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長期優良住宅の認定マンションの概要やメリット、探し方などを解説

家づくりの基本

2025/01/08

2025/01/08

記事監修者

1級ファイナンシャル・プランニング技能士 / 渡辺 知光

長期優良住宅の認定マンションの概要やメリット、探し方などを解説

マンション購入を検討する際、「長期優良住宅」という言葉を耳にしたことはありませんか?長期優良住宅の認定を受けたマンションは、一般的なマンションと比べて品質や性能が優れているとされています。

そこで今回は、長期優良住宅の認定マンションについて、そのメリット・デメリットや探し方をわかりやすく解説していきます。マンション購入をお考えの方は、ぜひ参考にしてください。

長期優良住宅とは

長期優良住宅とは、2009年6月に施行された「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」に基づいて認定される住宅のことです。耐久性や耐震性に優れ、長期にわたって良好な状態で使用できる住宅として、国土交通省が認定を行う制度となっています。

制度創設の背景と目的

日本の住宅は平均して30年程度で建て替えられる傾向にあり、これは欧米諸国と比較すると極めて短い期間となっています。このような「スクラップ&ビルド」の住宅文化は、建築資材の無駄や環境負荷の増大、住宅の資産価値の低下など、様々な社会問題を引き起こしてきました。

そこで、住宅を長期にわたって使用できる良質な社会資産とすることを目指し、この制度が創設されました。100年という長期の使用を前提とした優良な住宅の普及を促進することで、環境負荷の低減やライフサイクルコストの削減、良質な住宅ストックの形成を図ることを目的としています。

認定基準の概要

長期優良住宅として認定されるためには、劣化対策や耐震性、維持管理・更新の容易性、可変性、バリアフリー性、省エネルギー性などの項目について、通常の住宅よりも高い性能基準を満たす必要があります。これらの基準は、住宅の長寿命化を実現するために必要不可欠な要素として設定されています。

マンションにおける特徴

マンションの場合、一戸建て住宅とは異なり、建物全体で認定を受ける必要があります。そのため、管理組合による適切な維持管理体制の確立や、修繕積立金の設定、共用部分の維持管理計画の策定などが重要となります。また、認定を受けるためには、専有部分の床面積が55平方メートル以上であることなど、一定の要件を満たす必要があります。

維持管理と記録の保存

長期優良住宅の認定を受けた後は、維持保全計画に基づく適切な維持管理が求められます。定期的な点検や修繕を実施し、その記録を適切に保存する必要があります。これらの記録は、住宅の性能を維持するための重要な情報となるだけでなく、将来的な売買や相続の際にも重要な資料となります。

認定のメリット

長期優良住宅の認定を受けることで、様々な税制優遇措置を受けることができます。所得税の控除額の引き上げや、不動産取得税、固定資産税の軽減などが適用されます。また、住宅ローンについても優遇金利が適用されることがあり、購入時の経済的負担を軽減することができます。

今後の展望

長期優良住宅制度は、持続可能な社会の実現に向けた重要な取り組みの一つとして位置づけられています。今後は、既存住宅の認定制度の拡充や、より一層の普及促進が期待されています。また、省エネルギー基準の強化や、災害に対する強靭性の向上など、認定基準の更なる充実も検討されています。

このように、長期優良住宅は単なる住宅の認定制度ではなく、良質な住宅ストックの形成を通じて、持続可能な社会の実現を目指す重要な施策として位置づけられています。購入を検討する際は、初期費用は高くなるものの、長期的な視点での経済性や快適性を考慮することが重要です。

長期優良住宅の認定項目

長期優良住宅の認定を受けるには、国土交通省が定める厳格な基準をクリアする必要があります。以下、各認定項目について具体的に見ていきましょう。

劣化対策について

建物の構造躯体について、通常の住宅よりも高い耐久性が求められます。コンクリートのかぶり厚さを増すことで鉄筋の腐食を防ぎ、水分を通しにくい高品質なコンクリートを使用することが必要です。これにより、構造躯体の劣化を大幅に抑制し、長期にわたる使用を可能にします。

耐震性について

建築基準法で定められている耐震等級3の基準に適合することが必要です。これは、一般的な住宅の1.5倍の強度を持つことを意味します。極めて稀に発生する大地震に対しても倒壊や崩壊をしない構造であることが求められ、地震に対する安全性を高いレベルで確保しています。

維持管理・更新の容易性について

給排水管やガス管などの配管について、点検・修繕・更新が容易にできる構造となっている必要があります。具体的には、専用配管が他住戸に立ち入らずに点検できること、共用配管が維持管理のための点検口から確認できること、配管の補修や取り替えが容易な構造であることなどが求められます。

可変性について

居住者のライフスタイルの変化に応じて間取りの変更が可能な構造であることが重要です。構造躯体に影響を与えることなく間取りの変更が可能で、将来的なリフォームにも対応できる設計となっている必要があります。壁や床の撤去・移動が可能な計画とすることで、長期にわたる住まいの快適性を確保します。

高齢者等対策(バリアフリー性)について

将来的な高齢化や身体状況の変化に備えて、バリアフリー改修に対応できる構造となっている必要があります。共用廊下や共用階段への手すり設置が可能な構造であること、段差解消や手すりの設置が可能な構造であること、廊下や出入口の幅が十分に確保されていることなどが求められます。

省エネルギー性について

一般的な住宅よりも高い省エネルギー性能が求められます。断熱等性能等級4以上を満たし、一次エネルギー消費量等級4以上を確保する必要があります。また、高効率な設備機器を採用することで、環境負荷の低減と居住者の光熱費削減を両立させます。

維持保全計画について

上記の性能を長期にわたって維持するための計画が必要です。定期的な点検・補修等に関する計画を策定し、住宅の建築及び維持保全の記録を作成・保存することが求められます。また、維持保全に関する必要な情報を提供することで、適切な維持管理を確実に実施できる体制を整えます。

これらの基準は非常に厳格であり、すべての項目をクリアする必要があります。そのため、認定を受けられるマンションは限られており、建設コストも一般的なマンションより高くなる傾向にあります。しかし、これらの基準を満たすことで、長期にわたって快適に暮らせる住まいとなることが期待できます。また、認定を受けることで様々な税制優遇措置を受けることができ、資産価値の維持にもつながります。

長期優良住宅認定マンションのメリット

長期優良住宅の認定を受けたマンションには、購入者にとって様々なメリットがあります。その中でも特に重要なのが税制優遇措置です。所得税の控除額が最大500万円まで引き上げられるほか、不動産取得税や固定資産税も一般住宅より軽減されます。特に固定資産税については、新築から5年間にわたって軽減措置を受けることができます。

次に資産価値の面でのメリットがあります。長期優良住宅の認定を受けたマンションは、高品質な建材や工法が使用されているため、経年劣化が少なく、資産価値が維持されやすい傾向にあります。また、維持管理計画が明確で適切な修繕が行われることから、将来的なリセールバリューも期待できます。

住宅ローンについても、一般的なマンションと比べて有利な条件が適用されることがあります。金利の優遇を受けられたり、融資額の上限が緩和されたりする可能性があるほか、返済期間を長く設定できる場合もあります。

居住性能の面でも大きなメリットがあります。高い耐震性能により地震に対する安全性が確保されているほか、優れた省エネ性能により光熱費の削減が期待できます。また、計画的な修繕により快適な住環境が維持されることも大きな魅力といえるでしょう。

長期優良住宅認定マンションのデメリット

一方で、長期優良住宅認定マンションにはいくつかのデメリットも存在します。最も大きな課題となるのが価格面です。高品質な建材や工法を使用するため、一般的なマンションと比べて購入価格が10~20%程度高くなります。また、管理費や修繕積立金も高めに設定されることが多く、維持管理にかかる費用も一般的なマンションより高額になる可能性があります。

物件選択に関する制限も無視できません。認定基準が厳格であるため、選択できる物件が限られます。希望する地域や価格帯で物件が見つからない可能性があり、特に中古物件の場合はさらに選択肢が限定されてしまいます。

維持管理の面では、長期優良住宅の性能を維持するために定期的な点検や修繕が必須となります。将来的に修繕積立金の値上げが必要になる可能性もあり、管理組合での意思決定も重要になってきます。

また、認定制度に関連して様々な制限があることも理解しておく必要があります。維持保全計画に従った管理が必須となり、建築や維持保全の記録を保存する必要があります。大規模な改修を行う際にも認定基準を維持しなければならず、これらの要件を満たすための労力や費用が必要となります。

購入を検討する際の判断ポイント

長期優良住宅認定マンションの購入を検討する際は、これらのメリット・デメリットを踏まえたうえで、自身の経済状況との兼ね合いや、長期的な居住予定の有無、将来的な資産活用の計画などを総合的に判断することが重要です。特に、長期にわたって住み続ける予定がある場合は、初期費用が高くても長期的なメリットを享受できる可能性が高いといえるでしょう。

一方で、短期間での転居を予定している場合や、予算に余裕がない場合は、一般的なマンションの購入も検討する価値があります。いずれにしても、自身のライフプランや経済状況を慎重に見極めたうえで、最適な選択をすることが大切です。

長期優良住宅の認定マンションの探し方

長期優良住宅の認定マンションを探す方法について詳しく解説していきます。一般的なマンションと比べて物件数が限られるため、効率的な探し方を知っておくことが重要です。

不動産ポータルサイトを活用した探し方

まず、SUUMOやHOME’Sなどの不動産ポータルサイトを活用する方法があります。これらのサイトでは、「長期優良住宅」というキーワードで検索することができます。検索条件に「長期優良住宅」を入れることで、認定済みの物件を効率的に見つけることが可能です。ただし、掲載情報が必ずしも最新ではない場合もあるため、見つけた物件については必ず販売会社に確認を取るようにしましょう。

ハウスメーカーへの直接問い合わせ

大手ハウスメーカーや不動産デベロッパーは、長期優良住宅の認定マンションを積極的に供給している場合が多いです。そのため、各社の公式サイトで物件情報を確認したり、直接問い合わせをしたりすることで、より詳細な情報を得ることができます。また、これから販売予定の物件情報なども入手しやすいというメリットがあります。

住宅展示場の活用

住宅展示場では、長期優良住宅の認定を受けた、または受ける予定のマンションの情報を得ることができます。展示場では実際のモデルルームを見学できるほか、専門のスタッフから認定基準や税制優遇などについて詳しい説明を受けることができます。また、建材や設備の品質を実際に確認できる点も大きなメリットといえます。

不動産仲介会社の利用

不動産仲介会社に相談するのも効果的な方法です。特に長期優良住宅の取り扱いが多い会社を選ぶことで、より多くの物件情報を得ることができます。仲介会社は複数の販売会社の物件情報を持っているため、条件に合った物件を幅広く探すことができます。また、価格交渉なども代行してもらえる点も魅力です。

物件情報サイトの会員登録

多くのデベロッパーや不動産会社は、会員向けの物件情報サイトを運営しています。これらのサイトに会員登録することで、新規物件の情報をいち早く入手できたり、会員限定の内覧会や説明会の案内を受け取ることができたりします。特に人気エリアの物件は早期に完売してしまうことも多いため、このような情報収集は非常に重要です。

物件を探す際の注意点

長期優良住宅の認定マンションを探す際は、認定書の確認を必ず行うようにしましょう。また、維持保全計画や修繕積立金の設定状況なども重要なチェックポイントとなります。さらに、管理組合の運営状況や修繕履歴なども確認することで、より安心して購入を検討することができます。

エリア選定のポイント

長期優良住宅は100年という長期での使用を想定しているため、エリアの選定も重要です。駅からの距離や生活利便施設の充実度はもちろん、地域の将来性や災害リスクなども考慮に入れて検討する必要があります。特に、ハザードマップでの確認や地域の開発計画なども事前にチェックしておくことをお勧めします。

最後に、長期優良住宅の認定マンションは一般的なマンションと比べて価格が高くなる傾向にあります。そのため、予算面での検討も慎重に行う必要があります。税制優遇措置を含めた総合的な費用計算を行い、無理のない範囲で物件を探していくことが大切です。

よくある質問(Q&A)

認定制度に関する質問

Q. 長期優良住宅の認定は中古マンションでも受けられますか?

A. 長期優良住宅認定制度は、原則として新築住宅を対象とした制度となっています。そのため、中古マンションで新たに認定を受けることはできません。ただし、すでに認定を受けているマンションを中古で購入することは可能です。この場合も、新築時と同様の税制優遇措置を受けられる場合があります。

Q. 認定期間に制限はありますか?

A. 認定そのものに期限はありませんが、認定を維持するためには維持保全計画に従って適切に管理を行う必要があります。定期的な点検や修繕を怠ると、認定が取り消される可能性もあります。また、大規模な改修を行う際にも、認定基準を満たす必要があります。

税制優遇に関する質問

Q. 具体的にどのような税制優遇が受けられますか?

A. 住宅ローン減税の控除額が最大500万円まで引き上げられるほか、不動産取得税が一般住宅より軽減されます。また、固定資産税については新築から5年間、標準的な住宅よりも優遇された措置を受けることができます。ただし、これらの優遇措置を受けるためには、定められた要件を満たす必要があります。

維持管理に関する質問

Q. 修繕積立金は一般のマンションと比べてどのくらい違いますか?

A. 一般的なマンションと比べて、20~30%程度高く設定されることが多いです。これは、長期優良住宅の性能を維持するために必要な修繕・更新費用を見込んでいるためです。ただし、この金額設定により、将来的な大規模修繕時の一時金徴収リスクを低減することができます。

Q. 維持管理の記録は具体的に何を残す必要がありますか?

A. 定期点検の記録、修繕工事の内容、設備の更新履歴などを記録として保存する必要があります。これらの記録は、管理組合で適切に保管し、必要に応じて閲覧できる状態にしておく必要があります。また、売却時には次の所有者にこれらの記録を引き継ぐことが求められます。

資産価値に関する質問

Q. 資産価値は本当に維持されやすいのですか?

A. 一般的なマンションと比べて資産価値は維持されやすい傾向にあります。これは、高品質な建材や工法が使用されていることに加え、計画的な維持管理が行われることが前提となっているためです。ただし、立地条件や市場動向などの外部要因によっても価格は変動しますので、絶対的な保証があるわけではありません。

住宅ローンに関する質問

Q. 住宅ローンの金利は優遇されますか?

A. 多くの金融機関で、長期優良住宅を購入する際の住宅ローンに対して金利優遇制度を設けています。一般的なマンションと比べて0.1~0.2%程度の金利引き下げが受けられることが多いです。ただし、具体的な優遇内容は金融機関によって異なりますので、複数の金融機関に確認することをお勧めします。

購入検討時の質問

Q. 一般のマンションと比べて購入時の注意点はありますか?

A. 認定書類の確認はもちろんのこと、維持保全計画の内容や修繕積立金の設定額なども重要なチェックポイントとなります。また、管理組合の運営状況や修繕履歴なども確認することをお勧めします。特に中古物件の場合は、これまでの維持管理状況をしっかりと確認することが重要です。

まとめ

長期優良住宅の認定マンションは、高品質で長期にわたり快適に暮らせる住まいとして注目を集めています。確かに初期費用は高くなる傾向がありますが、税制優遇や資産価値の維持など、長期的に見れば大きなメリットがあります。

ただし、購入を検討する際は、自身のライフプランや経済状況をしっかりと見据えたうえで判断することが大切です。この記事を参考に、あなたに合った住まい選びの一助としていただければ幸いです。

なお、当社が提供している「housemarriage」では、住宅コンシェルジュが理想の家づくりのサポートとして、住まいを探す上で重要なハウスメーカーや工務店の営業担当者とのマッチングサポートをさせていただきます。住宅購入の資金計画の相談・作成や、相性良く親身になってくれる「営業担当者」をご紹介します。家づくりに関して少しでも不安を感じるようであれば、お問い合わせください。

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記事監修者

1級ファイナンシャル・プランニング技能士 / 渡辺 知光

大学卒業後、積水化学工業に入社し住宅「セキスイハイム」を販売。3年8カ月千葉県内で営業に従事し、営業表彰を6期連続受賞。
途中、母の急死に直面し、自分の将来について悩み始める。結果、大学のゼミで学んだ「保険」事業に実際に携わりたいと思いFP資格を取得して日本生命に転職。4年間営業に従事したが、顧客に対して提供出来る商品がなく退職を決意。FP兼保険代理店を開業する。

収入も顧客もゼロからのスタート。しかも独立直前に結婚し住宅購入した為、返済不安に陥り貯蓄が日々減っていく恐怖を覚える。

人生で初めて家計の見直しを行い、根本的な改善により失敗と不安を減らすコツを発見。自分の経験を生かしお客様が同じ道を歩まないよう伝えるべく「マイホーム検討者向けFP」として活動中。

運営会社情報

  • 会社名

    :有限会社ティーエムライフデザイン総合研究所

  • 代表者

    :渡辺知光

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    所在地

    :〒104-0045 東京都中央区築地2-15-15 セントラル東銀座1002

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