不動産の広告で誤解されやすいポイントや正しく読み取るコツを解説
家づくりの基本
2025/01/08
2025/01/08
住まい探しでは、多くの不動産広告と向き合うことになります。その際、広告の表面的な情報だけでなく、将来の暮らしに関わる重要な情報をしっかりと読み取ることが大切です。この記事では、不動産広告を見る際に確認すべきポイントについて、実例を交えながら解説していきます。
物件概要編
マンションや不動産の広告を見る際、物件概要には特に注意を払う必要があります。見落としがちな重要な情報について、詳しく解説していきます。
交通アクセス
「駅から徒歩○分」という表示は、道路距離80mを1分として計算された標準時間です。実際の所要時間は、以下の要因で変動する可能性があります。
歩行速度による違い、道路状況(坂道や階段の有無)、信号待ちの時間、混雑状況などが考えられます。バス利用の場合は、バス停までの徒歩時間、運行本数、最終便の時刻なども重要な確認ポイントとなります。
価格表示について
最多価格帯は、販売している住戸の中で最も多い価格帯を示しているだけです。実際の購入を検討する際は、以下の点も確認が必要です。
同じ間取りでの価格差、階数や方角による価格の違い、諸費用(登記費用、不動産取得税など)、毎月の管理費・修繕積立金など、様々な追加費用についても把握しておく必要があります。
用途地域
用途地域は、その地域にどのような建物が建てられるかを定めた都市計画上のルールです。建設予定地の用途地域だけでなく、周辺地域の用途地域も将来の住環境に大きく影響します。
敷地の権利形態
土地の権利形態には所有権と借地権があります。借地権の場合は価格が安い反面、定期的な地代支払いが必要です。また、将来の資産価値や建て替えの際の制約にも影響するため、しっかりと確認が必要です。
期売り分譲について
「第1期完売」という表示があっても、実際にはまだ販売されていない住戸が残っている可能性があります。また、後の期に同じような間取りや条件の物件が販売される可能性もあるため、焦って判断する必要はありません。
不動産会社の確認
売主と販売会社が異なるケースも多くあります。トラブル発生時の対応や保証の範囲を明確にするためにも、売主、施工会社、販売会社の関係性を把握しておく必要があります。
大臣免許の意味
不動産会社の免許には大臣免許と知事免許があります。大臣免許は複数の都道府県で営業する場合に必要となるもので、必ずしも会社の信頼性を示すものではありません。
物件概要を確認する際の重要ポイント
1.実際に現地を訪れ、交通アクセスや周辺環境を確認すること
2.諸費用や維持費用も含めた総額を把握すること
3.将来的な環境変化の可能性を考慮すること
4.不明な点は販売担当者に必ず確認すること
見落としがちな確認事項
1.建物の向き(日当たり、風通し)
2.周辺の開発計画や規制
3.管理体制や修繕計画
4.駐車場や駐輪場の有無と利用条件
物件概要に記載されている情報は、購入判断の基本となる重要な要素です。表面的な情報だけでなく、将来の暮らしを見据えた確認を行うことが、後悔のない物件選びにつながります。
外観&施設編
住宅の外観や共用施設は、実際の暮らしの質に大きく影響します。広告で見る情報と実際との違いについて、詳しく解説していきます。
建物の外観CGと完成予想図
広告でよく目にする建物の外観CGや完成予想図には、以下のような特徴があります。
周辺の建物が省略されていたり、実際より小さく表現されていることがあります。日当たりや眺望は、周辺建物の影響を大きく受けるため、現地で実際の状況を確認することが重要です。
外観パースでは、建物の規模感が実際と異なって見える場合があります。特に、建物の高さや圧迫感は、実際に現地で確認するまで正確には把握できません。
植栽計画について
広告の植栽計画には、以下の点に注意が必要です。
完成予想図では、植物が成長した状態で描かれていることが一般的です。入居時は若木である場合が多く、広告のような緑豊かな環境になるまでには相当の時間がかかります。
また、植栽の維持管理費用は管理費に含まれており、豪華な植栽計画は管理費の増加につながる可能性があります。
共用施設の実態
共用施設について、以下の点を特に確認しましょう。
管理費や修繕積立金への影響:ジム、プール、パーティールームなどの共用施設は、維持管理に多額の費用が必要です。これらの費用は居住者の負担となります。
利用条件や運営方法:利用時間、予約方法、利用料金(別途費用が必要な場合)などの具体的な利用条件を確認しましょう。
将来的な維持管理:設備の更新や修繕が必要になった場合の費用負担についても、事前に確認が必要です。
環境性能とご当地ラベル
環境性能の表示について、以下の点を確認しましょう。
各地域で定められた環境性能評価制度があり、断熱性能や省エネ性能などが評価されています。これらの性能は、将来の光熱費や住み心地に影響します。
ただし、評価基準は地域によって異なるため、単純な比較はできない場合があります。詳細な性能内容を確認することが重要です。
外観・施設を確認する際のポイント
1. 現地での確認事項: 周辺建物との関係性、日当たり、眺望、圧迫感、騒音の状況など
2. 共用施設の確認事項: 具体的な利用条件、維持管理費用、運営方法など
3. 将来的な検討事項: 植栽の成長期間、設備の更新時期、修繕計画など
4. 費用面での確認事項: 管理費への影響、修繕積立金の算出根拠、追加費用の有無など
見落としがちなチェックポイント
1. エントランスや共用廊下の仕様と管理方法
2. 宅配ボックスやごみ置き場の設置状況
3. 防犯カメラや警備体制の内容
4. 駐車場や駐輪場の具体的な利用条件
住宅の外観や共用施設は、資産価値や住み心地に大きく影響する要素です。広告の情報だけでなく、実際の状況や将来的な維持管理についても十分に確認することが、満足度の高い住まい選びにつながります。
住宅・住戸の広さ編
住宅や住戸の広さに関する表示は、実際の使用感とは異なる場合があります。誤解を避けるため、広告の見方と注意点を詳しく解説します。
専有面積について
専有面積と実際に使える面積には違いがあります。以下の点に特に注意が必要です。
登記簿上の面積は、広告表示の面積よりも小さくなることがあります。これは、壁の厚みの一部が専有面積に含まれているためです。実際に家具を置いたり生活できる面積(内法面積)は、一般的に専有面積から5~10%程度小さくなります。
また、バルコニーやポーチの面積は専有面積には含まれません。これらは専用使用部分として別途表示されます。そのため、カタログなどで見る面積表示と、実際に使用できる面積には差が生じます。
リビングの広さ
リビングの広さ表示には、以下のような特徴があります。
「LD○畳」という表示には、リビング・ダイニングスペースだけでなく、廊下や通路部分も含まれていることがあります。実際の家具配置を考える際は、これらの通路スペースを考慮する必要があります。
天井高や梁の位置によっても、実際の使用感は大きく変わります。特に、エアコンの配置や照明器具の取り付けなどに影響する可能性があります。
和室の表記
和室の広さ表示には独特の注意点があります。
畳の枚数がそのまま畳数を表すわけではありません。例えば、6枚の畳が敷かれていても、実際の広さが6畳に満たない場合があります。これは、畳の寸法が地域や製造元によって異なることが理由の一つです。
また、押入れや床の間のスペースは和室の畳数には含まれません。これらは収納スペースや設備として別途計算されます。
間取りによる違い
同じ間取りタイプでも、以下の要因により実際の使い勝手は大きく異なります。
階数による違い:
・低層階と高層階では日当たりや眺望が異なります
・特に低層階は周辺建物の影響を受けやすい
・高層階は風の影響を考慮する必要がある
方角による違い:
・南向きと北向きでは日当たりが大きく異なる
・東向きは朝日、西向きは夕日の影響を受ける
・部屋の用途に応じた方角選びが重要
間取り確認のポイント
1. 動線の確認:
・家具配置を想定した歩行スペースの確保
・キッチンから洗面所、トイレへの移動のしやすさ
・玄関からの動線と靴の収納スペース
2. 収納スペースの確認:
・各部屋の収納の位置と大きさ
・季節物の収納場所
・掃除用具などの収納場所
3. 窓の位置と大きさ:
・採光と通風の確認
・家具配置との関係
・結露対策の必要性
4. 設備スペース:
・エアコンの室外機置き場
・給湯器の位置
・インターネット回線の引き込み位置
モデルルームとの違い
モデルルームは理想的な状態で展示されています。実際の住戸との違いを理解するために、以下の点に注意が必要です。
1. 家具のサイズ: モデルルーム用に特注された家具が使用されている可能性があります。自身の家具のサイズを基準に検討することが重要です。
2. 建具や設備: 建具の開閉スペースや、設備機器の配置スペースを確認しましょう。これらは実際の生活動線に大きく影響します。
3. 収納の使い勝手: 収納の奥行きや高さ、扉の開閉方向など、実際の使用シーンを想定した確認が必要です。
住戸の広さは、快適な暮らしを実現するための重要な要素です。広告の数値だけでなく、実際の使い勝手や生活動線を十分に確認することで、後悔のない住まい選びにつながります。
資金計画編
住宅購入における資金計画は、広告に記載された価格以外にも様々な費用を考慮する必要があります。長期的な視点で確認すべきポイントを詳しく解説します。
金利タイプについて
住宅ローンの金利タイプには主に以下のようなものがあり、それぞれの特徴を理解しておく必要があります。
変動金利型:広告の返済例は、多くの場合この変動金利で計算されています。金利が変動するため、返済額が増える可能性があることを考慮しましょう。
固定金利型:一定期間は金利が固定されるため、返済計画が立てやすい特徴があります。ただし、変動金利に比べて金利が高めに設定されていることが一般的です。
管理費、修繕積立金
毎月の返済額以外にも、以下のような費用が必要となります。
管理費の相場(月額)
管理費は物件の規模や共用施設の有無によって大きく異なります。一般的な相場は以下の通りです。
・専有面積60㎡の場合:約10,000円〜15,000円
・専有面積80㎡の場合:約13,000円〜18,000円
・専有面積100㎡の場合:約15,000円〜20,000円
修繕積立金の相場(月額)
修繕積立金は建物の維持管理のために必要な費用です。
・専有面積60㎡の場合:約10,000円〜15,000円
・専有面積80㎡の場合:約15,000円〜20,000円 ・
専有面積100㎡の場合:約18,000円〜25,000円
返済期間について
返済期間に関して、以下の点に注意が必要です。
年齢制限:多くの金融機関では、返済終了時の年齢に制限があります。一般的に70歳や80歳までとされています。
借入可能額:返済期間によって借入可能額が変わってきます。返済期間が長いほど毎月の返済額は少なくなりますが、支払う利息の総額は増えます。
ボーナス時加算返済
ボーナス返済に関して、以下の点を考慮する必要があります。
将来性の考慮:ボーナスが確実に支給される保証はありません。将来的なボーナスの変動も考慮に入れた計画を立てましょう。
返済バランス:ボーナス返済は全体の返済額の50%以内に抑えることが推奨されています。
資金計画を立てる際の重要ポイント
1. 頭金の準備: 購入価格の20~30%程度の頭金があると、住宅ローンの借入条件が有利になりやすいです。
2. 諸費用の確認: 登記費用、不動産取得税、固定資産税など、様々な諸費用が必要となります。購入価格の5~10%程度を目安に考えましょう。
3. 将来の支出計画: 教育費や老後の生活費なども考慮に入れ、無理のない返済計画を立てることが重要です。
4. 住宅ローン控除: 住宅ローン控除の適用条件や控除額を確認し、税制面でのメリットも考慮しましょう。
資金計画は、将来の生活設計に大きく影響する重要な要素です。単に現在の返済額だけでなく、将来的な収入や支出の変動も考慮に入れ、慎重に検討することが大切です。また、不明な点がある場合は、金融機関や専門家に相談することをお勧めします。
よくある質問(Q&A)
マンション・不動産広告に関してよく寄せられる質問とその回答をまとめました。購入検討時の参考にしてください。
交通・アクセス関連
Q:広告の「駅から徒歩○分」は実際の所要時間と同じですか?
A:不動産広告の徒歩時間は、道路距離80mを1分として計算された標準的な時間です。実際の所要時間は、道路状況や信号待ち、坂道の有無などによって変動する可能性があります。特に通勤・通学で利用する場合は、実際に歩いて確認することをお勧めします。
価格・費用関連
Q:広告価格の他に必要な費用はありますか?
A:はい。以下のような費用が別途必要となります。
・諸費用(登記費用、不動産取得税、固定資産税など)
・毎月の管理費、修繕積立金
・住宅ローンの手数料
・インテリアや家電製品の購入費用 購入価格の5~10%程度を諸費用の目安としてご検討ください。
間取り・広さ関連
Q:モデルルームと実際の部屋の違いは何ですか?
A:モデルルームは理想的な家具配置や照明で演出されています。実際の住戸では以下の点が異なる可能性があります。
・家具の大きさや配置可能性
・収納の使い勝手
・日当たりや眺望
・天井高や梁の位置による影響
設備・施設関連
Q:共用施設の利用には別途費用がかかりますか?
A:マンションによって異なります。ジムやプール、パーティールームなどの共用施設は、基本的に管理費に含まれていますが、別途利用料が必要な場合もあります。また、これらの施設の維持管理費用は、管理費や修繕積立金として居住者の負担となります。
環境・周辺施設関連
Q:完成予想図と実際の景観は同じですか?
A:完成予想図(CG)は理想的な状態を表現しており、以下の点で実際とは異なる場合があります。
・周辺建物の表現(省略されていることが多い)
・植栽の成長状態(完成時は若木の状態)
・実際の圧迫感や景観
契約・手続き関連
Q:広告の内容と契約内容に違いがあることはありますか?
A:広告は作成時点の情報であり、販売時期によって価格や仕様が変更される可能性があります。契約時には必ず最新の内容を確認し、不明な点は販売担当者に質問することをお勧めします。
ローン関連
Q:広告の返済例は参考になりますか?
A:広告の返済例は一般的な条件で計算されており、以下の点に注意が必要です。
・変動金利で計算されていることが多い
・頭金の額や借入期間によって変動する
・年収や勤続年数などの審査基準がある
・金利の変動リスクがある
将来性関連
Q:資産価値の維持について何を確認すべきですか?
A:以下のような点を確認することをお勧めします。
・建物の構造や性能
・管理体制と修繕計画
・周辺の開発計画
・交通利便性
・学区や生活利便施設の充実度
管理関連
Q:管理費や修繕積立金は将来上がりますか?
A:はい、上がる可能性があります。建物の経年劣化に伴う修繕費用の増加や、物価上昇などにより、管理費や修繕積立金が値上げされることがあります。長期修繕計画や修繕積立金の算出根拠を確認することをお勧めします。
まとめ
不動産広告を読む際は、表面的な情報だけでなく、将来の暮らしに関わる重要な情報をしっかりと確認することが大切です。価格や面積といった数値情報はもちろん、周辺環境や将来的な維持費用なども含めて総合的に判断しましょう。また、不明な点があれば、必ず販売担当者に確認することをお勧めします。
なお、当社が提供している「housemarriage」では、住宅コンシェルジュが理想の家づくりのサポートとして、住まいを探す上で重要なハウスメーカーや工務店の営業担当者とのマッチングサポートをさせていただきます。住宅購入の資金計画の相談・作成や、相性良く親身になってくれる「営業担当者」をご紹介します。家づくりに関して少しでも不安を感じるようであれば、お問い合わせください。
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