竣工から住宅の引き渡しまでの流れや関連用語について詳しく解説
家づくりの基本
2024/08/16
2024/08/16
建物の完成を表す「竣工」という言葉。不動産購入や建築に関わる方にとって重要な用語ですが、その意味や関連する用語の違いを正確に理解している人は意外と少ないかもしれません。本記事では、「竣工」の意味や読み方、類似した言葉との違い、そして竣工日の定義について詳しく解説します。これらの知識を正しく理解することで、不動産購入や建築プロジェクトをより円滑に進めることができるでしょう。
目次
竣工とは
竣工(しゅんこう」は建築や土木工事において、工事が完了したことを意味する言葉です。「竣功」という表記も見かけることがありますが、これは「竣工」と同じ意味で使われます。両者の違いは漢字の表記のみで、意味や読み方に違いはありません。
竣工の類語。完工、完成、落成、竣成との違いは?
「竣工」に似た言葉として、「完工」「完成」「落成」「竣成」などがあります。これらの言葉はいずれも工事や作業が終わったことを表しますが、微妙な違いがあります。
「完工」は工事が完了したことを意味し、「竣工」とほぼ同義です。「完成」はより一般的な言葉で、物事が完全に出来上がったことを表します。「落成」は主に建築物が完成したことを指し、しばしば祝賀の意味合いを含みます。「竣成」は「竣工」とほぼ同じ意味ですが、あまり一般的ではありません。
竣工したら引き渡してもらえる?完成から引き渡しまで時間がかかるのはなぜ?
多くの方が、建物が竣工したらすぐに引き渡しが行われると考えがちですが、実際にはそうではありません。竣工から引き渡しまでには一定の期間が必要となります。ここでは、その理由と流れについて詳しく解説します。
建物が完成してから引き渡しまでの流れと竣工日
竣工日は工事が完了した日を指しますが、これは建物の引き渡しとは異なります。竣工後、引き渡しまでには通常、以下のような流れがあります。
1. 竣工検査:建築主や設計者による建物の検査が行われます。この段階で不具合や修正点がないかを確認します。
2. 是正工事:検査で見つかった問題点があれば、それを修正する工事が行われます。
3. 各種設備の動作確認:電気、水道、ガス、空調などの設備が正常に機能するか確認します。
4. 清掃:建物全体の清掃が行われます。
5. 各種書類の準備:建築確認済証、保証書、取扱説明書など、必要な書類が整えられます。
6. 最終確認:建築主による最終的な確認が行われます。
7. 引き渡し:すべての準備が整ったら、正式に建物の引き渡しが行われます。
この一連の流れには、通常1週間から1ヶ月程度の期間がかかります。大規模な建築物の場合は、さらに長期間を要することもあります。
完成から引き渡しまで時間がかかる理由
竣工後すぐに引き渡しが行われない理由には、以下のようなものがあります。
1. 品質保証:建物の品質を最終的に確認し、不具合があれば修正するための時間が必要です。これにより、引き渡し後のトラブルを防ぐことができます。
2. 法的手続き:建築確認済証の取得や登記など、必要な法的手続きを完了させるための時間が必要です。
3. 設備の調整:各種設備を適切に調整し、正常に機能することを確認する時間が必要です。
4. 清掃と仕上げ:建物を美しく仕上げ、居住に適した状態にするための時間が必要です。
5. 書類の準備:引き渡し時に必要な各種書類を準備する時間が必要です。
6. スケジュール調整:建築主や施工業者、不動産業者など、関係者全員のスケジュールを調整する必要があります。
これらの過程を丁寧に行うことで、建物の品質を確保し、引き渡し後のトラブルを最小限に抑えることができます。そのため、竣工から引き渡しまでの期間は、建物の品質と安全性を保証するための重要な時間だと言えるでしょう。
新築と中古物件の築年数で区別、いつから起算する?
新築物件と中古物件では、築年数の起算方法が異なる場合があります。
1. 新築物件:一般的に竣工日から築年数を数えます。ただし、販売時には建築確認済証の交付日や引き渡し予定日を基準にすることもあります。
2. 中古物件:通常、登記簿上の新築年月日から起算します。これは多くの場合、建築確認済証の交付日と一致します。
ただし、物件によって起算方法が異なる場合もあるので、正確な築年数を知りたい場合は、不動産業者や売主に直接確認することをおすすめします。築年数は物件の価値や維持管理計画に大きく影響するため、購入を検討する際には重要な情報となります。
竣工から引き渡しまでの期間は、建物の品質を確保し、安全で快適な住まいを実現するために必要不可欠なプロセスです。この期間を理解し、適切に対応することで、より満足度の高い不動産取引や建築プロジェクトを実現することができるでしょう。
竣工に関連する言葉についてもう少し解説
建築や不動産の分野では、「竣工」に関連するさまざまな用語が使用されます。これらの言葉を正確に理解することは、建築プロジェクトや不動産取引をスムーズに進める上で非常に重要です。ここでは、竣工に関連する主要な用語について詳しく解説します。
竣工日と完工日、引き渡し日、新築年月日の違い
これらの日付は、建築プロジェクトの異なる段階を表す重要な指標です。それぞれの意味と違いを理解しましょう。
1. 竣工日: 竣工日は、建築工事が完了した日を指します。具体的には、建物の主要な部分が完成し、使用可能な状態になった日を指します。ただし、この時点ではまだ建物の引き渡しは行われていません。
2. 完工日: 完工日は竣工日とほぼ同義で使われることが多いですが、工事の種類によっては使い分けられることもあります。例えば、建築工事以外の土木工事などで使用されることがあります。
3. 引き渡し日: 引き渡し日は、建物の所有権が建築主(施主)に移転する日です。この日に、建物の鍵が施主に渡され、実際に使用できるようになります。竣工日から引き渡し日までの間に、最終的な検査や調整が行われます。
4. 新築年月日: 新築年月日は、建物の登記簿に記載される日付です。通常は建築確認済証の交付日となりますが、竣工日や引き渡し日とは異なる場合があります。この日付は、建物の法的な「誕生日」とも言えるもので、固定資産税の課税開始日などにも影響します。
竣工届、竣工図、竣工写真とは?
竣工に関連して、いくつかの重要な書類や資料があります。これらは建物の記録として、将来の維持管理や改修工事の際に重要な役割を果たします。
1. 竣工届: 竣工届は、工事が完了したことを発注者や監督官庁に報告する文書です。通常、工事請負業者が作成し、工事の完了日や工事の概要、請負金額などが記載されます。公共工事の場合は特に重要で、工事代金の支払いの根拠となります。
2. 竣工図: 竣工図は、完成した建物の詳細な図面です。設計図と異なり、実際の建物の状態を正確に反映しています。工事中の変更や調整がすべて反映されているため、将来の改修や増築、設備の更新などの際に非常に重要な資料となります。竣工図には通常、建物の平面図、立面図、断面図、設備図などが含まれます。
3. 竣工写真: 竣工写真は、完成した建物の状態を記録するために撮影される写真です。建物の外観だけでなく、内部の各室や設備なども含めて撮影されます。これらの写真は、建物の完成状態を視覚的に記録するもので、将来の維持管理や改修の際の参考資料となります。また、建築主への説明資料としても使用されます。
これらの書類や資料は、建物のライフサイクル全体を通じて重要な役割を果たします。例えば、
・ 建物の維持管理:竣工図や竣工写真は、日常の維持管理や修繕の際の重要な参考資料となります。
・ 将来の改修工事:建物を改修する際、竣工図は元の状態を知る上で不可欠な資料となります。
・ 法的手続き:竣工届は、建物の完成を証明する公的な書類として、各種の法的手続きに使用されます。
・ 不動産取引:建物を売買する際、これらの資料は建物の状態や履歴を示す重要な情報源となります。
竣工に関連するこれらの用語や書類を正しく理解することで、建築プロジェクトや不動産取引をより適切に管理し、将来的な建物の維持管理にも役立てることができます。建物所有者や購入を検討している方は、これらの資料の重要性を認識し、適切に保管・管理することが望ましいでしょう。
竣工の反対語は?竣工後に行う「竣工式」と「落成式」とは?竣工式は何をする?
建築プロジェクトにおいて、竣工は重要な節目です。ここでは、竣工の反対語や、竣工後に行われる式典について詳しく解説します。これらの知識は、建築プロジェクトの全体像を理解する上で役立ちます。
竣工の反対を意味する「着工」と「起工」
「竣工」が工事の完了を意味するのに対し、その反対語は工事の開始を表します。主に使用される言葉は以下の2つです。
1. 着工: 「着工」は、実際に工事を開始することを意味します。具体的には、現場での作業が始まる日を指します。例えば、「来月1日に着工予定」というような使い方をします。
2. 起工: 「起工」は、工事を始める儀式や式典を指すことが多いです。特に大規模なプロジェクトでは、工事の安全と成功を祈願して起工式が行われることがあります。ただし、「着工」とほぼ同義で使われることもあります。
これらの言葉は、建築プロジェクトの始まりを表現する際に使用されます。例えば、「着工から竣工まで2年かかった」というように、プロジェクトの全期間を表す際にも使われます。
「竣工式」と「落成式」の違い、目的、内容は?
竣工後には、工事の完了を祝う式典が行われることがあります。主な式典には「竣工式」と「落成式」がありますが、その目的や規模には違いがあります。
1. 竣工式: 竣工式は、工事の完了を祝う比較的小規模な式典です。主に以下のような特徴があります。
・ 参加者:主に工事関係者(施主、設計者、施工業者など)が参加します。
・ 目的:工事の無事完了への感謝や関係者への労いが主な目的です。
・ 規模:比較的小規模で、内々に行われることが多いです。
・ タイミング:工事完了直後に行われることが一般的です。
2. 落成式: 落成式は、竣工式よりもより公式で大規模な祝賀行事です。以下のような特徴があります。
・ 参加者:工事関係者に加え、地域の関係者や一般の人々が参加することもあります。
・ 目的:新しい建物のお披露目や、地域社会との関係構築が主な目的となります。
・ 規模:竣工式よりも大規模で、公式な性格が強いです。
・ タイミング:竣工後、ある程度時間が経ってから行われることもあります。
竣工式は何をする?
竣工式の具体的な内容は、プロジェクトの規模や性質によって異なりますが、一般的には以下のような要素が含まれます。
1. 開式の辞:主催者が式の開始を宣言します。
2. 工事報告:施工業者が工事の概要や経過を報告します。
3. 挨拶:施主や関係者が挨拶を行い、工事の完了を祝福します。
4. 感謝の言葉:施主が関係者への感謝の言葉を述べます。
5. テープカット:新しい建物の完成を象徴するテープカットが行われることがあります。
6. 建物見学:参加者で新しい建物を見学することもあります。
7. 祝賀会:簡単な祝賀会が行われることもあります。
8. 閉式の辞:式の終了を宣言します。
竣工式は、長期間にわたる建築プロジェクトの締めくくりとして重要な意味を持ちます。関係者全員で工事の完了を祝い、新しい建物の門出を祝福する機会となります。
また、公共建築物の場合、竣工式や落成式は地域社会との関係を構築する重要な機会にもなります。新しい建物が地域にもたらす価値や意義を共有し、地域の人々の理解と協力を得る場としても機能します。
建築プロジェクトに携わる方々にとって、着工から竣工まで、そして竣工式や落成式に至るまでの一連の流れを理解することは、プロジェクト全体を把握し、円滑に進めるために重要です。また、建物の所有者や利用者にとっても、これらの知識は建物の歴史や意義を理解する上で役立つでしょう。
竣工に関する疑問についてQ&A形式で解説
竣工に関して、多くの方が疑問に思う点をQ&A形式でまとめました。これらの質問と回答を通じて、竣工に関する理解をさらに深めましょう。
Q1: 竣工日と引き渡し日は同じですか?
A1: 通常、竣工日と引き渡し日は異なります。竣工日は工事が完了した日を指しますが、引き渡し日はその後の検査や手続きを経て、実際に建物の所有権が移転する日です。両者の間には数週間から1ヶ月程度の期間が設けられることが一般的です。この期間中に、建物の最終検査や調整、必要書類の準備などが行われます。
Q2: 竣工図は必ず作成しなければなりませんか?
A2: 竣工図の作成は法律で義務付けられているわけではありませんが、建物の正確な記録として非常に重要です。将来の改修や増築、設備の更新などの際に必要となるため、作成しておくことを強くお勧めします。特に、以下のような場合に竣工図が重要となります。
・ 建物の維持管理や修繕を行う際の参考資料として
・ 建物を売却する際の重要な情報源として
・ 災害時の復旧作業や保険請求の際の証拠資料として
・ 将来の増改築や設備更新の計画を立てる際の基礎資料として
Q3: 中古物件を購入する際、竣工日はどのように確認できますか?
A3: 中古物件の竣工日は、通常、建物の登記簿謄本に記載されている新築年月日で確認できます。ただし、これが正確な竣工日と一致しない場合もあるので、より詳細な情報が必要な場合は、以下の方法で確認することをお勧めします。
・ 不動産業者に直接問い合わせる
・ 前所有者から情報を得る
・ 建築確認済証や検査済証の日付を確認する
・ 管理組合や管理会社に問い合わせる(マンションの場合)
築年数は物件の価値や将来の修繕計画に大きく影響するため、できるだけ正確な情報を入手することが重要です。
Q4: 竣工検査と完了検査の違いは何ですか?
A4: 竣工検査と完了検査は似ているようで異なる検査です。
・ 竣工検査:建築主や設計者が行う検査で、工事が設計図通りに行われたかを確認します。主に建物の品質や仕上がりをチェックします。
・ 完了検査:建築基準法に基づいて行政機関が行う検査です。建物が建築基準法などの法令に適合しているかを確認します。この検査に合格すると、検査済証が発行されます。
両方の検査が重要で、建物の品質と法令遵守を確保するために必要です。
Q5: 竣工後に不具合が見つかった場合、どうすればいいですか?
A5: 竣工後に不具合が見つかった場合は、以下の手順で対応することをお勧めします。
1. 不具合の内容を詳細に記録する(写真や動画も撮っておくとよいでしょう)
2. 速やかに施工業者や建築会社に連絡する
3. 保証期間内であれば、無償で修理や交換ができる可能性が高いです
4. 重大な不具合の場合は、第三者機関や専門家に相談することも検討する
多くの場合、竣工後一定期間は保証期間となっているため、早めの対応が重要です。また、定期的な点検を行うことで、不具合を早期に発見し、対処することができます。
Q6: 竣工式は必ず行わなければなりませんか?
A6: 竣工式を行うかどうかは任意です。建物の規模や用途、施主の意向によって決められます。以下のような場合に竣工式が行われることが多いです。
・ 大規模な商業施設や公共建築物の場合
・ 会社の新社屋や工場など、事業に大きく関わる建物の場合
・ 地域社会に影響を与える建物の場合
一般の住宅では、竣工式を行わないことも多いですが、施主の希望によっては小規模な式を行うこともあります。竣工式は工事の無事完了を祝い、関係者に感謝を表す機会となるため、建築プロジェクトの締めくくりとして意義のある行事といえるでしょう。
これらの質問と回答を通じて、竣工に関するさまざまな側面について理解を深めることができます。建築プロジェクトや不動産取引に関わる方々にとって、これらの知識は非常に有用なものとなるでしょう。
まとめ
「竣工」は建築や不動産に関わる重要な用語です。その意味や関連する言葉の違いを正確に理解することで、建築プロジェクトや不動産取引をより円滑に進めることができます。竣工日、完工日、引き渡し日などの違いを把握し、それぞれの意味や役割を理解しておくことは、建物の所有者や購入を検討している方にとって非常に有益です。また、竣工に関連する書類や式典についての知識も、建築プロジェクトを総合的に理解する上で役立ちます。これらの知識を活用し、より良い不動産購入や建築プロジェクトの実現につなげていきましょう。
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