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マンションの火災報知器の設置義務や消防設備点検について解説

家づくりの基本

2024/11/20

2024/11/20

記事監修者

1級ファイナンシャル・プランニング技能士 / 渡辺 知光

マンションの火災報知器の設置義務や消防設備点検について解説

マンションの火災報知器は、居住者の安全を守る大切な設備です。設置義務や点検、誤作動時の対応など、知っておくべき基本的な知識についてまとめてみました。特に賃貸や購入を検討されている方は、物件選びの際の重要なチェックポイントとなりますので、ぜひ参考にしてください。

マンションの火災報知器の設置

マンションの火災報知器は、消防法により設置が義務付けられている重要な防災設備です。特に新築物件では建築確認申請の段階から、設置箇所や種類について細かな規定があります。

設置が必要な場所

マンションの火災報知器は、以下の場所への設置が法令で定められています。専有部分と共用部分それぞれに必要な設置場所があり、確実に対応することが求められます。

【専有部分】

・寝室(寝室として使用する可能性のある洋室含む)

・台所

・廊下

・階段

・居間(リビング)

・子供部屋

【共用部分】

・エレベーターホール

・共用廊下

・管理人室

・駐車場

・集会室

火災報知器の種類

火災報知器には設置場所や用途に応じて、以下のような種類があります。それぞれの特性を理解し、適切な場所に設置することが重要です。

・熱感知器:熱を感知して作動。主に台所に設置

・煙感知器:煙を感知して作動。寝室や居間などに設置

・複合型感知器:熱と煙の両方を感知できる

・炎感知器:炎の輻射を感知。駐車場などの広い空間に設置

設置位置の基準

火災報知器の設置位置は、以下の基準に従って決定する必要があります。設置方法を誤ると、誤作動や感知不良の原因となる可能性があります。

・天井設置:天井面から60cm以内

・壁設置:天井から15~30cm下の位置

・換気口やエアコンの吹出し口から1.5m以上離す

・照明器具から60cm以上離す

・梁や突出物から60cm以上離す

設置費用の負担

火災報知器の設置費用は、設置場所によって負担者が異なります。基本的な考え方は以下の通りです。

【専有部分の場合】

・新築時:デベロッパーが負担

・既存物件の新規設置:区分所有者が負担

・交換や更新:区分所有者が負担

【共用部分の場合】

・新築時:デベロッパーが負担

・既存物件の新規設置:管理組合が負担

・交換や更新:管理組合が負担

設置後の注意点

火災報知器を設置した後は、以下の点に注意して適切に管理する必要があります。定期的な確認を怠ると、いざという時に正常に作動しない可能性があります。

・設置後の動作確認を必ず実施

・取扱説明書は大切に保管

・設置年月日を記録

・設置位置を図面などに記録

・交換目安の時期を管理

・定期的な清掃を実施

なお、火災報知器の設置については、お住まいの地域の消防署に相談することをおすすめします。建物の構造や用途によって詳細な要件が異なる場合があり、専門家のアドバイスを受けることで、より安全な住環境を整えることができます。

マンションの火災報知器の点検

マンションの火災報知器は、定期的な点検が欠かせません。消防法では建物の規模や用途に応じて点検の種類や頻度が定められており、確実な実施が求められています。

点検の種類と実施時期

火災報知器の点検には、主に以下の3種類があります。それぞれ目的や実施者が異なるため、計画的に進める必要があります。

【日常点検】

・実施者:居住者や管理人

・頻度:月1回程度

・内容:外観確認、作動確認ランプの点灯確認

【機器点検】

・実施者:消防設備士などの有資格者

・頻度:6ヶ月に1回

・内容:感知器の作動確認、受信機の動作確認

【総合点検】

・実施者:消防設備士などの有資格者

・頻度:年1回

・内容:全設備の総合的な作動確認、システム全体の点検

点検時のチェックポイント

火災報知器の点検では、以下の項目を重点的にチェックします。不具合が見つかった場合は、速やかに対応することが重要です。

【外観点検】

・本体の破損や変形

・汚れや埃の付着

・結線状態の確認

・設置位置のずれ

【機能点検】

・感知器の作動確認

・警報音の確認

・表示灯の点灯確認

・バッテリーの状態確認

点検費用について

火災報知器の点検費用は、以下のような負担区分となっています。管理組合での予算計画に組み込んでおく必要があります。

【専有部分】

・日常点検:居住者の負担

・機器点検:区分所有者の負担

・総合点検:区分所有者の負担

【共用部分】

・日常点検:管理組合の負担

・機器点検:管理組合の負担

・総合点検:管理組合の負担

点検結果の記録と保管

点検を実施した際は、以下の内容を記録して保管することが重要です。これらの記録は消防署の立入検査時にも確認されます。

・点検実施日

・点検実施者

・点検項目と結果

・不具合の有無

・改善措置の内容

・次回点検予定日

不具合が見つかった場合の対応

点検で不具合が発見された場合は、以下の手順で対応します。早期発見・早期対応が安全管理の基本となります。

・管理会社への報告

・専門業者への修理依頼

・修理内容の記録

・改善後の動作確認

・居住者への周知

・再発防止策の検討

点検時の注意事項

火災報知器の点検を実施する際は、以下の点に注意が必要です。安全かつ確実な点検のために、これらを徹底しましょう。

・点検前に居住者への周知を徹底

・作業時の安全確保

・他の設備への影響確認

・点検後の作動確認

・清掃やメンテナンスの実施

・不具合箇所の写真記録

マンションの火災報知器の誤作動や止め方

マンションの火災報知器は、居住者の安全を守る大切な設備ですが、時として誤作動が発生することがあります。誤作動時の適切な対応方法を知っておくことで、不要な混乱を防ぐことができます。

誤作動の主な原因

火災報知器の誤作動は、日常生活のさまざまな要因によって引き起こされることがあります。最も多いのは調理の際の煙や蒸気による誤作動です。特に焼き魚やステーキなど、煙の出やすい調理をする際に発生しやすい傾向にあります。

また、浴室からの湯気が廊下に漏れ出すことでも誤作動が起きることがあります。特に冬場は室内の温度差が大きくなるため、注意が必要です。その他、ホコリや虫の侵入、器具の経年劣化なども誤作動の原因となります。

誤作動時の対応手順

火災報知器が作動した場合、まず落ち着いて周囲の状況を確認することが重要です。実際に火災が発生していないことを確認したら、報知器本体のボタンを押して警報を停止させます。ただし、停止方法は機種によって異なるため、普段から操作方法を確認しておくことをお勧めします。

警報が鳴り続ける場合や停止方法がわからない場合は、すぐに管理会社に連絡して対応を依頼しましょう。深夜や早朝の誤作動は近隣への迷惑となるため、速やかな対応が求められます。

誤作動を防ぐための対策

誤作動を防ぐためには、日頃からいくつかの対策を講じることが効果的です。調理の際は換気扇を必ず使用し、必要に応じて窓を開けて換気を行います。また、火災報知器の周辺は定期的に清掃し、ホコリの蓄積を防ぐことも大切です。

特に台所に設置されている火災報知器については、調理の煙が直接かかりにくい位置に設置されているか確認することをお勧めします。設置位置が不適切な場合は、専門業者に相談して移設を検討することも一つの方法です。

頻繁な誤作動への対処方法

同じ火災報知器で頻繁に誤作動が発生する場合は、機器の不具合や設置環境に問題がある可能性があります。このような場合は、管理会社を通じて専門業者による点検を依頼することをお勧めします。

点検の結果、機器の劣化が原因であれば交換を検討する必要があります。また、設置場所に問題がある場合は、より適切な位置への移設を検討します。これらの対応には一定の費用が発生しますが、安全性の確保と近隣トラブルの防止のために必要な投資といえるでしょう。

誤作動時の近隣への配慮

火災報知器の誤作動は、近隣住民に不安や不便を与える可能性があります。誤作動が発生した場合は、速やかに近隣住民に状況を説明し、必要に応じてお詫びをすることが望ましいでしょう。また、定期的に誤作動が発生する場合は、その旨を事前に周辺住民に伝えておくことで、不要な混乱を防ぐことができます。

さらに、管理組合や管理会社とも情報を共有し、建物全体での対策を検討することも重要です。特に深夜や早朝の誤作動については、緊急時の連絡体制を整備しておくことをお勧めします。

住まい探しで気を付けたいポイント

マンションを購入または賃貸する際は、火災報知器の設置状況や管理状態をしっかりと確認することが重要です。安全で快適な住まい選びのために、いくつかの重要なポイントを確認しておきましょう。

内覧時の確認事項

物件の内覧時には、火災報知器の設置状況を必ず確認しましょう。特に設置場所や設置個数が法令の基準を満たしているか、管理会社や不動産会社に確認することが重要です。また、設置されている火災報知器の種類や製造年も重要なチェックポイントとなります。

火災報知器本体の外観にキズや汚れがないか、設置位置が適切か、といった点も注意深く観察する必要があります。特に築年数の古い物件では、設備の更新時期が近づいている可能性もあるため、より慎重な確認が求められます。

管理体制の確認

マンションの管理体制についても、しっかりと確認することをお勧めします。管理規約や修繕計画を確認し、火災報知器を含む防災設備の点検や更新がどのように計画されているのか把握しておきましょう。管理費や修繕積立金の使途についても、事前に理解しておくことが重要です。

特に管理会社の消防設備に対する取り組み姿勢は、入居後の安全性に大きく関わってきます。定期点検の実施状況や、不具合発生時の対応体制などについても確認しておくとよいでしょう。

建物の構造や設備

建物の構造や設備配置も、火災報知器の性能に影響を与える重要な要素です。特に天井の高さや間取り、換気設備の配置などは、火災報知器の効果的な設置や誤作動の防止に関わってきます。キッチンの位置や浴室の配置なども、誤作動の可能性を考える上で重要なポイントとなります。

また、消防設備の更新や修繕がしやすい構造になっているかどうかも確認しておくとよいでしょう。将来的なメンテナンス性も、長期的な住まいの安全性を考える上で重要な要素となります。

過去の修繕履歴

可能であれば、対象物件の火災報知器に関する修繕履歴も確認しましょう。過去にどのような修繕や更新が行われてきたのか、また今後どのような修繕計画があるのかを把握することで、将来的な費用負担の見通しを立てることができます。

特に大規模修繕の履歴や計画は、火災報知器を含む防災設備全体の更新時期を知る上で重要な情報となります。修繕積立金の状況と合わせて確認することで、より具体的な将来計画を立てることができます。

周辺環境の確認

物件周辺の環境も、火災報知器の運用に影響を与える要素の一つです。近隣に消防署があるか、消火栓の設置状況はどうか、避難経路は確保されているかなど、防災面での環境を総合的に確認することが重要です。

また、地域の防災訓練への参加状況や、近隣住民との防災に関する取り組みなども、安全な住まい作りの参考になる情報といえるでしょう。マンションの防災計画が地域の防災計画とどのように連携しているかも、確認しておくとよいポイントです。

契約時の確認事項

契約時には、火災報知器に関する維持管理の責任範囲や費用負担について、明確に確認しておくことが重要です。特に賃貸物件の場合、専有部分の火災報知器の管理責任が入居者にあるのか、家主側にあるのかを確認し、書面で残しておくことをお勧めします。

また、入居後のトラブル対応や緊急時の連絡体制についても、事前に確認して把握しておくことが安心につながります。これらの情報は、実際に火災報知器の不具合が発生した際に、スムーズな対応を可能にする重要な要素となります。

よくある質問(Q&A)

マンションの火災報知器に関して、多くの方から寄せられる疑問や質問についてまとめました。安全な住環境づくりの参考にしてください。

設置・管理について

Q:火災報知器の設置は法律で義務付けられているのですか?

A:はい、消防法により設置が義務付けられています。マンションの場合、専有部分と共用部分それぞれに設置基準が定められており、これに従う必要があります。

Q:火災報知器の耐用年数はどのくらいですか?

A:一般的に10年程度とされています。ただし、使用環境や機器の状態によって異なる場合があるため、定期的な点検で性能を確認することが重要です。

Q:電池切れはどうやって分かりますか?

A:多くの機種では電池残量が少なくなると、定期的に警告音が鳴るようになっています。また、表示ランプが点滅したり、音声でお知らせしたりする機種もあります。

費用について

Q:火災報知器の交換費用はどのくらいかかりますか?

A:機種にもよりますが、一般的な住宅用火災報知器で1台あたり5,000円から15,000円程度です。工事費用が別途必要になる場合もあります。

Q:点検費用は誰が負担するのですか?

A:共用部分は管理組合の負担となり、通常は管理費に含まれています。専有部分については区分所有者の負担となりますが、賃貸の場合は契約内容により異なることがあります。

メンテナンスについて

Q:日常的なお手入れは必要ですか?

A:はい、定期的な清掃が必要です。ホコリや油汚れが付着すると誤作動の原因となるため、年に2回程度、乾いた布で拭き取るなどのお手入れをお勧めします。

Q:点検ボタンは押さなければいけませんか?

A:はい、月1回程度の作動確認をお勧めします。点検ボタンを押して警報音が鳴ることを確認することで、機器が正常に動作しているかチェックできます。

誤作動について

Q:誤作動が頻繁に起こるのですが、どうすればよいですか?

A:まずは設置場所が適切かどうか確認してください。調理の煙や湯気が直接かかる位置にある場合は、専門業者に相談して移設を検討することをお勧めします。

Q:夜中に誤作動した場合はどうすればよいですか?

A:まず周囲に火災がないことを確認し、報知器本体の停止ボタンを押してください。停止できない場合は管理会社の緊急連絡先に連絡し、対応を依頼してください。

工事・改修について

Q:リフォーム時に火災報知器は移設が必要ですか?

A:間取りの変更や天井の改修を行う場合は、法令に基づく適切な位置への移設が必要になることがあります。工事業者と相談の上、適切な対応を行ってください。

Q:古い火災報知器を自分で交換してもよいですか?

A:専有部分の火災報知器であれば、自身での交換も可能です。ただし、正しい設置位置や方法を守る必要があるため、不安な場合は専門業者に依頼することをお勧めします。

緊急時の対応について

Q:火災報知器が鳴動した場合、まず何をすればよいですか?

A:周囲の状況を確認し、実際に火災が発生していないか確認することが最優先です。火災の場合は直ちに119番通報し、避難を開始してください。誤報の場合は報知器の停止操作を行います。

Q:報知器が故障している可能性がある場合はどうすればよいですか?

A:管理会社に連絡して点検を依頼してください。正常に作動しない状態での放置は危険ですので、早めの対応が重要です。状況によっては機器の交換が必要になる場合もあります。

まとめ

マンションの火災報知器は、居住者の安全を守る重要な設備です。法令に基づく適切な設置と定期的な点検を行い、いざという時に確実に作動するよう維持管理することが大切です。住まい選びの際は、火災報知器を含む防災設備の状態もしっかりとチェックするようにしましょう。

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記事監修者

1級ファイナンシャル・プランニング技能士 / 渡辺 知光

大学卒業後、積水化学工業に入社し住宅「セキスイハイム」を販売。3年8カ月千葉県内で営業に従事し、営業表彰を6期連続受賞。
途中、母の急死に直面し、自分の将来について悩み始める。結果、大学のゼミで学んだ「保険」事業に実際に携わりたいと思いFP資格を取得して日本生命に転職。4年間営業に従事したが、顧客に対して提供出来る商品がなく退職を決意。FP兼保険代理店を開業する。

収入も顧客もゼロからのスタート。しかも独立直前に結婚し住宅購入した為、返済不安に陥り貯蓄が日々減っていく恐怖を覚える。

人生で初めて家計の見直しを行い、根本的な改善により失敗と不安を減らすコツを発見。自分の経験を生かしお客様が同じ道を歩まないよう伝えるべく「マイホーム検討者向けFP」として活動中。

運営会社情報

  • 会社名

    :有限会社ティーエムライフデザイン総合研究所

  • 代表者

    :渡辺知光

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    :〒104-0045 東京都中央区築地2-15-15 セントラル東銀座1002

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    :地下鉄日比谷線築地駅より徒歩3分

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