廻り縁や巾木・幅木の種類、選び方について詳しく解説
家づくりの基本
2024/08/22
2024/08/22
新築やリフォームの際、壁と床の境目や壁と天井の境目に付けられる部材があることをご存知でしょうか。これらは「巾木・幅木」や「廻り縁」と呼ばれ、室内の仕上げや保護に重要な役割を果たしています。本記事では、これらの部材について詳しく解説し、選び方のポイントをお伝えします。内装デザインの豆知識として、ぜひ参考にしてください。
室内の仕上げや保護に重要な役割を果たす廻り縁(まわりぶち)や巾木・幅木(はばき)について、詳しく解説していきます。これらの部材は、一見目立たないようでいて、実は室内の美観や機能性に大きく貢献しています。
廻り縁や巾木・幅木とは
廻り縁(まわりぶち)は、壁と天井の境目に取り付けられる細長い部材のことを指します。一方、巾木・幅木(はばき)は、壁と床の境目に取り付けられる部材のことです。どちらも室内の仕上げとして重要な役割を果たしており、見た目だけでなく機能面でも大切な要素となっています。
廻り縁は、天井と壁の境目を美しく仕上げるだけでなく、クロスの端部を隠したり、壁と天井の間の隙間を埋めたりする役割も担っています。また、室内に立体感を与え、空間を引き締める効果もあります。
巾木・幅木は、壁の下部を保護する役割があります。掃除機をかける際や家具の移動時に壁が傷つくのを防ぎ、同時に床と壁の境目をきれいに仕上げます。また、巾木・幅木は床の素材の収縮や膨張による隙間を隠す役割も果たしています。
これらの部材は、単なる装飾ではなく、建築的な必要性から生まれた要素です。しかし、近年ではデザイン性も重視され、室内のインテリアデザインに大きく影響を与える要素としても注目されています。
廻り縁や巾木・幅木の有無や種類によって、部屋の印象は大きく変わります。例えば、クラシカルな雰囲気を出したい場合は、装飾的な廻り縁や高めの巾木を選ぶことで、格調高い空間を演出できます。一方、モダンでシンプルな印象にしたい場合は、細めのストレートな廻り縁や低めの巾木を選ぶ、あるいは廻り縁を省略するなどの工夫ができます。
注文住宅やリフォームの際には、これらの部材の選択にも注目することで、より理想的な空間づくりが可能となります。素材、色、形状などを、壁紙や床材、家具との調和を考えながら選ぶことで、統一感のある美しい室内空間を作り出すことができるでしょう。
廻り縁や巾木・幅木(はばき)の役割
廻り縁や巾木・幅木は、見た目以上に重要な役割を果たしています。これらの部材がなぜ必要で、どのような機能を持っているのか、詳しく見ていきましょう。
1. 保護機能
巾木・幅木の最も重要な役割の一つは、壁の保護です。床を掃除する際に掃除機や箒が当たっても、巾木が壁を守ってくれます。また、家具の移動時にも壁を傷つけにくくなります。廻り縁も同様に、天井と壁の境目を保護し、壁紙の端部が剥がれるのを防ぎます。
2. 隙間隠し
建築時に生じる壁と床、壁と天井の間の微細な隙間や、施工時のわずかなズレを隠す役割があります。特に木造住宅では、経年変化による建物のゆがみや収縮で生じる隙間を目立たなくする効果があります。
3. デザイン性
廻り縁や巾木・幅木は、室内のインテリアデザインに大きく寄与します。これらの部材の素材、色、形状を工夫することで、部屋の雰囲気を大きく変えることができます。例えば、装飾的な廻り縁を使えば格調高い印象に、シンプルな巾木ならモダンな雰囲気を演出できます。
4. 空間の区切り
廻り縁は天井と壁の境目を、巾木は床と壁の境目をはっきりさせることで、空間にメリハリをつけます。これにより、部屋全体がすっきりと見え、空間の広がりを感じさせる効果があります。
5. 清掃のしやすさ
特に巾木は、床と壁の境目の清掃を容易にします。巾木がないと、この部分にほこりがたまりやすく、掃除も難しくなります。巾木があることで、掃除機をかけやすくなり、衛生的な環境を保つことができます。
6. 配線の隠蔽
巾木の裏側を利用して、電話線やインターネットケーブルなどの配線を隠すこともできます。これにより、見た目がすっきりするだけでなく、配線の保護にもなります。
7. 湿気対策
巾木は、床から壁への湿気の上昇を防ぐ役割も果たします。特に木造住宅では、この機能が重要になります。
8. 仕上げの美観
壁紙や塗装、床材の端部を隠すことで、全体的な仕上がりをきれいに見せる効果があります。これにより、プロフェッショナルな仕上がりを実現できます。
このように、廻り縁や巾木・幅木は、保護、美観、機能性など、多岐にわたる役割を果たしています。これらの部材を適切に選択し、設置することで、より快適で美しい住空間を作り出すことができるのです。リフォームや新築の際には、これらの役割を十分に理解した上で、最適な選択をすることが大切です。
廻り縁や巾木・幅木の種類
廻り縁や巾木・幅木には、様々な種類があります。素材、デザイン、サイズなど、選択肢は多岐にわたります。それぞれの特徴を詳しく見ていきましょう。
廻り縁・巾木・幅木の素材
1. 木製
最も一般的な素材の一つです。天然木や集成材が使用されます。木目の美しさや温かみのある質感が特徴で、和風から洋風まで幅広いインテリアに対応できます。ただし、湿気に弱く、経年変化で反りや割れが生じる可能性があります。
2. プラスチック製
軽量で扱いやすく、コストパフォーマンスに優れています。耐水性や耐久性も高く、お手入れが簡単です。木目調や石目調など、様々な表面加工が可能で、本物の木材や石材に近い外観を実現できます。
3. 金属製
主にアルミニウムやステンレスが使用されます。モダンでスタイリッシュな印象を与え、耐久性も高いです。軽量で施工しやすいのも特徴です。
4. 石膏ボード
主に廻り縁で使用されます。天井との一体感を出しやすく、塗装も可能です。曲面の壁にも対応しやすいのが特徴です。
5. MDF(中密度繊維板)
木材の繊維を圧縮して作られた素材です。安定性が高く、塗装がしやすいのが特徴です。比較的安価で、様々な形状に加工しやすいです。
廻り縁・巾木・幅木は色や形が豊富
1. 色のバリエーション
白や木目調といったシンプルなものから、鮮やかな色まで、様々な色が用意されています。壁紙や床材との調和を考えて選びましょう。また、塗装可能な素材を選べば、好みの色に仕上げることもできます。
2. 形状の種類
・ストレートタイプ:シンプルな直線的なデザインで、モダンな空間に適しています。
・モールディングタイプ:装飾的な凹凸のあるデザインで、クラシカルな雰囲気を演出できます。
・丸面タイプ:角が丸くなっているタイプで、柔らかい印象を与えます。
・傾斜タイプ:上部が傾斜しているタイプで、掃除がしやすいのが特徴です。
3. サイズの違い
巾木の高さは一般的に6〜10cm程度ですが、3cmの低いものから20cm以上の高いものまで様々です。廻り縁の幅も3〜5cm程度が一般的ですが、部屋の大きさや天井の高さに応じて選べます。
4. 特殊な機能を持つタイプ
・配線ダクト付き:内部に配線を通すことができるタイプです。
・LED照明付き:間接照明として機能するLEDが組み込まれたタイプもあります。
・防カビ・抗菌加工:特に水回りで使用される巾木に多く見られます。
これらの多様な種類の中から、部屋の雰囲気や機能性、メンテナンス性を考慮して最適なものを選ぶことが大切です。また、家全体での統一感も重要なポイントです。注文住宅やリフォームの際には、これらの選択肢を十分に検討し、理想の空間づくりに活かしていくことをお勧めします。
廻り縁・巾木・幅木の素材
廻り縁や巾木・幅木の素材は多岐にわたります。主な素材には以下のようなものがあります。
1. 木製:自然な風合いが魅力で、和風から洋風まで幅広く対応できます。
2. プラスチック製:軽量で扱いやすく、コストパフォーマンスに優れています。
3. 金属製:モダンな印象を与え、耐久性も高いです。
4. 石膏ボード:天井との一体感を出しやすく、塗装も可能です。
廻り縁・巾木・幅木は色や形が豊富
廻り縁や巾木・幅木は、色や形のバリエーションが豊富です。白や木目調といったシンプルなものから、鮮やかな色や凝ったデザインのものまで、様々な選択肢があります。形状も直線的なものや曲線を取り入れたものなど、インテリアの雰囲気に合わせて選ぶことができます。
廻り縁や巾木・幅木の選び方
廻り縁や巾木・幅木の選び方は、室内の雰囲気や機能性に大きく影響します。適切な選択をするために、以下のポイントを詳しく見ていきましょう。
注文住宅なら色や素材も自由に選べる
注文住宅の場合、廻り縁や巾木・幅木の選択肢が広がります。以下の点を考慮して選びましょう。
1. インテリアスタイルとの調和
室内のデザインコンセプトに合わせて選びます。例えば、和風の内装なら木製の落ち着いた色合いのものを、モダンな空間には金属製やシンプルなデザインのものを選ぶとよいでしょう。
2. 壁紙や床材との調和
壁紙や床材の色、柄、質感と調和するものを選びます。コントラストをつけたい場合は、あえて異なる色や素材を選ぶのも一つの手法です。
3. 部屋の大きさとのバランス
小さな部屋では控えめなサイズを、大きな部屋や天井の高い部屋では存在感のあるものを選ぶとバランスが取れます。
4. 機能性の考慮
水回りなど湿気の多い場所では耐水性の高い素材を、子供部屋など傷つきやすい場所では耐久性の高いものを選びましょう。
耐久性やメンテナンス性
長期的な使用を考えると、耐久性やメンテナンス性も重要な選択基準となります。
1. 素材の耐久性
木製は温かみがありますが、傷つきやすく湿気にも弱い傾向があります。プラスチックや金属製は耐久性が高く、お手入れも比較的簡単です。使用場所や頻度に応じて選びましょう。
2. 清掃のしやすさ
表面の凹凸が少ないものほど、清掃が容易です。特に巾木は日常的に掃除機がぶつかるため、清掃のしやすさは重要なポイントです。
3. 交換のしやすさ
将来的な交換を考慮し、一般的なサイズや取り付け方法のものを選ぶと良いでしょう。特殊なサイズや取り付け方法のものは、交換時に困難が生じる可能性があります。
4. 経年変化
木製の場合、経年による色の変化を考慮する必要があります。自然な経年変化を楽しむか、変化の少ない素材を選ぶかは好みによって決めましょう。
5. 補修のしやすさ
傷がついた際の補修のしやすさも考慮しましょう。例えば、木製なら傷を埋めて塗装し直すことができますが、プラスチック製は部分的な補修が難しい場合があります。
6. 防カビ・抗菌性能
特に水回りや湿気の多い場所では、防カビや抗菌処理がされているものを選ぶと長期的な衛生面で有利です。
7. コストパフォーマンス
初期コストだけでなく、メンテナンスや交換のコストも含めて総合的に判断しましょう。高価でも長持ちする素材を選ぶか、安価で交換を前提とするかは、ライフスタイルに応じて決めると良いでしょう。
8. 施工のしやすさ
DIYで取り付けを考えている場合は、施工のしやすさも重要な選択基準となります。プラスチック製や軽量の木製は比較的扱いやすいです。
廻り縁や巾木・幅木の選び方は、デザイン性と機能性のバランスが重要です。室内の雰囲気づくりの重要な要素であると同時に、日常的に使用する部分でもあるため、十分に検討して選ぶことをおすすめします。また、専門家のアドバイスを受けることで、より適切な選択ができるでしょう。
よくある質問(Q&A)
廻り縁や巾木・幅木に関して、よくある質問とその回答をまとめました。これらの疑問を解消することで、より良い選択ができるでしょう。
Q1: 廻り縁や巾木・幅木を付けないことはできますか?
A1: 技術的には可能ですが、一般的にはお勧めできません。これらの部材には壁や床の保護、隙間隠しなどの重要な機能があるためです。ただし、モダンなデザインを重視する場合など、意図的に省略することもあります。その場合、壁と床、壁と天井の接合部分の仕上げに特別な配慮が必要になります。また、傷や汚れが目立ちやすくなる点にも注意が必要です。
Q2: 廻り縁や巾木・幅木の高さや幅の基準はありますか?
A2: 一般的な巾木の高さは6〜10cm程度、廻り縁の幅は3〜5cm程度ですが、部屋の大きさや好みに応じて調整できます。天井が高い部屋では、より高い巾木や幅広の廻り縁を使うこともあります。ただし、極端に大きいサイズを選ぶと圧迫感が出る可能性があるので注意が必要です。また、将来の交換のしやすさを考えると、一般的なサイズを選ぶのが無難です。
Q3: 廻り縁や巾木・幅木の色は壁や床と同じにするべきですか?
A3: 必ずしも同じ色にする必要はありません。壁や床と同系色にすることで統一感が出せる一方、あえて異なる色を選ぶことでアクセントを付けることもできます。例えば、白い壁に濃い色の巾木を付けると引き締まった印象になります。インテリアのコンセプトに合わせて選びましょう。
Q4: DIYで廻り縁や巾木・幅木の取り付けは可能ですか?
A4: 基本的には可能ですが、経験や道具、技術が必要です。特に角の処理や長さの調整には慣れが必要です。初心者の場合、プラスチック製など比較的扱いやすい素材から始めるのがおすすめです。ただし、仕上がりの美しさや耐久性を重視する場合は、専門業者に依頼することをお勧めします。
Q5: 廻り縁や巾木・幅木の交換は難しいですか?
A5: 交換の難易度は、取り付け方法や素材によって異なります。釘で固定されているタイプは比較的交換しやすいですが、接着剤で固定されているタイプは交換時に壁や床を傷つける可能性があります。また、特殊なサイズや形状の場合、適合する新しい部材を見つけるのが難しい場合があります。交換の可能性を考慮して選ぶことをおすすめします。
Q6: 水回りの巾木は特別な配慮が必要ですか?
A6: はい、水回りの巾木は耐水性や防カビ性能が重要です。プラスチック製や金属製、あるいは特殊な防水処理を施した木製を選ぶとよいでしょう。また、水が溜まりにくい形状のものを選ぶことで、カビの発生を抑制できます。
Q7: 廻り縁や巾木・幅木に配線を通すことはできますか?
A7: 配線用のダクトが内蔵されたタイプの巾木であれば可能です。これらは主に電話線やインターネットケーブル、スピーカーケーブルなどの配線に使用されます。ただし、電力系統の配線は法規制があるため、専門家に相談することをおすすめします。
Q8: 廻り縁や巾木・幅木の素材によって価格はどのくらい違いますか?
A8: 素材や品質によって価格差は大きいです。一般的に、プラスチック製が最も安価で、天然木や高級金属製が高価となります。ただし、同じ素材でも品質や仕上げによって価格が変わるため、予算と求める品質のバランスを考慮して選択することが大切です。
これらの質問と回答を参考に、自身の状況や好みに合った廻り縁や巾木・幅木を選んでいただければと思います。不明点がある場合は、専門家に相談することをおすすめします。
まとめ
廻り縁や巾木・幅木は、室内の仕上げとして重要な役割を果たす部材です。機能面だけでなく、インテリアデザインの一部としても大切な要素となります。素材や色、形状など、選択肢は豊富にありますので、家全体の雰囲気や好みに合わせて選んでいきましょう。耐久性やメンテナンス性にも配慮することで、長く快適な住まいづくりにつながります。新築やリフォームの際は、ぜひこれらの部材にも注目してみてください。
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