housemarriage

路線価の概要や路線価図の見方、土地評価額の計算方法を解説

家づくりの基本

2025/01/08

2025/01/08

記事監修者

1級ファイナンシャル・プランニング技能士 / 渡辺 知光

路線価の概要や路線価図の見方、土地評価額の計算方法を解説

路線価は不動産取引や相続における土地評価の基準として広く使用されている重要な指標です。本記事では、路線価の基本的な概念から具体的な計算方法まで、わかりやすく解説していきます。

目次

路線価とは

路線価は、国税庁が毎年7月1日に公表する、道路(路線)に面する標準的な宅地の1平方メートルあたりの価額のことです。この評価額は、相続税や贈与税を算定する際の土地評価額の基準として使用されます。

路線価の基本的特徴

路線価は、その年の1月1日時点での土地の評価額として設定されます。一般的な土地取引における市場価格(実勢価格)の約80%程度の水準で設定されており、これは土地評価の安全性や納税者の便宜を考慮した措置です。

路線価の公示方法

路線価は「路線価図」という地図形式で公表されます。この路線価図は、国税庁のホームページで無料で閲覧することができ、全国の路線価を確認することが可能です。また、各税務署でも路線価図を閲覧することができます。

路線価の種類

路線価には、主要な道路に設定される「普通路線価」と、それ以外の道路に設定される「その他路線価」があります。路線価図では、普通路線価は赤色、その他路線価は黒色で表示されるのが一般的です。

路線価が設定されない場所

路線価が設定されていない地域(例:市街地から離れた郊外や山間部など)では、「倍率方式」という評価方法が採用されます。これは、固定資産税評価額に一定の倍率を掛けて評価額を算出する方式です。

路線価の評価のタイミング

路線価の評価は、地価公示価格や都道府県地価調査価格、不動産取引価格などの客観的な取引事例を基に、毎年見直されます。特に地価の変動が激しい地域では、前年と比較して大きく変動することがあります。

路線価と他の地価指標との関係

路線価は、国土交通省が発表する地価公示価格や、都道府県が発表する基準地価格とは異なる指標です。地価公示価格が100%とした場合、路線価は約80%、固定資産税評価額は約70%という関係性が一般的とされています。

土地の価格や評価額の使用シーン

土地の評価額は、様々な場面で活用される重要な指標です。それぞれの利用シーンによって、参照する評価額の種類や計算方法が異なることがあります。

相続における利用

相続が発生した際、被相続人の土地を評価して相続税を算出する必要があります。この場合、路線価をベースとした評価額が使用されます。相続税の計算では、土地の評価額に各種加算・控除を行い、最終的な課税価格を決定します。

不動産取引における利用

土地の売買や賃貸借を行う際、取引価格の妥当性を判断する参考指標として評価額が使用されます。ただし、実際の取引価格は市場の需給バランスや個別の事情により、評価額とは異なる場合が多くなっています。

担保評価における利用

金融機関から融資を受ける際、土地を担保として提供する場合があります。この時、金融機関は独自の基準で担保評価を行いますが、路線価などの公的評価額を参考指標として使用します。

固定資産税の算出

毎年の固定資産税は、市町村が設定する固定資産税評価額をもとに計算されます。この評価額は路線価の約7割程度とされ、3年ごとに見直しが行われます。

贈与税の計算

土地を贈与する際の贈与税額を計算する場合にも、路線価による評価額が使用されます。これは相続税の計算と同様の評価方法が適用されます。

企業の資産評価

企業が保有する土地の資産価値を評価する際、貸借対照表における適正な資産計上額を決定するために評価額が使用されます。特に、減損会計の適用判断において重要な指標となります。

公共事業における補償額算定

道路建設などの公共事業により土地の収用が必要となった場合、補償額を算定する際の基準として評価額が参考にされます。この場合は、不動産鑑定士による詳細な評価が行われます。

地域開発計画での活用

都市計画や再開発事業を行う際、地域の土地評価額の動向は重要な判断材料となります。将来の開発可能性や投資価値を検討する際の基礎データとして使用されます。

路線価図の基本の見方

路線価図は、土地の評価において重要な情報源です。正確な評価額を算出するために、図面上の様々な情報を正しく読み取る必要があります。

路線価図の基本構成要素

路線価図には、道路沿いの数値(路線価)のほか、地図記号、用途地域、借地権割合など、土地評価に必要な情報が記載されています。基本となる縮尺は1/2,500または1/5,000が一般的で、都市部では より詳細な縮尺が使用されることもあります。

路線価の表示方法

路線価は、道路に沿って表示される数値で、1平方メートルあたりの価格を示します。表示される数値は千円単位です。例えば、「320」と表示されている場合、1平方メートルあたり32万円という意味になります。主要な道路の路線価は赤色で、その他の道路は黒色で表示されています。

地図上の記号と凡例

路線価図には様々な記号が使用されています。矢印(➡)は路線価の位置と適用範囲を示し、破線(- – -)は用途地区の境界を表します。また、斜線や網掛けなどの区域表示は、建ぺい率や容積率の制限地域を示すことがあります。

用途地域の表示

地図上には、商業地域、住居地域、工業地域などの用途地域が色分けされて表示されています。各用途地域によって建築できる建物の種類や規模が異なるため、土地の評価に大きく影響します。

借地権割合の表示

路線価図には借地権割合が表示されており、これは地区ごとに設定されています。例えば「80」と表示されている場合、その地区の借地権割合は80%であることを示します。この情報は、借地権や底地の評価額を算出する際に必要となります。

画地条件の確認方法

土地の形状や接道状況などの画地条件も路線価図から読み取ることができます。角地や二方路線など、特殊な条件がある場合は、それに応じた補正計算が必要になります。

地積規模の格差修正率

路線価図には地積規模の格差修正率を示す区分が表示されていることがあります。この情報は、標準的な土地面積との差異による価格補正を行う際に使用します。

路線価図の更新情報

路線価図は毎年更新され、その評価時点は1月1日現在となります。図面右上には作成年度や評価時点などの基本情報が記載されており、常に最新の路線価図を参照することが重要です。

路線価をもとにした土地評価額の計算方法

土地評価額の計算は、路線価に土地面積を乗じた後、様々な補正要素を考慮して算出します。正確な評価額を得るためには、各補正要素を適切に適用することが重要です。

基本的な計算式

土地評価額の基本計算式は以下の通りです:評価額 = 路線価 × 土地面積 × 奥行価格補正率 × その他の補正率。この計算式を基に、土地の個別性を反映した評価額を算出していきます。

奥行価格補正率の計算

奥行価格補正率は、土地の奥行きの長さによって価値が変動することを反映する補正です。一般的に、奥行きが長すぎたり短すぎたりする場合は評価額が低くなります。標準的な奥行き(通常20〜25m)を1.00として、それより長短がある場合は所定の補正率を適用します。

間口狭小補正率

間口(道路に接する部分の長さ)が狭い場合、土地の利用価値が低下することを反映する補正です。標準的な間口に比べて狭い場合、補正率を乗じて評価額を調整します。一般的に、間口が標準値の60%未満になると補正の対象となります。

側方路線影響加算率

二方路線以上の角地の場合、副路線(側方の道路)からの影響を加算する補正を行います。主たる路線価に対して、副路線からの影響度合いに応じて10〜20%程度の加算を行うことが一般的です。

不整形地補正率

整形に近い土地を基準として、不整形な土地の価値の低下を補正します。不整形度合いによって0.60〜0.95程度の補正率が適用されます。補正率は、土地の使用効率の低下度合いを考慮して決定されます。

がけ地補正率

土地にがけ地部分がある場合、その影響を反映する補正を行います。がけ地の程度や規模によって0.50〜0.95程度の補正率を適用し、土地の利用価値の低下を反映させます。

地積規模の補正率

土地の面積が標準的な規模と異なる場合に適用される補正です。一般に、大規模な土地は単位面積当たりの価値が低下する傾向があるため、面積に応じた補正率を適用します。

その他の個別要因の補正

上記以外にも、土地の位置、形状、接面道路の状況、供給処理施設の整備状況、公法上の規制など、様々な個別要因による補正が必要となる場合があります。これらは個々の状況に応じて適切な補正率を適用します。

計算例

例えば、路線価が320,000円/㎡、土地面積が200㎡、奥行価格補正率0.95、間口狭小補正率0.90の場合は、評価額 = 320,000円 × 200㎡ × 0.95 × 0.90 = 54,720,000円 となります。実際の計算では、さらに他の補正要素も考慮する必要があります。

土地の評価額が時価と大きく離れるシーン

路線価などの評価額は、実際の市場価格(時価)と乖離することがあります。この差が生じる主な状況について、詳しく解説します。

地域開発による急激な変化

大規模再開発や新駅の開設、大型商業施設の進出などにより、地価が急激に上昇することがあります。路線価は前年の1月1日時点での評価であるため、その後の開発による価値上昇が反映されていない場合、評価額が実際の時価を大きく下回ることになります。

災害や環境変化による影響

自然災害の発生や環境問題の発覚、大型施設の撤退など、土地の価値を大きく下げる事象が発生した場合、路線価が実際の時価を上回ることがあります。特に、災害による地盤の悪化や土壌汚染などが判明した場合は、評価額と実勢価格の差が顕著になります。

地域特性の急激な変化

人口動態の変化、産業構造の転換、交通インフラの整備などにより、地域の特性が急激に変化する場合があります。例えば、若年層の流入による住宅需要の急増や、逆に過疎化による需要減少などが、評価額と時価の乖離を生む要因となります。

法規制の変更

用途地域の変更や容積率・建ぺい率の見直し、新たな都市計画の決定など、土地利用に関する法規制の変更により、土地の価値が大きく変動することがあります。このような変更が路線価に反映されるまでにタイムラグが生じ、評価額と時価に差が出ます。

個別の立地特性

同じ路線価が設定されている地域内でも、角地や行き止まり、日照条件、眺望などの個別要因により、実際の取引価格が大きく異なることがあります。特に、プレミアム性の高い物件や特殊な用途に適した土地では、この差が顕著になります。

経済情勢の急激な変化

金融政策の変更、景気の急激な変動、不動産市場の需給バランスの変化など、マクロ経済要因により土地価格が大きく変動することがあります。路線価は比較的安定的に推移する傾向があるため、このような急激な変化には追随できないことがあります。

取引事例の特殊性

特殊な売買条件(緊急売却、関連会社間取引など)や、特別な用途(大規模開発用地、特殊施設用地など)を前提とした取引では、評価額と実際の取引価格が大きく異なることがあります。

評価時点の違い

路線価は前年の1月1日時点の評価であり、実際の取引時点との間に最大で1年半程度の時間差が生じることがあります。地価変動の激しい時期には、この時間差により評価額と時価の間に大きな乖離が生じる可能性があります。

よくある質問(Q&A)

Q1:路線価はどのように確認できますか?

A1:路線価は以下の方法で確認できます。

・国税庁のウェブサイト「路線価図・評価倍率表」で無料で閲覧可能

・各税務署での閲覧

・税理士や不動産鑑定士への相談

インターネットでの確認が最も一般的で、住所から該当地域の路線価図を検索することができます。

Q2:路線価が設定されていない道路に面している場合はどうすればよいですか?

A2:路線価が設定されていない道路に面している場合は、「倍率方式」という評価方法を使用します。これは、固定資産税評価額に一定の倍率を乗じて評価額を算出する方法です。倍率は地域ごとに定められており、路線価図と同様に国税庁のウェブサイトで確認することができます。

Q3:路線価は実勢価格とどのくらい違いますか?

A3:一般的に、路線価は実勢価格の約80%程度とされています。ただし、地域や時期によって大きく異なることがあり、都心部の人気エリアでは実勢価格との差が大きくなる傾向があります。また、地価の変動が激しい時期には、この差がさらに開くことがあります。

Q4:相続税の評価額を下げる方法はありますか?

A4:以下のような合法的な評価額の低減方法があります。

・小規模宅地等の特例の活用

・借地権の設定

・各種評価減の適用(がけ地補正、私道負担など)

・建築制限等の確認

ただし、必ず税理士等の専門家に相談することをお勧めします。

Q5:地積規模の大きな土地の評価はどうなりますか?

A5:広大地(一定規模以上の土地)については、地積規模の大きさを考慮した補正計算が必要です。具体的には、標準的な宅地の規模を超える部分について、一定の減価を考慮した計算を行います。評価方法は地域や用途によって異なるため、専門家への相談が推奨されます。

Q6:固定資産税評価額と路線価はどう違うのですか?

A6:固定資産税評価額は市町村が決定し、路線価は国税庁が決定します。一般的に、路線価を100とした場合、固定資産税評価額は70程度とされています。また、固定資産税評価額は3年に1度の見直しであるのに対し、路線価は毎年見直されます。

Q7:路線価の時点修正はどのように行いますか?

A7:路線価は毎年1月1日時点の評価額であるため、実際の取引や相続時点との間に時間差がある場合、地価変動率を使用して時点修正を行うことがあります。修正率は国税庁から公表される財産評価基準書に記載されています。

Q8:角地の場合、評価額はどうなりますか?

A8:角地の場合、一般的に側方路線影響加算という補正が適用されます。これにより、通常の土地よりも評価額が高くなることがあります。加算率は地域や用途によって異なりますが、概ね10〜20%程度が一般的です。

Q9:私道負担がある場合の評価はどうなりますか?

A9:私道負担部分については、一定の評価減が認められます。私道部分の価額は、通常の評価額の30%程度とされることが多く、この減額により総合的な評価額が低くなります。

Q10:借地権割合とは何ですか?

A10:借地権割合は、その土地の更地価格に対する借地権の価値の割合を示すものです。商業地域では80%程度、住宅地域では60%程度が一般的ですが、地域によって異なります。この割合は路線価図に表示されており、借地権や底地の評価に使用されます。

まとめ

路線価は土地評価の重要な指標であり、相続税や贈与税の算出に広く活用されています。正確な評価額を算出するには、各種補正要素を適切に考慮する必要があります。また、評価額と実際の時価には差が生じる可能性があるため、必要に応じて不動産鑑定士などの専門家に相談することをお勧めします。

なお、当社が提供している「housemarriage」では、住宅コンシェルジュが理想の家づくりのサポートとして、住まいを探す上で重要なハウスメーカーや工務店の営業担当者とのマッチングサポートをさせていただきます。住宅購入の資金計画の相談・作成や、相性良く親身になってくれる「営業担当者」をご紹介します。家づくりに関して少しでも不安を感じるようであれば、お問い合わせください。

サービスについて
詳しく知りたい方はこちら

この記事のタグ

記事監修者

1級ファイナンシャル・プランニング技能士 / 渡辺 知光

大学卒業後、積水化学工業に入社し住宅「セキスイハイム」を販売。3年8カ月千葉県内で営業に従事し、営業表彰を6期連続受賞。
途中、母の急死に直面し、自分の将来について悩み始める。結果、大学のゼミで学んだ「保険」事業に実際に携わりたいと思いFP資格を取得して日本生命に転職。4年間営業に従事したが、顧客に対して提供出来る商品がなく退職を決意。FP兼保険代理店を開業する。

収入も顧客もゼロからのスタート。しかも独立直前に結婚し住宅購入した為、返済不安に陥り貯蓄が日々減っていく恐怖を覚える。

人生で初めて家計の見直しを行い、根本的な改善により失敗と不安を減らすコツを発見。自分の経験を生かしお客様が同じ道を歩まないよう伝えるべく「マイホーム検討者向けFP」として活動中。

運営会社情報

  • 会社名

    :有限会社ティーエムライフデザイン総合研究所

  • 代表者

    :渡辺知光

  • 本社
    所在地

    :〒104-0045 東京都中央区築地2-15-15 セントラル東銀座1002

  • アクセス

    :地下鉄日比谷線築地駅より徒歩3分

    :地下鉄日比谷線都営浅草線東銀座駅より徒歩3分

housemarriage(住宅営業担当者とのマッチングサービス)についてご紹介します