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再建築不可物件(建て替え不可の土地)を購入する際の注意点を解説

家づくりの基本

2025/01/07

2025/01/07

記事監修者

1級ファイナンシャル・プランニング技能士 / 渡辺 知光

再建築不可物件(建て替え不可の土地)を購入する際の注意点を解説

再建築不可物件は、一見お得に見えて将来的に大きな問題を抱える可能性がある不動産です。本記事では、再建築不可物件の基本的な知識から購入時の注意点まで、わかりやすく解説します。

再建築不可物件とは

再建築不可物件は、現在建っている建物を取り壊した後に、新しい建物を建てることができない土地や建物のことを指します。この制限は主に建築基準法による規制が原因となっています。

再建築不可となる主な理由

1. 接道要件を満たしていない:建築基準法で定められた幅員4m以上の道路に2m以上接していない土地は、新築や建て替えができません。

2. 旧建築基準法の既存不適格:1981年以前に建てられた建物で、現行の建築基準法に適合していない場合があります。これらは現状のまま使用することは認められていますが、建て替え時には現行法に適合させる必要があります。

3. 都市計画上の制限:用途地域の変更や容積率・建ぺい率の規制強化により、現在の建物と同じ規模での建て替えができなくなった場合があります。

再建築不可物件の特徴

1. 市場価格が通常より安価:建て替えができないというリスクから、同地域の一般的な物件と比べて価格が20-40%程度低くなることがあります。

2. 維持管理の重要性:現存する建物を長く使用する必要があるため、適切な修繕・メンテナンスが特に重要になります。

3. 建物の制限:大規模な改修や増築が制限される場合があり、建物の使用方法に制約が生じます。

法的な位置づけ

再建築不可物件は、建築基準法第43条(接道義務)、第86条(一団地認定)、都市計画法など、複数の法律や規制が関係します。これらの規制により、以下のような制限を受けます。

1. 新築・建て替えの原則禁止

2. 大規模修繕や増築の制限

3. 災害時の建て替え不可

見分け方と確認方法

1. 不動産広告での表記:「再建築不可」「要確認」などの記載があります。

2. 道路との関係:前面道路の幅員が4m未満、または道路に接していない場合は要注意です。

3. 公的書類での確認:建築確認申請書、登記簿謄本、公図などで状況を確認できます。

4. 専門家への相談:不動産専門家や建築士に相談し、正確な判断を得ることが推奨されます。

将来的な対応可能性

1. 行政による救済措置:一部の自治体では、建築基準法第43条ただし書きによる許可制度を設けています。

2. 近隣土地との協力:隣接地の協力を得て、接道要件を満たすことができる場合があります。

3. 都市計画の変更:将来的な道路拡幅計画などにより、再建築可能となる可能性もあります。

接道義務とは

接道義務は、建築基準法第43条に定められた重要な建築規制の一つです。この規定は、安全性と利便性を確保するために設けられ、建築物の新築や建て替えに大きく影響を与えます。

接道義務の基本要件

建築基準法で定められた接道義務では、敷地が幅員4m以上の道路に2m以上接していることが必要です。また、接する道路は建築基準法上の道路であることが求められ、有効な接道長さが確保されていなければなりません。これらの要件は、建築物の安全性と周辺環境との調和を図るために不可欠な基準として位置づけられています。

建築基準法上の道路の定義

建築基準法第42条において、道路の定義が明確に規定されています。具体的には道路法による道路(国道、都道府県道、市町村道)や都市計画法等による道路が含まれます。また、建築基準法施行前から存在する幅員4m以上の道や、特定行政庁が指定した道路も該当します。これらの道路は、都市計画において重要な役割を果たしています。

2項道路について

1946年の建築基準法施行時に現存していた幅員4m未満の道路のうち、特定行政庁が指定したものを「2項道路」と呼びます。この場合、道路の中心線から2mの範囲は建築制限を受け、建築時にはセットバックが必要となります。この規定は、既存の狭隘道路を段階的に解消することを目的としています。

接道義務が求められる理由

接道義務が法律で定められている主な理由は、緊急時における安全性の確保にあります。救急車や消防車などの緊急車両のアクセスを確保し、災害時の避難経路を確保することが重要な目的です。また、日常生活における物資の搬入出や居住者の通行の利便性を確保すること、さらには計画的な市街地形成を促進することも重要な理由となっています。

接道義務の例外規定

接道義務には一定の例外規定が設けられています。建築基準法第43条ただし書きによる許可では、特定行政庁が交通上、安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めた場合に建築が認められることがあります。また、複数の敷地で一体的な建築計画を行う連担建築物設計制度や、建築基準法施行前からある建築物の増改築等に関する特例も存在します。

接道義務違反の影響

接道義務に違反する場合、建築確認が下りないため新築や建て替えができなくなります。また、金融機関からの融資が受けにくくなり、資産価値が大きく下がる可能性があります。さらに、火災保険等の加入が困難になるケースもあり、財産保全の観点からも大きな問題となります。

確認方法と対策

接道状況の確認は、建築計画を立てる前に必ず行う必要があります。建築士や不動産専門家への相談、特定行政庁(建築指導課等)での確認が推奨されます。問題がある場合は、隣地の協力による通路確保や行政による救済措置の活用を検討することが重要です。

将来的な対応

接道要件を満たさない土地については、周辺の道路拡幅計画の確認や地域の再開発事業への参加を検討することが有効です。また、近隣土地所有者との協力関係を構築し、行政による新たな救済制度の活用を視野に入れることも重要な対応策となります。

接道状況の確認方法

不動産購入や建築計画を検討する際、接道状況の確認は極めて重要です。適切な確認を怠ると、将来的な建て替えや改築に支障をきたす可能性があるため、複数の方法を組み合わせて慎重に調査する必要があります。

公的書類による確認

接道状況の確認は、まず公的書類の調査から始めます。登記簿謄本や公図、道路台帳などの公的書類を取得し確認します。特に公図では、当該土地と道路との関係性を視覚的に把握することができます。また、建築確認申請書や確認済証がある場合は、過去の建築時の接道状況も確認できます。

役所での確認

市区町村の建築指導課では、対象となる道路が建築基準法上の道路に該当するかどうかを確認することができます。また、道路の種類(公道・私道)や、2項道路の指定の有無なども確認可能です。将来的な道路拡幅計画や区画整理事業などの情報も得られる可能性があるため、必ず確認しておくべき重要なステップです。

現地調査での実測

書類上の確認だけでなく、実際に現地で道路幅員や接道長さを測量することが重要です。特に古い住宅地や市街地では、公図と現況が異なっているケースも少なくありません。道路境界標や境界杭の位置を確認し、実測値と公図の数値を照合することで、より正確な接道状況を把握することができます。

近隣住民からの情報収集

道路の利用状況や、過去の経緯について、近隣住民から情報を得ることも有効です。特に私道の場合、通行権や維持管理の取り決めなど、書類には現れない重要な情報を得られることがあります。ただし、口頭での情報は必ず公的書類で裏付けを取る必要があります。

専門家による調査

土地家屋調査士や建築士などの専門家に依頼して、専門的な見地から接道状況を調査することをお勧めします。専門家は法規制や地域の特性を熟知しており、将来的な建築計画に影響を与える可能性のある要因を総合的に判断することができます。また、問題がある場合の対応策についても、専門的なアドバイスを得ることができます。

確認のポイント

接道状況を確認する際は、道路幅員や接道長さだけでなく、道路の種類や法的位置づけ、将来的な計画、私道の場合の権利関係なども含めて総合的に調査することが重要です。また、季節や時間帯による道路の利用状況の変化なども考慮に入れる必要があります。

記録の保管

調査結果は、写真や測量図、役所での聞き取り内容など、できるだけ詳細に記録として残しておくことが重要です。これらの記録は、将来の建築計画や不動産取引の際の重要な資料となります。また、問題が発見された場合の対応策を検討する際にも役立ちます。

定期的な確認の必要性

接道状況は、道路の改修工事や周辺の開発により変化する可能性があります。特に長期的な土地利用を考える場合は、定期的に状況を確認し、変更が生じていないかどうかを確認することが望ましいでしょう。また、行政による新たな規制や緩和措置についても、常に最新の情報を収集するように心がけましょう。

建て替えできない土地を購入するリスク・注意点

再建築不可物件の購入は、短期的には経済的なメリットがあるものの、長期的には様々なリスクや制約が伴います。これらのリスクや注意点を十分に理解し、慎重に検討することが重要です。

資産価値に関するリスク

再建築不可物件は、通常の不動産と比べて資産価値が低く評価されます。特に築年数が経過するにつれて価値の下落が加速する傾向にあります。また、将来的な売却を考えた場合、買い手が限定されることで、売却自体が困難になる可能性が高くなります。さらに、不動産市場の変動や地域の開発状況によっては、予想以上の価値下落を招くことがあります。

金融面でのリスク

再建築不可物件は、金融機関からの融資を受けにくい特徴があります。住宅ローンの審査が通りにくく、通った場合でも金利が高めに設定されることがあります。また、将来的な建て替えができないことから、担保価値が低く評価され、融資額が制限される可能性があります。保険加入においても、火災保険などの契約が困難になるケースがあります。

災害時のリスク

地震や火災などの災害により建物が大きく損壊した場合、建て替えができないため、実質的に土地の利用が不可能となる可能性があります。特に、耐震性能が低い古い建物の場合、このリスクは更に高まります。また、災害復興支援などの行政による支援策を受けられない可能性もあります。

維持管理に関する制約

現存する建物を長期間使用し続ける必要があるため、適切な維持管理が極めて重要になります。しかし、大規模な修繕や改修工事には制限がかかる場合があり、思い通りの改修ができない可能性があります。また、建物の老朽化に伴う修繕費用は、年々増加する傾向にあります。

生活利便性の制約

再建築不可物件は、道路付けが悪いなど、アクセス面での問題を抱えているケースが多くあります。これにより、日常生活における不便さだけでなく、緊急時の対応にも支障をきたす可能性があります。また、周辺環境の変化に応じた建物の用途変更も困難となります。

法的リスク

建築基準法や都市計画法などの法改正により、現状の建物使用にも影響が及ぶ可能性があります。また、違法建築物である場合、是正命令が出される可能性もあります。さらに、近隣との境界トラブルや通行権に関する問題が発生するリスクも考慮する必要があります。

将来的な不確実性

都市計画の変更や道路整備により、将来的に再建築が可能になるケースもありますが、そのような変更を期待して購入することは極めてリスクが高いと言えます。また、行政による建築規制の緩和措置なども、確実性は低いものと考える必要があります。

購入時の注意点

再建築不可物件を購入する際は、専門家による詳細な調査と評価を受けることが不可欠です。建物の現状、法的制限の内容、将来的なリスクなどについて、十分な情報収集と分析を行う必要があります。また、購入価格が適正であるか、維持管理費用の見積もりは適切か、などについても慎重に検討する必要があります。

総合的な判断の重要性

再建築不可物件の購入を検討する際は、単に価格の安さだけでなく、上記のようなリスクや制約を総合的に判断することが重要です。特に、長期的な居住を予定している場合は、将来的な生活設計や資産運用の観点から、慎重な判断が求められます。必要に応じて、不動産専門家や法務専門家など、複数の専門家の意見を参考にすることをお勧めします。

よくある質問(Q&A)

購入検討に関する質問

Q:再建築不可物件は絶対に購入を避けるべきですか?

A:必ずしもそうではありません。以下の条件に当てはまる場合は、選択肢として検討する価値があります。現状の建物が十分に使用可能で、建物の状態が良好である場合。購入価格が周辺相場と比べて大幅に安い場合。短期的な利用を目的としている場合。ただし、リスクを十分理解した上で判断する必要があります。

Q:再建築不可物件の適正価格はどのように判断すればよいですか?

A:一般的に、同じ地域の再建築可能な物件と比較して20-40%程度安価になることが多いとされています。ただし、建物の状態、立地条件、接道状況などにより大きく変動します。不動産鑑定士などの専門家に相談することをお勧めします。

建物の維持・管理に関する質問

Q:再建築不可物件でも修繕や改修工事は可能ですか?

A:基本的な修繕や小規模な改修工事は可能です。ただし、大規模な改修や増築については制限される場合があります。具体的には、建物の構造耐力上主要な部分の過半の修繕や模様替えは制限されることがあります。工事を検討する際は、事前に行政に確認することが重要です。

Q:災害で建物が損壊した場合はどうなりますか?

A:建物が全壊した場合、原則として建て替えることはできません。そのため、火災保険や地震保険への加入が特に重要になります。ただし、保険の加入自体が困難な場合もあるため、事前に複数の保険会社に確認することをお勧めします。

法規制に関する質問

Q:将来的に再建築可能になることはありますか?

A:可能性としてはありますが、確実性は低いと考えるべきです。道路の拡幅工事や区画整理事業により接道要件を満たすようになる場合や、建築規制の緩和により再建築が可能になるケースもあります。ただし、そのような変更を期待して購入することは非常にリスクが高いと言えます。

Q:建ぺい率や容積率の制限は緩和されることがありますか?

A:地域の用途地域の変更や特定行政庁による許可により、制限が緩和されるケースはあります。ただし、これらの変更は地域全体の都市計画に関わる問題であり、個別の物件のために変更されることは極めて稀です。

売却・相続に関する質問

Q:将来、売却することは可能ですか?

A:売却自体は可能ですが、買い手が限定されるため、売却に時間がかかったり、大幅な価格下落を余儀なくされる可能性があります。投資用物件として考える場合は、特に慎重な判断が必要です。

Q:相続時の評価はどうなりますか?

A:再建築不可物件は、路線価等による評価額が一般の物件より低くなる傾向にあります。相続税評価額も同様に低く評価される可能性がありますが、具体的な評価方法については税理士に相談することをお勧めします。

融資に関する質問

Q:住宅ローンは組めますか?

A:金融機関によって対応は異なります。一般的に審査が厳しくなり、融資額が制限されたり、金利が高めに設定されることがあります。複数の金融機関に相談し、条件を比較検討することが重要です。

Q:リフォームローンは利用できますか?

A:基本的な修繕や小規模な改修であれば、リフォームローンの利用は可能です。ただし、再建築不可という事情により、融資条件が厳しくなる可能性があります。事前に金融機関に相談することをお勧めします。

まとめ

再建築不可物件の購入を検討する際は、現在の居住目的だけでなく、将来的な資産価値や建て替えの可能性も含めて総合的に判断することが重要です。専門家への相談や詳細な調査を行い、慎重に検討することをお勧めします。

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記事監修者

1級ファイナンシャル・プランニング技能士 / 渡辺 知光

大学卒業後、積水化学工業に入社し住宅「セキスイハイム」を販売。3年8カ月千葉県内で営業に従事し、営業表彰を6期連続受賞。
途中、母の急死に直面し、自分の将来について悩み始める。結果、大学のゼミで学んだ「保険」事業に実際に携わりたいと思いFP資格を取得して日本生命に転職。4年間営業に従事したが、顧客に対して提供出来る商品がなく退職を決意。FP兼保険代理店を開業する。

収入も顧客もゼロからのスタート。しかも独立直前に結婚し住宅購入した為、返済不安に陥り貯蓄が日々減っていく恐怖を覚える。

人生で初めて家計の見直しを行い、根本的な改善により失敗と不安を減らすコツを発見。自分の経験を生かしお客様が同じ道を歩まないよう伝えるべく「マイホーム検討者向けFP」として活動中。

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    :渡辺知光

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