人もペットも暮らしやすい家・注文住宅の設計、住宅設備・仕様を解説
家づくりの基本
2024/08/27
2024/08/27
注文住宅を建てる際、ペットと一緒に暮らすことを考えている方も多いのではないでしょうか。人間だけでなく、大切な家族の一員であるペットにとっても快適な住まいを実現するためには、設計段階からさまざまな工夫が必要です。この記事では、人もペットも暮らしやすい家づくりのコツについて、設計や住宅設備・仕様の観点から詳しく解説していきます。
目次
“困った”対策だけでなく、ペットも含め家族みんなが楽しめる家づくりを
ペットと暮らす上で起こりがちな「困った」事態を防ぐことは重要ですが、それだけではありません。ペットとの生活を楽しむための工夫も取り入れることで、より充実した暮らしが実現できます。例えば、猫の遊び場となる高所の棚を設置したり、犬の洗い場を兼ねたユーティリティスペースを設けたりすることで、ペットとの暮らしがより楽しくなります。
人もペットも暮らしやすい家・注文住宅の設計、住宅設備・仕様のコツ
ペットと人が快適に暮らすための住宅設計、設備・仕様には様々なコツがあります。ここでは、より詳細にそのポイントを解説していきます。
設計のポイントは、「ゾーニング」と「動線」
ペットと暮らす家の設計では、「ゾーニング」と「動線」が重要な鍵となります。
ゾーニングとは、生活の用途に応じて空間を区分けすることです。例えば、ペットの食事スペース、寝床、遊び場などを明確に分けることで、生活にメリハリをつけることができます。人間の生活空間とペットの空間を適切に分けることで、お互いのストレスを軽減し、快適な暮らしを実現できます。
動線とは、家の中での移動経路のことです。人とペットの動線を考慮することで、お互いにストレスなく過ごせる空間を作ることができます。例えば、ペットが自由に出入りできるペットドアを設置したり、階段や廊下を広めに設計したりすることで、人とペットがすれ違う際のストレスを軽減できます。
具体的な設計のコツとしては、以下のようなものが挙げられます。
1. リビングとダイニングを分離し、ペットが食事中の人を邪魔しないようにする
2. キッチンにペットゲートを設置できるようにし、料理中の安全を確保する
3. 玄関に広めのスペースを設け、ペットの足を洗ったり、体を拭いたりするスペースを確保する
4. 窓際に棚や出窓を設置し、猫の休憩スペースを作る
5. 庭に面した部屋にペットドアを設置し、ペットが自由に出入りできるようにする
住宅設備・仕様と活用のヒント
ペットと快適に暮らすための住宅設備や仕様には、様々な工夫が必要です。ここでは、主な課題とその対策、そして快適さを追求するためのヒントについて詳しく解説します。
【困った!対策1】汚れ
ペットの毛や足跡による汚れは避けられません。これに対処するための設備・仕様のポイントは以下の通りです。
1. 床材の選択:掃除がしやすく、傷がつきにくい素材を選びましょう。例えば、フローリングであれば表面が滑らかで拭き取りやすいものを、カーペットであれば防汚加工されたものを選ぶのが良いでしょう。
2. 玄関設備:玄関には大きめの足拭きマットを設置し、ペットの足を拭くためのタオルやウェットティッシュを常備しておくと良いでしょう。また、玄関に小さなシャワースペースを設けることで、外出後のペットの足を簡単に洗うことができます。
3. 掃除用具の収納:掃除機やモップなどの掃除用具を手軽に取り出せる収納スペースを設けることで、こまめな掃除が可能になります。
【困った!対策2】音
ペットの鳴き声や足音が気になる場合は、以下のような対策が効果的です。
1. 防音材の使用:壁や床に防音材を使用することで、室内外への音の伝わりを軽減できます。特に集合住宅の場合は、床や壁の防音性能に注意を払いましょう。
2. 窓の選択:二重サッシや防音ガラスを採用することで、外部への音漏れを軽減できます。
3. 床材の工夫:犬の足音が気になる場合は、クッション性のある床材を選ぶことも一案です。コルクフローリングやクッションフロアなどが選択肢として挙げられます。
【困った!対策3】ニオイ
ペットのニオイ対策としては、以下のような設備・仕様が効果的です。
1. 換気システム:24時間換気システムを導入したり、空気清浄機能付きのエアコンを設置したりすることで、室内の空気を清浄に保つことができます。
2. 消臭効果のある建材:消臭効果のある壁紙や塗料を使用することで、ニオイの吸着を防ぐことができます。
3. フローリングの隙間対策:フローリングの場合、板と板の間の隙間にニオイが溜まりやすいので、隙間の少ないものを選ぶか、目地詰めを行うことをおすすめします。
【世話のしやすさ】
ペットの世話を楽にするための設備・仕様のポイントは以下の通りです。
1. ペット用シャワー:洗面所やユーティリティルームにペット用のシャワーを設置すれば、簡単にシャンプーができます。
2. 専用の収納スペース:フードやおもちゃ、トイレ用品などを収納するための専用スペースを設けることで、整理整頓が容易になります。
3. 給水設備:自動給水器を設置できるよう、水道の位置を工夫するのも良いでしょう。
【快適さ(楽しみ方)】
ペットとの暮らしをより楽しむための設備・仕様のヒントは以下の通りです。
1. ペット専用スペース:リビングの一角にペット専用のコーナーを設けることで、ペットの居場所ができ、家族との時間も楽しめます。
2. キャットウォーク:猫の場合、高所に移動できる棚や通路を設置することで、運動不足解消やストレス軽減につながります。
3. 窓際の工夫:窓際に棚や出窓を設置することで、ペットが外の景色を楽しめるスペースを作ることができます。
4. 庭とのつながり:ウッドデッキや縁側を設置することで、室内にいながら庭の景色を楽しめ、ペットも自由に出入りできるスペースになります。
これらの設備・仕様を上手く取り入れることで、人とペットがストレスなく、楽しく暮らせる住まいを実現することができます。ただし、ペットの種類や性格、家族構成によって最適な設備は異なりますので、専門家とよく相談しながら計画を進めることが大切です。
人もペットも暮らしやすい家の設計や住宅設備・仕様の例
人とペットが快適に暮らせる家を実現するためには、具体的な設計や設備の例を知ることが参考になります。ここでは、実際の家づくりで採用されている設計や設備の例を詳しく解説します。
ペットリビングの設置
リビングの一角や隣接するスペースに、ペット専用のリビングを設けるケースが増えています。
具体例:
– 広さ:4〜6畳程度
– 設備:ペット用ベッド、食事スペース、トイレスペース
– 特徴:床材は掃除しやすい素材(タイルやクッションフロア)を使用
– メリット:ペットの生活空間を集約でき、人の生活空間との住み分けが可能
ペット用シャワールーム
洗面所や脱衣所に隣接して、ペット専用のシャワースペースを設ける例が見られます。
具体例:
– 広さ:1〜2畳程度
– 設備:ハンドシャワー、温水器、排水溝
– 特徴:床は滑りにくい素材を使用し、壁は耐水性のある材料を採用
– メリット:ペットの体を洗う際の水はねを防ぎ、衛生的に管理できる
キャットウォーク
壁面や天井近くに猫専用の通路を設置する例が増えています。
具体例:
– 設置場所:リビングの壁面や天井付近
– 構造:幅30cm程度の棚や通路を連結
– 素材:木材や耐久性のある素材を使用し、滑り止め加工を施す
– メリット:猫の運動不足解消や、高所好きな猫の習性に配慮できる
ペット対応フローリング
ペットの爪による傷や汚れに強いフローリングを採用する例が多く見られます。
具体例:
– 素材:オーク、メープルなどの硬い木材や、強化フローリング
– 表面加工:耐傷性・耐汚染性に優れた特殊コーティング
– 特徴:水拭きが可能で、ペットの毛が絡みにくい表面仕上げ
– メリット:美観を保ちつつ、日々のお手入れが容易
ペットドア付きの建具
室内ドアにペットが通れる小さな開口部を設ける例があります。
具体例:
– サイズ:犬や猫の大きさに合わせて調整(幅30cm×高さ40cm程度)
– 構造:開閉可能なフラップ付き
– 設置場所:リビングドアや廊下のドアなど
– メリット:ドアを閉めていてもペットが自由に行き来できる
足洗い場付き玄関
玄関に足洗い用のスペースを設ける例が増えています。
具体例:
– 設置場所:玄関の一角や屋外の軒下
– 設備:手元シャワー、排水溝
– 素材:タイルなど耐水性のある床材を使用
– メリット:散歩後のペットの足を洗い、室内を汚さない
ペット用品の収納スペース
ペット用品専用の収納スペースを設ける例が見られます。
具体例:
– 設置場所:玄関近くや洗面所、ペットリビング隣接部
– 構造:可動棚付きの収納棚や引き出し
– 収納物:フード、おもちゃ、リード、シャンプーなど
– メリット:ペット用品を一箇所にまとめ、整理整頓が容易になる
防音・遮音設計
ペットの鳴き声や足音に配慮した防音・遮音設計を行う例があります。
具体例:
– 床:二重床構造や遮音マット敷設
– 壁:防音材入りの壁や二重壁構造
– 窓:二重サッシや防音ガラスの採用
– メリット:近隣への騒音対策や、室内での静寂確保が可能
これらの設計例や設備は、ペットとの暮らしをより快適にするためのアイデアの一部です。実際の採用にあたっては、家族構成やペットの種類、生活スタイルなどを考慮し、設計士や建築会社とよく相談しながら決めていくことが大切です。また、これらの設備を後から追加することは難しい場合もあるため、家を建てる際にあらかじめ計画に組み込んでおくことをおすすめします。
よくある質問(Q&A)
ペットと暮らす住宅の設計や設備に関して、よくある質問とその回答をまとめました。これらの Q&A を参考に、より快適な住まいづくりの参考にしてください。
Q1: ペットと暮らす上で、最も重要な設計ポイントは何ですか?
A1: 最も重要なのは、ゾーニングと動線の設計です。ペットと人の生活空間を適切に区分けし、お互いにストレスなく過ごせる動線を確保することが、快適な暮らしの基本となります。例えば、ペットの食事スペースや寝床を決めておくこと、人とペットがぶつからないような廊下幅を確保することなどが重要です。
Q2: ペットのニオイ対策で最も効果的な方法は何ですか?
A2: 効果的な換気システムの導入が最も重要です。24時間換気システムや空気清浄機能付きエアコンの設置、そして消臭効果のある建材の使用を組み合わせることで、ニオイを最小限に抑えることができます。また、定期的な掃除や、ペットのトイレ場所の固定化も効果的です。
Q3: ペットと暮らす家の床材は何がおすすめですか?
A3: 掃除のしやすさを考慮すると、表面が滑らかで拭き取りやすいフローリングがおすすめです。特に、耐傷性や耐水性に優れた特殊コーティングが施されたものが適しています。ただし、犬の足音が気になる場合は、クッション性のある床材を選ぶのも一案です。また、防汚加工されたカーペットも選択肢の一つです。
Q4: ペット用のシャワースペースは必要ですか?
A4: ペット用シャワースペースは非常に便利ですが、必須というわけではありません。ただし、大型犬や頻繁にシャンプーが必要なペットと暮らす場合は、専用のシャワースペースがあると非常に役立ちます。洗面所や脱衣所に隣接して設置すると、水回りの設備を効率的に配置できます。
Q5: 猫と暮らす家の設計で特に気をつけるべき点は何ですか?
A5: 猫と暮らす家では、高所の活用が重要です。キャットウォークや棚の設置、窓辺の休憩スペースの確保などが効果的です。また、爪とぎ対策として、壁の一部に爪とぎ可能な素材を使用するのも良いでしょう。さらに、猫の習性を考慮し、隠れ家となるスペースを設けることも大切です。
Q6: ペットと暮らす家で、特に注意が必要な素材や設備はありますか?
A6: ペットの健康と安全を考慮し、避けるべき素材や設備があります。例えば、毒性のある観葉植物、ペットが誤飲する可能性のある小さな装飾品、滑りやすい床材などです。また、窓や階段には転落防止の措置を講じることが重要です。
Q7: ペットのための温度管理はどうすればよいですか?
A7: ペットは人間よりも暑さや寒さに敏感です。エアコンや床暖房の設置位置を工夫し、ペットの居場所での温度を適切に保てるようにしましょう。また、夏場は風通しのよい場所に休憩スペースを設け、冬場は暖かい場所に寝床を用意するなどの配慮が必要です。
Q8: ペットと暮らす家で、収納はどのように考えればよいですか?
A8: ペット用品の収納は重要な検討事項です。フード、おもちゃ、トイレ用品などを収納するための専用スペースを設けることをおすすめします。玄関近くや洗面所、ペットリビング隣接部などに、可動棚付きの収納棚や引き出しを設置すると便利です。また、掃除用具の収納も忘れずに計画しましょう。
Q9: ペットと暮らす家で、庭やベランダの設計はどうすればよいですか?
A9: 庭やベランダは、ペットにとって重要な外部空間です。犬の場合は、十分な運動スペースと排泄スペースを確保することが大切です。猫の場合は、脱走防止のためのフェンスや網の設置を検討しましょう。また、日よけや雨よけの設置、安全な植栽の選択も重要なポイントです。
Q10: ペットと暮らす家の防音対策は必要ですか?
A10: ペットの鳴き声や足音が気になる場合は、防音対策が必要です。特に集合住宅の場合は重要です。床には防音マットを敷く、壁には防音材を使用する、窓には二重サッシを採用するなどの対策が効果的です。また、ペットの居場所を隣家と離れた場所に設定するなど、間取りの工夫も検討しましょう。
これらの Q&A を参考に、ペットと人が共に快適に暮らせる住まいづくりを目指してください。具体的な設計や設備の選択は、専門家とよく相談しながら進めることをおすすめします。
まとめ
人もペットも暮らしやすい家づくりのためには、設計段階からペットとの生活を想定した工夫が必要です。ゾーニングと動線を考慮した設計、汚れやニオイ、音への対策、そしてペットの快適さを追求した設備や仕様の選択が重要です。単に「困った」対策だけでなく、ペットとの暮らしを楽しむための工夫も取り入れることで、より充実した生活が実現できます。注文住宅だからこそ可能な、あなたとペットにぴったりの住まいづくりを目指してみてはいかがでしょうか。
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