housemarriage

住宅の「基礎・構造」から学ぶ、耐震構造の基本

家づくりの基本

2024/07/30

2024/07/31

記事監修者

1級ファイナンシャル・プランニング技能士 / 渡辺 知光

住宅の「基礎・構造」から学ぶ、耐震構造の基本

地震大国と呼ばれる日本において、住宅の耐震性能は非常に重要です。大切な家族の命と財産を守るためにも、耐震性能の高い住宅づくりが求められます。本記事では、耐震の観点から住宅の基礎・構造について詳しく解説します。安全で快適な住まいづくりの参考にしていただければ幸いです。

住宅の基礎・構造について

木造軸組工法の住宅における耐震性能を高めるためには、基礎、耐力壁、そして補強金物の3つが重要なポイントとなります。これらの要素をバランスよく組み合わせることで、地震に強い住宅を実現することができます。

基礎は建物を一体化する役割をしている

基礎は住宅の土台となる部分であり、建物全体を支える重要な役割を果たしています。地震の際には、基礎が建物を一体化させることで、揺れに対する抵抗力を高めます。近年では、べた基礎と呼ばれる工法が主流となっており、建物の床下全面にコンクリートを打設することで、高い耐震性能を実現しています。

壁量とバランスのとれた配置が構造部のポイント

耐力壁は、地震の揺れに対して抵抗する役割を担う壁のことです。適切な壁量を確保し、バランスよく配置することが重要です。壁量が不足していたり、偏った配置になっていたりすると、地震時に建物が変形しやすくなってしまいます。特に、1階と2階の耐力壁の位置を合わせることで、効果的に揺れを抑えることができます。

木材同士の接合部を補強金物で緊結する

木造住宅では、柱や梁などの木材同士の接合部が弱点となりやすいため、補強金物を用いて緊結することが重要です。適切な補強金物を使用することで、接合部の強度が向上し、建物全体の耐震性能が高まります。特に、筋交いプレートや羽子板ボルトなどの金物は、木造住宅の耐震性能を大きく向上させる効果があります。

住宅の基礎

住宅の基礎は、建物全体を支える重要な役割を果たします。耐震性能を高めるためには、適切な基礎の選択と施工が不可欠です。ここでは、住宅の基礎について詳しく解説します。

基礎の種類

住宅の基礎には主に以下の種類があります。

・布基礎:従来から使われてきた基礎で、建物の外周部と荷重のかかる内部の壁の下にコンクリートの帯を巡らせます。

・べた基礎:建物の床下全面にコンクリートを打設する工法で、近年主流となっています。

・杭基礎:軟弱地盤や傾斜地などで用いられ、地中深くまで杭を打ち込んで建物を支えます。

べた基礎の特徴と利点

べた基礎は耐震性能を高める上で非常に効果的です。主な特徴と利点は以下の通りです。

・地盤との接地面積が大きいため、建物の沈下や不同沈下を防ぎやすい

・基礎全体の剛性が高く、地震の揺れに強い

・床下空間が密閉されるため、湿気対策や断熱性能の向上にも効果的

・布基礎と比べて工期が短縮できる

基礎と地盤の関係

どんなに優れた基礎でも、地盤が弱ければその性能を十分に発揮できません。そのため、基礎を施工する前に適切な地盤調査を行うことが重要です。軟弱地盤の場合は、以下のような地盤改良工事を検討する必要があります。

・柱状改良工法:地中にセメント系固化材を注入し、柱状の改良体を造成

・表層改良工法:表層部分の土とセメント系固化材を混合し、地盤を強化

・鋼管杭工法:鋼管を地中に打ち込み、支持層まで到達させる

基礎の施工における注意点

基礎の性能を最大限に引き出すためには、適切な施工が不可欠です。以下の点に注意が必要です。

・コンクリートの品質管理:適切な強度のコンクリートを使用し、打設時の温度管理や養生を適切に行う

・鉄筋の配筋:設計図通りに正確に配筋し、かぶり厚さを確保する

・防湿対策:防湿シートの敷設や排水溝の設置など、適切な防湿対策を講じる

・アンカーボルトの設置:土台との接合に使用するアンカーボルトを正確に設置する

基礎のメンテナンス

基礎は目に見えにくい部分ですが、定期的な点検とメンテナンスが重要です。以下のような点に注意しましょう。

・クラックの有無:小さなひび割れでも放置すると大きくなる可能性があるため、早期発見・早期対応が大切

・湿気や水漏れ:床下の湿気や水漏れは基礎の劣化を招く原因となるため、定期的な点検が必要

・白華現象:コンクリート表面に白い粉が析出する現象で、進行すると強度低下の原因となる

基礎は住宅の耐震性能を左右する重要な要素です。適切な基礎の選択と施工、そして定期的なメンテナンスにより、安全で長持ちする住まいを実現しましょう。不安な点がある場合は、専門家に相談することをおすすめします。

住宅の構造

住宅の構造は、建物全体の骨組みを形成し、耐震性能を大きく左右する重要な要素です。ここでは、一般的な木造住宅を中心に、構造について詳しく解説します。

木造住宅の主な構造形式

木造住宅には主に以下の構造形式があります。

・在来軸組工法:日本の伝統的な工法で、柱や梁を組み合わせて骨組みを作ります。

・枠組壁工法(ツーバイフォー工法):北米で発展した工法で、規格化された木材で壁や床を構成します。

・木質パネル工法:工場で製作された大型のパネルを現場で組み立てる工法です。

耐震性能を高める構造的ポイント

木造住宅の耐震性能を高めるには、以下のポイントが重要です:

・適切な壁量の確保:建物の床面積や階数に応じて、必要十分な耐力壁を設けます。

・バランスの取れた壁配置:建物全体でバランスよく耐力壁を配置し、偏心を防ぎます。

・接合部の強化:柱や梁の接合部を金物で適切に補強し、建物の一体性を高めます。

・水平剛性の確保:床や屋根の面材を適切に配置し、建物全体の剛性を高めます。

耐力壁の重要性

耐力壁は地震や風の力に抵抗する重要な要素です。主な耐力壁には以下のようなものがあります。

・筋交い:斜めに入れた部材で、引張力に抵抗します。

・構造用合板:面材を釘で留め付けることで、せん断力に抵抗します。

・土壁:伝統的な工法で、粘りがあり変形に強い特徴があります。

金物による補強

木造住宅の弱点である接合部を補強するため、様々な金物が使用されます。

・ホールダウン金物:柱の引き抜きを防ぎます。

・筋交いプレート:筋交いと柱・土台の接合部を補強します。

・羽子板ボルト:土台と柱の接合を強化します。

構造計算の重要性

耐震性能を確実に確保するためには、適切な構造計算が不可欠です。構造計算では以下のような検討を行います。

・必要壁量の算定:建物の規模や地域の地震力に基づいて必要な耐力壁の量を計算します。

・偏心率の確認:耐力壁の配置バランスを数値化し、ねじれの影響を評価します。

・許容応力度計算:各部材に作用する力が許容値以内に収まっているか確認します。

新しい構造技術

近年では、さらなる耐震性能の向上を目指して新しい技術も開発されています。

・制震装置:建物に加わる振動エネルギーを吸収し、揺れを低減します。

・木質ハイブリッド構造:木造と鉄骨造を組み合わせ、それぞれの長所を活かします。

・CLT工法:直交集成板を用いた新しい木造建築の工法です。

住宅の構造は、その家の耐震性能を決定づける重要な要素です。適切な構造設計と施工により、地震に強く、長く安心して住める家を実現することができます。構造に関して不安や疑問がある場合は、建築士や構造設計の専門家に相談することをおすすめします。

よくある質問(Q&A)

耐震性能に関する疑問や不安は多岐にわたります。ここでは、よくある質問とその回答をまとめました。

Q1: 新築と耐震リフォームでは、どちらが耐震性能を高めやすいですか?

A1: 一般的に、新築の方が耐震性能を高めやすいと言えます。新築では設計段階から耐震性能を考慮できるため、基礎や構造体全体で効果的な対策が可能です。一方、耐震リフォームでは既存の構造に制約があるため、できる対策に限りがあります。ただし、適切な耐震診断と補強工事により、既存住宅でも十分な耐震性能を確保することは可能です。

Q2: 耐震等級3と制震構造では、どちらが地震に強いのでしょうか?

A2: 一概にどちらが強いとは言えません。耐震等級3は建物自体の強度を高めることで地震に耐える方式であり、制震構造は地震エネルギーを吸収して建物の揺れを抑える方式です。それぞれ特徴が異なるため、建築地の条件や建物の用途に応じて選択するのが良いでしょう。理想的には、耐震等級3を満たしつつ制震装置も導入することで、より高い安全性を確保できます。

Q3: 木造と鉄骨造、どちらが耐震性に優れていますか?

A3: 両者にはそれぞれ特徴があり、一概にどちらが優れているとは言えません。木造は軽量で柔軟性があり、地震エネルギーを吸収しやすい特徴があります。一方、鉄骨造は強度が高く、大きな開口部を設けやすいという利点があります。どちらの構造でも、適切な設計と施工により高い耐震性能を実現できます。選択の際は、建築地の条件やライフスタイル、メンテナンス性なども考慮しましょう。

Q4: 耐震性能を高めると、家の寿命は延びますか?

A4: 耐震性能を高めることで、大地震時の倒壊リスクが低減され、結果として家の寿命が延びる可能性は高くなります。ただし、家の寿命は耐震性能だけでなく、日常的なメンテナンスや使用状況、環境条件なども大きく影響します。耐震性能と併せて、適切な維持管理を行うことで、より長く安全に住み続けることができるでしょう。

Q5: 耐震性能を高めると、光熱費は下がりますか?

A5: 耐震性能と光熱費には直接的な関係はありませんが、耐震改修工事と同時に断熱性能を向上させることで、結果的に光熱費の削減につながる可能性があります。例えば、壁を補強する際に断熱材を充填したり、開口部の耐震性を高める際に高性能サッシに交換したりすることで、家全体の断熱性能が向上し、冷暖房効率が上がります。

Q6: 耐震性能の高い家は、地震保険料が安くなりますか?

A6: はい、耐震性能が高い住宅では地震保険料が割引になる制度があります。例えば、耐震等級割引では、耐震等級に応じて最大50%の割引が適用されます。また、耐震診断割引や建築年割引なども存在します。ただし、割引の適用には所定の確認書類が必要となりますので、詳細は保険会社にお問い合わせください。

耐震性能に関する疑問は、家族の安全や資産価値に直結する重要な問題です。不明点がある場合は、建築士や構造設計の専門家に相談することをおすすめします。専門家のアドバイスを受けることで、より安全で快適な住まいづくりが可能となります。

まとめ

住宅の耐震性能を高めるためには、基礎、構造、そして補強金物など、様々な要素を総合的に考慮する必要があります。特に木造住宅の場合、適切な基礎の選択、十分な壁量の確保とバランスの取れた配置、そして補強金物による接合部の強化が重要なポイントとなります。

耐震性能の高い住宅は、地震時の安全性を高めるだけでなく、日常生活における快適性や資産価値の維持にもつながります。自然災害が多い日本において、耐震性能にこだわった家づくりは非常に重要です。専門家のアドバイスを受けながら、安全で快適な住まいづくりを目指しましょう。

なお、当社が提供している「housemarriage」では、住宅コンシェルジュが理想の家づくりのサポートとして、住まいを探す上で重要なハウスメーカーや工務店の営業担当者とのマッチングサポートをさせていただきます。住宅購入の資金計画の相談・作成や、相性良く親身になってくれる「営業担当者」をご紹介します。家づくりに関して少しでも不安を感じるようであれば、お問い合わせください。

サービスについて
詳しく知りたい方はこちら

この記事のタグ

記事監修者

1級ファイナンシャル・プランニング技能士 / 渡辺 知光

大学卒業後、積水化学工業に入社し住宅「セキスイハイム」を販売。3年8カ月千葉県内で営業に従事し、営業表彰を6期連続受賞。
途中、母の急死に直面し、自分の将来について悩み始める。結果、大学のゼミで学んだ「保険」事業に実際に携わりたいと思いFP資格を取得して日本生命に転職。4年間営業に従事したが、顧客に対して提供出来る商品がなく退職を決意。FP兼保険代理店を開業する。

収入も顧客もゼロからのスタート。しかも独立直前に結婚し住宅購入した為、返済不安に陥り貯蓄が日々減っていく恐怖を覚える。

人生で初めて家計の見直しを行い、根本的な改善により失敗と不安を減らすコツを発見。自分の経験を生かしお客様が同じ道を歩まないよう伝えるべく「マイホーム検討者向けFP」として活動中。

運営会社情報

  • 会社名

    :有限会社ティーエムライフデザイン総合研究所

  • 代表者

    :渡辺知光

  • 本社
    所在地

    :〒104-0045 東京都中央区築地2-15-15 セントラル東銀座1002

  • アクセス

    :地下鉄日比谷線築地駅より徒歩3分

    :地下鉄日比谷線都営浅草線東銀座駅より徒歩3分

housemarriage(住宅営業担当者とのマッチングサービス)についてご紹介します