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土地や家の相続放棄の概要や相続時のトラブル例、手続きを解説

家づくりの基本

2025/01/06

2025/01/06

記事監修者

1級ファイナンシャル・プランニング技能士 / 渡辺 知光

土地や家の相続放棄の概要や相続時のトラブル例、手続きを解説

相続は誰もが直面する可能性のある重要な法的手続きです。特に土地や家屋の相続は、財産価値が大きく、また管理責任も伴うため、慎重な判断が必要です。本記事では、相続放棄の基礎知識からよくあるトラブル、具体的な手続き方法まで、詳しく解説していきます。

土地や家の相続放棄とは

相続放棄とは、相続人が被相続人(故人)から相続する権利を完全に放棄する法的手続きです。民法第938条に基づく制度で、相続人は相続開始を知った日から3ヶ月以内に家庭裁判所に申述することで、相続人としての権利と義務を完全に放棄することができます。

相続放棄の特徴と効果

相続放棄には3つの重要な特徴があります。第一に、一度行った相続放棄は取り消すことができません。第二に、相続放棄は相続財産の一部だけを対象とすることはできず、プラスの財産もマイナスの財産も含めて全ての相続財産が対象となります。第三に、相続放棄の効果は相続開始時に遡って発生します。

相続放棄を検討すべき状況

土地や家屋の相続放棄を検討する主な状況として、被相続人に多額の借金がある場合、不動産の維持管理費用が高額である場合、不動産が老朽化して修繕費用が多額になる場合、固定資産税の支払いが困難である場合などが挙げられます。特に空き家となった実家の相続では、将来の解体費用も考慮に入れる必要があります。

相続放棄の法的効果

相続放棄を行うと、その人は最初から相続人ではなかったものとみなされます。これにより、相続財産に関する権利を一切主張できなくなると同時に、相続債務の支払い義務も免れることができます。ただし、相続放棄前に相続財産を処分したり、相続財産から利益を得たりした場合は、相続を承認したものとみなされる可能性があります。

相続放棄と次順位の相続人

相続放棄を行った場合、その人の相続分は次順位の相続人に移ります。例えば、子が相続放棄をした場合、その子の子(被相続人から見て孫)が次の相続人となります。ただし、代襲相続人も相続放棄をする権利を持っています。

相続放棄の期限と手続きの重要性

相続放棄の期限である3ヶ月は、相続開始を知った日から起算されます。この期限を過ぎると、原則として相続放棄はできなくなり、単純承認したものとみなされます。ただし、特別な事情がある場合は、家庭裁判所に相続放棄の期限延長を申し立てることができます。

不動産相続放棄の影響

土地や家屋の相続放棄を行う場合、その不動産に関する権利だけでなく、その他の相続財産(預貯金、株式、債務など)についても全て放棄することになります。また、相続放棄後は、その不動産に関する固定資産税の支払い義務や管理責任も免れることができます。

土地や家の相続でよくあるトラブル

相続問題は、家族間の人間関係や財産管理に大きな影響を与える重要な問題です。特に不動産相続では、財産価値が大きく、また感情的な要素も絡むため、様々なトラブルが発生しやすい状況となっています。

遺産分割を巡るトラブル

最も多いトラブルが遺産分割を巡る問題です。相続人同士の意見の相違により、話し合いが進まないケースが頻発しています。特に実家の処遇を巡っては、住んでいる相続人と離れて暮らす相続人との間で、売却や維持についての考えが対立することが多くあります。

相続人の所在不明によるトラブル

相続人の中に所在不明者がいる場合、不動産の処分や活用が著しく制限されます。家庭裁判所による相続人捜索の手続きが必要となり、解決までに時間とコストがかかります。特に海外在住の相続人がいる場合、連絡や手続きが複雑化する傾向にあります。

相続放棄の期限切れによるトラブル

相続放棄の3ヶ月という期限を知らずに放置し、予期せぬ債務を負うことになってしまうケースがあります。特に、被相続人の借金や税金の滞納があった場合、相続人が思わぬ負担を強いられることになります。

建物の老朽化に関するトラブル

空き家となった実家の管理責任を巡って、相続人間で対立するケースが増加しています。建物の老朽化による修繕費用の負担、解体費用の分担方法、固定資産税の支払い責任者など、様々な問題が発生します。

借地権付き建物の相続トラブル

借地権付きの建物を相続した場合、地主との関係維持や地代の支払い、契約更新などの問題が発生します。特に古い契約の場合、現代の法制度との整合性が取れず、問題が複雑化することがあります。

相続登記の未了によるトラブル

相続登記を行わないまま放置することで、後々の不動産取引や次の相続で大きな問題となります。特に相続人が多い場合や、複数世代に渡って相続登記が未了の場合、権利関係の整理に多大な時間と費用がかかります。

感情的な対立による解決の遅延

相続問題では、過去の家族関係や感情的なしこりが表面化し、合理的な判断ができなくなることがあります。特に実家の相続では、思い出や愛着が絡むため、客観的な判断が難しくなる傾向があります。

トラブル予防のための対策

これらのトラブルを予防するためには、早期からの準備と対策が重要です。具体的には、相続人間での定期的な話し合い、専門家への相談、相続登記の速やかな実施、相続放棄の検討を期限内に行うことなどが挙げられます。また、被相続人の生前から、遺言書の作成や生前贈与などの対策を講じることも有効です。

相続トラブルが発生した場合の対応

トラブルが発生した場合は、まず相続人同士で話し合いを持つことが重要です。話し合いで解決が難しい場合は、弁護士や税理士などの専門家に相談し、調停や審判などの法的手続きの活用を検討します。感情的な対立がある場合は、第三者である専門家を介することで、客観的な解決を図ることができます。

土地や家の相続放棄の手続き

相続放棄の手続きは、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所で行います。この手続きは法定期限内に正確に行う必要があり、相続人自身で行うことも、弁護士に依頼することも可能です。特に複雑なケースや遠方に住んでいる場合は、専門家への依頼を検討することをお勧めします。

必要書類と準備

相続放棄の手続きには多くの書類が必要となります。まず、相続放棄申述書を正本と副本それぞれ1通ずつ用意します。また、相続人の現在の戸籍謄本、印鑑証明書、本人確認書類としての運転免許証なども必要です。被相続人については、出生から死亡までの戸籍謄本一式、除籍謄本、死亡診断書のコピーを準備します。申述書には、申述人である相続人の氏名、住所、生年月日に加え、被相続人の氏名と最後の住所、相続開始の原因となった死亡の日時、相続を知った日、申述人と被相続人との関係、そして他の相続人の氏名と住所を記載します。

手続きの実施方法

具体的な手続きは、まず家庭裁判所に電話で予約を入れることから始まります。予約が取れたら、必要書類を全て揃えて指定された日時に家庭裁判所に出向きます。そこで申述書を提出し、手続き費用として800円を納付します。手続きが受理されると、相続放棄証明書が交付されます。この証明書は、今後の手続きや他の相続人との関係で必要となる重要な書類となりますので、大切に保管しておく必要があります。

期限と提出場所の重要性

相続放棄の手続きには、相続開始を知った日から3ヶ月という法定期限が設けられています。この期限を過ぎてしまうと、原則として相続放棄はできなくなり、相続を承認したものとみなされてしまいます。提出先は被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所と定められており、この点も間違えないよう注意が必要です。

手続きにかかる費用

相続放棄の手続きにかかる費用は、申述自体の費用である800円の他に、各種証明書の取得費用が必要となります。戸籍謄本は1通あたり約450円、印鑑証明書は約300円がかかります。弁護士に依頼する場合は、これらの費用に加えて別途弁護士費用が発生することになります。事前に必要な費用を確認し、準備しておくことが重要です。

手続き後の留意点

相続放棄の手続きが完了した後は、他の相続人にもその事実を通知することが望ましいとされています。また、相続放棄は一度行うと取り消すことができず、その効果は相続開始時に遡って発生します。相続放棄の決定は、相続財産全体に対して影響を及ぼすため、慎重な判断が必要です。特に、相続財産の一部でも処分してしまうと、相続放棄が認められなくなる可能性があるため、手続きが完了するまでは相続財産に関する一切の処分を控える必要があります。

よくある質問(Q&A)

相続放棄の基本について

Q:相続放棄の取り消しはできますか?

A:相続放棄は、一度行うと取り消すことはできません。これは民法で定められた原則であり、相続放棄の申述が受理された後は、いかなる理由があっても撤回することはできません。そのため、相続放棄を行う前に、十分な検討と専門家への相談を行うことが重要です。

Q:相続放棄の期限である3ヶ月を過ぎてしまった場合はどうなりますか?

A:原則として、3ヶ月を過ぎると相続放棄はできなくなり、相続を承認したものとみなされます。ただし、やむを得ない事情がある場合は、家庭裁判所に「相続放棄の熟慮期間伸長の申立て」を行うことで、期限の延長が認められる可能性があります。

手続きに関する質問

Q:相続放棄の手続きにかかる費用はどのくらいですか?

A:家庭裁判所への申述費用は800円です。ただし、これ以外に戸籍謄本や印鑑証明書の取得費用として3,000円から5,000円程度が必要です。弁護士に依頼する場合は、別途着手金や報酬が発生し、一般的に5万円から10万円程度かかります。

Q:相続放棄の手続きは代理人に依頼できますか?

A:相続放棄の手続きは、弁護士による代理が可能です。特に遠方に住んでいる場合や、手続きが複雑な場合は、弁護士に依頼することで確実な手続きが期待できます。ただし、委任状などの追加書類が必要となります。

土地・建物に関する具体的な質問

Q:相続放棄をすると、不動産の固定資産税の支払い義務はなくなりますか?

A:相続放棄が受理されると、その効果は相続開始時に遡って発生するため、固定資産税の支払い義務は発生しません。ただし、相続放棄前に支払期限が到来していた固定資産税については、支払い義務が生じている可能性があります。

Q:実家の解体費用が心配で相続放棄を考えていますが、相続放棄後に解体費用の請求を受けることはありますか?

A:相続放棄が受理された場合、その不動産に関する権利義務は最初から発生しなかったものとみなされるため、解体費用の請求を受けることはありません。ただし、相続放棄前に解体の契約を締結していた場合は、その契約に基づく支払い義務が残る可能性があります。

他の相続人との関係

Q:兄弟の一人が相続放棄をした場合、その分は誰が相続することになりますか?

A:相続放棄をした人の相続分は、他の相続人に移ります。例えば、兄弟姉妹が3人いて1人が相続放棄をした場合、残りの2人で相続することになります。ただし、相続放棄をした人に子がいる場合は、その子(被相続人から見て孫)が代襲相続人となります。

Q:相続人全員が相続放棄することは可能ですか?

A:法律上、相続人全員が相続放棄をすることは可能です。その場合、最終的に国庫に帰属することになります。ただし、相続放棄は各相続人が個別に行う必要があり、相続人全員が期限内に手続きを完了する必要があります。

その他の重要な質問

Q:相続放棄後に予期せぬ遺産(預貯金など)が見つかった場合はどうなりますか?

A:相続放棄は相続財産全体に対して効力を持つため、後から発見された財産についても権利を主張することはできません。これは、プラスの財産(資産)であってもマイナスの財産(債務)であっても同様です。

Q:相続放棄証明書を紛失した場合はどうすればよいですか?

A:相続放棄証明書を紛失した場合は、手続きを行った家庭裁判所で再発行を申請することができます。申請には、身分証明書と手数料(通常150円程度)が必要です。ただし、再発行には時間がかかる場合があるため、原本は大切に保管しておくことをお勧めします。

まとめ

土地や家の相続放棄は、重要な法的決定です。3ヶ月という期限があり、取り消しができないため、十分な情報収集と検討が必要です。特に不動産の相続では、将来の管理責任や費用負担も考慮に入れる必要があります。専門家に相談しながら、慎重に判断することをお勧めします。

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記事監修者

1級ファイナンシャル・プランニング技能士 / 渡辺 知光

大学卒業後、積水化学工業に入社し住宅「セキスイハイム」を販売。3年8カ月千葉県内で営業に従事し、営業表彰を6期連続受賞。
途中、母の急死に直面し、自分の将来について悩み始める。結果、大学のゼミで学んだ「保険」事業に実際に携わりたいと思いFP資格を取得して日本生命に転職。4年間営業に従事したが、顧客に対して提供出来る商品がなく退職を決意。FP兼保険代理店を開業する。

収入も顧客もゼロからのスタート。しかも独立直前に結婚し住宅購入した為、返済不安に陥り貯蓄が日々減っていく恐怖を覚える。

人生で初めて家計の見直しを行い、根本的な改善により失敗と不安を減らすコツを発見。自分の経験を生かしお客様が同じ道を歩まないよう伝えるべく「マイホーム検討者向けFP」として活動中。

運営会社情報

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    :有限会社ティーエムライフデザイン総合研究所

  • 代表者

    :渡辺知光

  • 本社
    所在地

    :〒104-0045 東京都中央区築地2-15-15 セントラル東銀座1002

  • アクセス

    :地下鉄日比谷線築地駅より徒歩3分

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