【土地・建物別】相続税評価額の調べ方や計算方法について解説
家づくりの基本
2025/01/08
2025/01/08
相続税の申告において、土地や建物の評価額の算出は重要な要素となります。本記事では、土地・建物それぞれの相続税評価額の具体的な調べ方や計算方法について、わかりやすく解説していきます。
相続税評価額とは
相続税評価額とは、相続税を算出する際の基準となる財産の価額のことで、相続開始時(被相続人の死亡時点)における財産の価値を評価したものです。実際の市場価格(時価)とは異なり、国税庁が定めた統一的な評価方法に基づいて算出されます。
相続税評価額の基本的な考え方
相続税評価額は、課税の公平性を確保するために、全国統一の基準で評価することが定められています。この評価方法は「財産評価基本通達」という国税庁の通達によって具体的に示されており、財産の種類ごとに詳細な評価方法が規定されています。
相続税評価額の特徴
相続税評価額には主に3つの特徴があります。1つ目は、一般的に実勢価格より低く評価されることです。2つ目は、画一的な評価方法が採用されていることで、これにより納税者間の公平性が保たれています。3つ目は、財産の種類によって評価方法が異なることです。
相続税評価額が適用される財産の種類
相続税評価額の算定対象となる主な財産には、土地、建物、預貯金、有価証券、事業用資産、貴金属、美術品などがあります。それぞれの財産について、その特性に応じた評価方法が定められています。
相続税評価額と時価の関係
相続税評価額は通常、実際の市場価格(時価)よりも低く設定されています。これは、相続税の負担を適正な水準に保つための配慮と、納税者の便宜を図る目的があります。例えば、土地の場合、路線価は実勢価格の約80%程度に設定されているのが一般的です。
評価額の見直しタイミング
相続税評価額の基準となる路線価や倍率は、毎年1回(7月1日)に見直しが行われます。これは地価の変動や経済情勢の変化に対応するためです。特に地価の変動が大きい地域では、評価額が大きく変わる可能性があるため、定期的な確認が重要です。
相続税評価額の重要性
相続税評価額は、相続税の計算基礎となるだけでなく、相続財産の分割協議の際の参考資料としても活用されます。また、生前贈与における贈与税の計算や、財産の売買価格の目安としても利用されることがあり、相続税の申告において非常に重要な役割を果たしています。
専門家への相談の必要性
相続税評価額の算出は複雑で専門的な知識を必要とすることが多いため、正確な評価額を求める場合は、税理士などの専門家に相談することが推奨されます。特に事業用資産や特殊な財産の評価については、専門家のアドバイスが不可欠です。
【土地】相続税評価額の調べ方・計算方法
土地の相続税評価額は、その土地が所在する地域によって「路線価方式」と「倍率方式」の2つの方法で算出されます。それぞれの方式について詳しく解説していきます。
路線価方式による評価方法
路線価方式は、主に市街地など人口密集地域の土地評価に使用されます。この方式では、国税庁が毎年公表する路線価に基づいて計算を行います。基本的な計算式は「路線価 × 土地面積 × 各種補正率」となります。
路線価の調べ方
路線価は、国税庁のホームページで公開されている「路線価図」で確認できます。路線価図は毎年7月1日に更新され、前年の1月1日時点の評価額が示されています。路線価図では、道路に面した各地点の1平方メートルあたりの価格が記載されています。
路線価方式における補正要素
土地の形状や利用状況によって、以下のような補正が必要となります。奥行価格補正率(間口に対して奥行きが深い場合)、不整形地補正率(整形に比べて利用価値が低下する場合)、各種加算率(二方路線地、三方路線地、角地の場合)、私道負担がある場合の補正などがあります。
倍率方式による評価方法
倍率方式は、路線価が設定されていない地域(主に郊外や農村部)で使用される評価方法です。固定資産税評価額に国税局長が定める一定の倍率を掛けて計算します。基本的な計算式は「固定資産税評価額 × 地域別の倍率」となります。
倍率の確認方法
倍率は地域によって異なり、国税局が定めています。具体的な倍率は、最寄りの税務署で確認するか、国税庁のホームページで公開されている評価倍率表で調べることができます。倍率は通常1.0から3.0の間で設定されています。
特殊な土地の評価方法
貸宅地、借地権、貸家建付地などの場合は、通常の評価額から一定の割合を減額して計算します。また、農地や山林など、特殊な用途の土地については、それぞれ独自の評価方法が定められています。
小規模宅地等の特例
被相続人の自宅や事業用地については、「小規模宅地等の特例」により、最大80%の評価減が適用される場合があります。この特例の適用には、面積や用途などの一定の要件を満たす必要があります。
評価のタイミング
相続税評価額は、相続開始時(被相続人の死亡時点)の価額で評価します。ただし、実務上は相続開始時に最も近い時期に公表されている路線価または倍率を使用して評価を行います。
注意点と確認事項
土地の評価は、地域や土地の状況によって大きく異なる場合があります。また、都市計画の変更や周辺環境の変化によって評価額が大きく変動することもあるため、定期的な見直しが必要です。複雑な評価が必要な場合は、税理士などの専門家に相談することをお勧めします。
【建物】相続税評価額の調べ方・計算方法
建物の相続税評価額は、主に固定資産税評価額をベースに算出されます。建物の種類、構造、築年数などによって評価方法が異なり、適切な評価のためにはいくつかの要素を考慮する必要があります。
建物の評価方法の基本
建物の相続税評価額は、原則として固定資産税評価額に1.0を乗じた金額となります。ただし、新築後間もない建物や特殊な建物については、建築費用や再建築価格を基準に評価する場合もあります。
固定資産税評価額の確認方法
固定資産税評価額は、固定資産税納税通知書や固定資産課税明細書で確認できます。これらの書類は毎年市区町村から送付されます。また、市区町村の固定資産税課で証明書を取得することも可能です。
建物の種類別評価方法
建物は居住用建物、事業用建物、店舗、工場など、用途によって評価方法が異なります。居住用建物は一般的に固定資産税評価額方式が採用されますが、事業用建物は収益性も考慮される場合があります。
築年数による評価の調整
建物の評価額は築年数に応じて減価償却を考慮します。木造建築物と非木造建築物では減価償却の計算方法が異なり、一般的に木造建築物の方が減価償却率が高くなっています。
特殊な建物の評価方法
マンションや区分所有建物の場合は、専有部分の面積や共用部分の持分割合なども考慮して評価します。また、建築中の建物については、工事の進捗状況に応じて評価額を算定します。
建物の評価における減額要素
建物に様々な損耗や不具合がある場合、評価額の減額が認められることがあります。耐震基準を満たさない古い建物や、修繕が必要な建物などが該当します。
建物付属設備の評価
エレベーター、空調設備、給排水設備などの建物付属設備は、原則として建物本体の評価額に含まれます。ただし、事業用の特殊な設備については別途評価が必要な場合があります。
再調達価格による評価
新築建物や特殊な建物の場合、建築費用や再調達価格を基準に評価することがあります。この場合、実際の建築費用から経過年数による減価償却を考慮して評価額を算出します。
貸家の評価方法
賃貸に供されている建物(貸家)の場合、借家権割合を考慮して評価額が減額されます。この減額率は、賃貸借契約の内容や地域の実情によって異なります。
評価額の見直しと確認
建物の評価額は、増改築や大規模修繕、災害による損壊などにより変動する可能性があります。このような場合は、適切な時期に評価額の見直しを行う必要があります。
専門家への相談の重要性
建物の評価は、築年数や使用状況、改修歴など、多くの要素を考慮する必要があります。特に複雑なケースでは、税理士や不動産鑑定士などの専門家に相談することで、より正確な評価額を算出することができます。
よくある質問(Q&A)
相続税評価額に関する一般的な疑問や質問について、詳しく解説していきます。特に初めて相続に直面する方が抱きやすい疑問を中心にまとめています。
土地の評価に関する質問
Q:路線価と実勢価格はどのくらい違いますか?
A:一般的に路線価は実勢価格の約80%程度に設定されています。ただし、地域や土地の状況によって異なる場合があります。
Q:自宅の敷地を相続する場合、評価額を下げることはできますか?
A:「小規模宅地等の特例」を適用することで、条件を満たせば最大80%の評価減が可能です。被相続人の居住用宅地や事業用宅地が対象となります。
Q:土地の固定資産税評価額と相続税評価額は同じですか?
A:異なります。路線価方式の場合、一般的に相続税評価額の方が固定資産税評価額より高くなります。倍率方式の場合は、固定資産税評価額に一定の倍率を掛けて計算します。
建物の評価に関する質問
Q:築古い建物はどのように評価されますか?
A:建物の評価額は築年数に応じて減価償却を考慮します。木造建築と非木造建築で償却率が異なり、一般的に木造の方が減価償却率が高くなります。
Q:マンションの評価方法を教えてください。
A:区分所有建物の場合、専有部分の面積と共用部分の持分割合を考慮して評価します。固定資産税評価額をベースに計算するのが一般的です。
Q:建物を取り壊す予定がある場合、評価額はどうなりますか?
A:取り壊しが確実で、相続開始後すぐに取り壊される場合は、解体費用を考慮して評価額が減額されることがあります。
評価方法に関する一般的な質問
Q:相続税評価額はいつの時点の価格ですか?
A:相続開始時(被相続人の死亡時点)の価額で評価します。実務上は、相続開始時に最も近い時期に公表されている路線価または倍率を使用します。
Q:評価額の計算は自分でもできますか?
A:基本的な計算は可能ですが、補正要素や特例の適用など専門的な判断が必要な場合も多いため、重要な案件では税理士などの専門家に相談することをお勧めします。
特例や控除に関する質問
Q:小規模宅地等の特例は誰でも適用できますか?
A:特定の要件(面積制限、居住要件、事業継続要件など)を満たす必要があります。また、相続人の人数や関係性によっても適用範囲が変わります。
Q:借入金がある場合の評価はどうなりますか?
A:相続財産の評価額から債務(借入金)を差し引いて課税価格を計算します。ただし、借入金があることによって評価額自体が下がるわけではありません。
手続きに関する質問
Q:路線価の確認はどこでできますか?
A:国税庁のホームページで公開されている路線価図で確認できます。また、最寄りの税務署でも確認可能です。
Q:評価方法について税務署に事前に相談できますか?
A:税務署では一般的な相談に応じていますが、具体的な評価額の算定については、税理士などの専門家に相談することをお勧めします。
まとめ
相続税評価額は、土地と建物で異なる計算方法が採用されています。土地は路線価方式か倍率方式で算出し、建物は固定資産税評価額をベースに計算します。正確な評価額の算出には専門的な知識が必要なため、不安な場合は税理士などの専門家に相談することをお勧めします。相続税の申告を適切に行うためにも、これらの評価方法をしっかりと理解しておくことが重要です。
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