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位置指定道路付きの土地の売買時の注意点や基礎知識を解説

家づくりの基本

2024/08/21

2024/08/21

記事監修者

1級ファイナンシャル・プランニング技能士 / 渡辺 知光

位置指定道路付きの土地の売買時の注意点や基礎知識を解説

位置指定道路は、私道の一種でありながら、建築基準法上は道路として扱われる特殊な存在です。土地の売買や家の建築を考える際には、位置指定道路について正しく理解しておくことが重要です。本記事では、位置指定道路の定義から、私道・公道との違い、設定方法、固定資産税の扱いまで、詳しく解説します。

位置指定道路の基礎知識

位置指定道路は、建築基準法第42条第1項第5号に基づいて特定行政庁が指定した私道のことです。公道や法定の基準を満たす私道と同様に、建築基準法上の道路として扱われます。一般の私道と異なり、接道義務を満たすことができるため、土地の有効活用が可能になります。

位置指定道路は「私道」の一種

位置指定道路は私有地であり、法律上は私道の一種です。しかし、建築基準法上は道路として認められるため、一般の私道とは異なる扱いを受けます。公道とは異なり、所有権は個人にあり、管理責任も所有者にあります。

位置指定道路の所有者は、通常、その土地の所有者です。個人や法人が所有することができ、複数の所有者が存在する場合もあります。所有者は、道路の管理や維持に責任を負います。

固定資産税について

位置指定道路の固定資産税は、原則として所有者が支払います。ただし、公衆用道路として使用されている場合は、固定資産税が非課税になる可能性があります。これは、その道路が実質的に公共の用に供されているとみなされるためです。

位置指定道路かどうか確認する方法

位置指定道路かどうかを確認するには、市区町村の建築指導課や都市計画課に問い合わせるのが確実です。道路台帳や建築基準法道路種別図を確認することで、その道路の法的な位置づけを知ることができます。

多くの方が「私道では家が建てられない」と思い込んでいますが、実はそうとは限りません。ここでは、私道における建築の可能性について詳しく解説していきます。

建築基準法の接道義務

まず、建築基準法では、建物を建てる際に「接道義務」というルールがあります。これは、敷地が幅員4m以上の道路に2m以上接していなければならないというものです。この「道路」には、公道だけでなく、一定の条件を満たす私道も含まれます。

建築基準法上の道路として認められる私道

私道であっても、以下の条件を満たせば建築基準法上の道路として認められ、家を建てることができます。

1. 幅員4m以上の道路であること

2. 建築基準法施行時(1950年)に現存し、特定行政庁が指定した道路

3. 都市計画法等の開発許可を受けて築造された道路

4. 位置指定道路として認定された私道

位置指定道路のメリット

私道を位置指定道路にすることで、以下のようなメリットがあります。

1. 接道義務を満たすことができ、建築が可能になる

2. 土地の有効活用ができる

3. 土地の評価額が上がる可能性がある

私道での建築における注意点

私道で家を建てる際は、以下の点に注意が必要です。

1. 道路の幅員が4m未満の場合、セットバックが必要になる可能性がある

2. 私道の所有者や他の利用者との良好な関係を維持する必要がある

3. 私道の維持管理費用を負担する可能性がある

私道であっても、一定の条件を満たせば家を建てることは可能です。特に位置指定道路として認定されれば、接道義務を満たすことができ、土地の有効活用の幅が広がります。ただし、私道での建築には独特の注意点もあるため、専門家に相談しながら慎重に検討することが大切です。

位置指定道路の申請プロセス・申請方法

位置指定道路の申請プロセスは、土地所有者にとって重要な手続きです。ここでは、位置指定道路にするための詳細な手順と注意点について解説します。

位置指定道路の申請条件

位置指定道路として認定されるためには、以下の条件を満たす必要があります。

1. 幅員が4m以上あること

2. 道路の両端が公道に接続していること(行き止まりの場合は、終端に転回広場が必要)

3. 安全性や利便性が確保されていること

4. 道路としての形態を有し、舗装されていること

5. 排水施設が適切に設置されていること

申請の手順

位置指定道路の申請は、以下の手順で行います。

1. 事前相談:まず、特定行政庁(通常は市区町村の建築指導課)に相談し、申請の可能性や必要書類について確認します。

2. 申請書類の作成:必要な書類には、申請書、位置図、平面図、断面図、土地の登記簿謄本、土地所有者の同意書などがあります。専門的な知識が必要なため、多くの場合、建築士や行政書士に依頼します。

3. 申請書の提出:作成した書類を特定行政庁に提出します。

4. 審査:提出された書類をもとに、特定行政庁が現地調査を含む審査を行います。

5. 承認:審査に通過すれば、位置指定道路として認定されます。

6. 公示:認定された位置指定道路は、公示されます。

申請時の注意点

位置指定道路の申請には、以下の点に注意が必要です。

1. 土地所有者全員の同意が必要:道路として使用する土地の所有者全員の同意が必要です。

2. 費用負担:申請に伴う測量費用や書類作成費用、場合によっては道路整備費用も申請者の負担となります。

3. 時間がかかる:申請から認定まで数ヶ月かかることがあります。

4. 永続性の確保:一度位置指定道路になると、簡単には廃止できません。将来的な影響も考慮して申請する必要があります。

位置指定道路の申請は、土地の有効活用のための重要な選択肢です。ただし、申請には様々な条件や手続きが必要であり、将来的な影響も考慮する必要があります。申請を検討する際は、専門家に相談しながら、慎重に判断することが大切です。正しい理解と適切な手続きを踏むことで、土地の価値を最大限に引き出すことができるでしょう。

公道にするには相当ハードルが高い

位置指定道路を公道にするのは、非常に難しいプロセスです。自治体に寄付する必要があり、道路の幅員や構造が公道の基準を満たしていることが求められます。また、自治体側が寄付を受け入れる意思がなければ、公道化は実現しません。

廃止するには正当な理由と所有者全員の同意が必要

位置指定道路を廃止するには、正当な理由と所有者全員の同意が必要です。さらに、その道路を利用している人々の生活に支障がないことを証明しなければなりません。廃止の申請は特定行政庁に行いますが、承認されるケースは極めて稀です。

位置指定道路付きの土地を売買する場合の注意点

位置指定道路付きの土地を売買する際には、通常の土地取引とは異なる特有の注意点があります。ここでは、購入する場合と売却する場合に分けて、詳細に解説していきます。

購入する場合の注意点

1. 通行権の確認: 位置指定道路は私有地であるため、自由に通行できるか確認することが重要です。所有者が通行を制限する権利を持っている可能性があるため、将来的なトラブルを避けるためにも、通行権の有無や範囲を明確にしておく必要があります。

2. 維持管理責任の把握: 位置指定道路の維持管理は所有者の責任です。購入後にどのような管理責任が生じるのか、舗装の補修や排水設備の清掃など、具体的な内容と費用負担について事前に確認しておきましょう。

3. 固定資産税の取り扱い: 位置指定道路部分の固定資産税がどのように扱われているか確認が必要です。公衆用道路として使用されている場合は非課税になる可能性もありますが、課税されている場合は購入後の負担となります。

4. 将来的な開発可能性: 位置指定道路の存在が、将来的な土地の開発や利用にどのような影響を与えるか考慮する必要があります。道路の廃止や変更が困難であることを理解した上で購入を検討しましょう。

5. 近隣住民との関係: 位置指定道路を利用している近隣住民がいる場合、その人々との良好な関係維持が重要です。購入前に、現在の利用状況や近隣との取り決めなどを確認しておくとよいでしょう。

売却する場合の注意点

1. 位置指定道路をセットで売却: 位置指定道路付きの土地を売却する際は、道路部分も含めてセットで売却するのが一般的です。道路部分を除いて売却すると、残された土地が建築不可能になる可能性があります。また、買主にとっても接道義務を満たすために必要な場合が多いため、セットでの売却が望ましいです。

2. 正確な情報開示: 位置指定道路の存在や、それに伴う権利義務関係を買主に正確に開示することが重要です。道路の幅員、維持管理の状況、近隣との取り決めなど、詳細な情報を提供しましょう。

3. 価格設定の考慮: 位置指定道路付きの土地は、通常の土地と比べて評価が異なる場合があります。不動産鑑定士や専門家に相談し、適切な価格設定を行うことが大切です。

4. 登記上の扱い: 位置指定道路部分が登記上どのように扱われているか確認し、買主に正確に伝える必要があります。場合によっては、売却前に登記の整理が必要になることもあります。

5. 瑕疵担保責任の考慮: 位置指定道路に関する重要な事実を買主に伝えなかった場合、後日トラブルになる可能性があります。売主の瑕疵担保責任を避けるためにも、関連する情報を漏れなく提供することが重要です。

位置指定道路付きの土地の売買には、通常の土地取引とは異なる多くの注意点があります。購入する場合も売却する場合も、位置指定道路の特性を十分に理解し、関連する権利義務関係を明確にすることが重要です。また、専門家のアドバイスを受けながら慎重に進めることで、将来的なトラブルを避け、スムーズな取引を実現することができるでしょう。位置指定道路の存在は、土地の価値や利用可能性に大きな影響を与える要素であることを常に念頭に置き、十分な調査と検討を行うことが大切です。

よくある質問(Q&A)

位置指定道路に関しては、多くの方々が疑問を抱いています。ここでは、よくある質問とその回答を詳しく解説します。

Q1: 位置指定道路の幅は必ず4m以上でなければならないのですか?

A1: はい、位置指定道路として認定されるためには、幅員が4m以上であることが条件です。これは建築基準法の規定に基づいています。ただし、既存の道路を位置指定道路にする場合、一部の地域では特例として幅員3.6m以上でも認められることがあります。しかし、この場合でも将来的に4m以上に拡幅する計画が必要です。

Q2: 位置指定道路の舗装は誰が行うのですか?

A2: 位置指定道路の舗装や維持管理は、原則として所有者の責任です。ただし、実際の管理方法は、関係者間で取り決めることが多いです。例えば、道路を利用する複数の地権者で維持管理組合を作り、共同で管理する場合もあります。また、地域によっては自治体が一部の管理を行うこともありますが、これは法的な義務ではなく、あくまで自治体の判断によります。

Q3: 位置指定道路に電柱を立てることはできますか?

A3: 電柱の設置には、道路管理者(所有者)の許可が必要です。ただし、道路の機能を損なわない範囲での設置が求められます。具体的には、以下の点に注意が必要です。

1. 通行の妨げにならない位置に設置すること

2. 道路の排水機能を阻害しないこと

3. 道路の見通しを悪くしないこと

4. 必要に応じて、近隣住民の同意を得ること

また、電力会社や通信会社が電柱を設置する場合も、同様の配慮が必要です。

Q4: 位置指定道路を自分の敷地の一部として使用できますか?

A4: 位置指定道路は、建築基準法上の道路として機能することが前提となっているため、個人の敷地として排他的に使用することはできません。例えば、位置指定道路上に恒久的な構造物を建てたり、通行を妨げるような使い方をしたりすることは認められません。ただし、一時的な利用(例:荷物の積み下ろし)については、他の利用者の通行を妨げない範囲で可能な場合があります。

Q5: 位置指定道路の固定資産税が非課税になる条件はありますか?

A5: 位置指定道路の固定資産税が非課税になるのは、主に以下の条件を満たす場合です。

1. 不特定多数の人が自由に通行できる状態にあること

2. 公共の用に供されていると認められること

3. 道路としての形態が整っていること(舗装、排水施設など)

ただし、非課税の判断は各自治体によって行われるため、詳細は所在地の自治体に確認する必要があります。

Q6: 位置指定道路を廃止することは可能ですか?

A6: 位置指定道路の廃止は可能ですが、非常に厳しい条件があります。

1. 廃止の正当な理由があること(例:周辺の都市計画の変更により不要になった)

2. 所有者全員の同意があること

3. その道路を利用している人々の生活に支障がないこと

4. 特定行政庁の承認を得ること

これらの条件を満たすのは難しいため、実際に廃止されるケースは極めて稀です。

Q7: 位置指定道路に接する土地を分筆する場合、注意点はありますか?

A7: 位置指定道路に接する土地を分筆する際は、以下の点に注意が必要です。

1. 分筆後の各土地が建築基準法の接道要件(2m以上接すること)を満たしていること

2. 分筆によって位置指定道路の機能が損なわれないこと

3. 必要に応じて、特定行政庁の確認を受けること

特に、分筆後の土地が建築不可能になるようなケースは避けるべきです。

位置指定道路に関する疑問は多岐にわたりますが、その多くは法的な規制や地域の実情に深く関わっています。そのため、具体的な案件については、必ず地元の特定行政庁や専門家に相談することをおすすめします。位置指定道路の適切な理解と運用は、土地の有効活用や地域の発展に大きく貢献する可能性があります。一方で、不適切な取り扱いは様々なトラブルの原因となる可能性もあるため、慎重な対応が求められます。

まとめ

位置指定道路は、私道でありながら建築基準法上の道路として扱われる特殊な存在です。土地の有効活用を可能にする一方で、管理責任や固定資産税の支払いなど、所有者には一定の負担があります。土地の売買や建築を検討する際は、位置指定道路の特性を十分に理解し、専門家に相談しながら慎重に判断することが大切です。正しい知識を持って対応することで、トラブルを避け、土地の価値を最大限に活かすことができるでしょう。

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1級ファイナンシャル・プランニング技能士 / 渡辺 知光

大学卒業後、積水化学工業に入社し住宅「セキスイハイム」を販売。3年8カ月千葉県内で営業に従事し、営業表彰を6期連続受賞。
途中、母の急死に直面し、自分の将来について悩み始める。結果、大学のゼミで学んだ「保険」事業に実際に携わりたいと思いFP資格を取得して日本生命に転職。4年間営業に従事したが、顧客に対して提供出来る商品がなく退職を決意。FP兼保険代理店を開業する。

収入も顧客もゼロからのスタート。しかも独立直前に結婚し住宅購入した為、返済不安に陥り貯蓄が日々減っていく恐怖を覚える。

人生で初めて家計の見直しを行い、根本的な改善により失敗と不安を減らすコツを発見。自分の経験を生かしお客様が同じ道を歩まないよう伝えるべく「マイホーム検討者向けFP」として活動中。

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    :有限会社ティーエムライフデザイン総合研究所

  • 代表者

    :渡辺知光

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