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間(けん)、尺、寸といった尺貫法や尺モジュールについて解説

家づくりの基本

2024/10/30

2024/10/30

記事監修者

1級ファイナンシャル・プランニング技能士 / 渡辺 知光

間(けん)、尺、寸といった尺貫法や尺モジュールについて解説

日本の伝統的な長さの単位である尺貫法。1959年に廃止されたものの、建築の世界では今でも尺貫法をベースにした「尺モジュール」が使われています。今回は、尺貫法の基本的な単位から、現代の建築でなぜ尺モジュールが活用されているのかまで、詳しく解説していきます。

尺貫法とは

尺貫法は、古くから日本で使用されてきた伝統的な計量単位のシステムです。建築の分野では、特に「寸」「尺」「間」という長さの単位が重要な役割を果たしてきました。

尺貫法による基本的な長さの単位

尺貫法における主要な長さの単位を現代のメートル法に換算すると、以下のような関係性になります。

1寸(すん)=約3.03cm

1尺(しゃく)=10寸=約30.3cm

1間(けん)=6尺=約1.82m

体の大きさによる身体尺がもとになっている尺貫法

尺貫法は、人間の体の寸法を基準として発展してきた単位体系です。例えば、1寸は親指の幅、1尺は人の足の長さ、1間は両手を広げた長さを基準にしていたとされています。つまり、日本人の身体的な特徴や生活様式に深く結びついた計測システムといえます。

建築における尺貫法の重要性

建築の世界では、尺貫法は単なる計測単位以上の意味を持っています。例えば、畳の大きさは約1間×0.5間(京間)というように、尺貫法を基準として規格化されています。これにより、建材や設備の寸法が統一され、効率的な建築が可能になってきました。

現代における尺貫法の位置づけ

1959年にメートル法への完全移行が決定し、尺貫法は正式には廃止されました。しかし、建築の分野では「尺モジュール」という形で、その考え方が今も生きています。3尺(約90.9cm)を基準とした寸法体系は、日本の住宅建築において重要な役割を果たし続けているのです。

尺貫法を理解することの意義

現代の建築において尺貫法を理解することは、以下の点で重要な意味を持ちます。

・日本の伝統的な建築様式を理解できる

・既存の建材や設備との互換性を把握できる

・リフォームや増改築の際の寸法計画に役立つ

・和室や畳スペースの設計がスムーズになる

このように、尺貫法は単なる歴史的な計量単位ではなく、現代の建築設計においても実用的な価値を持ち続けているのです。

尺貫法・尺モジュールの活用状況

尺貫法は1959年に正式に廃止されましたが、建築の世界では「尺モジュール」として、その考え方が今なお活用されています。特に住宅建築において、尺モジュールは重要な役割を果たしています。

尺貫法は1959年に廃止されている

メートル法への統一化により、1959年に尺貫法は正式に廃止されました。しかし、建築業界では長年培われてきた合理的なシステムとして認識され、完全な廃止には至っていません。これは、日本の建築文化や生活様式に深く根付いているためです。

3尺を単位とした尺モジュールが今も生きている

現代の建築現場では、3尺(約90.9cm)を基準とした「尺モジュール」が広く採用されています。これは以下のような場面で活用されています。

・和室の設計(畳の寸法が尺貫法ベース)

・建材の規格(柱間隔や壁材のサイズ)

・設備機器の配置(キッチンや浴室などの寸法)

・間取りの基本設計(部屋の大きさや通路幅)

建材メーカーの対応

多くの建材メーカーは、尺モジュールに対応した製品を製造しています。例えば、壁材や床材、建具などは3尺(910mm)を基準とした寸法で生産されており、これにより無駄の少ない効率的な施工が可能になっています。

新築住宅での活用事例

新築住宅においても、尺モジュールは以下のような形で活用されています。

・和室を含む間取りの設計

・押入れや物入れのサイズ設定

・開口部(窓やドア)の寸法決定

・キッチンや洗面所などの水回りの設計

リフォーム・リノベーションでの重要性

特に既存住宅のリフォームやリノベーションにおいて、尺モジュールの理解は重要です。既存の建物が尺モジュールで設計されている場合、それに合わせた改修計画を立てることで、コストを抑えながら効率的な工事が可能になります。

国際化への対応

グローバル化が進む中、建築業界でもメートル法への統一化が進んでいます。しかし、日本の住宅建築においては、尺モジュールとメートルモジュールを状況に応じて使い分けるハイブリッドな アプローチ が一般的となっています。これは、既存の建材との互換性を保ちながら、国際標準にも対応するための現実的な解決策といえます。

尺モジュールが使われるメリット

尺モジュールは、日本の住宅建築において長年使用されてきた合理的なシステムです。その背景には、いくつかの重要なメリットが存在します。ここでは、主要な3つのメリットについて詳しく解説していきます。

既製品の設備機器が効率的に配置しやすい

尺モジュールの最大のメリットの一つは、既製品との相性の良さです。以下のような場面で効率的な設計・施工が可能になります。

・キッチンユニットが無駄なく収まる

・浴室や洗面台のサイズが計画しやすい

・建具(ドアや引き戸)が規格品で対応できる

・収納家具やシステムキッチンが効率よく配置できる

面材などは尺モジュール。無駄なく使えてコストアップを防げる

建材の効率的な使用という観点からも、尺モジュールには大きなメリットがあります。 ・壁材や床材が無駄なくジャストサイズで納まる ・規格品の建材を使用できるためコストが抑えられる ・施工時の材料のロスが少ない ・建具や収納などの既製品が使いやすい ・断熱材や内装材も規格サイズで対応可能

日本人の体型になじみやすい

尺モジュールは、日本人の身体的特徴や生活習慣に合わせて発展してきた寸法体系です。そのため、以下のような利点があります。

・通路幅が歩きやすい寸法になる

・収納の高さや奥行きが使いやすい

・和室での座位生活に適している

・家具や設備の高さが使いやすい

・手の届く範囲が考慮されている

伝統的な和の空間との調和

尺モジュールを採用することで、以下のような和の要素との調和も図りやすくなります。

・畳の寸法との整合性が取れる

・障子や襖などの建具が美しく収まる

・床の間や押入れなどの伝統的な設えが作りやすい

・和室と洋室の融合がスムーズ

リフォームやメンテナンスの際の利点

将来のリフォームやメンテナンスを考えた際も、尺モジュールには以下のようなメリットがあります。

・部材の交換が容易

・増改築の際の互換性が高い

・設備機器の更新がしやすい

・建材の調達が比較的容易

このように、尺モジュールは単なる寸法体系以上の価値を持っており、現代の住宅建築において実用的かつ経済的なメリットをもたらしているのです。

メーターモジュールとは

メーターモジュールは、1m×1mを基本単位とした現代的な建築モジュールです。国際標準規格として世界的に採用されており、グローバル化が進む建築業界において重要な役割を果たしています。

1m×1mを基本単位としたモジュール

メーターモジュールの特徴は以下の通りです。

・基準寸法が1000mm×1000mm

・100mmを最小単位とすることが多い

・国際規格に準拠している

・設計がメートル法で完結する

・グローバルな建材調達が容易

尺モジュールとメーターモジュールの併用は可能?

現代の日本の建築現場では、両モジュールの併用が一般的になっています。その理由と特徴は以下の通りです。

・和室は尺モジュール、洋室はメーターモジュールといった使い分けが可能

・設備機器や建材の種類に応じて適切なモジュールを選択できる

・国産建材と輸入建材を組み合わせやすい

・新築とリフォームで柔軟な対応が可能

メーターモジュールのメリット

メーターモジュールには以下のようなメリットがあります。

・国際規格の建材が使いやすい

・輸入建材との互換性が高い

・計算が簡単で設計がしやすい

・グローバルな設計基準との整合性が取れる

・若手設計者にとって理解しやすい

メーターモジュールの課題

一方で、以下のような課題も存在します。

・既存の日本の建材との相性が悪い場合がある

・和室や畳スペースの設計が複雑になる

・リフォーム時に既存部分との調整が必要

・国産の規格建材が使いにくい場合がある

今後の展望

建築業界のグローバル化に伴い、メーターモジュールの重要性は今後さらに高まると予想されます。しかし、日本の住宅建築においては以下のような方向性が考えられます。

・両モジュールの特性を活かした併用の継続

・新たな互換性のある規格の開発

・国際標準と日本の伝統的な寸法体系の融合

・デジタル技術を活用した新しい寸法計画の確立

このように、メーターモジュールは国際標準という利点を持ちながらも、日本の建築現場では尺モジュールとの併用という形で、実践的な活用が図られています。それぞれのメリットを活かしながら、状況に応じて適切に使い分けていくことが重要です。

よくある質問(Q&A)

尺貫法や尺モジュールについて、施主様からよく寄せられる質問とその回答をまとめました。家づくりの参考にしていただければ幸いです。

尺貫法・尺モジュールの基礎知識

Q1:尺貫法は完全に古い単位なのでしょうか?

A1:1959年に正式には廃止されましたが、建築の世界では「尺モジュール」として今でも広く使われています。和の文化や日本人の暮らしに合った合理的なシステムとして認識されているためです。

Q2:畳の大きさは何尺なのでしょうか?

A2:一般的な畳は約1間×0.5間(京間)で、現代の寸法では約180cm×90cmになります。地域によって若干の違いがありますが、これを基準に建材や設備が規格化されています。

設計・施工に関する質問

Q1:新築でメーターモジュールを採用すると、将来の増改築で問題が起きませんか?

A1:現代では両モジュールを併用することが一般的です。設計段階で将来の増改築も考慮して計画することで、大きな問題は避けられます。

Q2:和室と洋室で異なるモジュールを使うことはできますか?

A2:はい、可能です。実際の建築現場では、和室は尺モジュール、洋室はメーターモジュールというように使い分けることが一般的です。

コストに関する質問

Q1:尺モジュールとメーターモジュール、どちらが建築コストが安くなりますか?

A1:一概には言えません。ただし、尺モジュールは日本の既製品や規格建材との相性が良いため、それらを使用する場合はコストを抑えられる傾向にあります。

Q2:建材の無駄が出ないようにするには、どちらのモジュールがよいですか?

A2:日本国内の建材を多用する場合は尺モジュール、輸入建材を多用する場合はメーターモジュールの方が、材料の無駄を減らしやすいです。

リフォームに関する質問

Q1:古い家のリフォームの際、モジュールの違いは問題になりますか?

A1:築年数の古い家は尺モジュールで建てられていることが多いため、リフォームの際はそれに合わせた計画を立てると、工事がスムーズに進みやすくなります。

Q2:既存の和室を洋室に変更する場合、どのようなことに注意が必要ですか?

A2:畳スペースは尺モジュールで設計されているため、フローリングへの変更時には寸法の調整が必要になることがあります。事前に詳細な採寸と計画が重要です。

将来性に関する質問

Q1:今後、尺モジュールは使われなくなるのでしょうか?

A1:グローバル化に伴いメーターモジュールの採用は増えていますが、日本の住宅建築では和の要素や既存建材との互換性から、尺モジュールも併用されると考えられます。

Q2:若い設計者は尺貫法を理解しているのでしょうか?

A2:建築教育では両方のモジュールについて学ぶため、基本的な知識は持っています。ただし、実務経験を通じてより深い理解を得ていく必要があります。

まとめ

尺貫法は1959年に廃止されましたが、建築の世界では「尺モジュール」として今なお重要な役割を果たしています。既製品との相性の良さや、日本人の体型に合わせやすいといったメリットがあり、実用的な価値が認められています。今後も、メーターモジュールとの併用など、状況に応じた柔軟な活用が続いていくことでしょう。

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記事監修者

1級ファイナンシャル・プランニング技能士 / 渡辺 知光

大学卒業後、積水化学工業に入社し住宅「セキスイハイム」を販売。3年8カ月千葉県内で営業に従事し、営業表彰を6期連続受賞。
途中、母の急死に直面し、自分の将来について悩み始める。結果、大学のゼミで学んだ「保険」事業に実際に携わりたいと思いFP資格を取得して日本生命に転職。4年間営業に従事したが、顧客に対して提供出来る商品がなく退職を決意。FP兼保険代理店を開業する。

収入も顧客もゼロからのスタート。しかも独立直前に結婚し住宅購入した為、返済不安に陥り貯蓄が日々減っていく恐怖を覚える。

人生で初めて家計の見直しを行い、根本的な改善により失敗と不安を減らすコツを発見。自分の経験を生かしお客様が同じ道を歩まないよう伝えるべく「マイホーム検討者向けFP」として活動中。

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    :渡辺知光

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