建売と注文住宅の違いとは-購入を迷っている方へプロが解説
家づくりの基本
2022/06/28
2023/09/26
人生の大きな買い物ともいえるマイホームです。
一戸建てが欲しいと思ったときに、建売住宅と注文住宅で悩む方も多いのではないでしょうか。
そこで今回の記事では、建売住宅と注文住宅の違いについてまとめたほか、それぞれに向いている人の特徴についてもまとめてみました。
目次
建売住宅と注文住宅の違いとは
建売住宅と注文住宅の大きな違いは以下の通りです。
建売住宅:売主(多くは不動産会社やハウスメーカー)と売買契約を締結し、土地付きの建物を買う
注文住宅:建築士に建物を設計してもらい、施工会社と建築工事請負契約を結び、家を建ててもらう
不動産会社によっては、建売住宅販売専門の会社もあります。
また、土地を買って注文住宅を建てる場合、土地によって建築条件の有無が異なります。
建築条件が設けられている土地の場合、施工会社があらかじめ指定されているため注意が必要です。
そのため、施工会社を自身で選びたいという場合は建築条件のないものを購入するようにしましょう。
なお、建売住宅の中には建築前から販売がなされるケースもあります。
この場合であっても建築確認申請が済んでいることから、原則として設計の変更はできませんし設備の変更も出来ないケースが多いです。
まれに「建築条件」が設けられている土地でも、ご自身で選んだ施工会社で建築することが可能です。この場合、土地価格に上乗せして契約することになります。
建売住宅と注文住宅【費用の違い】
費用面での違いとして、次のような理由から建売住宅の方が注文住宅に比べ安価で済むことが挙げられます。
● 打ち合わせにかかるコストが安く済む
● 1社との契約で済むため仲介手数料がかからない
● 土地や建築資材をまとめ買いするため、価格が安く済む
注文住宅では個人の要望にあわせてイチから家が作られますが、建売住宅ではまとまった土地を区切って一気に複数棟の建築がなされるのが一般的です。
数棟はもちろん10棟以上まとめて建築されることもあります。
このように、複数の住宅を一度に建設することから結果として価格が安くなるといえるでしょう。また、建売住宅のほうが安いからといって質自体が著しく劣るわけではありません。
当然ですが、国が定めた建築基準を守っていることは勿論ですが、国土交通省に認定された第三者機関の厳正な審査により、高評価の設計性能評価書や建設性能評価書の交付を受けている会社もあります。
先述したように一度に建設を済ませることで材料調達費や人件費といったコストが抑えられるほか、そこで浮いたコストを住宅の品質向上・グレード向上に充てられます。
そのため、価格は安くても値段以上の価値を有する建売住宅も多いといえるでしょう。
建売住宅と注文住宅【設計の自由度の違い】
設計の自由度といった観点では、注文住宅に軍配が上がります。元からデザインや間取りが決まっている建売住宅に対し、注文住宅では外観や間取り、設備などあらゆる箇所で自身の希望を取り入れられます。
また、注文住宅は「フルオーダー住宅」と「セミオーダー住宅」に分けられ、違いは以下の通りです。
● フルオーダー住宅:使用する木材や断熱材といった資材、窓や扉の使用などあらゆる項目を依頼者が指定する。とても自由度が高い一方で、かなりの建築知識を要する(費用も高い)。
● セミオーダー住宅:基本的な使用は決まっており、風呂やキッチンといった住宅設備、間取りを決めることができる。一般的に、注文住宅というと「セミオーダー住宅」を指すことがほとんどです。
選択可能な箇所や数は住宅会社によって異なりますが、想像以上に選択出来る箇所は多いです。
もちろん会社や工法によっても自由度に幅があるため、前もって確認をしておくようにしましょう。
一方、建売住宅では未完成の時点でもすでに間取りが決まっているほか、基本的にデザインの変更はできません。
できたとしても、建物の構造部分に影響が出ない程度の軽微な変更に限られます。
建売住宅と注文住宅【立地の違い】
建売住宅と注文住宅では、立地でも大きな違いがあります。
注文住宅の場合には相続等で土地を譲り受けた場を除き、施主が自分で土地を探さなければなりません。
なお、ハウスメーカーがすでに決まっている場合や打合せ中の段階には業者が代わりに探してくれることがあります。
しかし、すでに市場に出回っている土地の中から探すといった意味では施主が探す場合と大きな差がないといえるでしょう。
対する建売住宅では、建売会社が土地を購入します、建売会社はなるべく好立地な条件を満たす土地を買わなければ売り上げがあがりません。
そのため、建売会社は仕入れに重きを置いており、土地の選び方・探し方に関してはプロだといえます。
結果、条件の良い土地は注文住宅を建てる前に建売会社によって買われてしまっていることも少なくありません。
タイミングにもよりますが、建売住宅の方が好立地な土地に巡り会う可能性が高いといえるでしょう。
注文住宅で土地を選ぶ際のポイント
言うまでもありませんが、一度購入した土地はあとから容易に変えることができません。
そうした中、近年特に注目されているのが「災害リスク」です。特に都市部になればなるほど、開発が進んでいることからリスクの低い土地が少ない傾向にあります。
地盤が弱いところに家を建ててしまうと、液状化や水害といったリスクに合いやすいほか、地震で倒壊する恐れも高まるでしょう。
そのため、土地を購入する前は必ずハザードマップを確認することが大切です。なお、ハザードマップは国交省が運営する「ハザードマップポータルサイト」で確認できます。
また、人口減少が予測される、住民が高齢化の傾向にある場所は避けた方が無難です。
人口が一定数を下回ることで学校の統廃合のリスクが高まるほか、バスや電車の本数が減便されることも少なくありません。
当初は住み心地が良かったはずなのに、十数年住んでみたらとても住み心地が良かったと思えない場所になってしまったのでは本末転倒です。
実際に街の風景を見たり、ネットで情報を集めながら生活して上で長く住める環境か確認してみましょう。
建売住宅と注文住宅【安全性の違い】
建売住宅の場合、すでに完成した家を購入するケースがほとんどです。
そのため、基本的には工事の過程を見ることができず、万が一施工会社による手抜き工事が行われていたとしても気付けません。
素人目線では手抜き工事を見破ることはほぼ不可能ですので、建物の保証制度をじっくり確認しておきましょう。
対する注文住宅では地盤改良や工法、資材など家が建つまでの過程を自身の目で見て確認できます。
建築段階の家を写真に収めておくことはもちろん、なにか気になることがあればその場で担当者に相談できるでしょう。
昨今では規制の強化により悪質な手抜き工事が減ってはいるものの、まだまだトラブルが絶えないのも事実です。
アフターケア&メンテナンスに力を入れている業者選びも大切
住宅には「住宅瑕疵担保履行法」といった法律が存在します。
これは、万が一住宅に欠陥が見つかった場合に保険への加入や保証金の供託を通じて資金を確保できる法律のことです。(※構造耐力上主要な部分および、雨水の浸入を防止する部分に限る)
得られた資金で欠陥の補修ができることに加え、業者が倒産していたとしても保証対象となります。
とはいえ、この保証は引き渡し後10年以内に限られていることから、アフターケアやメンテナンスサービスに力を入れている業者を選ぶことが大切です。
同じ工法でも保証制度はかなり異なります。構造体、外壁、防水、防蟻、設備保証と項目は多々ありますのできちんと比較してみましょう。
特に構造体と防水の保証範囲を確認しておくべきです。
建売住宅と注文住宅【入居までの期間の違い】
建売住宅では売買契約締結後、住宅ローンを組みさえすればすぐにでも入居可能です。
しかし、注文住宅では一からすべてを作っていく必要があるため、基本的には半年から1年ほどの期間がかかります。
また、住宅を建てるまでに何度も何度も打ち合わせを重ねなければならず、仕事が忙しい方にとっては負担になってしまうこともあるでしょう。
マイホームを一から建てられるといった自由を得られる代わりに、時間や労力がそれ相応にかかることを念頭に置いておくことが大切です。
建売住宅のメリット・デメリット
建売と注文住宅に違いについて理解したところで、ここでは建売住宅のメリット・デメリットについて改めておさらいしてみましょう。
建売住宅のメリットは主に以下の3つです。
● (注文住宅に比べ)手頃な価格で購入できる
● 購入前に建物を実際に見られる
● すぐに入居できる
先述したように、建売住宅は注文住宅に比べて手頃な価格で購入できることが挙げられます。
また、建売住宅の場合、実際に建物の中を見てから購入できることも魅力の一つでしょう。
そこで生活する場のイメージがしやすく、家具なども雰囲気に見合ったものを早いうちから揃えることも可能です。
そして、建売住宅は街の景観を考慮しながら計画的に建てられるため、町並みに統一感があります。
立地も比較的アクセスの良いところに建てられることが多く、生活に不便を感じにくいでしょう。
対するデメリットとして、まとめて販売されることから周囲の建物と外観が統一されていることが多い一方で、そうした特徴を没個性的に感じる人も少なくありません。
完成された建物を購入するため、間取りや設備の自由度が低いことに窮屈さを抱くこともあるでしょう。
また、建売住宅では実際に家を購入してみないと隣にどんな人が住むのかわかりません。
注文住宅では家を建てる前に両隣の家に人が住んでいるケースも多く、お隣さんとの相性や日頃の雰囲気を感じ取ることができます。
建売住宅ではそうした状況を把握できないことから、隣人に関しては運の要素が強いといえるでしょう。
私も営業時代に、設備を変えて欲しいとか外壁の色を変えて欲しいと言われたことはあります。
既に建築済みですので変更は可能ですが新たに費用が発生します。御家族内の優先順位に基づいて妥協すべき点が出てくることは仕方ないと思います。
注文住宅のメリット・デメリット
注文住宅の最大のメリットはなんといっても、設計における自由度の高さです。
間取りや外観、設備など自分の意見を自由に取り入れられるほか、予算の面でもこだわりたいところとそうでないところにメリハリをつけられます。
そのため、人とかぶったデザインになりにくく、ライフスタイルに合ったこだわりのある家を建てられるでしょう。
また、設計時に将来を見越した作りとしておくことで、増改築を検討する際もスムーズに計画を進めることが可能です。
もう一つの利点として、注文住宅ではすでに建物が完成している建売住宅と異なり、建設途中の家もすべて自分の目で確認できます。
現場の写真を撮っておけば改めて建築状況を確認することも出来ます。
手抜き工事を未然に防ぐことに繋がるだけでなく、ちょっとでも気になることがあればその場で工事担当者に質問できるのは魅力的でしょう。
対するデメリットとして、注文住宅である以上、価格が高めに設定されていることが挙げられます。
どこまで外観や内装にこだわるかによっても金額が左右しますが、そもそも建売住宅と比較して工期が長い注文住宅では費用が割高になることは避けられません。
そのため、施工会社を探す際は複数社を比較検討した上で、信頼できるハウスメーカーを見つけることが大切です。
建売住宅・注文住宅どちらに向いている?
ここでは、これまでの話を踏まえ、建売住宅と注文住宅にはそれぞれどういった人が向いているのかについてまとめてみました。
建売住宅に向いている人
建売住宅に向いている人は、次のようなタイプの人です。
● すぐにでも入居したい人
● 購入前に実物を見たい人
● 時間と手間をかけずに戸建てが欲しい人
建売住宅では土地と建物がセットになって販売されていることから、住宅ローンをまとめて借り入れられます。建物が完成していれば銀行の審査も比較的早く進むでしょう。
注文住宅であっても建物のラフプランを提出することでローンを組めるケースがほとんどですが、ローン契約までの早さといった意味では建売のほうが有利です。
また、建売住宅ではローン審査が通ったあとすぐに融資の実行と建物の引き渡しがなされるため、早期に入居可能です。
そのため、子どもの進学時期に合わせたいなどのライフプランを間近に見据えている場合には、建売住宅のがアクションを起こしやすいといえます。
住環境が気に入り、間取りや内容へのこだわりが強くない場合は比較的早期に決断できます。
建売住宅をご覧頂いて1週間後にご契約頂き3週間後にお引き渡しをさせて頂いたお客様もいらっしゃるほどです。
建売住宅についてより詳しく知りたいという方は、下記記事で購入前のチェックポイントをまとめていますので、ぜひご覧ください。
注文住宅に向いている人
注文住宅が向いている人は、次のようなタイプの人です。
● 土地をすでに持っている、建て替えを検討している
● 自由度の高い設計がしたい人
● 外装や内装のデザインにこだわりたい人
土地を買ってから家づくりをする注文住宅では、間取りをほぼ自由に決められます。
そのため、設計段階から将来のライフスタイルを考えてリフォームや増築することを前提とした間取りを作ることも可能です。
また、内装や外装についても自分好みのデザインを詰め込むことができます。
絶対に取り入れたい工法がある、壁紙や塗装の色にまで細かくこだわりたいといった方にはこのうえなく楽しい時間となるでしょう。
価格の高さがネックとして取り上げられる注文住宅ですが、施工会社に前もって希望予算を伝えておくことで調整が可能です。
昔のお客様でしたが、予算は十分あると言われたので希望通りに設計し金額をお伝えしたらそんなに高い金額は払えないと叱責を受けました。
きちんと予算を聞くべきだと痛感しましたが、きちんと予算をお伝え頂くほうがお互い打合せしやすいと思います。
そのため、注文住宅を検討している方は一度相談してみるとよいかもしれません。
注文住宅が気になる方は下記記事で基礎知識を解説していますので、ぜひご覧ください。
注文住宅の基礎知識-成功の秘訣をファイナンシャルプランナーが解説!-
まとめ
今回の記事では建売と注文住宅の違い、またそれぞれのメリット・デメリットについてお伝えしました。
記事の中でも取り上げたように、こだわりの家づくりをしたい方は注文住宅、すでにできた家の中から気に入ったものを購入したい方は建売住宅を選択するとよいでしょう。
また、何年もそこで暮らすことになる家を購入するにあたって、どちらが自身のニーズやライフプランに見合っているかをしっかりと検討することが大切です
曖昧なまま家を決めてしまうと、こんなはずではなかったと後悔することになるかもしれません。
自身の希望や要望を明確にした上で、複数の施工会社を比較検討し、最終的な判断を下すようにしましょう。
なお、当社が提供している「housemarriage」では、住宅コンシェルジュが理想の家づくりのサポートとして、住まいを探す上で重要なハウスメーカーの営業担当者とのマッチングサポートをさせていただきます。住宅購入の予算計画からもご相談を承っております。サービス詳細は以下をご参照ください。
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記事コンセプト
ハウスメーカーの垣根を超えて地域ごとに担当者をご紹介しておりますので、まずは希望地域を絞って頂き、その地域に登録している担当者の様々な趣味嗜好や家づくりに対する熱い思いを確認してください。きっと皆さんの家づくりに対するこだわりをきちんと受け止めてくれて、どうすればその夢を解決できるのか一緒に悩みながらも満足のいく家づくりを導いてくれる担当者に出会えるはずです。担当者との偶然の引き合わせも良いかもしれませんが、ご自身で家づくりのパートナーを指名してしてください。
運営会社情報
会社名
:有限会社ティーエムライフデザイン総合研究所
代表者
:渡辺知光
本社
所在地:〒104-0045 東京都中央区築地2-15-15 セントラル東銀座1002
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