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制振構造と制震構造の違いや地震に備えるマンションの構造を解説

家づくりの基本

2024/11/20

2024/11/20

記事監修者

1級ファイナンシャル・プランニング技能士 / 渡辺 知光

制振構造と制震構造の違いや地震に備えるマンションの構造を解説

マンション選びで重要な要素のひとつが「地震対策」です。近年の地震の多発により、マンションの構造への関心が高まっています。耐震、制振、免震といった構造の違いを理解することは、安心・安全な住まい選びの第一歩となります。今回は、特に混同されやすい制振構造と制震構造の違いを中心に、地震に備えるマンションの構造について詳しく解説していきます。

制振構造と制震構造の違い

制振構造と制震構造は、見た目や発音が似ているため混同されやすい用語ですが、その仕組みや特徴は異なります。それぞれの特徴と違いについて詳しく解説していきます。

制振構造の基本的な仕組み

制振構造は、建物自体に振動エネルギーを吸収する装置(制振ダンパー)を組み込む方式です。地震による建物の揺れを熱エネルギーなどに変換して吸収することで、建物の揺れを低減させます。主に建物内部に設置され、日常的に機能することが特徴です。

制震構造の基本的な仕組み

制震構造は、建物に加わる地震力そのものを制御する方式です。センサーなどで地震の揺れを感知し、それに応じて制御力を発生させる能動的な制御システムを採用しています。ただし、現在では「制振構造」という言葉に統一される傾向にあります。

主な違いのポイント

最も大きな違いは、エネルギーの制御方法です。制振構造が受動的に振動を吸収するのに対し、制震構造は能動的に制御を行います。また、制振構造の方が一般的で実績も多く、コスト面でも優位性があります。

それぞれのメリット

制振構造は、装置がシンプルで故障のリスクが低く、メンテナンス性に優れています。一方、制震構造は、より高度な振動制御が可能で、状況に応じた最適な制御が行えます。ただし、複雑なシステムゆえにメンテナンスコストは高くなります。

建築業界での取り扱い

現在の建築業界では、両者を明確に区別せず「制振構造」として扱うことが一般的です。これは、どちらも建物の揺れを抑制するという共通の目的を持つためです。マンション購入時に「制震構造」という表現を目にした場合でも、基本的には「制振構造」と同義と考えて差し支えありません。

選択時の注意点

マンション購入の際は、「制振」「制震」という言葉にとらわれすぎず、実際にどのような装置が採用されているのか、その効果や実績について具体的に確認することが重要です。また、採用されているシステムのメンテナンス費用や耐用年数についても事前に確認しておくことをおすすめします。

マンションの制振ダンパーについて

マンションの制振構造において、核となる役割を果たすのが「制振ダンパー」です。地震による建物の揺れを効果的に抑制するこの装置について、仕組みや種類、特徴を詳しく解説していきます。

制振ダンパーの基本的な仕組み

制振ダンパーは、地震のエネルギーを熱などに変換して吸収する装置です。建物内の適切な位置に設置され、地震の揺れを感知すると自動的に作動します。通常は建物の骨組みに組み込まれ、目立たない形で設置されています。

主な制振ダンパーの種類

オイルダンパーは、シリンダー内部の油圧の力で振動を吸収する仕組みです。自動車のショックアブソーバーと同様の原理で、信頼性が高く、多くのマンションで採用されています。

粘弾性ダンパーは、特殊な粘弾性体を使用して振動を吸収します。温度変化の影響を受けにくく、長期的な安定性に優れているのが特徴です。設置スペースを比較的小さくできる利点があります。

制振ダンパーの設置位置と効果

制振ダンパーは、建物の揺れが最も大きくなる箇所を中心に設置されます。一般的には、建物の中間層や上層部に重点的に配置され、効率的に振動を抑制します。適切な配置により、建物全体の揺れを20〜30%程度低減できるとされています。

メンテナンスと耐久性について

制振ダンパーは定期的な点検が必要です。特にオイルダンパーの場合、オイル漏れや性能低下がないかを確認します。一般的な耐用年数は60年程度とされていますが、使用環境や地震の発生状況によって異なります。

制振ダンパーのコスト

制振ダンパーの導入は、建物全体の建設コストを3〜5%程度上昇させると言われています。ただし、地震時の安全性向上や資産価値の維持を考えると、長期的には有効な投資となる可能性があります。

選択時の重要ポイント

制振ダンパーの選択時は、建物の規模や用途、地域の地震リスクなどを総合的に判断することが重要です。また、採用実績や製造メーカーの信頼性、アフターサービス体制なども確認すべきポイントとなります。

将来の維持管理について

制振ダンパーの維持管理費用は、マンションの修繕積立金に含めて計画的に積み立てることが一般的です。大規模修繕時には、制振ダンパーの性能検査や必要に応じた交換も検討する必要があります。

地震に備えるマンションの構造、「耐震」「制振」「免震」構造の特徴

地震大国である日本のマンションには、地震への備えとして主に3つの構造方式があります。それぞれの特徴や違いを詳しく解説し、マンション選びの参考としていただければと思います。

耐震構造の特徴

耐震構造は、最も一般的に採用されている構造方式です。建物自体の強度を高めることで地震に耐える仕組みで、柱や梁を太くし、バランスよく壁を配置することで揺れに対抗します。

メリットとして、構造がシンプルで建設コストを抑えられること、実績が豊富で信頼性が高いことが挙げられます。一方、上層階になるほど揺れが大きくなり、家具の転倒リスクが高まる傾向があります。

制振構造の特徴

制振構造は、建物内部に制振ダンパーなどの装置を設置し、地震の揺れを吸収する構造です。耐震構造を基本としながら、より効果的に揺れを制御する仕組みを付加しています。

メリットは、建物の揺れを大幅に低減できること、中間層での揺れが抑えられることです。ただし、設置コストは耐震構造より高くなり、定期的なメンテナンスも必要になります。

免震構造の特徴

免震構造は、建物と地盤の間に免震装置を設置し、地震の揺れが建物に直接伝わるのを防ぐ構造です。建物全体を地面から切り離すような形で、最も高い制震効果が期待できます。

メリットは、地震時の安全性が最も高く、家具の転倒も最小限に抑えられることです。デメリットとしては、設置コストが最も高額になることや、定期的な点検・メンテナンスが必要なことが挙げられます。

各構造のコスト比較

建設コストを耐震構造を100とした場合、制振構造は103〜105程度、免震構造は108〜115程度と言われています。ただし、地域や建物の規模によって変動があります。

メンテナンス面での違い

耐震構造は特別なメンテナンスは不要です。制振構造は定期的な点検が必要で、免震構造は最も頻繁な点検とメンテナンスが必要になります。これらの費用は修繕積立金に反映される点も考慮が必要です。

建物の特性に応じた選択

構造の選択は、建物の高さや規模、地盤条件、予算などを総合的に判断して決定されます。超高層マンションでは制振構造が、医療施設などでは免震構造が選ばれる傾向にあります。

災害時の機能性

大地震時には、耐震構造は建物の損傷を許容しながら倒壊を防ぎます。制振構造は建物の損傷を軽減し、免震構造は建物自体への影響を最小限に抑えます。建物の用途や重要度に応じて、適切な構造を選択することが重要です。

資産価値への影響

一般的に、制振構造や免震構造を採用したマンションは、耐震構造のみのものと比べて資産価値が高く評価される傾向にあります。特に、免震構造は中古市場でも高い評価を得やすいとされています。

よくある質問

マンションの地震対策構造について、購入検討者からよく寄せられる質問をQ&A形式でまとめました。構造選びの参考にしていただければと思います。

構造の選択について

Q:制振構造と免震構造、どちらが優れているのでしょうか?

A:一概にどちらが優れているとは言えません。建物の規模、用途、予算、地盤条件などを総合的に判断して選択する必要があります。制振構造は中高層マンションに、免震構造は地盤の良い場所で特に効果を発揮します。

Q:耐震構造だけでは不安でしょうか?

A:現在の耐震基準は十分な安全性を確保しています。1981年以降に建設された建物であれば、基本的な耐震性能は確保されています。ただし、より高い安全性を求める場合は、制振や免震構造の検討をおすすめします。

コストについて

Q:制振装置や免震装置のメンテナンス費用はどのくらいかかりますか?

A:建物の規模にもよりますが、一般的な制振装置の点検費用は年間数十万円程度、免震装置は年間100万円前後が目安です。これらは通常、修繕積立金に組み込まれて計画されます。

Q:構造による価格差はどのくらいですか?

A:耐震構造を100とした場合、制振構造は3〜5%増、免震構造は8〜15%増が一般的です。ただし、規模や地域によって変動があります。

メンテナンスについて

Q:制振装置は定期的な交換が必要ですか?

A:一般的な耐用年数は60年程度で、定期的な点検は必要ですが、問題がなければ即座の交換は不要です。ただし、大きな地震後は特別点検が必要になります。

Q:既存のマンションに制振構造や免震構造を後付けできますか?

A:技術的には可能ですが、大規模な工事が必要となり、コストも高額になります。一般的には建て替えの際に検討するのが現実的です。

安全性について

Q:どの構造が最も安全なのでしょうか?

A:一般的に免震構造が最も高い安全性を確保できますが、どの構造でも法令で定められた安全基準は満たしています。重要なのは、建物の立地や規模に適した構造を選択することです。

Q:地震保険は構造によって保険料が変わりますか?

A:基本的に建物の構造種別(鉄筋コンクリート造など)による区分はありますが、耐震・制振・免震による保険料の違いはありません。ただし、耐震等級により割引が適用される場合があります。

資産価値について

Q:将来の売却を考えた場合、どの構造が有利ですか?

A:一般的に免震構造や制振構造を採用したマンションは、中古市場でも評価が高くなる傾向にあります。ただし、立地や管理状態など、他の要因も大きく影響します。

Q:築年数による構造の信頼性の違いはありますか?

A:新しい技術ほど実績が少ないという面はありますが、どの構造も十分な検証を経て実用化されています。定期的な点検とメンテナンスを適切に行うことで、長期的な信頼性を確保できます。

まとめ

マンションの構造選びは、安全性とコストのバランスを考慮することが大切です。耐震、制振、免震のそれぞれに特徴があり、一長一短があります。お客様の予算や重視する点を明確にした上で、専門家に相談しながら最適な構造を選択することをおすすめします。

なお、当社が提供している「housemarriage」では、住宅コンシェルジュが理想の家づくりのサポートとして、住まいを探す上で重要なハウスメーカーや工務店の営業担当者とのマッチングサポートをさせていただきます。住宅購入の資金計画の相談・作成や、相性良く親身になってくれる「営業担当者」をご紹介します。家づくりに関して少しでも不安を感じるようであれば、お問い合わせください。

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記事監修者

1級ファイナンシャル・プランニング技能士 / 渡辺 知光

大学卒業後、積水化学工業に入社し住宅「セキスイハイム」を販売。3年8カ月千葉県内で営業に従事し、営業表彰を6期連続受賞。
途中、母の急死に直面し、自分の将来について悩み始める。結果、大学のゼミで学んだ「保険」事業に実際に携わりたいと思いFP資格を取得して日本生命に転職。4年間営業に従事したが、顧客に対して提供出来る商品がなく退職を決意。FP兼保険代理店を開業する。

収入も顧客もゼロからのスタート。しかも独立直前に結婚し住宅購入した為、返済不安に陥り貯蓄が日々減っていく恐怖を覚える。

人生で初めて家計の見直しを行い、根本的な改善により失敗と不安を減らすコツを発見。自分の経験を生かしお客様が同じ道を歩まないよう伝えるべく「マイホーム検討者向けFP」として活動中。

運営会社情報

  • 会社名

    :有限会社ティーエムライフデザイン総合研究所

  • 代表者

    :渡辺知光

  • 本社
    所在地

    :〒104-0045 東京都中央区築地2-15-15 セントラル東銀座1002

  • アクセス

    :地下鉄日比谷線築地駅より徒歩3分

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