マンションで内窓を後付けすることによる効果や内窓の選び方を解説
家づくりの基本
2024/10/23
2024/10/23
マンションで快適な住環境を実現するための一つの方法として、内窓の後付けが注目されています。内窓は既存の窓の室内側に取り付ける追加の窓で、断熱性や遮音性を高める効果があります。本記事では、マンションにおける内窓の後付けについて、そのメリットや効果、選び方、費用などを詳しく解説します。内窓の導入を検討されている方は、ぜひ参考にしてください。
目次
内窓の特徴やメリット
内窓は、既存の窓の室内側に追加で設置する窓のことで、様々な特徴やメリットがあります。ここでは、マンションに内窓を後付けする際の主な特徴やメリットについて詳しく解説します。
断熱性能の向上
内窓の最大の特徴は、断熱性能を大幅に向上させることです。既存の窓と内窓の間に空気層ができることで、熱の出入りを効果的に抑制します。これにより、冬は暖かく、夏は涼しい室内環境を維持しやすくなります。特に、寒冷地や高層階のマンションでは、この効果が顕著に表れます。
遮音性能の向上
内窓を設置することで、外部からの騒音を大幅に軽減することができます。二重の窓が音を遮断するため、道路に面したマンションや駅近くのマンションなど、騒音に悩まされやすい環境でも静かな室内空間を実現できます。この効果は、睡眠の質の向上や集中力の改善にもつながります。
結露の防止
内窓を設置すると、室内側の窓ガラスの表面温度が上がるため、結露の発生を抑えることができます。結露は、カビやダニの発生原因となるだけでなく、壁紙の劣化や木材の腐食などの問題を引き起こす可能性があります。内窓の設置により、これらの問題を予防し、健康的な室内環境を維持することができます。
省エネ効果
断熱性能が向上することで、冷暖房の効率が上がり、エネルギー消費を抑えることができます。これは、光熱費の削減につながるだけでなく、環境への負荷を減らすことにも貢献します。長期的に見れば、内窓の設置費用以上の節約効果が期待できる場合もあります。
防犯性の向上
内窓を設置することで、窓の防犯性能が高まります。二重の窓になることで、外部からの侵入がより困難になります。また、防犯性能の高いガラスや鍵を使用した内窓を選択することで、さらに安全性を高めることができます。
UV対策
最近の内窓には、紫外線をカットする機能を持つものもあります。これにより、家具や床、壁紙の日焼けや変色を防ぐことができます。また、肌への紫外線の影響も軽減されるため、健康面でのメリットもあります。
リフォームの手軽さ
内窓の設置は、大規模な工事を必要としない比較的手軽なリフォーム方法です。既存の窓を取り替える必要がないため、工期も短く、住みながらの施工が可能です。また、マンションの外観を変えることなく、室内環境を改善できるという点も大きな特徴です。
これらの特徴やメリットにより、内窓の後付けは、マンションの居住性を大幅に向上させる効果的な方法といえます。ただし、内窓の種類や品質によって効果に差があるため、自身のニーズや予算に合わせて適切な内窓を選択することが重要です。
内窓の導入費用や工期、デザイン
マンションに内窓を後付けする際には、導入費用や工期、デザインについて事前に理解しておくことが重要です。これらの要素は、内窓導入の計画を立てる上で大きな影響を与えます。ここでは、それぞれについて詳しく解説します。
導入費用
内窓の導入費用は、窓のサイズや素材、性能、施工範囲などによって大きく異なります。一般的な目安は以下の通りです。
・1窓あたりの費用:通常、3万円から10万円程度です。高性能な断熱ガラスや特殊な機能を持つ内窓の場合は、さらに高額になることもあります。
・マンション全体の費用:一般的な2LDKのマンションで、全ての窓に内窓を設置する場合、20万円から100万円程度の費用がかかることが多いです。ただし、窓の数や大きさ、選択する内窓の種類によって変動します。
・追加オプション:網戸の取り付けや既存窓の調整など、追加の作業が必要な場合は、別途費用がかかります。
費用を抑えたい場合は、最も効果が高い窓(例:日当たりの良い南向きの窓)から順に設置していくなど、優先順位をつけて導入を検討するのも一つの方法です。
工期
内窓の設置工事は、比較的短期間で完了することが多いです。一般的な工期は以下の通りです。
・1窓あたりの工期:通常、2〜3時間程度で設置が完了します。
・マンション全体の工期:窓の数にもよりますが、通常1日から2日程度で完了します。大規模なマンションや特殊な工事が必要な場合は、さらに日数がかかることもあります。
・事前準備:工事前の採寸や打ち合わせなどの準備期間を含めると、発注から完了までおおよそ2週間から1ヶ月程度を見込む必要があります。
内窓の設置は、既存の窓を取り外す必要がないため、比較的短時間で済む工事です。そのため、住みながらの施工が可能で、生活への影響を最小限に抑えられるというメリットがあります。
デザイン
内窓のデザインは、室内の雰囲気や既存の窓との調和を考慮して選択することが重要です。主なデザイン要素は以下の通りです。
・フレームの色:白、ブラウン、ブラックなど、様々な色が選べます。既存の窓枠や室内のインテリアに合わせて選択することで、見た目の調和を図ることができます。
・フレームの素材:アルミ製、樹脂製、木製などがあります。素材によって見た目や質感が異なるため、室内の雰囲気に合わせて選びましょう。
・開閉方式:引き違い、開き窓、縦すべり出し窓など、既存の窓との相性や使い勝手を考慮して選択します。
・ガラスの種類:透明ガラス、曇りガラス、網入りガラスなど、プライバシーや採光の観点から選べます。
・付属品:ブラインドやロールスクリーンなどを一体型で設置できる内窓もあります。これにより、窓周りをすっきりとさせることができます。
内窓のデザインは、単に見た目だけでなく、使い勝手や機能性にも影響を与えます。例えば、開閉方式によっては既存の窓との干渉が起こる可能性があるため、事前に確認が必要です。また、フレームの太さによっては採光量が変わる可能性もあるので、注意が必要です。
内窓の導入を検討する際は、これらの費用、工期、デザインの要素を総合的に考慮し、自身のニーズや予算に合った最適な選択をすることが重要です。また、複数の業者から見積もりを取り、比較検討することをおすすめします。
内窓を選ぶときのポイント
マンションに内窓を後付けする際、適切な選択をすることで最大限の効果を得ることができます。ここでは、内窓を選ぶ際に注意すべき主なポイントについて詳しく解説します。
素材の選択
内窓のフレーム素材は、性能や価格、見た目に大きく影響します。主な素材とその特徴は以下の通りです。
・アルミ製:軽量で強度があり、比較的安価です。ただし、熱伝導率が高いため、断熱性能はやや劣ります。
・樹脂製:断熱性能に優れ、結露防止効果も高いです。耐久性もあり、メンテナンスが容易です。ただし、アルミ製に比べてやや高価です。
・木製:高い断熱性能と独特の風合いが特徴です。ただし、価格が高く、定期的なメンテナンスが必要です。
・アルミ樹脂複合:アルミと樹脂のいいとこ取りをした素材で、断熱性能と強度のバランスが良いです。
断熱性能を重視する場合は樹脂製や木製、コストを抑えたい場合はアルミ製、バランスを取りたい場合はアルミ樹脂複合を選ぶのがおすすめです。
ガラスの種類
内窓のガラスは、断熱性能や遮音性能に大きく影響します。主なガラスの種類は以下の通りです。
・単板ガラス:最も基本的なガラスで、コストは抑えられますが、断熱性能は低めです。
・複層ガラス:2枚以上のガラスの間に空気層を設けたもので、断熱性能が高いです。
・Low-Eガラス:特殊な金属膜をコーティングし、熱の出入りを抑制するガラスです。高い断熱性能を持ちます。
・真空ガラス:2枚のガラスの間を真空にしたもので、非常に高い断熱性能を持ちます。ただし、価格は高めです。
・遮音ガラス:特殊な中間膜を使用し、音の透過を抑えるガラスです。騒音対策に効果的です。
断熱性能を重視する場合は複層ガラスやLow-Eガラス、遮音性能を重視する場合は遮音ガラスを選択するのがおすすめです。
開閉方式
開閉方式は使い勝手に大きく影響します。主な開閉方式は以下の通りです。
・引き違い:最も一般的な方式で、左右にスライドして開閉します。
・開き窓:窓全体が内側や外側に開く方式です。換気性能が高いですが、開閉時のスペースが必要です。
・縦すべり出し窓:下部を固定し、上部が外側に開く方式です。換気性能が高く、雨の日でも開けられるメリットがあります。
・FIX窓:開閉できない固定窓です。気密性が高く、断熱性能に優れています。
既存の窓との相性や、室内の家具の配置、換気の必要性などを考慮して選択しましょう。
断熱性能
内窓の断熱性能は、熱貫流率(U値)で表されます。U値が小さいほど断熱性能が高くなります。一般的に、以下のような目安があります。
・U値 4.0以上:単板ガラスの一般的な窓
・U値 3.0〜4.0:複層ガラスの一般的な内窓
・U値 2.0〜3.0:高性能な複層ガラスやLow-Eガラスを使用した内窓
・U値 2.0未満:最高性能の内窓(真空ガラスなど)
断熱性能を重視する場合は、U値の小さい内窓を選択しましょう。
遮音性能
遮音性能は、音の遮断の程度を示す遮音等級で表されます。等級が高いほど遮音性能が高くなります。騒音が気になる環境では、遮音性能の高い内窓を選択することをおすすめします。
施工業者の選定
内窓の性能を最大限に引き出すためには、適切な施工が不可欠です。信頼できる業者を選ぶことが重要です。以下の点に注意して業者を選定しましょう。
・実績や評判:過去の施工実績や顧客の評判を確認します。
・保証内容:アフターサービスや保証の内容を確認します。
・見積もり内容:複数の業者から見積もりを取り、内容を比較検討します。
・コミュニケーション:疑問点や要望をきちんと聞いてくれる業者を選びます。
これらのポイントを考慮しながら、自身のニーズや予算に合った内窓を選択することで、マンションの居住性を大幅に向上させることができます。また、専門家のアドバイスを受けることも、適切な選択をする上で有効です。
よくある質問(Q&A)
マンションに内窓を後付けする際によく寄せられる質問について、Q&A形式で詳しく解説します。
Q1: マンションの管理規約で内窓の設置が制限されることはありますか?
A1: マンションによっては、内窓の設置に関する規定がある場合があります。一般的に、以下のようなケースがあります。
・完全に禁止されている場合:稀ですが、内窓の設置を全面的に禁止しているマンションもあります。
・条件付きで許可されている場合:色やデザインに制限がある、専有部分の範囲内での設置に限定されるなど、一定の条件下で許可されていることが多いです。
・特に規定がない場合:この場合でも、事前に管理組合や管理会社に確認することをおすすめします。
内窓の設置を検討する際は、必ず事前に管理規約を確認し、管理組合や管理会社に相談することが重要です。場合によっては、総会での承認が必要になることもあります。
Q2: 内窓を設置すると部屋が暗くなりませんか?
A2: 内窓の設置により、若干の採光減少は避けられませんが、大きく暗くなることはありません。
・最新の内窓:現代の内窓は高透明度のガラスを使用しているため、光の透過率が高く、採光への影響は最小限に抑えられています。
・フレームの影響:内窓のフレームにより、わずかに窓枠が太くなるため、その分だけ採光が減少します。ただし、この影響は通常わずかです。
・採光を重視する場合:特に採光を重視する場合は、フレームが細いタイプの内窓を選択したり、ガラス面積の大きい内窓を選ぶなどの対策が可能です。
多くの場合、内窓設置による快適性の向上のメリットが、わずかな採光減少のデメリットを上回ると考えられます。
Q3: 内窓の清掃はどのようにすればよいですか?
A3: 内窓の清掃は、通常の窓と同様に行うことができますが、いくつか注意点があります。
・通常の清掃:内窓のガラス面は、一般的な窓用洗剤とスクイージーや柔らかい布を使用して清掃できます。
・フレームの清掃:フレームは材質に応じた方法で清掃します。例えば、樹脂製フレームの場合は水拭きで十分ですが、木製フレームの場合は専用のクリーナーを使用することをおすすめします。
・内窓と既存窓の間の空間:この部分は定期的に掃除機などで埃を取り除く必要があります。結露が発生しやすい場所でもあるので、こまめな換気と拭き取りが大切です。
・頻度:一般的に、3〜6ヶ月に1回程度の清掃が推奨されますが、環境によって適切な頻度は異なります。
清掃方法や頻度については、内窓の製造元や施工業者の推奨事項も参考にしてください。
Q4: 内窓は取り外しが可能ですか?
A4: 多くの内窓は取り外しが可能です。ただし、以下の点に注意が必要です。
・取り外し方法:内窓の種類によって取り外し方法が異なります。一般的には、フレームごと取り外すタイプと、ガラス部分のみ取り外せるタイプがあります。
・専門知識の必要性:一部の内窓は専門的な知識や工具が必要な場合があります。無理に取り外そうとすると、破損や怪我の恐れがあります。
・再設置の考慮:取り外した内窓を再度設置する際には、専門業者に依頼することをおすすめします。気密性や断熱性能を維持するためには、正確な再設置が重要です。
取り外しの必要がある場合は、まず施工業者や製造元に相談することをおすすめします。
Q5: 内窓の設置で火災時の避難に支障はありませんか?
A5: 適切に設置された内窓は、通常、火災時の避難に大きな支障をきたすことはありません。ただし、以下の点に注意が必要です。
・開閉方式の選択:避難経路となる窓の場合、開閉が容易な方式(例:引き違い窓)を選択することが重要です。
・非常時の開閉方法:内窓の開閉方法を家族全員が理解しておくことが大切です。
・避難経路の確保:内窓の設置により窓際に物を置くスペースができる場合がありますが、避難経路を塞がないよう注意が必要です。
・消防法の遵守:避難器具が設置されている窓に内窓を設置する場合は、消防法に適合していることを確認する必要があります。
安全面で不安がある場合は、消防署や専門家に相談することをおすすめします。
これらの質問と回答を参考にしながら、自身の状況に合わせて内窓の設置を検討してください。不明点がある場合は、専門家や施工業者に相談することが重要です。
まとめ
マンションに内窓を後付けすることで、断熱性や遮音性の向上、結露の防止など、様々なメリットを得ることができます。導入にあたっては、費用や工期、デザインなどを考慮し、自身のニーズに合った内窓を選択することが重要です。また、信頼できる業者を選び、適切な施工を行うことで、より快適な住環境を実現することができるでしょう。内窓の設置を検討している方は、ぜひ本記事を参考に、自分に合った内窓選びを進めてみてください。
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