住宅・マンションの固定資産税の軽減措置の適用条件や手続きを解説
家づくりの基本
2024/11/25
2024/11/25
マイホームを購入する際の大きな支出の1つが固定資産税です。新築・中古を問わず、条件を満たせば固定資産税が一定期間軽減される制度があります。ただし、申請を忘れると軽減措置を受けられないケースもあるため、しっかりと確認しておく必要があります。今回は、住宅やマンションの固定資産税の軽減措置について、適用条件や手続き方法を詳しく解説していきます。
固定資産税とは
固定資産税は、毎年1月1日時点で土地・建物・償却資産を所有している人に課される市町村税です。支払い義務者は、その年の1月1日時点での所有者となります。
固定資産税の課税対象
固定資産税の課税対象は、土地・家屋・償却資産の3つです。住宅やマンションの場合、主に土地と家屋に対して課税されます。ここでいう家屋とは、住宅本体の建物部分のことを指します。
固定資産税の計算方法
固定資産税は、課税標準額(固定資産の評価額)に税率1.4%を掛けて計算されます。例えば、評価額2,000万円の住宅の場合、年間の固定資産税は28万円(2,000万円×1.4%)となります。ただし、住宅用地については課税標準額が軽減される特例があります。
固定資産税の支払い時期
固定資産税は、通常年4回に分けて納付します。具体的な納付時期は市区町村によって異なりますが、一般的には4月、7月、12月、2月となっています。一括での納付も可能で、その場合は若干の割引が適用される自治体もあります。
土地の課税について
住宅用地については、小規模住宅用地(200平方メートルまでの部分)と一般住宅用地(200平方メートルを超える部分)で課税標準の特例が異なります。小規模住宅用地は評価額の6分の1、一般住宅用地は評価額の3分の1が課税標準となります。
評価額の見直しについて
固定資産の評価額は、3年ごとに見直されます。この見直しを評価替えと呼びます。特に土地については、地価の変動に応じて評価額が変わるため、固定資産税額も変動する可能性があります。建物については、経年による減価償却を考慮して評価額が決められます。
固定資産税が課税されない場合
学校や病院、神社仏閣などの公共・公益的な施設については、固定資産税が非課税となります。また、一定の条件を満たす住宅については、先述の軽減措置が適用されます。
市街化区域と調整区域による違い
土地が市街化区域にあるか調整区域にあるかによって、評価額や課税の仕組みが異なる場合があります。一般的に、市街化区域の方が評価額が高くなる傾向にあります。
住宅用地の特例について
マンションなどの共同住宅の場合、敷地利用権が各区分所有者に割り振られ、その持分に応じて固定資産税が課税されます。この場合も、住宅用地の特例は各区分所有者の持分に応じて適用されます。
固定資産税の確認方法
自身の固定資産税額や評価額については、市区町村から送付される納税通知書で確認できます。また、毎年1月から3月頃には、固定資産課税台帳の縦覧制度により、他の土地や家屋の評価額との比較も可能です。
固定資産税の軽減措置や、新築住宅と中古住宅の軽減額の違い
住宅の固定資産税軽減措置は、住宅取得時の経済的負担を軽減するために設けられた制度です。新築住宅と中古住宅では、適用条件や軽減額に違いがあります。
新築住宅の軽減措置
新築住宅の場合、以下の条件を満たすことで、最初の3年間(マンションは5年間)、建物部分の固定資産税が2分の1に軽減されます。床面積が50平方メートル以上280平方メートル以下で、居住用に供する部分が2分の1以上であることが基本条件となります。
新築住宅の軽減額の計算方法
軽減の対象となるのは、120平方メートルまでの部分です。例えば、150平方メートルの住宅の場合、120平方メートルまでの部分について税額が2分の1になります。残りの30平方メートル分については通常の税額となります。
中古住宅の軽減措置
中古住宅の場合、新築時からの経過年数や耐震基準により軽減措置の適用条件が異なります。昭和57年1月1日以降に新築された住宅であれば、新築時と同様の軽減措置を受けることができます。それ以前の住宅については、耐震基準を満たしていることが条件となります。
耐震基準適合住宅の軽減措置
昭和56年5月31日以前に建築された住宅でも、耐震改修工事を行い、現行の耐震基準に適合することが証明された場合は、改修工事が完了した年の翌年度から一定期間、固定資産税が軽減されます。
長期優良住宅の特例
長期優良住宅に認定された新築住宅については、通常の軽減措置に加えて、さらなる優遇措置があります。具体的には、新築から5年間(マンションは7年間)、建物部分の固定資産税が2分の1に軽減されます。
認定低炭素住宅の特例
認定低炭素住宅として認定を受けた新築住宅についても、追加の優遇措置が設けられています。省エネ性能の高い住宅の普及を促進するため、通常の軽減措置に加えて税制上の優遇が受けられます。
住宅用地の特例との関係
建物部分の軽減措置に加えて、土地部分についても住宅用地の特例が適用されます。小規模住宅用地(200平方メートルまで)は評価額の6分の1、一般住宅用地(200平方メートル超)は3分の1が課税標準となります。
軽減措置の重複適用について
住宅の性能や認定状況によっては、複数の軽減措置が重複して適用される場合があります。ただし、すべての軽減措置を同時に受けられるわけではなく、一定の制限があります。
軽減措置の期間延長
一定の要件を満たすリフォームを行った場合、軽減措置の期間が延長される場合があります。特に、バリアフリー改修や省エネ改修を行った場合は、追加の軽減措置を受けられる可能性があります。
軽減措置終了後の税額
軽減措置の適用期間が終了すると、通常の税額に戻ります。ただし、建物の評価額は経年による減価償却を考慮して決められるため、年々減少していく傾向にあります。
固定資産税の軽減措置を受けるための申請方法(手続き)や必要書類
固定資産税の軽減措置を受けるためには、定められた期間内に必要な手続きを行う必要があります。手続きを忘れると軽減措置を受けられない可能性もあるため、しっかりと確認しておきましょう。
申請期限について
新築住宅の場合、住宅を新築した日から3ヶ月以内に申請する必要があります。中古住宅の場合は、取得した年の翌年の1月末までに申請します。申請期限を過ぎてしまうと、原則として軽減措置を受けることができなくなりますので注意が必要です。
申請窓口について
申請は、物件が所在する市区町村の固定資産税担当課で行います。一般的には税務課や資産税課といった名称になっています。事前に電話で必要書類を確認することをおすすめします。
新築住宅の必要書類
新築住宅の軽減措置を申請する際は、以下の書類が必要となります。
・新築住宅に係る固定資産税の減額適用申告書
・建築確認通知書の写し
・検査済証の写し
・登記簿謄本の写し
・付近見取図
・各階平面図
中古住宅の必要書類
中古住宅の場合は、上記の書類に加えて以下の書類が必要となります。
・耐震基準適合証明書(昭和56年5月31日以前に建築された住宅の場合)
・売買契約書の写し
・住民票の写し
・登記事項証明書
長期優良住宅の追加書類
長期優良住宅として認定を受けている場合は、以下の追加書類が必要です。
・長期優良住宅認定通知書の写し
・長期優良住宅建築計画に係る認定申請書の副本の写し
・認定長期優良住宅建築証明書
耐震改修を行った場合の書類
耐震改修工事を実施して軽減措置を申請する場合は、以下の書類が必要となります。
・耐震改修工事証明書
・耐震改修工事の領収書の写し
・工事前後の写真
・耐震診断結果報告書
申請書の記入方法
申請書には、所有者の情報、物件の所在地、床面積、建築年月日などを正確に記入する必要があります。記入漏れや誤記入があると受理されない場合がありますので、丁寧に記入しましょう。
代理人による申請
不動産会社や税理士などに申請を依頼することも可能です。その場合は、委任状が必要となります。また、代理人の本人確認書類も必要となりますので、事前に確認しておきましょう。
申請後の流れ
申請書類を提出後、市区町村の担当者が内容を確認します。書類に不備がなければ受理され、次年度から軽減措置が適用されます。申請が受理されると、その旨の通知が送られてくる場合もあります。
軽減措置の継続について
一度軽減措置が適用されると、条件を満たす限り自動的に継続されます。ただし、居住用から事業用に用途変更した場合などは、軽減措置が打ち切られる可能性があるため、変更がある場合は必ず市区町村に報告しましょう。
申請内容に変更があった場合
所有者の変更や建物の増改築などで申請内容に変更が生じた場合は、速やかに市区町村に届け出る必要があります。変更の届出を怠ると、軽減措置が受けられなくなる可能性があります。
よくある質問(Q&A)
固定資産税の軽減措置について、よくある質問をQ&A形式でまとめました。申請を検討されている方は、ぜひ参考にしてください。
申請に関する質問
Q1:申請期限を過ぎてしまった場合はどうなりますか?
A1:原則として軽減措置を受けることができません。ただし、市区町村によっては、正当な理由がある場合に限り、遡って適用できる場合もありますので、まずは担当窓口にご相談ください。
Q2:申請は誰が行う必要がありますか?
A2:原則として所有者本人です。ただし、不動産会社や税理士などに委任することも可能です。その場合は委任状が必要となります。
Q3:共有名義の場合、誰が申請すればよいですか?
A3:共有者の代表者が申請することができます。ただし、他の共有者の同意書が必要となる場合があります。
対象物件に関する質問
Q1:賃貸用の建物も軽減措置の対象になりますか?
A1:居住用に供する部分が2分の1以上であることが条件となるため、一般的な賃貸アパートは対象外となります。ただし、オーナー住居付きの賃貸物件は、条件により対象となる場合があります。
Q2:店舗併用住宅は軽減措置の対象になりますか?
A2:居住部分が全体の2分の1以上であれば対象となります。ただし、軽減されるのは居住部分のみです。
Q3:別荘やセカンドハウスも対象になりますか?
A3:常時居住する実態がない別荘などは、原則として対象外となります。
増改築に関する質問
Q1:増築した場合も軽減措置は受けられますか?
A1:増築部分が50平方メートル以上で、居住用に供する部分が2分の1以上であれば、その部分について軽減措置を受けることができます。
Q2:リフォームした場合は新たな軽減措置を受けられますか?
A2:一般的なリフォームでは新たな軽減措置は受けられませんが、耐震改修や省エネ改修など、特定の要件を満たすリフォームの場合は対象となることがあります。
期間・金額に関する質問
Q1:軽減措置の期間はいつからいつまでですか?
A1:新築住宅の場合、新築した年の翌年度から3年間(マンションは5年間)です。ただし、長期優良住宅などは異なる期間が適用されます。
Q2:軽減額はどのくらいになりますか?
A2:床面積120平方メートルまでの部分について、建物にかかる固定資産税が2分の1に軽減されます。具体的な金額は物件により異なります。
特殊なケースの質問
Q1:相続した住宅は軽減措置を引き継げますか?
A1:被相続人が受けていた軽減措置は、残りの期間に限り相続人も受けることができます。
Q2:住宅ローン控除との併用は可能ですか?
A2:固定資産税の軽減措置と住宅ローン控除は、それぞれ別の制度なので併用が可能です。
変更・解除に関する質問
Q1:引っ越して家を売却する場合は手続きが必要ですか?
A1:所有者の変更があった場合は、市区町村に届け出る必要があります。新しい所有者が要件を満たせば、残りの期間について軽減措置を引き継ぐことができます。
Q2:住宅を事務所に用途変更する場合はどうなりますか?
A2:居住用に供する部分が2分の1未満となる場合は、軽減措置が打ち切られます。用途変更の際は必ず市区町村に届け出てください。
まとめ
固定資産税の軽減措置は、マイホーム購入時の経済的負担を軽減する重要な制度です。新築・中古を問わず、条件を満たせば一定期間の軽減を受けることができますが、申請期限や必要書類には注意が必要です。不明な点がある場合は、お住まいの市区町村の固定資産税担当課に早めにご相談することをおすすめします。
なお、当社が提供している「housemarriage」では、住宅コンシェルジュが理想の家づくりのサポートとして、住まいを探す上で重要なハウスメーカーや工務店の営業担当者とのマッチングサポートをさせていただきます。住宅購入の資金計画の相談・作成や、相性良く親身になってくれる「営業担当者」をご紹介します。家づくりに関して少しでも不安を感じるようであれば、お問い合わせください。
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