housemarriage

地震に強い家の秘訣 〜構造(耐震・制震・免震)・地盤・基礎の基本と選び方〜

家づくりの基本

2024/08/13

2024/08/13

記事監修者

1級ファイナンシャル・プランニング技能士 / 渡辺 知光

地震に強い家の秘訣 〜構造(耐震・制震・免震)・地盤・基礎の基本と選び方〜

地震大国日本では、安全で快適な暮らしを実現するために、地震に強い家づくりが欠かせません。構造、地盤、基礎の3つの要素を適切に組み合わせることで、地震に強い住宅を実現できます。この記事では、それぞれのポイントを詳しく解説し、安心して暮らせる家づくりのヒントをお伝えします。

地震に強い家を建てる必要性

日本は地震大国として知られており、地震に強い家を建てることは非常に重要です。大地震はいつ発生するかわからず、私たちの生活に甚大な影響を与える可能性があります。そのため、住宅を建てる際には地震対策を十分に考慮する必要があります。

地震に強い家を建てることには、以下のような必要性があります。

生命と財産の保護

最も重要な点は、家族の生命と財産を守ることです。地震に強い家は、倒壊や大きな損傷のリスクを低減し、住人の安全を確保します。また、家具の転倒や落下物による怪我のリスクも軽減できます。

長期的な経済的メリット

初期投資は高くなる可能性がありますが、地震に強い家は将来的な修繕費用や再建費用を抑えることができます。保険料も比較的安く抑えられる場合があり、長期的には経済的なメリットがあります。

心理的安心感

地震に強い家に住むことで、日々の生活に安心感が生まれます。特に地震が多い地域では、この心理的な安定は非常に重要です。

今は地震に強くないと建てられない

現在の建築基準法では、一定以上の耐震性能が義務付けられています。1981年の新耐震基準の導入以降、建築物の耐震性能は大幅に向上しました。つまり、法律上、地震に強くない家を建てることはできません。

しかし、最低限の基準を満たすだけでなく、より高い耐震性能を持つ家を選ぶことが重要です。例えば、制震構造や免震構造を採用したり、耐震等級を上げたりすることで、さらなる安全性を確保できます。

災害後の生活継続性

地震に強い家は、大地震後でも住み続けられる可能性が高くなります。避難所生活を強いられるリスクが低減され、日常生活をより早く取り戻せる可能性が高まります。

資産価値の維持

地震に強い家は、中古住宅市場でも高い評価を受ける傾向があります。将来的に売却や賃貸を考えている場合、資産価値を維持するという点でもメリットがあります。

以上のように、地震に強い家を建てることは、安全性、経済性、心理的安定性など、多くの面でメリットがあります。家づくりは長期的な視点で考えることが大切です。地震対策にしっかりと投資することで、将来の安心と安全を手に入れることができるのです。

地震に強い住宅の構造

地震に強い住宅の構造は、主に3つのタイプに分類されます。それぞれの特徴を理解し、自分の状況や予算に合った構造を選ぶことが大切です。

耐震構造とは

耐震構造は、最も一般的な構造方式です。建物自体の強度を高めることで、地震の揺れに耐える仕組みです。

主な特徴

・壁や柱、梁などの構造部材を強化し、建物全体の剛性を高めます。

・地震のエネルギーを構造体で吸収します。

・比較的コストが抑えられるため、多くの住宅で採用されています。

・新耐震基準(1981年以降)に適合した建物は、震度6強〜7程度の地震でも倒壊しにくい設計になっています。

ただし、大きな地震の際には建物に一定の損傷が生じる可能性があります。

制振構造とは

制振構造は、建物に特殊な装置(ダンパーなど)を取り付け、地震のエネルギーを吸収する仕組みです。

主な特徴

・建物の揺れを軽減することで、家具の転倒や内部の損傷を防ぎます。

・耐震構造よりも高い耐震性能を発揮します。

・大地震後も建物の損傷が少なく、修復が容易です。

・耐震構造と比べてコストは少し高くなります。

・既存の建物にも後付けで適用できる場合があります。

制振装置には、オイルダンパー、粘弾性ダンパー、摩擦ダンパーなど、様々な種類があります。

免震構造とは

免震構造は、建物と地盤の間に特殊な装置(免震装置)を設置し、地震の揺れを建物に伝えにくくする仕組みです。

主な特徴

・3つの構造の中で最も高い耐震性能を発揮します。

・大地震時でも建物内部の揺れを大幅に軽減できるため、家具の転倒や内部損傷のリスクが非常に低くなります。

・建物の損傷が最小限に抑えられ、地震後も継続して使用できる可能性が高いです。

・コストは3つの構造の中で最も高くなります。

・地盤条件や建物の規模によっては採用できない場合があります。

免震装置には、積層ゴム、滑り支承、転がり支承など、様々な種類があります。

構造の選び方

どの構造を選ぶかは、以下の点を考慮して決定するとよいでしょう。

予算:免震>制振>耐震の順でコストが高くなります。

土地の条件:地盤の状況や周辺環境によっては、選択できる構造が限られる場合があります。

求める耐震性能:より高い安全性を求める場合は、制振や免震を検討しましょう。

建物の規模や用途:大規模な建物や重要な施設では、より高度な耐震技術が求められます。

メンテナンス:制振や免震構造は、定期的な点検や装置の交換が必要になる場合があります。

地震に強い住宅の構造を選ぶ際は、これらの特徴を理解したうえで、専門家のアドバイスも受けながら、自分に最適な選択をすることが大切です。どの構造を選んでも、適切な設計と施工が行われれば、十分な耐震性能を確保できます。

地震に強い地盤とは

地震に強い家を建てるためには、建物の構造だけでなく、その土台となる地盤の状態も非常に重要です。地盤の良し悪しは、地震時の建物の挙動に大きな影響を与えます。

地震に強い地盤の特徴

地震に強い地盤には、以下のような特徴があります。

・硬い岩盤や密度の高い土壌で構成されている

・均質で安定している(地層が一様)

・地下水位が低い

・液状化の可能性が低い

・地滑りや崩落の危険性が低い

一般的に、丘陵地や台地の地盤は比較的安定しているとされますが、必ずしもそうとは限りません。逆に、低地や埋立地は軟弱地盤である可能性が高いですが、適切な対策を講じることで安全性を高めることができます。

地盤調査と改良が必要

地盤の状態を正確に把握するためには、専門家による地盤調査が不可欠です。主な地盤調査の方法には以下のようなものがあります。

スウェーデン式サウンディング試験:最も一般的な調査方法で、地盤の硬さを測定します。

ボーリング調査:地中深くまで穴を掘り、地層の構成を詳細に調べます。

標準貫入試験:ボーリング孔を利用して地盤の硬さを数値化します。

表面波探査:地表面から弾性波を発生させ、地盤の硬さや構造を調べます。

地盤調査の結果、軟弱地盤や液状化の恐れがある場合は、地盤改良を行う必要があります。地盤改良の目的は、地盤の支持力を高め、沈下や液状化のリスクを低減することです。

地盤改良は方法によって費用が異なる

地盤改良の方法は、地盤の状態や建物の規模、予算などによって選択します。主な地盤改良方法には以下のようなものがあります。

表層改良:地表面から浅い部分の土を改良材と混合して固める方法。比較的安価ですが、改良深度に限界があります。

柱状改良:地中にセメント系固化材を注入し、柱状の改良体を造成する方法。中程度の費用で、一般的な住宅によく用いられます。

杭打ち工法:支持層まで杭を打ち込み、建物を支える方法。コストは高めですが、確実な地盤補強が可能です。

置換工法:軟弱土を掘削除去し、良質な土で置き換える方法。大規模な工事になるため、コストは高めです。

締固め工法:振動や衝撃を与えて地盤を締め固める方法。砂質土に適しています。

地盤改良の費用は、改良の規模や方法によって大きく異なります。一般的な住宅の場合、数十万円から数百万円程度かかることが多いです。ただし、地盤改良にはある程度の費用がかかりますが、将来の安全性を考えると必要な投資といえます。

地盤と構造の関係

地盤の状態は、選択する建物の構造にも影響を与えます。例えば、軟弱地盤では免震構造の採用が難しい場合があります。また、地盤の固さによって基礎の設計も変わってきます。そのため、地盤調査の結果を踏まえて、最適な構造や基礎を選択することが重要です。

地震に強い家づくりにおいて、地盤の重要性は非常に高いといえます。適切な地盤調査と必要に応じた改良を行うことで、建物全体の安全性を大きく向上させることができます。専門家のアドバイスを受けながら、自分の土地に最適な対策を講じることが大切です。

地震に強い住宅の基礎とは

基礎は建物を支える土台であり、地震に強い家づくりの要となる重要な部分です。適切な基礎を選択し、正しく施工することで、地震時の建物の安定性が大きく向上します。

家の基礎(土台)は2種類ある

住宅の基礎には、主に「べた基礎」と「布基礎」の2種類があります。それぞれの特徴を詳しく見ていきましょう。

べた基礎

べた基礎は、地面全体にコンクリートを打ち、一枚の板のような基礎を作る方法です。

特徴

・地震に強く、建物全体の剛性が高まります。

・湿気対策に優れており、床下の防湿効果が高いです。

・重量が大きいため、軟弱地盤では不向きな場合があります。

・コストは布基礎よりも高めになります。

・地盤沈下に対する追従性が低いため、不同沈下のリスクがあります。

布基礎

布基礎は、建物の外周と主要な間仕切り壁の下にのみコンクリートを打つ方法です。

特徴

・コストはべた基礎よりも抑えられます。

・軽量なため、軟弱地盤でも採用しやすいです。

・床下空間ができるため、配管工事やメンテナンスがしやすいです。

・べた基礎よりも耐震性は劣りますが、適切な設計・施工で十分な強度を確保できます。

・床下換気が必要で、湿気対策に注意が必要です。

地震に強い基礎の条件

地震に強い基礎には、以下のような条件があります。

十分な強度と剛性:地震の揺れに耐えられる強度を持っていることが重要です。

一体性:基礎全体が一体となって動くことで、建物の安定性が高まります。

地盤との適合性:地盤の状態に合わせた基礎の設計が必要です。

適切な配筋:鉄筋の配置と量が適切であることで、基礎の強度が確保されます。

防湿・防蟻対策:湿気や白蟻から建物を守ることも、長期的な耐震性能の維持に重要です。

基礎の補強方法

基礎の耐震性を高めるための補強方法には、以下のようなものがあります。

基礎パッキン工法:基礎と土台の間に特殊な金物を入れ、地震時の横ずれを防ぎます。

基礎梁の増し打ち:既存の基礎の上にコンクリートを追加して打設し、強度を高めます。

鉄筋の追加:基礎内部の鉄筋量を増やし、強度を向上させます。

アンカーボルトの追加:建物と基礎の接合部を強化します。

基礎と地盤改良の関係

基礎の選択は、地盤の状態と密接に関係しています。軟弱地盤の場合、地盤改良を行うか、杭基礎を採用するなどの対策が必要になることがあります。地盤調査の結果を踏まえて、適切な基礎の種類と工法を選択することが重要です。

基礎の重要性

基礎は目に見えない部分ですが、住宅の耐震性能を左右する非常に重要な要素です。適切な基礎を選択し、正しく施工することで、地震時の建物の安全性が大きく向上します。

基礎の選択や設計については、必ず専門家のアドバイスを受けるようにしましょう。地盤の状況、建物の規模、予算などを総合的に考慮し、最適な基礎を選ぶことが、地震に強い家づくりの第一歩となります。

よくある質問(Q&A)

地震に強い家づくりに関して、よくある質問とその回答をまとめました。これらの情報を参考に、より安全で快適な住まいづくりを目指しましょう。

Q1: 地盤改良は必ず必要ですか?

A1: 必ずしも全ての土地で必要というわけではありません。地盤調査の結果、問題がなければ改良の必要はありません。しかし、以下のような場合は地盤改良を検討する必要があります。

・軟弱地盤である場合

・液状化の恐れがある場合

・不同沈下のリスクが高い場合

・盛土や埋め立て地の場合

地盤改良は安全性を高めるために重要ですが、コストもかかります。専門家の意見を聞きながら、必要性を判断しましょう。

Q2: 基礎の種類によって耐震性に大きな差はありますか?

A2: 一般的に、べた基礎のほうが布基礎よりも耐震性が高いとされています。べた基礎は一体性が高く、地震時の揺れに対して建物全体で抵抗できるためです。

ただし、適切な設計と施工が行われていれば、どちらの基礎でも十分な耐震性を確保できます。布基礎でも、適切な補強や工法の採用により、高い耐震性を実現できます。

基礎の選択は、地盤の状況や建物の規模、予算などを総合的に考慮して決定する必要があります。

Q3: 既存の家の耐震性を高めることはできますか?

A3: はい、可能です。既存の家でも、耐震補強工事を行うことで耐震性を高めることができます。主な方法には以下のようなものがあります。

・筋交いや耐力壁の追加

・基礎の補強

・屋根の軽量化

・金物による接合部の補強

・耐震シェルターの設置

ただし、建物の状態や構造によって適用できる工法が異なります。専門家による耐震診断を受け、適切な補強方法を選択することが重要です。

Q4: 耐震等級とは何ですか?どの等級を選べばいいですか?

A4: 耐震等級は、建物の耐震性能を示す指標です。等級1〜3があり、数字が大きいほど耐震性能が高くなります。

・等級1:建築基準法で定められた最低限の耐震性能

・等級2:等級1の1.25倍の耐震性能

・等級3:等級1の1.5倍の耐震性能

どの等級を選ぶかは、住む地域の地震リスクや予算、求める安全性によって異なります。一般的には等級2以上を選ぶことをお勧めします。等級が上がるほど建設コストは上がりますが、長期的な安全性や資産価値の維持を考えると、可能な限り高い等級を選ぶことが望ましいでしょう。

Q5: 地震保険は必要ですか?

A5: 地震保険の加入は任意ですが、大地震のリスクがある日本では加入を検討する価値があります。地震保険は、地震や津波、火災などによる損害を補償します。

ただし、補償額には限度があり、建物の再建築費用全額をカバーできるわけではありません。地震保険は、あくまで被災後の生活再建の足がかりとなる資金を確保するものと考えるべきです。

加入を検討する際は、自身の財政状況や住んでいる地域の地震リスク、建物の耐震性能などを総合的に判断しましょう。

これらの質問と回答を参考に、地震に強い家づくりについて理解を深め、適切な選択をしていただければと思います。不明な点がある場合は、専門家に相談することをお勧めします。

まとめ

地震に強い家を建てるためには、構造、地盤、基礎の3つの要素を適切に組み合わせることが重要です。耐震・制振・免震構造から自分に合った方式を選び、地盤調査と必要に応じた改良を行い、適切な基礎を選択することで、安全で快適な住まいを実現できます。家づくりは長期的な視点で考えることが大切です。初期投資が少し高くなっても、地震に強い家を建てることで、将来の安心と安全を手に入れることができます。専門家のアドバイスも積極的に取り入れながら、理想の住まいづくりを進めていきましょう。

なお、当社が提供している「housemarriage」では、住宅コンシェルジュが理想の家づくりのサポートとして、住まいを探す上で重要なハウスメーカーや工務店の営業担当者とのマッチングサポートをさせていただきます。住宅購入の資金計画の相談・作成や、相性良く親身になってくれる「営業担当者」をご紹介します。家づくりに関して少しでも不安を感じるようであれば、お問い合わせください。

サービスについて
詳しく知りたい方はこちら

この記事のタグ

記事監修者

1級ファイナンシャル・プランニング技能士 / 渡辺 知光

大学卒業後、積水化学工業に入社し住宅「セキスイハイム」を販売。3年8カ月千葉県内で営業に従事し、営業表彰を6期連続受賞。
途中、母の急死に直面し、自分の将来について悩み始める。結果、大学のゼミで学んだ「保険」事業に実際に携わりたいと思いFP資格を取得して日本生命に転職。4年間営業に従事したが、顧客に対して提供出来る商品がなく退職を決意。FP兼保険代理店を開業する。

収入も顧客もゼロからのスタート。しかも独立直前に結婚し住宅購入した為、返済不安に陥り貯蓄が日々減っていく恐怖を覚える。

人生で初めて家計の見直しを行い、根本的な改善により失敗と不安を減らすコツを発見。自分の経験を生かしお客様が同じ道を歩まないよう伝えるべく「マイホーム検討者向けFP」として活動中。

運営会社情報

  • 会社名

    :有限会社ティーエムライフデザイン総合研究所

  • 代表者

    :渡辺知光

  • 本社
    所在地

    :〒104-0045 東京都中央区築地2-15-15 セントラル東銀座1002

  • アクセス

    :地下鉄日比谷線築地駅より徒歩3分

    :地下鉄日比谷線都営浅草線東銀座駅より徒歩3分

housemarriage(住宅営業担当者とのマッチングサービス)についてご紹介します