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マンションを共同名義で購入する際の注意点や単独名義への変更方法

家づくりの基本

2024/10/31

2024/10/31

記事監修者

1級ファイナンシャル・プランニング技能士 / 渡辺 知光

マンションを共同名義で購入する際の注意点や単独名義への変更方法

マンション購入を検討する際、「共同名義にするべきか」「単独名義がよいのか」と悩まれる方は少なくありません。近年は共働き世帯の増加に伴い、夫婦で共同購入するケースも増えてきています。そこで今回は、マンションを共同名義で購入する際の基礎知識から、メリット・デメリット、単独名義への変更方法までを詳しく解説していきます。

目次

共同名義や共有名義、単独名義の違い

不動産登記における名義について、基本的な違いから詳しく解説していきます。購入前に各名義の特徴をしっかりと理解しておくことで、将来的なトラブルを防ぐことができます。

単独名義とは

単独名義は、1人で物件の所有権を持つ形態です。登記簿上の名義人が1人であり、その人物に全ての権利と責任が集中します。売却や賃貸、リフォームなどの判断を1人で行えるため、意思決定がスムーズに進むという特徴があります。一般的に、未婚の方や配偶者の収入が少ない場合などに選択されることが多いようです。

共同名義(共有名義)とは

共同名義は、複数の人で物件の所有権を分け合う形態です。登記簿には共有者全員の名前が記載され、それぞれの持分割合も明記されます。共有名義とも呼ばれ、法律上は同じ意味を持ちます。近年は夫婦で購入する際によく採用される形態となっています。

持分権利について

共同名義の場合、物件に対する権利は持分割合に応じて分配されます。一般的な割合として、夫婦で購入する場合は「50:50」とすることが多いですが、収入比率や頭金の負担割合などに応じて「70:30」や「60:40」といった配分も可能です。ただし、将来的なトラブルを防ぐためにも、持分割合の設定には慎重な検討が必要です。

名義形態による権限の違い

単独名義の場合は、所有者が自由に物件の処分を決定できます。一方、共同名義の場合は物件に関する重要な判断(売却、賃貸、大規模リフォームなど)に際して、共有者全員の同意が必要となります。これは民法上の規定であり、たとえ持分が大きい方であっても、単独での判断はできません。

住宅ローンと名義の関係

住宅ローンを組む際、名義形態によって借入条件が変わってくる点にも注意が必要です。単独名義の場合は、その名義人の収入のみが審査対象となります。共同名義の場合は、共有者それぞれの収入を合算して審査されるため、より多額の借入が可能となる場合があります。

相続時の違い

名義形態は相続時の手続きにも影響を与えます。単独名義の場合、相続人全員での協議が必要となりますが、共同名義の場合は生存配偶者の権利が保護されやすく、比較的スムーズな相続が期待できます。ただし、これは共有者間の関係性が良好である場合に限られます。

登記費用の違い

不動産の登記費用も、名義形態によって異なってきます。一般的に、共同名義の方が登記手続きが複雑になるため、単独名義と比べて費用が若干高くなる傾向にあります。また、将来的に名義変更を行う場合は、新たな登記費用が発生することも考慮に入れておく必要があります。

名義形態を選ぶ際の注意点

名義形態の選択は、現在の状況だけでなく将来的な計画も踏まえて検討することが重要です。特に共同名義の場合は、共有者間の関係が悪化した際のリスクも考慮に入れる必要があります。判断に迷う場合は、弁護士や税理士などの専門家に相談することをおすすめします。

マンションを共同名義で購入するメリット

マンションを共同名義で購入することには、資金面や税制面など、様々なメリットがあります。ここでは、主なメリットについて具体的に解説していきます。

住宅ローンの借入可能額が増加

共同名義での購入における最大のメリットは、住宅ローンの借入可能額が増えることです。一般的に、住宅ローンの借入限度額は年収の一定倍率までと定められています。共働き夫婦の場合、それぞれの収入を合算することで、より高額な物件の購入が可能となります。

住宅ローンの金利が優遇される可能性

共同名義にすることで、住宅ローンの審査においてより有利な条件を引き出せる可能性があります。例えば、共働き夫婦で安定した収入がある場合、金融機関から信用力が高いと判断され、金利の優遇を受けられることがあります。

税制上のメリット

住宅ローン控除を夫婦それぞれが受けられることも、大きなメリットの一つです。ただし、控除額は持分割合に応じて按分されます。また、将来的な相続税の計算においても、共同名義であることで税負担が軽減される可能性があります。

リスク分散が可能

共同名義にすることで、物件の所有に関するリスクを分散することができます。例えば、一方が病気や事故で収入を失った場合でも、もう一方の収入でローンを返済し続けることが可能です。将来的な不測の事態に備える意味でも、有効な選択肢となります。

相続手続きがスムーズ

夫婦で共同名義にしている場合、配偶者が亡くなった際の相続手続きがスムーズになります。単独名義の場合と比べて、生存配偶者の権利が守られやすく、住み慣れた住居に住み続けやすいというメリットがあります。

共有者間の平等性が保たれる

特に夫婦間での購入の場合、共同名義にすることで対等な立場で物件を所有できます。近年は共働き世帯が増加していることもあり、夫婦で協力して住宅を購入するという考え方が一般的になってきています。

資産形成における公平性

共同名義にすることで、将来的な資産形成においても公平性を保つことができます。特に共働き夫婦の場合、それぞれが働いて得た収入で購入した住居を共同で所有することは、理にかなった選択といえます。

家族間の信頼関係の構築

マンションを共同名義で購入することは、家族間の信頼関係を深めることにもつながります。特に夫婦の場合、人生における重要な買い物を共同で行うことで、より強い絆を築くきっかけとなることが期待できます。

住宅購入後の維持管理における利点

共同名義の場合、修繕費用や管理費などの負担を分け合うことができます。また、マンションの維持管理に関する決定も共同で行えるため、より慎重な判断が可能となります。ただし、これは共有者間の関係が良好である場合に限られます。

将来的な資産活用の選択肢が広がる

共同名義であることで、将来的な資産活用の選択肢も広がります。例えば、賃貸や売却の際に、共有者それぞれの意見を反映させた判断ができ、より柔軟な資産運用が可能となります。

マンションを共同名義で購入するデメリット

共同名義でマンションを購入する際には、様々なリスクや制限事項が存在します。ここでは、購入前に知っておくべき主なデメリットについて詳しく解説していきます。

意思決定に制限がかかる

共同名義の最も大きなデメリットは、物件に関する重要な判断に際して、共有者全員の同意が必要となることです。売却や賃貸、大規模リフォームなどの際に、たとえ持分が大きい方であっても単独での判断はできません。共有者の意見が分かれた場合、物件の活用が制限されてしまう可能性があります。

離婚時のリスク

夫婦での共同名義の場合、離婚時に深刻な問題となる可能性があります。特に住宅ローンが残っている状況で離婚となると、ローンの支払いや物件の帰属を巡って話し合いが難航するケースが少なくありません。また、一方が支払いを滞納した場合、他方にも影響が及ぶ可能性があります。

共有者の債務リスク

共有者の一人に債務が発生した場合、その持分が差し押さえられるリスクがあります。例えば、事業の失敗や多額の借金により共有者の一人が破産した場合、その持分が競売にかけられる可能性もあります。これは他の共有者にとっても大きな問題となります。

登記費用が高くなる

共同名義の場合、登記手続きが複雑になるため、単独名義と比べて登記費用が高くなる傾向にあります。また、将来的に名義変更が必要となった場合も、新たな登記費用が発生します。税金面でも、場合によっては追加の負担が生じることがあります。

相続時のトラブルリスク

共有者の一人が亡くなった場合、その持分は相続人に引き継がれます。この際、相続人との間で新たな共有関係が発生することになり、物件の管理や処分について意見の相違が生じる可能性があります。特に相続人が複数いる場合は、トラブルのリスクが高まります。

住宅ローン返済における注意点

共同名義で住宅ローンを組む場合、それぞれの収入状況が審査対象となります。一方の収入が不安定な場合や、信用情報に問題がある場合は、かえってローンが組みにくくなることがあります。また、返済中に一方が収入を失った場合の対応も事前に検討しておく必要があります。

持分割合を巡るトラブル

共有者間で持分割合を決める際に、将来的なトラブルの種となることがあります。例えば、ローンの返済負担が持分割合と異なる場合や、固定資産税などの諸経費の負担方法について意見が分かれる可能性があります。

管理費用の負担に関する問題

マンションの管理費や修繕積立金、リフォーム費用などの負担方法について、共有者間で意見が分かれる可能性があります。特に高額な修繕が必要となった場合、費用負担を巡って対立が生じやすくなります。

名義変更時の手続きの煩雑さ

将来的に単独名義に変更する場合、手続きが煩雑になります。特に住宅ローンが残っている場合は、金融機関との調整も必要となり、場合によっては借り換えが必要になることもあります。また、贈与税などの税金が発生する可能性もあります。

不動産投資における制限

共同名義の物件を不動産投資に活用する場合、様々な制限が生じます。例えば、物件を担保にした融資を受ける際や、収益物件として活用する際には、共有者全員の同意が必要となります。このため、柔軟な投資戦略を立てにくくなる可能性があります。

共同名義のマンションを単独名義に変更する方法

様々な事情により、共同名義のマンションを単独名義に変更したいケースがあります。ここでは、その具体的な手順や注意点について詳しく解説していきます。

名義変更が必要となるケース

共同名義から単独名義への変更が検討されるケースとして、離婚による財産分与、相続による名義の整理、共有者間の話し合いによる持分の譲渡などが挙げられます。いずれの場合も、法的な手続きと費用が発生することを念頭に置く必要があります。

住宅ローンがある場合の手続き

住宅ローンが残っている状態で名義変更を行う場合は、まず金融機関との協議が必要となります。具体的には、ローンの借り換えや債務引き受けなどの手続きが求められます。この際、新たな借入者の年収や返済能力について、改めて審査が行われることになります。

不動産登記の手続き

名義変更には、法務局での持分の移転登記が必要です。この手続きは一般的に司法書士に依頼することが多く、以下の書類を準備する必要があります。

・登記原因証明情報

・権利証(登記識別情報)

・印鑑証明書

・実印

・住民票

・固定資産評価証明書

税金面での影響

名義変更に伴い、様々な税金が発生する可能性があります。主なものとして、不動産取得税、登録免許税、場合によっては贈与税などが挙げられます。特に贈与税については、配偶者控除などの特例措置を利用できる場合もあるため、税理士への相談をおすすめします。

離婚による名義変更の場合

離婚に伴う財産分与として名義変更を行う場合は、離婚届の提出から2年以内であれば、贈与税が非課税となります。ただし、この場合でも登記費用や不動産取得税などは発生します。また、具体的な分与の内容については、離婚協議書などで明確にしておく必要があります。

相続による名義変更の場合

相続を原因とする名義変更の場合、相続人全員の同意が必要となります。また、遺産分割協議書の作成や相続登記など、複数の手続きが必要となります。相続税の申告が必要な場合は、税理士への相談も検討しましょう。

費用の目安

名義変更にかかる主な費用は以下の通りです。

・登録免許税:不動産価格の2%

・不動産取得税:評価額の3~4%

・司法書士報酬:10~20万円程度

これらに加えて、住宅ローンの借り換え手数料なども考慮する必要があります。

手続きの流れ

名義変更の基本的な流れは以下の通りです。

1. 共有者間での合意形成

2. 金融機関との協議(住宅ローンがある場合)

3. 必要書類の収集

4. 税理士・司法書士への相談

5. 登記申請

6. 新しい登記簿謄本の取得

専門家への相談

名義変更は複雑な手続きを伴うため、専門家への相談が推奨されます。特に、税金面での影響や登記手続きについては、税理士や司法書士のアドバイスを受けることで、スムーズな変更が可能となります。

トラブル防止のポイント

名義変更に際しては、共有者間で十分な話し合いを行い、変更後の権利関係や費用負担について明確な合意を形成することが重要です。また、将来的なトラブルを防ぐために、合意内容を書面で残しておくことをおすすめします。

よくある質問

マンションの共同名義について、多くの方が疑問に感じる点を Q&A 形式でまとめました。購入前の検討や購入後の管理に役立つ情報を中心に解説していきます。

購入前の疑問

Q1. 共同名義の場合、持分は必ず50:50にする必要がありますか?

A1. いいえ、収入比率や頭金の負担割合に応じて自由に設定することができます。ただし、将来的なトラブル防止のため、設定理由を明確にしたうえで決めることをおすすめします。

Q2. 収入が低い方でも共同名義にできますか?

A2. はい、可能です。ただし、住宅ローンの審査では双方の収入が考慮されるため、世帯としての返済能力が重要となります。一方の収入が極端に低い場合は、金融機関との事前相談をおすすめします。

Q3. 親子での共同名義は可能ですか?

A3. はい、可能です。特に子育て世代の住宅購入では、親との共同名義でローンを組むケースも増えています。ただし、親の年齢によってはローン審査に影響が出る可能性があります。

住宅ローンに関する疑問

Q1. 共同名義の場合、住宅ローン控除はどうなりますか?

A1. 持分割合に応じて控除額が按分されます。例えば50:50の場合、それぞれが控除可能額の半額ずつを申告することができます。

Q2. 一方が住宅ローンの返済を滞納した場合はどうなりますか?

A2. 共同名義でローンを組んでいる場合、一方の滞納は他方にも影響します。連帯債務となるため、もう一方が全額を支払う義務が生じる可能性があります。

Q3. 途中で住宅ローンの返済額の負担割合を変更できますか?

A3. 実務上の返済負担割合は当事者間の合意で変更可能です。ただし、金融機関に対する債務としては、契約時の内容が継続します。

管理・運営に関する疑問

Q1. 固定資産税は持分割合に応じて支払う必要がありますか?

A1. 法律上は持分割合に応じた負担となりますが、実際の支払い方法は共有者間の取り決めによります。ただし、トラブル防止のため、事前に負担方法を明確にしておくことが重要です。

Q2. リフォームする際は必ず共有者全員の同意が必要ですか?

A2. 大規模なリフォームの場合は、共有者全員の同意が必要です。軽微な修繕については、共有者間で事前に取り決めておくとスムーズです。

Q3. 賃貸に出す場合はどうすればいいですか?

A3. 賃貸に出す場合も共有者全員の同意が必要です。賃料の配分方法や管理方法についても、事前に明確な取り決めをしておくことをおすすめします。

相続・名義変更に関する疑問

Q1. 共有者の一人が亡くなった場合、相続はどうなりますか?

A1. 亡くなった方の持分は、その方の相続人に引き継がれます。ただし、配偶者居住権の保護などの特例措置も設けられています。

Q2. 将来的に子どもに名義を変更することはできますか?

A2. はい、可能です。ただし、贈与税や不動産取得税などが発生する可能性があるため、税理士への相談をおすすめします。

Q3. 離婚時の名義変更にかかる費用はどのくらいですか?

A3. 登記費用、不動産取得税などが必要となりますが、離婚による財産分与として行う場合は、一定の税制上の優遇措置があります。具体的な金額は物件価格によって変動します。

トラブル防止に関する疑問

Q1. 共有者間でトラブルになった場合はどうすればいいですか?

A1. まずは話し合いでの解決を試みますが、解決が難しい場合は弁護士への相談をおすすめします。必要に応じて調停や裁判などの法的手続きを検討することになります。

Q2. 事前に取り決めておくべきことはありますか?

A2. ローンの返済負担、管理費用の負担、修繕時の意思決定方法、将来的な売却時の手続きなど、できるだけ多くの事項について文書で取り決めておくことをおすすめします。

まとめ

マンションの共同名義購入は、住宅ローンの借入可能額を増やせるなどのメリットがある一方で、将来的な物件処分の難しさなどデメリットもあります。共同名義とするかどうかの判断は、購入する方々の状況や将来的な計画を踏まえて慎重に検討することが大切です。特に夫婦での購入を考えている場合は、専門家に相談しながら、双方にとってベストな選択ができるよう話し合いを重ねていきましょう。

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記事監修者

1級ファイナンシャル・プランニング技能士 / 渡辺 知光

大学卒業後、積水化学工業に入社し住宅「セキスイハイム」を販売。3年8カ月千葉県内で営業に従事し、営業表彰を6期連続受賞。
途中、母の急死に直面し、自分の将来について悩み始める。結果、大学のゼミで学んだ「保険」事業に実際に携わりたいと思いFP資格を取得して日本生命に転職。4年間営業に従事したが、顧客に対して提供出来る商品がなく退職を決意。FP兼保険代理店を開業する。

収入も顧客もゼロからのスタート。しかも独立直前に結婚し住宅購入した為、返済不安に陥り貯蓄が日々減っていく恐怖を覚える。

人生で初めて家計の見直しを行い、根本的な改善により失敗と不安を減らすコツを発見。自分の経験を生かしお客様が同じ道を歩まないよう伝えるべく「マイホーム検討者向けFP」として活動中。

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    :有限会社ティーエムライフデザイン総合研究所

  • 代表者

    :渡辺知光

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