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地震に強い家の基礎づくり~地盤調査や地盤改良のポイント~

家づくりの基本

2024/07/29

2024/07/30

記事監修者

1級ファイナンシャル・プランニング技能士 / 渡辺 知光

地震に強い家の基礎づくり~地盤調査や地盤改良のポイント~

地震の多い日本では、住宅の耐震性能を考える上で地盤の問題は避けて通れません。どんなに建物自体の耐震性能が高くても、その土台となる地盤が弱ければ、地震時に大きな被害を受ける可能性があります。この記事では、耐震という視点から地盤の重要性と、地盤調査から対策までの流れについて詳しく解説します。

目次

地盤調査のポイントについて

安心できる家づくりのための重要なステップ

地盤調査は、安心できる家づくりのための重要なステップです。その重要性と具体的な内容について、詳しく解説します。

1. 地盤調査の重要性

地盤調査が重要な理由は以下の通りです。

・建物の安全性確保:地盤の状態を知ることで、適切な基礎設計が可能になります。

・将来的なリスク回避:不同沈下や液状化などの問題を事前に予測し、対策を講じることができます。

・コスト最適化:必要十分な対策を行うことで、過剰な工事を避け、コストを最適化できます。

・耐震性能の向上:地盤の特性に合わせた設計により、建物全体の耐震性能が向上します。

2. 地盤調査の実施時期

地盤調査は通常、建築プラン作成後に実施されます。この時期に行う理由は、

・建物の規模や構造が決まっていると、より適切な調査計画が立てられる

・調査結果に基づいて、建築プランの微調整が可能

・地盤改良が必要な場合、早い段階で対策を検討できる

3. 地盤調査の費用

一般的に、地盤調査の費用は5~10万円程度です。この費用に影響する要因としては、主に下記があります。

・調査方法(スウェーデン式サウンディング、ボーリング調査など)

・調査の範囲や深さ

・地域による差

・調査会社による差

4. 地盤調査の具体的な内容

地盤調査では主に以下の項目を確認します。

・地盤の硬さ:建物を支える力があるか

・地層の構成:軟弱層の有無や厚さ

・地下水位:高すぎると建物に悪影響を及ぼす可能性がある

・液状化の可能性:地震時に地盤が液状化するリスク

・近隣の地盤データ:周辺地域の地盤特性

5. 地盤調査後の対応

調査結果に基づいて、以下の対応を検討します。

・基礎設計の最適化:地盤の強度に合わせた基礎の設計

・地盤改良の必要性判断:軟弱地盤の場合、改良工事の検討

・建築プランの見直し:必要に応じて、建物の規模や構造の再検討

・追加調査の実施:より詳細な情報が必要な場合

6. 施主の関与

地盤調査において、施主も積極的に関与することが重要です。

・調査結果の説明を求める

・不明点は遠慮なく質問する

・必要に応じて第三者の専門家に相談する

・調査結果を踏まえた対策案について、建築会社と十分に話し合う

地盤調査は、単なる形式的な手続きではなく、安全で快適な家づくりのための重要なステップです。この段階でしっかりと地盤の状態を把握し、適切な対策を講じることで、長期的に見て安心できる住まいを実現することができます。

改良が必要な土地は3件に1件くらい

地盤調査の結果、約3件に1件の割合で何らかの地盤改良が必要だと言われています。この統計について、より詳しく解説します。

1. 統計の意味

「3件に1件」という統計は以下を意味します。

・全国平均的な数値であり、地域によって大きく異なる可能性がある

・完全に改良が必要というわけではなく、軽微な改良も含む

・この割合は年々変動する可能性がある(都市開発や気候変動の影響など)

2. 地盤改良が必要となる主な理由

地盤改良が必要と判断される主な理由には以下があります。

・軟弱地盤:支持力が不足している

・不同沈下のリスク:地盤の強度にばらつきがある

・液状化の可能性:砂質地盤で地下水位が高い

・盛土地盤:人工的に造成された地盤で安定性に欠ける

・傾斜地:斜面の安定性に問題がある

3. 地域による違い

地盤改良の必要性は地域によって大きく異なります。

・海岸部や河川近く:軟弱地盤や液状化リスクが高い傾向

・山間部:岩盤が露出している場合は改良不要の可能性が高い

・都市部:過去の開発履歴により地盤状況が複雑

4. 改良の程度による分類

必要な改良の程度は様々です。

・軽微な改良:表層改良など比較的簡単な工事で対応可能

・中程度の改良:柱状改良など一般的な工法で対応

・大規模な改良:杭打ちなど大掛かりな工事が必要

5. 改良が必要な場合の対応

地盤改良が必要と判断された場合の一般的な流れ。

1. 建築会社から詳細な説明を受ける

2. 改良工事の方法と費用の提示

3. 必要に応じて第三者の専門家に相談

4. 改良工事の実施を決定

5. 工事後の再調査で効果を確認

6. 改良不要と判断された場合の注意点

地盤改良が不要と判断された場合でも、以下の点に注意が必要です。

・調査結果の詳細な説明を受ける

・将来的なリスクについても確認する

・必要に応じて追加調査を検討する

7. コストと価値のバランス

地盤改良は追加コストを必要としますが、以下の価値があります。

・建物の長期的な安全性確保

・地震時の被害リスク低減

・資産価値の維持・向上

・住む人の安心感

「3件に1件」という統計は、決して珍しいことではないことを示しています。むしろ、地盤改良の必要性が判明したことで、事前に適切な対策を講じることができるという前向きな視点で捉えることが大切です。地盤改良は追加コストを必要としますが、長期的な安全性と資産価値を考えると、必要な投資と言えるでしょう。ただし、改良の必要性や方法については、複数の専門家の意見を聞くなど、慎重に判断することが重要です。

調査報告書を確認し施主からも働きかけを

地盤調査の結果は、専門的な調査報告書としてまとめられます。この報告書の内容を施主も積極的に確認し、必要に応じて説明を求めることが重要です。ここでは、施主が取るべき行動と、その重要性について詳しく解説します。

1. 調査報告書の確認

施主が確認すべき主な項目

・地盤の強度:N値(地盤の硬さを示す指標)の分布

・地層の構成:各層の厚さと特性

・地下水位:地下水の深さと変動

・液状化の可能性:地震時の液状化リスク

・支持層の深さ:建物を支える地盤の深さ

・推奨される基礎工法:地盤状況に適した基礎の種類

2. 専門用語の理解

報告書には多くの専門用語が使用されます。理解が難しい場合は、

・建築会社に説明を求める

・インターネットや書籍で調べる

・必要に応じて第三者の専門家に相談する

3. 質問リストの作成

報告書を読んで疑問点があれば、質問リストを作成しましょう。

・不明な点や気になる点をメモする

・具体的にどのような影響があるのか確認する

・改善策や代替案についても質問を準備する

4. 建築会社との対話

建築会社との対話で重要なポイント

・遠慮せずに質問する

・専門用語は平易な言葉で説明してもらう

・具体的な数値や根拠を求める

・複数の選択肢がある場合、それぞれのメリット・デメリットを確認する

5. 第三者の専門家への相談

必要に応じて、建築会社以外の専門家に相談することも検討しましょう。

・地盤工学の専門家

・構造設計の専門家

・建築士

6. 追加調査の検討

調査結果に不明点や疑問点が多い場合

・追加のボーリング調査

・異なる調査方法の実施

・周辺地域のデータ収集

7. 地盤改良の必要性と方法の確認

地盤改良が必要な場合

・改良の具体的な方法

・改良後の期待される効果

・改良工事にかかる費用と期間

・代替案の有無

8. 長期的な影響の確認

地盤状況が建物に与える長期的な影響について確認

・経年による沈下の可能性

・地震時の挙動予測

・メンテナンスの必要性

9. 記録の保管

調査報告書と関連資料は大切に保管しましょう。

・将来のリフォームや増築時に参考になる

・不動産売却時の重要な資料となる

・災害時の保険請求に役立つ可能性がある

施主が積極的に調査報告書を確認し、建築会社と対話することは、安全で快適な家づくりの第一歩となります。専門知識がなくても、疑問点を明確にし、納得するまで説明を求めることが重要です。この過程を通じて、自分の家の特性をよく理解し、より良い判断ができるようになります。建築会社とのコミュニケーションを深め、共に最適な解決策を見出していくことが、理想の家づくりにつながります。

地盤調査から対策までの流れ

地盤調査から対策までの流れは、安全な家づくりの基礎となる重要なプロセスです。ここでは、その詳細な流れについて解説します。

1. 地盤の調査

地盤調査は通常、以下の手順で行われます。

1. 事前調査

・地形図や地質図の確認

・周辺の建物の状況確認

・過去の災害履歴の確認

2. 現地調査

・目視による地盤の状態確認

・簡易的な調査(携帯型の貫入試験など)

3. 本格的な地盤調査

・スウェーデン式サウンディング試験:最も一般的な方法

・ボーリング調査:より詳細な地層の状態を把握

・表面波探査:地盤の振動特性を調べる

4. サンプリングと室内試験

・土壌サンプルの採取

・含水比や密度などの物理特性試験

・必要に応じて化学分析

2. 調査結果の分析

調査結果を基に、専門家が以下の分析を行います。

・地盤の支持力計算

・沈下量の予測

・液状化リスクの評価

・地震時の挙動予測

3. 建築会社から施主への報告

分析結果を基に、建築会社から施主へ報告が行われます。

・調査結果の概要説明

・地盤の状態と問題点の指摘

・想定されるリスクの説明

・推奨される対策の提案

・対策にかかる概算費用の提示

4. 対策(補強工事)の検討

地盤の状態に応じて、以下のような対策が検討されます。

1. 表層改良

・セメント系固化材による地盤の固化

・浅い深度の軟弱層対策に有効

2. 柱状改良

・地中に柱状の改良体を造成

・中程度の深さまでの改良に適する

3. 杭打ち

・支持層まで杭を打ち込む

・深い軟弱層がある場合に有効

4. 置換工法

・軟弱土を良質な土に置き換える

・比較的浅い軟弱層の対策に適する

5. 対策方法の決定

施主と建築会社で協議し、最適な対策方法を決定します。

・効果と費用のバランスを考慮

・工期への影響を確認

・周辺環境への影響を検討

・将来的なメンテナンス性も考慮

6. 補強工事の実施

決定した対策方法に基づいて補強工事を実施します。

・工事計画の立案

・必要な許認可の取得

・近隣への説明と了解

・工事の実施

・品質管理と記録

7. 効果の確認

補強工事後、その効果を確認します。

・事後調査の実施(必要に応じて)

・補強効果の数値的な検証

・施主への報告と説明

8. 記録の保管と引き渡し

全てのプロセスが完了したら。

・調査報告書、工事記録などの資料を整理

・施主への資料の引き渡しと説明

・将来のメンテナンス計画の提案

この一連の流れを通じて、地盤の状態を正確に把握し、適切な対策を講じることで、安全で耐久性の高い住宅を建設することができます。施主は各段階で積極的に質問し、理解を深めることが重要です。また、必要に応じて第三者の専門家に相談することも検討しましょう。地盤は目に見えない部分ですが、住宅の安全性と快適性を長期的に支える重要な要素です。

よくある質問(Q&A)について詳しく

地盤調査や地盤改良に関して、多くの方が疑問や不安を抱えています。ここでは、よくある質問とその回答を詳しく解説します。

Q1: 地盤調査は必ず必要ですか?

A1: はい、安全な家づくりのためには必須です。

・建築基準法で義務付けられている

・地盤の状態を知ることで、適切な基礎設計が可能になる

・将来的な不同沈下や地震時の被害リスクを軽減できる

・調査費用は全体の建築コストから見れば少額

Q2: 地盤改良が必要と言われました。費用はどのくらいかかりますか?

A2: 地盤の状態や改良方法によって大きく異なりますが、一般的に50万円から数百万円程度です。

・表層改良:50万円〜100万円程度

・柱状改良:100万円〜300万円程度

・杭打ち工法:300万円〜1000万円程度

・工法の選択や範囲によって大きく変動する ・正確な費用は個別の見積もりが必要

Q3: 地盤改良をしなかった場合、どのようなリスクがありますか?

A3: 以下のようなリスクが考えられます。

・地震時に建物が大きく傾いたり、最悪の場合倒壊する可能性

・経年による不同沈下で建物にゆがみが生じる可能性

・ドアや窓の開閉不良

・壁や床のひび割れ

・配管の破損や水漏れ

・資産価値の低下

Q4: 地盤改良の工期はどのくらいですか?

A4: 改良方法や規模によって異なりますが、一般的には以下の通りです。

・表層改良:1〜3日程度

・柱状改良:3〜7日程度

・杭打ち工法:1〜2週間程度

・天候や現場条件によって変動する可能性がある

Q5: 地盤改良後も定期的なメンテナンスは必要ですか?

A5: 通常、地盤改良自体に定期的なメンテナンスは不要ですが、以下の点に注意が必要です。

・建物全体の定期点検は必要

・地盤沈下や建物の傾きがないか注意深く観察する

・大きな地震の後は専門家による点検を推奨

・敷地内の排水状態を良好に保つ

Q6: 古い家を購入しましたが、地盤調査は必要ですか?

A6: 古い家の購入時や大規模リフォームの際には、地盤調査を行うことをおすすめします。

・建築当時の地盤状況が不明な場合がある

・経年による地盤の変化を確認できる

・必要に応じて補強対策を検討できる

・将来的な安全性と資産価値の維持につながる

Q7: 液状化の可能性がある地域ですが、対策は可能ですか?

A7: はい、液状化対策は可能です。主な方法は以下の通りです。

・固結工法:地盤を固める

・置換工法:液状化しやすい土を良質な土に置き換える

・締固め工法:地盤を締め固める

・杭基礎:液状化層より深い支持層まで杭を打ち込む

・具体的な対策方法は、地盤調査の結果に基づいて決定する

Q8: 地盤のことをよく知らないのですが、建築会社の言うことを全て信じても大丈夫ですか?

A8: 基本的には建築会社を信頼することが大切ですが、以下の点に注意しましょう。

・複数の建築会社から見積もりを取る

・説明を十分に受け、納得するまで質問する

・必要に応じて第三者の専門家(地盤工学の専門家や構造設計士など)に相談する

・調査報告書や見積書をしっかり確認する

・業界標準や一般的な相場と大きく異なる提案には注意が必要

これらの質問と回答は、地盤に関する基本的な疑問点をカバーしています。ただし、個々の状況によって最適な対応は異なるため、具体的な案件については専門家に相談することをおすすめします。地盤は目に見えない部分ですが、家の安全性と快適性に大きく影響するため、十分な理解と適切な対策が重要です。

まとめ

地盤調査と適切な対策は、耐震性能の高い安全な家づくりの基本です。費用はかかりますが、長期的に見れば家族の安全と財産を守る重要な投資といえるでしょう。地盤調査の結果をよく理解し、必要に応じて適切な改良工事を行うことで、地震に強い安心な住まいを実現することができます。専門家とよく相談しながら、最適な対策を講じることをおすすめします。

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記事監修者

1級ファイナンシャル・プランニング技能士 / 渡辺 知光

大学卒業後、積水化学工業に入社し住宅「セキスイハイム」を販売。3年8カ月千葉県内で営業に従事し、営業表彰を6期連続受賞。
途中、母の急死に直面し、自分の将来について悩み始める。結果、大学のゼミで学んだ「保険」事業に実際に携わりたいと思いFP資格を取得して日本生命に転職。4年間営業に従事したが、顧客に対して提供出来る商品がなく退職を決意。FP兼保険代理店を開業する。

収入も顧客もゼロからのスタート。しかも独立直前に結婚し住宅購入した為、返済不安に陥り貯蓄が日々減っていく恐怖を覚える。

人生で初めて家計の見直しを行い、根本的な改善により失敗と不安を減らすコツを発見。自分の経験を生かしお客様が同じ道を歩まないよう伝えるべく「マイホーム検討者向けFP」として活動中。

運営会社情報

  • 会社名

    :有限会社ティーエムライフデザイン総合研究所

  • 代表者

    :渡辺知光

  • 本社
    所在地

    :〒104-0045 東京都中央区築地2-15-15 セントラル東銀座1002

  • アクセス

    :地下鉄日比谷線築地駅より徒歩3分

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