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生活音を気にせず快適に過ごせる住宅の防音性能と防音対策を解説

間取り・住宅の特徴

2024/12/27

2024/12/27

記事監修者

1級ファイナンシャル・プランニング技能士 / 渡辺 知光

生活音を気にせず快適に過ごせる住宅の防音性能と防音対策を解説

マンションやアパートでは気になる生活音の問題。戸建て住宅でも、家族間の生活音に悩まれている方は少なくありません。防音性能を高めた住宅づくりは、快適な住まいを実現する上で重要なポイントとなります。今回は、生活音を気にせず快適に過ごせる住宅の防音性能と具体的な対策についてご紹介します。

生活音の伝わり方

住宅における生活音の伝わり方は、主に空気伝搬音と固体伝搬音の2つに分類されます。それぞれの特徴を理解することで、より効果的な防音対策を講じることができます。

空気伝搬音の特徴と伝わり方

空気伝搬音とは、空気を媒体として伝わる音のことを指します。具体的には、会話やテレビの音、オーディオ機器の音、楽器の音などが該当します。これらの音は、壁や窓、建具などの隙間を通って隣接する空間に伝わっていきます。

特に注意が必要なのは、コンセントボックスやスイッチボックス、配管まわりの隙間です。わずかな隙間でも音は伝わりやすく、時には壁の遮音性能を大きく低下させる原因となります。

固体伝搬音の特徴と伝わり方

固体伝搬音は、建物の構造体を伝わって届く音のことです。床を歩く音、椅子を引く音、物を落とす音などの衝撃音が、建物の柱や梁、床、壁などを伝って、離れた場所まで響いていきます。

固体伝搬音は、建物の構造材を振動させながら伝わるため、音源から離れた場所でも比較的大きな音として感じられます。特に木造住宅では、構造材同士が固く結合されているため、振動が伝わりやすい傾向にあります。

生活音が伝わりやすい場所と経路

住宅内で生活音が伝わりやすい場所として、階段まわり、吹き抜け、設備配管まわりが挙げられます。階段は上下階を直接つなぐ経路となるため、音が伝わりやすい構造となっています。

また、吹き抜けは空間的なつながりが大きいため、音が反響しやすく、家全体に音が広がりやすい特徴があります。設備配管まわりは、配管を通じて音が伝わるだけでなく、配管を設置するための開口部が音の通り道となることがあります。

音の伝わり方に影響する建物の構造と素材

建物の構造や使用されている素材によって、音の伝わり方は大きく異なります。木造住宅は比較的音が伝わりやすく、鉄筋コンクリート造は音が伝わりにくい特徴があります。

また、同じ木造住宅でも、壁や床に使用される下地材や仕上げ材の種類、施工方法によって防音性能は変わってきます。例えば、軽量な壁は重量のある壁に比べて音を通しやすく、床材の厚みや構造によっても遮音性能は異なります。

生活音の伝わり方と時間帯による違い

生活音の伝わり方は、時間帯によっても変化します。特に夜間は周囲の環境音が少なくなるため、昼間には気にならなかった音が目立って聞こえることがあります。また、温度や湿度の変化によって建材が膨張・収縮することで、音の伝わり方に影響が出ることもあります。

生活音を気にせず快適に過ごせる住宅の防音性能

住宅の防音性能は、遮音性能と吸音性能の2つの要素から成り立っています。快適な住まいを実現するためには、これらの性能をバランスよく確保することが重要です。

遮音性能について

遮音性能とは、音を通さない力のことを指します。遮音性能を高めるためには、壁や床の質量を上げることや、空気層を設けることが効果的です。特に重要となるのが、床や壁、開口部などの各部位における遮音等級です。

床の遮音等級は、重量床衝撃音対策等級(Lr値)と軽量床衝撃音対策等級(L値)で評価されます。等級は1から5まであり、数値が大きいほど高性能を表します。一般的な木造住宅では等級3程度ですが、快適な住まいを目指すなら等級4以上を検討する価値があります。

吸音性能について

吸音性能は、室内に発生した音を吸収する力を表します。吸音性能が高い素材を適切に配置することで、室内の反響音を抑制し、より快適な音環境を実現できます。特にリビングや子ども部屋など、生活音が発生しやすい空間では重要な要素となります。

吸音材には、グラスウールやロックウール、ポリエステル繊維などが一般的に使用されます。これらの材料を壁や天井に施工することで、室内の音響環境を改善することができます。

防音性能の評価基準

住宅の防音性能は、日本工業規格(JIS)や住宅性能表示制度などで定められた基準に基づいて評価されます。特に重要な評価項目として、界面音遮断性能、外部音遮断性能、室内音響性能などが挙げられます。

住宅性能表示制度では、音環境に関する性能として「音環境に関すること」が設定されており、遮音等級や音響に関する性能が具体的な数値で示されます。これらの基準を参考に、自身の生活スタイルに合った防音性能を選択することが大切です。

高性能な防音仕様の特徴

防音性能の高い住宅では、二重床や二重壁、防音サッシなど、複数の防音対策が組み合わされています。二重床構造では、上下の床材の間に空気層を設け、防振ゴムや制振材を組み合わせることで効果的に音を遮断します。

壁については、グラスウールなどの吸音材を充填し、遮音性の高い石膏ボードを採用することで、室間の音の伝わりを抑制します。また、窓には防音サッシを採用し、外部からの騒音対策も万全にすることが推奨されます。

コストと性能のバランス

防音性能を高めると建築コストは上昇する傾向にあります。しかし、一度建てた住宅の防音性能を後から大幅に改善することは困難で、費用も多くかかります。そのため、新築時に適切な防音性能を確保しておくことが、長期的には経済的といえます。

具体的な費用として、二重床構造で20〜30万円、防音サッシで1箇所あたり15〜20万円程度を見込む必要があります。ただし、建物の規模や要求される性能によって費用は大きく変動します。予算と相談しながら、必要な箇所に重点的に投資することが賢明です。

防音性能と換気性能の両立

防音性能を高めると、必然的に室内は密閉度が高くなります。そのため、計画的な換気システムの導入が不可欠です。24時間換気システムや熱交換換気システムなど、防音性能を損なわずに必要な換気量を確保できる設備の検討が重要となります。

生活音の防音対策

生活音の防音対策は、建物の構造や使用する建材、設備の選定など、複数の要素を組み合わせて総合的に行う必要があります。ここでは、各部位における具体的な対策方法についてご説明します。

床の防音対策

床からの音は特に気になりやすく、重点的な対策が必要となります。二重床構造の採用は最も効果的な対策の一つです。防振ゴムや制振材を組み合わせることで、上階からの衝撃音を大幅に軽減できます。

床材の選定も重要なポイントです。フローリングの場合、厚みのある製品を選択することで遮音性能が向上します。また、カーペットやラグマットの使用も、簡易的ながら効果的な対策となります。

壁の防音対策

壁の防音対策では、遮音性能の高い石膏ボードの使用が基本となります。壁体内には吸音材を充填し、さらに防音効果を高めることができます。また、二重壁構造を採用することで、より高い遮音性能を実現できます。

特に注意が必要なのが、コンセントボックスやスイッチボックスまわりの処理です。これらの開口部は音が漏れやすい箇所となるため、防音パテなどでしっかりと処理することが重要です。

開口部の防音対策

窓やドアなどの開口部は、音が伝わりやすい弱点となります。防音サッシの採用や、気密性の高い玄関ドアの選定が効果的です。特に寝室やワークスペースなど、静かさが求められる部屋では重点的な対策を検討しましょう。

内装ドアについても、中空構造のものよりも密度の高い製品を選択することで、室間の音の伝わりを抑制できます。また、ドア枠と扉の間の隙間にも注意が必要です。

天井の防音対策

天井への防音対策としては、吸音材の設置が有効です。グラスウールや化粧吸音板などを使用することで、室内の反響音を効果的に抑制できます。特に吹き抜けのある住宅では、音が広がりやすい特性を考慮した対策が必要です。

また、ダウンライトなどの照明器具を設置する際は、器具まわりの気密性にも配慮が必要です。専用の気密枠を使用するなど、適切な処理を行うことが重要です。

設備機器の防音対策

給排水管や空調設備などの設備機器からも生活音は発生します。配管まわりには防振措置を施し、配管スペースには吸音材を充填することで、振動音や流水音を軽減できます。

また、24時間換気システムのファン音対策として、消音チャンバーの設置や、ダクトの適切な配置も重要な検討事項となります。

間取りによる防音対策

音の問題は、間取りの工夫によっても軽減できます。寝室やワークスペースは、リビングや子ども部屋から離して配置することが理想的です。また、収納スペースを緩衝帯として活用することも効果的な方法です。

階段の配置にも注意が必要です。可能であれば、寝室から離した位置に設置することで、階段の上り下りの音による影響を軽減できます。

生活習慣による防音対策

建築的な対策に加えて、生活習慣の工夫も重要です。家具の脚にフェルトを貼る、深夜のドアの開閉は静かに行うなど、住まい手の配慮も快適な住環境づくりには欠かせません。

特に子どものいる家庭では、遊び場所や時間帯についてのルールづくりも検討する価値があります。家族で話し合い、お互いの生活リズムを尊重し合える環境を整えることが大切です。

よくある質問(Q&A)

生活音対策について、お客様からよくいただくご質問とその回答をまとめました。防音性能の向上を検討されている方は、ぜひ参考にしてください。

防音工事に関する質問

Q:防音対策にかかる費用の目安はどのくらいですか?

A:二重床構造で20〜30万円、防音サッシで1箇所あたり15〜20万円程度が目安です。ただし、建物の規模や仕様により大きく変動します。部分的な対策であれば、防音カーテンの設置で数万円、吸音パネルの設置で10万円程度から対応可能です。

Q:後付けでも防音対策は可能ですか?

A:防音カーテンの設置や、吸音パネルの取り付けなど、ある程度の対策は可能です。ただし、抜本的な改善には構造的な工事が必要となります。後付け工事の場合、新築時と比べてコストが高くなる傾向にあります。

Q:防音工事はどのくらいの期間がかかりますか?

A:部分的な工事であれば1〜2日程度で完了しますが、二重床や二重壁などの大規模な工事の場合、1〜2週間程度必要です。工事中は居住が困難になる場合もあるため、事前の計画が重要です。

性能に関する質問

Q:防音性能の高い住宅は結露しやすいのでしょうか?

A:適切な換気設計を行えば、結露の心配はありません。計画的な換気システムの導入が重要です。特に24時間換気システムや熱交換換気システムの採用をおすすめします。

Q:防音性能はどのくらい持続しますか?

A:適切な施工と維持管理があれば、建物の寿命と同程度の期間、性能は持続します。ただし、サッシのパッキンなど、消耗部材は定期的な点検と交換が必要です。

Q:二重床や二重壁は本当に効果がありますか?

A:適切な施工がされていれば、大きな効果が期待できます。特に重量床衝撃音(足音など)に対しては、二重床構造が最も効果的な対策となります。

日常生活に関する質問

Q:防音性能を高めると換気はどうなりますか?

A:気密性が高まるため、計画的な換気が必要です。24時間換気システムの設置が一般的ですが、窓を定期的に開けるなど、こまめな換気も心がけましょう。

Q:子どもの声や足音が特に気になります。どうすればよいですか?

A:床材の選定や二重床構造の採用に加え、遊び場所の工夫も効果的です。例えば、1階をメインの遊び場にする、クッション性の高いプレイマットを使用するなどの対策が考えられます。

Q:ピアノなどの楽器の演奏は可能ですか?

A:防音室の設置が最も確実な対策です。一般的な居室での演奏の場合、防音性能を高めても完全な遮音は難しいため、演奏時間帯への配慮が必要です。

メンテナンスに関する質問

Q:防音性能は経年劣化しますか?

A:建材自体の性能は大きく劣化しませんが、サッシや建具のパッキン類は経年で劣化します。定期的な点検と必要に応じた交換が推奨されます。

Q:防音工事後のメンテナンスは必要ですか?

A:建具の調整や気密パッキンの点検など、定期的なメンテナンスは必要です。特に防音サッシは、クレセント部分の調整や清掃が重要になります。

まとめ

生活音を気にせず快適に過ごせる住宅を実現するためには、建築時からの計画的な防音対策が重要です。遮音性能と吸音性能を適切に組み合わせ、建材の選定や間取りの工夫を行うことで、静かで快適な住空間を作り出すことができます。防音対策は決して安価ではありませんが、長期的な住み心地を考えると、十分な投資価値があるといえるでしょう。

なお、当社が提供している「housemarriage」では、住宅コンシェルジュが理想の家づくりのサポートとして、住まいを探す上で重要なハウスメーカーや工務店の営業担当者とのマッチングサポートをさせていただきます。住宅購入の資金計画の相談・作成や、相性良く親身になってくれる「営業担当者」をご紹介します。家づくりに関して少しでも不安を感じるようであれば、お問い合わせください。

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記事監修者

1級ファイナンシャル・プランニング技能士 / 渡辺 知光

大学卒業後、積水化学工業に入社し住宅「セキスイハイム」を販売。3年8カ月千葉県内で営業に従事し、営業表彰を6期連続受賞。
途中、母の急死に直面し、自分の将来について悩み始める。結果、大学のゼミで学んだ「保険」事業に実際に携わりたいと思いFP資格を取得して日本生命に転職。4年間営業に従事したが、顧客に対して提供出来る商品がなく退職を決意。FP兼保険代理店を開業する。

収入も顧客もゼロからのスタート。しかも独立直前に結婚し住宅購入した為、返済不安に陥り貯蓄が日々減っていく恐怖を覚える。

人生で初めて家計の見直しを行い、根本的な改善により失敗と不安を減らすコツを発見。自分の経験を生かしお客様が同じ道を歩まないよう伝えるべく「マイホーム検討者向けFP」として活動中。

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