住宅完成保証制度を徹底解説!保険タイプとエスクロータイプの違いや手続き方法まで
家づくりの基本
2024/08/13
2024/08/13
住宅完成保証制度は、注文住宅の建築中に建設会社が倒産してしまった場合でも、家を完成させることができる制度です。この記事では、制度の仕組みや保証の対象、限度額、手続き方法などについて詳しく解説します。マイホームを建てる際の安心材料として、ぜひ参考にしてください。
住宅完成保証制度とは?
住宅完成保証制度は、注文住宅の建築中に建設会社が倒産してしまった場合でも、家を完成させることができる制度です。この制度は、施主(お客様)を建設会社の倒産リスクから守り、安心して家づくりを進められるようにするためのものです。
具体的には、保証機関が施主と建設会社の間に入り、建設会社が倒産した際に工事の継続や完成をサポートします。保証機関は、施主に代わって工事を引き継ぐ新しい建設会社を探し、工事の完成まで責任を持って対応します。
この制度の主な特徴は以下の通りです。
任意加入制度:住宅完成保証制度は強制ではありませんが、住宅ローンを利用する場合、金融機関から加入を求められることがあります。
保証対象:主に注文住宅の建築工事費用が対象となります。ただし、土地代金や設計費用、諸経費などは含まれません。
保証タイプ:「保険タイプ」と「エスクロータイプ」の2種類があり、それぞれ特徴が異なります。各保証タイプの詳細は後述します。
保証限度額:工事請負契約額の範囲内で設定されますが、具体的な金額は選択した保証タイプによって異なります。
保証料:通常、工事請負契約額の0.5%~1%程度が一般的ですが、保証タイプや保証機関によって異なります。
住宅完成保証制度を利用することで、万が一の事態に備えることができ、安心して家づくりを進めることができます。特に、大きな買い物である注文住宅の建築において、この制度は重要な役割を果たします。建設会社の選択時や契約時には、この制度の利用について検討し、詳細を確認することをおすすめします。
住宅完成保証制度のしくみ
住宅完成保証制度のしくみは、施主(お客様)、建設会社、保証機関の三者が関わる形で成り立っています。以下に、その詳細を説明します。
保証契約の締結: まず、施主と建設会社が工事請負契約を結びます。その後、建設会社を通じて保証機関に保証の申し込みを行います。保証機関による審査を経て、保証契約が締結されます。
保証料の支払い: 保証契約締結後、保証料を支払います。通常は施主が負担しますが、建設会社が負担するケースもあります。保証料は一般的に工事請負契約額の0.5%~1%程度です。
工事の開始: 保証契約が結ばれた後、通常通り工事が開始されます。施主は工事の進捗に応じて、建設会社に工事代金を支払います。
建設会社の倒産時の対応: 工事中に建設会社が倒産した場合、保証機関が介入します。保証機関は速やかに状況を確認し、新たな建設会社を探して工事を引き継ぎます。
工事の継続と完成: 新たな建設会社が決まると、保証機関の管理のもと工事が再開されます。保証機関は工事の完成まで責任を持って対応し、施主の利益を守ります。
保証金の支払い: 保証タイプによって異なりますが、保険タイプの場合は保証機関から保険金が支払われ、エスクロータイプの場合は預かっていた工事代金が新しい建設会社に支払われます。
住宅の完成: 最終的に、当初の計画通りに住宅が完成します。施主は建設会社の倒産というリスクから守られ、安心して住宅を手に入れることができます。
このように、住宅完成保証制度は施主、建設会社、保証機関の三者が関わることで、建設会社の倒産リスクから施主を守り、確実に住宅を完成させるしくみとなっています。家づくりにおける大きな安心材料として、多くの方に活用されています。
住宅完成保証の対象と限度額
住宅完成保証制度における保証の対象と限度額は、施主(お客様)の安心を確保する上で重要な要素です。以下に、その詳細を説明します。
保証の対象
住宅完成保証の主な対象は、注文住宅の建築工事費用です。具体的には以下のような項目が含まれます。
・建物本体の工事費用
・内装工事費用
・設備工事費用(電気、給排水、空調など)
・外構工事費用(一部のみ対象となる場合あり)
ただし、以下の項目は通常、保証の対象外となります。
・土地代金
・設計費用
・諸経費(各種申請費用、登記費用など)
・建築確認申請前に発生した費用
・建物完成後に発生した費用
保証限度額
保証限度額は、通常、工事請負契約額の範囲内で設定されます。ただし、具体的な金額は選択した保証タイプによって異なります。
・保険タイプの場合: 一般的に、工事請負契約額の80%程度が保証限度額となります。残りの20%は施主の自己負担となる可能性があります。
・エスクロータイプの場合: 工事請負契約額の100%が保証限度額となります。つまり、施主の自己負担なしで工事を完成させることができます。
注意点
・保証限度額は、あくまでも上限額です。実際の保証金額は、建設会社の倒産時点での工事の進捗状況や、残工事の見積もり額などによって決まります。
・外構工事や設備工事の一部が保証対象外となる場合があります。詳細は各保証機関の規定によって異なりますので、契約時に確認することをおすすめします。
・建設会社の倒産後に工事を引き継ぐ新しい業者の選定や、工事の再開には一定の時間がかかる可能性があります。その間の仮住まい費用などは通常、保証の対象外となります。
住宅完成保証の対象と限度額を理解することで、万が一の事態に備えた適切な判断ができます。保証内容の詳細は保証機関によって異なる場合がありますので、契約時には必ず確認するようにしましょう。
2種類の保証タイプの違い
住宅完成保証制度には、「保険タイプ」と「エスクロータイプ」の2種類があります。それぞれ特徴が異なりますので、自分に合ったタイプを選択することが大切です。以下に、両タイプの主な違いを詳しく説明します。
保証の仕組み
・保険タイプ: 建設会社の倒産時に、保証機関から保険金が支払われる仕組みです。この保険金を使って、新しい建設会社が工事を完成させます。
・エスクロータイプ: 工事の進捗に応じて施主が支払う工事代金を、保証機関が預かる仕組みです。建設会社の倒産時には、預かった工事代金を新しい建設会社に支払うことで、工事の完成をサポートします。
保証限度額
・保険タイプ: 一般的に、工事請負契約額の80%程度が保証限度額となります。残りの20%は施主の自己負担となる可能性があります。
・エスクロータイプ: 工事請負契約額の100%が保証限度額となります。施主の自己負担はありません。
保証料
・保険タイプ: 一般的に、エスクロータイプよりも保証料が安くなります。
・エスクロータイプ: 保険タイプよりも保証料が高くなる傾向にあります。
手続きの複雑さ
・保険タイプ: 比較的簡単な手続きで利用できます。
・エスクロータイプ: 保証機関が工事代金を預かる仕組みのため、手続きがやや複雑になります。
工事代金の支払い方
・保険タイプ: 通常通り、施主が建設会社に直接支払います。
・エスクロータイプ: 施主は保証機関に工事代金を支払い、保証機関が建設会社に支払います。
適している場合
・保険タイプ: 比較的小規模な工事や、信頼できる建設会社との取引の場合に適しています。
・エスクロータイプ: 大規模な工事や、万全の保証を求める場合に適しています。
どちらのタイプを選択するかは、工事の規模、予算、リスク許容度などを考慮して決める必要があります。また、建設会社や金融機関の推奨するタイプがある場合もありますので、それらの意見も参考にしながら、最適な保証タイプを選択しましょう。
保険タイプの特徴
保険タイプの住宅完成保証制度は、比較的シンプルな仕組みで広く利用されています。以下に、保険タイプの主な特徴を詳しく説明します。
保証の仕組み: 保険タイプは、建設会社の倒産時に保証機関から保険金が支払われる仕組みです。この保険金を使って、新しい建設会社が工事を完成させます。
保証限度額: 一般的に、工事請負契約額の80%程度が保証限度額となります。つまり、最大でも工事費用の80%までしか保証されないということです。残りの20%は施主の自己負担となる可能性があります。
保証料: 通常、エスクロータイプよりも保証料が安く設定されています。一般的に工事請負契約額の0.5%程度となることが多いですが、保証機関によって異なる場合があります。
手続きの簡便さ: エスクロータイプと比べて、手続きが比較的簡単です。通常の保険契約と同様に、申し込みから保証開始までの流れがスムーズです。
工事代金の支払い方: 施主は通常通り、工事の進捗に応じて建設会社に直接工事代金を支払います。保証機関が工事代金を管理することはありません。
適している場合: 比較的小規模な工事や、信頼できる建設会社との取引の場合に適しています。また、保証料を抑えたい場合にも選択されることが多いです。
デメリット: 工事請負契約額の100%が保証されないため、建設会社の倒産時に施主の追加負担が発生する可能性があります。
保険金の支払い: 建設会社が倒産した場合、保証機関が状況を確認し、新しい建設会社を選定します。保険金は通常、この新しい建設会社に直接支払われ、残工事の完成に充てられます。
保証期間: 通常、工事着工日から引き渡しまでの期間が保証対象となります。ただし、具体的な期間は保証機関によって異なる場合があります。
注意点: 保証限度額は最大額であり、実際の支払額は倒産時点での工事の進捗状況や残工事の見積もり額などによって決まります。また、外構工事や一部の設備工事が保証対象外となる場合もあるので、契約時に詳細を確認することが重要です。
保険タイプは、比較的手軽に利用できる点が魅力ですが、保証限度額に制限があることを十分に理解した上で選択することが大切です。建設会社の信頼性や工事の規模、自身のリスク許容度などを考慮して、適切な判断をしましょう。
エスクロータイプの特徴
エスクロータイプの住宅完成保証制度は、より高度な保証を提供する仕組みです。以下に、エスクロータイプの主な特徴を詳しく説明します。
保証の仕組み: エスクロータイプは、工事の進捗に応じて施主が支払う工事代金を、保証機関が預かる仕組みです。この預かった資金を「エスクロー口座」で管理します。建設会社の倒産時には、この預かった工事代金を新しい建設会社に支払うことで、工事の完成をサポートします。
保証限度額: 工事請負契約額の100%が保証限度額となります。つまり、施主の追加負担なしで工事を完成させることができます。
保証料: 通常、保険タイプよりも高めの保証料が設定されています。一般的に工事請負契約額の1%程度となることが多いですが、保証機関によって異なる場合があります。
手続きの複雑さ: 保証機関が工事代金を預かる仕組みのため、手続きがやや複雑になります。エスクロー口座の開設や、工事進捗の確認など、追加的な手続きが必要となります。
工事代金の支払い方: 施主は保証機関に工事代金を支払い、保証機関が建設会社に支払います。これにより、工事代金の管理が厳格に行われます。
適している場合: 大規模な工事や、万全の保証を求める場合に適しています。また、建設会社の信頼性に不安がある場合にも選択されることがあります。
メリット: 工事請負契約額の100%が保証されるため、建設会社の倒産時でも施主の追加負担がありません。また、工事代金の管理が厳格に行われるため、資金の流用リスクが低減されます。
デメリット: 保証料が高めであることや、手続きが複雑になる点が挙げられます。
工事の進捗管理: 保証機関が工事の進捗を確認し、それに応じて建設会社に工事代金を支払います。これにより、工事の遅延や品質低下のリスクが軽減されます。
保証期間: 通常、工事着工日から引き渡しまでの期間が保証対象となります。保険タイプと同様に、具体的な期間は保証機関によって異なる場合があります。
エスクロータイプは、より高度な保証を提供する一方で、コストや手続きの面でやや負担が大きくなります。大規模な工事や、建設会社の信頼性に不安がある場合など、より確実な保証を求める場合に適しています。選択にあたっては、工事の規模、予算、リスク許容度などを総合的に判断することが重要です。
住宅完成保証制度の手続き方法と注意点
住宅完成保証制度を利用する際の手続き方法と、注意すべき点について詳しく説明します。
手続き方法
建設会社の選定: まず、住宅完成保証制度に対応している建設会社を選びます。多くの場合、大手や中堅のハウスメーカーや工務店が対応しています。
保証タイプの選択: 保険タイプとエスクロータイプのどちらを選択するか決めます。建設会社や金融機関のアドバイスも参考にしましょう。
申込み: 通常、建設会社を通じて保証機関に申し込みを行います。必要書類の準備や記入が求められます。
審査: 保証機関による審査があります。建設会社の財務状況や工事内容などが審査対象となります。
保証契約の締結: 審査に通過すると、保証契約を締結します。契約書の内容をよく確認しましょう。
保証料の支払い: 保証料を支払います。通常は施主負担ですが、建設会社が負担するケースもあります。
工事開始: 保証契約締結後、通常通り工事が開始されます。
注意点
保証対象の確認: 何が保証対象で、何が対象外なのかを明確に確認しましょう。外構工事や設備工事の一部が対象外となることがあります。
保証限度額の理解: 特に保険タイプの場合、保証限度額が工事請負契約額の100%でないことがあります。自己負担の可能性について理解しておく必要があります。
保証料の負担: 通常、保証料は施主負担となります。予算に組み込んでおく必要があります。
手続きの時期: 保証制度の申し込みは、工事請負契約締結後速やかに行う必要があります。工事着工後では申し込みできない場合があります。
契約内容の確認: 保証契約書の内容をしっかり確認しましょう。不明点があれば、建設会社や保証機関に質問することが大切です。
保証期間の把握: 保証がいつからいつまで有効なのか、明確に理解しておく必要があります。
建設会社の変更時の対応: 工事中に建設会社を変更する場合、保証継続のための手続きが必要になることがあります。
工事の進捗報告: 特にエスクロータイプの場合、工事の進捗を適切に報告する必要があります。
保証機関の信頼性: 利用する保証機関の信頼性も確認しておくとよいでしょう。
他の保証制度との関係: 住宅瑕疵担保責任保険など、他の保証制度との関係性も理解しておく必要があります。
住宅完成保証制度は、家づくりにおける重要な安心材料です。手続きを正しく行い、内容をよく理解することで、より安全に家づくりを進めることができます。不明点があれば、遠慮なく建設会社や保証機関に確認するようにしましょう。
よくある質問(Q&A)
住宅完成保証制度に関してよくある質問とその回答をまとめました。
Q1:住宅完成保証制度は強制加入ですか?
A1:住宅完成保証制度は任意加入です。法律で強制されているわけではありません。ただし、住宅ローンを利用する場合、金融機関から加入を求められることがあります。また、建設会社によっては、顧客の安心のために加入を推奨している場合もあります。
Q2:保証料はいくらくらいかかりますか?
A2:保証料は工事請負契約額の0.5%~1%程度が一般的です。保険タイプの場合は比較的安く、0.5%程度のことが多いです。エスクロータイプの場合は高めで、1%程度になることが多いです。ただし、保証タイプや保証機関によって異なりますので、詳細は各機関にお問い合わせください。
Q3:建設会社が保証制度に加入していない場合はどうすればいいですか?
A3:建設会社に保証制度への加入を依頼するか、保証制度に加入している他の建設会社を探すことをおすすめします。家づくりの安心・安全のために、保証制度の利用は重要です。ただし、小規模な工務店など、制度に対応していない会社もあります。その場合は、会社の信頼性や実績を十分に確認した上で判断しましょう。
Q4:保証対象外となる工事はありますか?
A4:はい、あります。一般的に、土地代金、設計費用、諸経費(各種申請費用、登記費用など)、建築確認申請前に発生した費用、建物完成後に発生した費用などは保証対象外となります。また、外構工事や一部の設備工事が対象外となることもあります。詳細は保証契約の内容を確認してください。
Q5:保証期間はいつからいつまでですか?
A5:一般的に、工事着工日から建物の引き渡しまでが保証期間となります。ただし、保証機関によって多少の違いがある場合がありますので、契約時に確認することをおすすめします。
Q6:保険タイプとエスクロータイプ、どちらを選べばいいですか?
A6:工事の規模、予算、リスク許容度などを考慮して選択します。保険タイプは手続きが簡単で保証料が安いですが、保証限度額が工事請負契約額の100%未満の場合があります。エスクロータイプは手続きがやや複雑で保証料が高めですが、100%保証されます。大規模な工事や万全の保証を求める場合はエスクロータイプ、比較的小規模な工事や信頼できる建設会社との取引の場合は保険タイプが適していることが多いです。
Q7:建設会社が倒産した場合、どのような流れで工事が再開されますか?
A7:保証機関が状況を確認し、新たな建設会社を探して工事を引き継ぎます。保証機関は工事の完成まで責任を持って対応します。ただし、新しい建設会社の選定や工事の再開には一定の時間がかかる可能性があります。
Q8:住宅完成保証制度と住宅瑕疵担保責任保険の違いは何ですか?
A8:住宅完成保証制度は建設会社の倒産リスクから施主を守るものです。一方、住宅瑕疵担保責任保険は完成後の建物の品質問題(瑕疵)に対する保証です。両者は別の制度であり、目的が異なります。多くの場合、両方に加入することで、より安心な家づくりが可能になります。
住宅完成保証制度に関しては、不明な点があれば建設会社や保証機関に遠慮なく質問してください。家づくりは大きな買い物ですので、十分な理解の上で進めることが重要です。
まとめ
住宅完成保証制度は、注文住宅を建てる際の大きな安心材料となります。建設会社の倒産リスクから施主を守り、家づくりを安全に進めるための重要な制度です。保険タイプとエスクロータイプの2種類があり、それぞれ特徴が異なりますので、自分に合ったタイプを選択することが大切です。制度の利用を検討する際は、保証内容や手続き方法、保証料などについて、建設会社や保証機関に詳しく確認しましょう。安心して家づくりを進めるためにも、住宅完成保証制度の活用をおすすめします。
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