中古住宅購入前に絶対確認すべき注意点〈住宅のプロが解説〉
家づくりの基本
2022/10/12
2023/09/26
「中古物件の購入時に気を付けるポイントは何か」「中古住宅を購入して本当によいのか」などと、不安を抱えている人は多いのではないでしょうか。
中古住宅は新築よりも価格が安いほか、比較的好立地にあるケースがほとんどです。
そのため、購入費用を抑えた上で中古物件を理想の間取りなどにリフォームすることで新築でなくてもマイホームの夢が叶う可能性が高いといえるでしょう。
今回の記事では中古住宅を購入するメリット・デメリットをはじめ、購入前に押さえておきたい注意点について紹介します。
中古住宅を購入するメリットとデメリット
家を探す際に、新築と中古住宅のどちらを購入するか悩む人も少なくありません。
中古住宅といっても築年数は幅広いので選択肢はかなり多くなります。
新築物件を選ぶ理由に満足感が得られることが挙げられますが、中古物件でも自身の好みに合わせてリフォームを行えば理想のマイホームに近づくことも可能です。
実際に中古住宅を購入するメリットとデメリットを確認してみましょう。
中古住宅購入のメリット
中古住宅を購入するメリットは、主に以下の3点です。
● 価格が安い
● 実物を見れるので生活のイメージがしやすい
● 物件の選択肢が広がる
①価格が安い
新築住宅に比べ、中古住宅は価格が安いことが最大のメリットです。新築と比べて、2割から5割ほど安く購入できます。
「2021年度フラット35利用調査」によると、物件の種類別の購入価格平均は以下のようになっています。
物件種別 | 平均購入価格 |
新築マンション | 4,528万円 |
注文住宅 | 3,572万円 |
建売住宅 | 3,605万円 |
土地付注文住宅 | 4,455万円 |
中古マンション | 3,026万円 |
中古戸建 | 2,614万円 |
上記からもわかるように、同じ価格帯であれば新築住宅ではなく中古住宅を選んだ方がより広い家や、最寄り駅から近い住居に住めるでしょう。
また、浮いたお金をリノベーションやリフォーム費用に充てることで、自分の思い描く住居を目指すことも可能です。
②実物を見れるので生活のイメージがしやすい
中古住宅の場合、実際に建物の中を見てから購入できることも魅力の一つでしょう。
そこで生活する場のイメージがしやすく、家具なども雰囲気に見合ったものを早いうちから揃えられます。
また、中古住宅は建築時点で街の景観を考慮しながら建てられていることが多く、町並みに統一感があることも特徴の一つです。立地についても比較的アクセスの良いところに建てられることが多く、生活に不便を感じにくいでしょう。
③物件の選択肢が広がる
希望するエリアが人気エリアに該当する場合、需要が高いことから希望条件に見合う土地が残っていないケースも珍しくありません。
利便性の高い土地はすでに他の住宅によって既に使用されていることが多く、新築住宅となると駅から少し離れた場所を選ばなければならないでしょう。
しかし、中古住宅であればこうした利便性の高い住宅街の中でも、自身の身の丈に合った物件を購入できる可能性が高まります。
新築ではなく中古住宅にまで選択肢を広げることで、理想のマイホームを見つけることができるかもしれません。
中古住宅購入のデメリット
中古住宅の購入にはいくつかのメリットがある一方で、デメリットも存在します。
中古住宅購入時の注意点は主に以下の3点です。
● 新築よりも早く修繕(リフォーム)が必要になる
● 住宅ローン審査が厳しめに設定されている
● 耐震基準の観点で耐震性に不安が残る
さっそくひとつずつ確認していきましょう。
①新築よりも早く修繕(リフォーム)が必要になる
中古住宅の最大のデメリットとして、建物や設備が新築住宅よりも古いことが挙げられます。
古い設備は新しいものに取り替えられますが、設備によっては規格やサイズが見合わなかったり、そもそも設置できないといったケースも少なくありません。
そうした点も踏まえ、中古住宅は意外と住宅維持費(修繕費)が割高になるといえます。
築年数が長くなればなるほど、住宅の故障や不具合が起きやすくなるため、修繕工事を検討しなければならないでしょう。
過去のお客様の事例では、キッチンと洗面所を取り替えようと思ったら設置していた場所の床や壁の木材が腐食していて予定よりも修繕費用がかかった話があります。
そのため、安さに惹かれて購入したにもかかわらず、結果として新築を購入するのと変わらないほど費用がかかってしまったという事態も少なくないのです。
②住宅ローン審査が厳しめに設定されている
中古住宅は新築に比べ、住宅ローン審査が厳しめに設定されています。
なぜなら築年数が経過するほど建物の価値が下がり、金融機関が設定する担保価値が低く見積もられるからです。
違法建築物件や倒産した建築会社の物件ですと金融機関も融資には慎重になりますし、築年数が経過していますと尚更です。
そのため、購入した中古物件の築年数や状況に応じて住宅ローン審査に通らない恐れがあります。
心配な方は前もって資金計画を立てた上で金融機関に相談しておくことはもちろん、住宅ローンの仮審査を検討するとよいでしょう。
③耐震基準の観点で耐震性に不安が残る
中古住宅の購入においては、耐震性に十分な注意が必要です。
1981年に新耐震基準が施行されましたが、それ以前の建物は中型の地震に対する耐久性しか証明されていません。
そのため、大地震に耐えるかどうかのチェックがされておらず、耐震性に不安が残るといえるでしょう。
また、木造住宅の耐震性については「2000年基準」もひとつの目安となります。
これは1995年の阪神淡路大震災において新耐震基準でも倒壊した建物が多数あったことから見直しが行われ、それ以降に建築された木造住宅において適用されている指標です。
具体的には以下のチェック項目が追加されていました。
● 地盤の耐力に応じた基礎の設計がなされているか
● 柱や梁、筋交いの接合部に使用する金具が指定されたものとなっているか
● 耐力壁がバランス良く配置されているか
2000年基準の導入により、2016年に発生した熊本地震では多くの木造住宅が倒壊や崩壊を免れることとなりました。
そのため、中古住宅の購入においては「新耐震基準」と「2000年基準」の両方を満たしているかどうかを確認しましょう。
中古住宅を購入するまでに気を付けたいポイント
中古住宅購入時のメリット・デメリットについて理解したところで、購入時に気をつけたいポイントを時系列順にまとめてみました。
1. 住宅購入前に希望条件を洗い出す
2. 購入に充てられる費用相場を決める
3. 気になる物件の耐震基準や構造を確認する
4. シロアリ被害がないか確認する
5. 間取りや周辺環境を確認する
6. 身の丈に合った住宅ローンを組む
7. 契約不適合責任の内容確認を十分に行う
それぞれひとつずつ、ご紹介します。
1.住宅購入前に希望条件を洗い出す
より理想に近い物件を手に入れるためには、事前に希望条件を明確にしておく必要があります。
というのも、条件が曖昧であると物件の判断基準ができにくいため、購入に至らずに時間だけが過ぎてしまうケースも少なくありません。
希望条件の例として住みたいエリアや間取り、価格などが挙げられるでしょう。
スムーズに希望条件の物件を探すためにも、希望条件の優先順位をつけるほか、妥協できる点も同時に考えておくことをおすすめします。
2.購入に充てられる費用相場を決める
洗い出した条件をもとに、購入に充てられる費用について資金計画を立てていきます。
資金計画を資産や収入に無理が生じるものに設定してしまうと、返済に追われてマイホームを購入したことを後悔してしまうかもしれません。
また、物件以外にも仲介手数料や保険料、印紙代などの費用が物件価格の5~10%程度発生するため、事前に確認しておくことが大切です。
特に中古物件はリフォーム費用の相場を把握しておかないと、思ったよりも費用が高額になってしまうかもしれません。
一般的にリフォームの費用は築年数によって異なり、相場は次のようになります。
● 築10年で50~100万円前後
● 築20年で500万円程度
● 築30年で800万円程度
どこまで手を加えるのかでもかなり変わりますが1つの目安としてください。
物件の費用だけでなく、諸費用も含めた資金計画を立てることが大切です。
3.気になる物件の耐震基準や構造を確認する
中古住宅を選ぶ基準として「耐震性」と「構造」が挙げられます。
築年数が一定年数経過している中古住宅の場合、過去に生じた災害によって建物にヒビやダメージが生じている恐れがあります。
また、場合によっては耐震基準が古いものであるなど、建物の構造そのものに欠陥があるケースも少なくありません。
耐震性を確認する際、チェックしておきたいのが「地盤の強さ」です。
地盤が緩いと災害が発生した際に地盤沈下や液状化といった被害に遭う恐れが高まります。地盤の強さについては住宅地盤情報提供システムの「ジオダス」や国交省の「ハザードマップポータルサイト」で確認可能です。
ほかにも再建築不可物件ではないか、違法改造や増築がされていないかといった事項についても確認を行いましょう。
特に違法建築の物件を購入してしまうと、増改築ができないことはもちろん、金融機関から住宅ローンの借入ができないことがあります。
なお、違法建築かどうかを確認する際は「検査済証」をチェックする方法が最も確実です。
検査済証が手元に見当たらない場合、建築確認を依頼した建築業者などに確認することで再発行を依頼できるほか、市町村によっては建築確認台帳の記載事項証明書の交付を行ってくれる場合があります。
4.シロアリ被害がないか確認する
中古住宅特有の懸念点として「シロアリ被害」があります。
住宅がシロアリによる被害を受けると床にたわみが生じたり、住宅の基礎部分に食害が出たりするケースがほとんどです。
また、そのまま数年間にわたって放置することで柱や梁にまで被害が及ぶことも少なくありません。
柱や梁が傷んだ結果、最終的には建物の倒壊に至るケースもあり、シロアリ被害はまさに中古住宅における大きなリスク要因といえるでしょう。
シロアリ被害が疑われる中古物件を避けるためにも、内覧時は床や天井の状態をわすれずにチェックしてください。
5.間取りや周辺環境を確認する
物件選びにおいては「将来の計画に合った間取りになっているか」を考えることも大切です。
たとえば、新婚さんが2人で新生活をスタートするとしましょう。
それまでは1LDKの間取りがあれば暮らせたかもしれませんが、将来子どもが欲しいとばれば3LDK前後の間取りがほしいところです。
買い換えを前提で選んでいるのであれば、そのときに応じて臨機応変な間取り選びが可能となりますが、一般的には最初から少し広めの間取りで検討するようにしましょう。
また、増改築の可否を確認しておくことも大切です。先に述べたように、必要に応じて部屋を増やしたい、老後を見据えて改築したいといったニーズが生じることがあるかもしれません。そのような場合に増改築可の物件であれば、柔軟な対応が可能です。
そして、たとえどんなに希望に見合った素敵な物件だとしても周辺の生活環境に不満があると長期にわたって住み続けられない恐れが高まります。
防犯上不安が高い、通勤・通学で非常に危険な箇所がないかなど、実際に自分の足で歩いてチェックすることが大切です。
なお、周囲にどういった人が住んでいるのかもあわせて確認しておくとさらに安心できるでしょう。
6.身の丈に合った住宅ローンを組む
中古住宅に限らず、マイホームの購入にあたって住宅ローンを組む方も多いですよね。
「超低金利時代」と呼ばれる昨今では比較的手軽に住宅ローンを組めますが、その一方で金利の安さから身の丈に合わないローンを組んでしまい、破産予備軍となってしまうケースも散見されます。
住宅ローンは長期にわたって返済し続けるローンであることから、必ず身の丈に合った借入額を設定するようにしましょう。
7.契約不適合責任の内容確認を十分に行う
中古住宅を購入した後、物件に不具合や欠陥が見つかった場合には契約不適合責任(旧:瑕疵担保責任)によって売主から買主に賠償金や修繕費が支払われることがあります。
しかし、契約不適合責任の期間は個人間取引の場合には3ヶ月程度が一般的とされており、中古住宅購入時点で期間が終了しているケースも少なくありません。
そのため、必ず責任期間がいつまでなのかを確認するようにしましょう。
契約不適合責任のあとも長期的に瑕疵の保証をして欲しい場合、「既存住宅売買瑕疵保険」を検討することをおすすめします。
保険の詳細については追って詳しくお伝えしますが、この制度を利用することによって、契約不適合責任の責任期間満了後であっても保険額に見合った修繕費用を受け取ることが可能です。
中古住宅購入の不安解消に役立つ3つのコツ
ここでは、中古住宅購入の不安解消に役立つコツを3つ、取り上げてみました。
①ホームインスペクションを行う
ホームインスペクションとは、雨漏りやシロアリ被害、建物の傾きなどの劣化状況や新築時の施工不良などについて建物に精通したプロに診断してもらうサービスのことです。また、ホームインスペクションを行う人のことを「ホームインスペクター」と呼びます。
住宅を診断してもらったあと、改修すべき箇所やその時期、目安費用などについてアドバイスをもらえるケースが一般的です。
費用相場は約5〜10万円となっており、なにかと不具合が多い中古住宅において前向きに検討すべきサービスのひとつといえるでしょう。
なお、ホームインスペクションを利用する際は売主でなく購入希望者が第三者に依頼することをおすすめします。
中には仲介をしている不動産会社が指定したホームインスペクションサービスの利用を勧められることがありますが、できれば避けた方が無難です。
というのも、ホームインスペクション会社からすれば不動産会社から仕事をもらっている手前、正直に結果を報告するのをためらうケースが少なくないからです。
よって、ホームインスペクションを利用する際は買主が自ら第三者に依頼するようにしましょう。
②既存住宅売買疵保険に入る
「既存住宅売買瑕疵保険」とは、中古住宅の検査と保証がセットになった保険制度のことです。
中古住宅購入時には発見できなかった住宅の不具合や欠陥が見つかった場合に、その修繕費用などを補償してくれます。
中古住宅でなく、新築住宅の場合には住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)が定められています。
そのため、住宅が引き渡されてから10年間は瑕疵があった際に補修したり損害賠償を負ったりする義務が売主に課せられています。
しかし、中古住宅はこの品確法の対象に含まれていません。瑕疵担保責任についても、売買契約の際に瑕疵担保責任を免除するか、保証期間を短期間(数ヶ月程度)に限定するケースがほとんどです。
そうした場合に備え、「既存住宅売買瑕疵保険」に加入していれば買主負担となる修繕費用などについても、補償を受けられます。
ホームインスペクションと同様、前向きに利用を検討したい事項のひとつです。
③リフォーム一体型ローンを利用する
リフォーム一体型ローンとは、リフォームと住宅購入費用をセットで借り入れられるローンのことです。1つの契約でリフォーム費用と住宅購入資金を借りられることから、管理が楽でわかりやすいといったメリットがあります。
また、リフォーム一体型ローンは一般的な住宅ローンと同様に0.5%~1%台の低金利が適用されます。低金利で借り入れられるリフォーム一体型ローンであれば、返済負担を大きく軽減できるでしょう。
とはいえ、返済期間が長くなる傾向にあるため、支払利息の総額が高くなるケースも少なくありません。
利用を検討する際は前もってファインナンシャルプランナーをはじめとした、お金のプロに相談することをおすすめします。
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まとめ
今回の記事では中古住宅購入前の注意点について、ご紹介しました。
中古住宅は、物件選びを間違わなければ新築よりも低価格で希望条件に見合った住まいに住める可能性を秘めているといえるでしょう。記事を参考に注意点をひとつずつ確認しながら、中古住宅の購入計画を策定することをおすすめします。
また、実際に購入する際は住宅ローンを組む方がほとんどかと思いますが、必ず身の丈に合ったローン計画を策定するようにしましょう。余裕のないローンを組んでしまうと、返済が滞り、場合によっては破産してしまう可能性も否定できません。
頼れるところは専門家の力を借りつつ、中古住宅の購入成功に向けて一歩踏み出してみましょう。
なお、当社が提供している「housemarriage」では、住宅コンシェルジュが理想の家づくりのサポートとして、住まいを探す上で重要なハウスメーカーや工務店の営業担当者とのマッチングサポートをさせていただきます。住宅購入の予算計画からもご相談を承っております。サービス詳細は以下をご参照ください。
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ハウスメーカーの垣根を超えて地域ごとに担当者をご紹介しておりますので、まずは希望地域を絞って頂き、その地域に登録している担当者の様々な趣味嗜好や家づくりに対する熱い思いを確認してください。
きっと皆さんの家づくりに対するこだわりをきちんと受け止めてくれて、どうすればその夢を解決できるのか一緒に悩みながらも満足のいく家づくりを導いてくれる担当者に出会えるはずです。
担当者との偶然の引き合わせも良いかもしれませんが、ご自身で家づくりのパートナーを指名してしてください。
運営会社情報
会社名
:有限会社ティーエムライフデザイン総合研究所
代表者
:渡辺知光
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