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クラック(壁のひび割れ)の仕組みや対処法・予防法を解説

家づくりの基本

2024/12/27

2024/12/27

記事監修者

1級ファイナンシャル・プランニング技能士 / 渡辺 知光

クラック(壁のひび割れ)の仕組みや対処法・予防法を解説

外壁に発生するクラック(ひび割れ)は、建物の寿命や資産価値に大きく影響を与える重要な問題です。本記事では、クラックの基本的な知識から具体的な対処法まで、専門家の視点から詳しく解説します。

クラックとは

クラックとは、建物の外壁や内壁に発生する亀裂や割れ目のことを指す建築用語です。一般的に0.2mm以上の幅を持つ亀裂をクラックと呼び、それ以下の微細な亀裂はヘアクラックと呼ばれます。

クラックの一般的な特徴

クラックには様々な形状や大きさがあり、その特徴によって深刻度や原因を判断することができます。幅、長さ、深さ、形状などが重要な判断基準となります。

クラックの危険度判定基準

クラックの危険度は主に以下の基準で判断されます。0.2mm未満の場合は軽微な損傷、0.2mm~1.0mmは中程度の損傷、1.0mm以上は重度の損傷として扱われることが一般的です。

クラックが建物に与える影響

クラックは単なる見た目の問題だけではなく、建物の構造体に深刻な影響を及ぼす可能性があります。雨水の侵入による内部腐食、断熱性能の低下、建物の強度低下などが主な問題として挙げられます。

クラックの発見方法

クラックは定期的な目視点検で発見できることが多く、特に雨上がりの後や季節の変わり目には注意深く観察することが推奨されます。専門家による点検では、クラックゲージなどの専門機器を使用して詳細な測定が行われます。

クラックと建物の経年変化

建物の老朽化に伴い、クラックの発生リスクは高まります。築年数が10年を超える建物では、定期的な点検と予防的なメンテナンスが特に重要となります。新築であっても、建物の収まりや気温の変化によってクラックが発生することがあります。

クラックと保険の関係

火災保険や地震保険では、一定の条件下でクラックの修理費用が補償される場合があります。ただし、経年劣化による通常のクラックは補償対象外となることが一般的です。保険適用の可能性がある場合は、修理前に保険会社への相談が推奨されます。

クラックの種類

外壁に発生するクラックは、その形状や特徴によって原因を特定することができます。適切な補修方法を選択するために、クラックの種類を正確に判断することが重要です。

形状による分類

縦方向(垂直)のクラックは、主に建物の構造的な問題や基礎の不同沈下が原因で発生します。特に開口部の上下や柱の近くに発生した場合は、建物の構造に関わる重要な問題である可能性が高いため、早急な対応が必要です。

横方向(水平)のクラックは、温度変化による建材の伸縮や地震による横揺れが主な原因です。特に階層の境目や土台付近に発生することが多く、建物の水平方向の力に対する耐性を示す重要なサインとなります。

斜めのクラックは、地盤の不同沈下や建物に加わる不均等な力が原因で発生することが多く、特に開口部の角から斜め45度方向に伸びるクラックは要注意です。これは建物に過度な応力が加わっている証拠となる可能性があります。

パターンによる分類

網目状(亀甲状)のクラックは、主にモルタルやコンクリートの収縮による表面的な劣化が原因です。見た目は深刻に見えても、比較的表層的な問題であることが多いですが、放置すると雨水の侵入経路となる可能性があります。

地図状のクラックは、塗装の劣化や下地との付着力低下が原因で発生します。表面的な問題ですが、早期に対処しないと剥落の危険性があります。

深さによる分類

表面クラックは、外装材の表面のみに発生する比較的軽微なクラックです。主に塗装の劣化や気温変化による収縮が原因で発生します。

構造クラックは、建物の構造体にまで達している深刻なクラックです。建物の安全性に直接関わる問題となるため、専門家による早急な診断と対処が必要です。

大きさによる分類

ヘアクラック(0.2mm未満)は、微細な亀裂で、主に建材の自然な収縮により発生します。定期的な観察は必要ですが、即座の修理は必要ないケースが多いです。

中規模クラック(0.2mm~1.0mm)は、建物の変形や経年劣化により発生する一般的なクラックです。雨水の侵入を防ぐため、計画的な修理が推奨されます。

大規模クラック(1.0mm以上)は、構造的な問題や重大な劣化が原因で発生する深刻なクラックです。建物の安全性に関わる可能性が高いため、即座の専門家による診断が必要です。

発生場所による分類

外壁面のクラックは、建物の外観や防水性に影響を与えます。特に南面は日照による温度変化の影響を受けやすく、クラックが発生しやすい傾向にあります。

開口部周辺のクラックは、窓やドアなどの開口部に集中する応力が原因で発生します。特に開口部の角から発生するクラックは、建物の構造に関わる重要な問題である可能性があります。

クラックが発生する要因

外壁クラックの発生には、複数の要因が複雑に絡み合っています。適切な対策を講じるためには、これらの要因を正確に理解することが重要です。

構造的要因

建物の構造体に関わる問題として、基礎の不同沈下が最も一般的です。地盤の軟弱性や近隣の工事による振動、地下水位の変動などにより、建物の一部が不均等に沈下することでクラックが発生します。

建物自体の重量バランスの不均衡も重要な要因です。増築や大型設備の設置により、想定以上の荷重が特定の箇所にかかることでクラックが発生することがあります。

環境的要因

気温や湿度の変化による建材の膨張収縮は、最も一般的なクラックの原因の一つです。特にコンクリートや外壁材は、温度変化に敏感に反応して伸縮を繰り返すため、この過程でクラックが発生しやすくなります。

日照による熱応力も重要な要因です。建物の南面は特に日射の影響を受けやすく、表面温度の上昇による急激な膨張と、夜間の収縮によってクラックが発生しやすい状態となります。

施工上の要因

コンクリートの養生不足は深刻なクラックの原因となります。打設後の適切な養生期間が確保されない場合、コンクリートの強度が十分に発現せず、早期にクラックが発生する可能性が高まります。

下地処理の不備や材料の配合比率の誤り、施工時の気象条件への配慮不足なども、クラック発生の要因となります。特に防水層の施工不良は、将来的な雨水の侵入とクラックの拡大につながります。

経年劣化要因

建材自体の老化は避けられない要因です。紫外線や雨水、凍結融解の繰り返しにより、外壁材は徐々に劣化し、クラックが発生しやすくなります。特に築20年以上の建物では、この要因によるクラックが増加する傾向にあります。

シーリング材の劣化も重要な要因です。目地部分のシーリングが劣化すると、建材の動きを吸収できなくなり、応力が集中してクラックが発生します。

外的要因

地震や台風などの自然災害は、急激な外力により建物にクラックを発生させる主要な要因です。特に地震による横揺れは、建物に想定以上の力を加えることでクラックを引き起こします。

近隣での工事による振動や重機の使用、交通量の多い道路からの振動なども、長期的にはクラックの原因となることがあります。

設計上の要因

建物の形状や構造計画の不備も、クラック発生の要因となります。特に複雑な形状の建物や、構造的な弱点がある部分では、応力が集中してクラックが発生しやすくなります。

開口部の配置や大きさの不適切な計画も、クラックを引き起こす要因となります。特に壁面に対して大きすぎる開口部を設けた場合、その周囲に応力が集中してクラックが発生しやすくなります。

クラックを見つけたときの対処法

クラックを発見した際は、適切な手順で対応することが重要です。早期発見・早期対応が、修理費用の削減と建物の長寿命化につながります。

初期対応

クラックを発見したら、まず状態を詳しく記録します。クラックの位置、長さ、幅、形状などを写真撮影し、発見日時とともに記録します。定規やクラックスケールを使用して幅を測定し、記録することで経過観察が容易になります。

専門家への相談

記録を取った後は、建築の専門家に相談することを推奨します。特に幅が1mm以上のクラックや、急激に進行しているクラックについては、建物の構造に関わる可能性があるため、早急な専門家の診断が必要です。

応急処置

雨水の侵入が懸念される場合は、補修工事までの応急処置として防水テープや簡易補修材での養生を行います。ただし、これはあくまで一時的な処置であり、本格的な修理の必要性は変わりません。

修理方法の選択

クラックの状態に応じて、適切な修理方法を選択する必要があります。一般的な修理方法には以下のようなものがあります。

Uカットシール材充填工法

クラックをU字型に切り込み、シーリング材を充填する方法です。幅0.5mm以上のクラックに適しており、比較的安価で一般的な修理方法として知られています。

注入工法

特殊な樹脂をクラック内部に注入して補修する方法です。深いクラックや構造体にまで達しているクラックの修理に適しています。

表面処理工法

クラック部分に補修材を塗布して表面を平滑に仕上げる方法です。軽微なクラックの修理に適していますが、原因への対処は行えません。

予防的メンテナンス

クラックの修理後は、定期的な点検と予防的なメンテナンスが重要です。特に以下の点に注意を払う必要があります。

定期点検

最低でも年1回は建物全体の点検を行い、新たなクラックの発生や既存クラックの進行状況を確認します。特に梅雨時期や台風シーズン前後の点検が重要です。

外壁の清掃

定期的な外壁の清掃により、クラックの早期発見が可能になります。また、汚れの付着による建材の劣化を防ぐ効果もあります。

保険の活用

クラックの原因が地震や台風などの自然災害である場合、火災保険や地震保険が適用できる可能性があります。保険会社に相談し、補償の可能性を確認することをお勧めします。

再発防止対策

クラック修理後は、原因の特定と再発防止対策の実施が重要です。地盤の補強や排水設備の改善、建物の構造補強など、状況に応じた適切な対策を講じる必要があります。

記録の保管

クラックの発生から修理完了までの記録は、将来の維持管理や資産価値の維持のために重要な資料となります。修理内容、費用、施工業者情報などを含む詳細な記録を保管しておくことをお勧めします。

クラックの予防法

クラックの予防は、建物の価値を維持し、大規模な修繕を防ぐために非常に重要です。適切な予防措置を講じることで、多くのクラックの発生を未然に防ぐことができます。

定期的なメンテナンス

予防の基本となるのが定期的なメンテナンスです。築年数や建物の状態に応じて、適切なメンテナンスサイクルを設定することが重要です。一般的に年1-2回の定期点検が推奨されます。

外壁の塗装管理

外壁塗装は単なる美観の問題ではなく、建物を保護する重要な役割を果たします。一般的に10年程度で塗り替えを行うことで、外壁材の劣化を防ぎ、クラックの発生を抑制できます。

防水対策

適切な防水処理は、クラック予防の要となります。特に以下の点に注意が必要です。

シーリングの管理

目地部分のシーリング材は定期的な点検と打ち替えが必要です。一般的な耐用年数は8-10年程度で、劣化が見られる前に予防的な打ち替えを行うことが推奨されます。

雨樋の管理

雨樋の詰まりや破損は、外壁への雨水の悪影響を招きます。定期的な清掃と点検を行い、適切な排水機能を維持することが重要です。

構造的な予防措置

建物の構造に関わる予防措置として、以下の対策が効果的です。

地盤対策

定期的な地盤調査を行い、必要に応じて地盤改良や補強を実施します。特に軟弱地盤地域では、地盤の変動に注意を払う必要があります。

耐震補強

必要に応じて耐震補強を行うことで、地震時のクラック発生リスクを低減できます。特に築年数の経過した建物では、現行の耐震基準に適合するような補強が推奨されます。

環境対策

建物周辺の環境管理も重要な予防措置となります。

植栽管理

建物に近接した樹木の根は、地盤に影響を与える可能性があります。適切な距離を保った植栽計画と、定期的な剪定が必要です。

排水設備の整備

建物周辺の適切な排水計画により、地盤への水の影響を最小限に抑えることができます。特に豪雨時の排水対策が重要です。

日常的な予防措置

建物所有者自身で実施できる日常的な予防措置として、以下の対策があります。

定期的な清掃

外壁の定期的な清掃により、劣化の早期発見が可能になります。特に目視での点検が困難な箇所は、清掃時に重点的にチェックします。

温度管理

建物内外の急激な温度差を避けることで、建材の熱応力によるクラックを予防できます。適切な断熱処理と空調管理が重要です。

専門家との連携

予防的な維持管理には、専門家との適切な連携が不可欠です。

定期的な診断

建築の専門家による定期的な診断を受けることで、潜在的な問題を早期に発見し、予防的な対策を講じることができます。

長期修繕計画の策定

専門家と相談の上、建物の状態や築年数に応じた長期修繕計画を策定することで、計画的な予防措置が可能になります。

よくある質問(Q&A)

クラックに関して、建物所有者から多く寄せられる質問とその回答をまとめました。適切な対応の判断材料としてご活用ください。

クラックの発見と判断について

Q:どの程度のクラックなら修理が必要ですか?

A:一般的に、幅0.2mm以上のクラックは修理を検討する必要があります。特に、1mm以上のクラックや、急激に進行するクラック、雨漏りを伴うクラックは、早急な対応が必要です。ただし、クラックの状況は個々の建物によって異なるため、専門家による診断を推奨します。

Q:クラックを見つけた場合、すぐに修理が必要ですか?

A:クラックの状態によって優先度は異なります。構造に関わる可能性がある場合や雨水の侵入が懸念される場合は早急な対応が必要です。一方、表面的な微細なクラックであれば、経過観察を行いながら計画的な修理を検討することができます。

費用に関する質問

Q:クラックの修理費用の相場はいくらですか?

A:費用は補修範囲や工法によって大きく異なります。表面処理程度の軽微な修理であれば数万円から、大規模な補修工事の場合は数十万円以上かかることもあります。見積もりは必ず複数の業者から取得することをお勧めします。

Q:火災保険は使えますか?

A:自然災害(地震、台風など)が原因の場合、火災保険や地震保険が適用できる可能性があります。ただし、経年劣化による通常のクラックは補償対象外となることが一般的です。保険適用の可能性がある場合は、修理前に保険会社への相談が必要です。

DIYに関する質問

Q:自分で修理できますか?

A:軽微なクラック(幅0.2mm程度まで)であれば、市販の補修材を使用したDIY修理も可能です。ただし、不適切な修理は却って状況を悪化させる可能性があるため、専門的な判断が必要な場合は業者への依頼を推奨します。

Q:DIY修理に適した道具や材料は何ですか?

A:基本的な道具として、クラックスケール、ワイヤーブラシ、へら、補修材(シーリング材やパテ)などが必要です。ただし、工法によって必要な道具や材料は異なります。DIY修理を行う場合は、事前に十分な情報収集と準備が重要です。

予防と管理に関する質問

Q:クラックを予防するために日常的にできることはありますか?

A:定期的な点検と清掃、適切な換気、雨樋の清掃などが効果的です。また、建物周辺の排水状態の確認や、植栽の管理も重要な予防措置となります。

Q:点検はどのくらいの頻度で行うべきですか?

A:一般的に年1-2回の定期点検が推奨されます。特に梅雨時期の前後や、台風シーズン前の点検が重要です。また、地震の後は臨時の点検を行うことをお勧めします。

業者選定に関する質問

Q:修理業者の選び方で注意すべき点は何ですか?

A:実績や保証内容、アフターケアの体制を重視します。見積もりは必ず複数社から取得し、工事内容や使用材料の詳細な説明を求めることが重要です。また、近隣での施工実績や口コミ情報も参考になります。

Q:見積もり時に確認すべきポイントは何ですか?

A:修理範囲、工法、使用材料、工期、保証内容、アフターケアの内容を詳しく確認します。また、足場設置費用や養生費用など、付帯工事の費用も含まれているか確認が必要です。

まとめ

クラックは建物のメンテナンスにおいて見過ごすことのできない重要な問題です。早期発見・早期対応が補修費用の削減と建物の長寿命化につながります。定期的な点検と適切な補修を行うことで、建物の資産価値を維持することができます。

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記事監修者

1級ファイナンシャル・プランニング技能士 / 渡辺 知光

大学卒業後、積水化学工業に入社し住宅「セキスイハイム」を販売。3年8カ月千葉県内で営業に従事し、営業表彰を6期連続受賞。
途中、母の急死に直面し、自分の将来について悩み始める。結果、大学のゼミで学んだ「保険」事業に実際に携わりたいと思いFP資格を取得して日本生命に転職。4年間営業に従事したが、顧客に対して提供出来る商品がなく退職を決意。FP兼保険代理店を開業する。

収入も顧客もゼロからのスタート。しかも独立直前に結婚し住宅購入した為、返済不安に陥り貯蓄が日々減っていく恐怖を覚える。

人生で初めて家計の見直しを行い、根本的な改善により失敗と不安を減らすコツを発見。自分の経験を生かしお客様が同じ道を歩まないよう伝えるべく「マイホーム検討者向けFP」として活動中。

運営会社情報

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    :有限会社ティーエムライフデザイン総合研究所

  • 代表者

    :渡辺知光

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