Q:住宅ローンの借り換え時の抵当権はどうなりますか?

A:既存の抵当権を抹消し、新しい金融機関の抵当権を設定し直します。この際、抹消と設定の両方の費用が発生します。なお、費用負担を軽減する特例もあるため、金融機関に確認することをお勧めします。

相続・承継に関する質問

Q:相続時に抵当権付きの不動産を相続放棄できますか?

A:可能です。ただし、相続放棄は不動産だけでなく、相続財産全体に対して行うことになります。また、相続開始を知った日から3ヶ月以内に家庭裁判所への申述が必要です。

Q:共同相続の場合、債務はどのように分配されますか?

A:原則として法定相続分に応じて分割されますが、遺産分割協議により、不動産を相続する人が債務もまとめて承継するなどの取り決めも可能です。ただし、このような場合は金融機関の承諾が必要です。

抹消手続きに関する質問

Q:抵当権の抹消費用は誰が負担するのですか?

A:原則として債務者(借主)の負担となります。ただし、金融機関によっては、長期の取引実績がある場合などに、費用の一部または全部を負担してくれることもあります。

Q:抵当権抹消の手続きはどのくらいの期間がかかりますか?

A:通常、抵当権抹消承諾書の取得に1週間程度、登記申請から完了まで1〜2週間程度かかります。ただし、金融機関や法務局の混雑状況により、さらに時間がかかる場合もあります。

その他の重要な質問

Q:任意売却時の抵当権はどうなりますか?

A:任意売却の場合、売却代金を残債務の返済に充て、抵当権を抹消するのが一般的です。売却代金が残債務に満たない場合は、不足分について金融機関と返済計画を協議する必要があります。

Q:住宅ローンの団体信用生命保険で完済された場合の抵当権は?

A:債務者が死亡し、団体信用生命保険で住宅ローンが完済された場合も、抵当権の抹消手続きが必要です。保険金での完済後、相続人が抹消手続きを行うことになります。

まとめ

抵当権は住宅ローンにおける重要な担保権であり、その設定や抹消には適切な手続きと費用が必要です。不動産取引や相続の際には、抵当権の取り扱いについて専門家に相談することをお勧めします。正しい知識と手続きにより、安全な不動産取引が実現できます。

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1級ファイナンシャル・プランニング技能士 / 渡辺 知光

大学卒業後、積水化学工業に入社し住宅「セキスイハイム」を販売。3年8カ月千葉県内で営業に従事し、営業表彰を6期連続受賞。
途中、母の急死に直面し、自分の将来について悩み始める。結果、大学のゼミで学んだ「保険」事業に実際に携わりたいと思いFP資格を取得して日本生命に転職。4年間営業に従事したが、顧客に対して提供出来る商品がなく退職を決意。FP兼保険代理店を開業する。

収入も顧客もゼロからのスタート。しかも独立直前に結婚し住宅購入した為、返済不安に陥り貯蓄が日々減っていく恐怖を覚える。

人生で初めて家計の見直しを行い、根本的な改善により失敗と不安を減らすコツを発見。自分の経験を生かしお客様が同じ道を歩まないよう伝えるべく「マイホーム検討者向けFP」として活動中。

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    :有限会社ティーエムライフデザイン総合研究所

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    :渡辺知光

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