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マンションの24時間換気システムの仕組みや掃除・メンテナンス方法を解説

家づくりの基本

2024/11/27

2024/11/27

記事監修者

1級ファイナンシャル・プランニング技能士 / 渡辺 知光

マンションの24時間換気システムの仕組みや掃除・メンテナンス方法を解説

マンションの24時間換気システムは、室内の空気を常に新鮮に保つために必要不可欠な設備です。建築基準法で設置が義務付けられており、結露やカビの発生を防ぎ、快適な住環境を維持する重要な役割を果たしています。

今回の記事では、マンションの24時間換気システムの基本的な仕組みから、換気扇の種類、メンテナンス方法まで詳しく解説していきます。快適な住環境づくりのために、ぜひ参考にしてください。

マンションの24時間換気システム・換気扇

24時間換気システムは、2003年7月に改正された建築基準法により、すべての住宅への設置が義務付けられました。これは、シックハウス症候群対策の一環として導入された重要な設備です。

24時間換気システムの必要性

現代のマンションは気密性が高く、自然換気だけでは室内の空気環境を適切に保つことが難しくなっています。そのため、機械的な換気システムによって、計画的に新鮮な空気を取り入れる必要があります。

24時間換気システムの主な役割

室内の空気を常に循環させることで、湿気やハウスダストの排出、有害物質の除去などの効果があります。特に重要な役割として以下が挙げられます。

・結露やカビの発生防止

・シックハウス症候群の予防

・室内の空気環境の改善

・臭気の除去

・二酸化炭素濃度の低減

24時間換気システムの特徴

一般的な換気扇と比べて、24時間換気システムは極めて少ない電力で稼働するように設計されています。そのため、常時運転していても電気代は月に数百円程度に抑えられます。

運転モードについて

多くの24時間換気システムには複数の運転モードが用意されています。通常運転の他に、以下のようなモードがあります。

・強運転モード:調理時や入浴後など、一時的に換気量を増やしたい時に使用

・弱運転モード:就寝時など、より静かな運転を希望する時に使用

・花粉モード:花粉の飛散時期に外気の取り入れを制御

設置場所による特徴

マンションの24時間換気システムは、一般的に以下の場所に設置されています。

・トイレ:臭気対策として必須

・浴室:湿気対策として重要

・キッチン:調理の際の換気に不可欠

・洗面所:水回りの湿気対策として設置

停止に関する注意点

24時間換気システムは常時運転を前提として設計されており、長時間の停止は避けるべきです。特に以下の時期は運転を継続することが重要です。

・梅雨時期:湿気対策として特に重要

・冬季:結露防止のために必要

・新築・リフォーム後:化学物質の放散対策として必須

・長期留守時:カビ対策として運転継続が推奨

設置基準について

建築基準法では、居室の床面積に応じた換気量が定められています。一般的な基準として、居室の床面積あたり0.7回/時間以上の換気回数が必要とされています。この基準を満たすため、適切な能力を持つ換気システムの選択が重要です。

このように、24時間換気システムは現代の住まいには不可欠な設備となっています。適切な運用とメンテナンスを行うことで、より快適な住環境を実現することができます。

マンションの24時間換気システム・換気扇の仕組み

24時間換気システムは、室内の空気を効率的に入れ替えるために設計された機械換気システムです。その仕組みは換気方式によって異なり、主に3つの種類があります。

第1種換気方式

給気と排気の両方に換気扇を使用する方式です。空気の流れを完全にコントロールできる特徴があり、以下のような特徴があります。

・給気用と排気用の2つのファンを使用

・熱交換ができる機種が多い

・空気の流れが安定している

・設置コストが比較的高価

・フィルターの掃除など維持管理の手間が必要

第2種換気方式

給気に換気扇を使用し、排気は自然換気口で行う方式です。マンションではあまり採用されていませんが、以下のような特徴があります。

・室内が正圧になるため、外部からの粉じんや臭いの侵入を防ぐ

・設備費用は第1種換気より安価

・排気口からの冷気流入がない

・結露の発生リスクがある

第3種換気方式

マンションで最も一般的な方式で、排気に換気扇を使用し、給気は自然給気口で行います。以下のような特徴があります。

・設備費用が最も安価

・メンテナンスが比較的容易

・室内が負圧になるため、他の部屋からの臭い流入を防ぐ

・冬場は給気口から冷気が入る可能性がある

空気の流れの仕組み

24時間換気システムは、以下のような順序で空気を循環させています。

・居室の給気口から外気を取り入れる

・取り入れた空気が室内を循環

・水回りの換気扇から汚れた空気を排出

・この流れを24時間継続して行う

換気量の調整機能

多くの換気システムには、状況に応じて換気量を調整できる機能が備わっています。

・通常運転:24時間稼働の標準モード

・強運転:調理時や入浴後などに使用

・弱運転:夜間や省エネ時に使用

・一時停止:掃除時などの一時的な停止

室内環境への影響

24時間換気システムは、室内環境に以下のような影響を与えます。

・湿度のコントロール

・空気の清浄化

・結露の防止

・臭気の軽減

・化学物質の排出

省エネ技術との関係

近年の24時間換気システムには、様々な省エネ技術が採用されています。

・DCモーターの採用による消費電力の削減

・温度センサーによる自動運転制御

・熱交換技術による空調効率の向上

・風量の自動調整機能

排気経路の設計

効率的な換気を実現するため、排気経路は以下のような設計となっています。

・各部屋からの空気を集めるダクト設計

・適切な換気扇の配置

・排気口の位置や大きさの調整

・気流の流れを考慮したレイアウト

マンションの24時間換気システム・換気扇の種類

マンションの24時間換気システムには、設置場所や用途に応じてさまざまな種類があります。それぞれの特徴を理解し、適切な選択をすることで、より効果的な換気を実現することができます。

天井埋込型換気扇

最も一般的な換気扇の形式で、マンションのトイレや浴室、洗面所などに多く採用されています。天井に埋め込んで設置するため見た目がすっきりとしており、室内の美観を損ねません。また、取り付けや清掃も比較的容易で、メンテナンス性に優れているのが特徴です。

壁付け型換気扇

壁面に直接取り付けるタイプの換気扇です。天井埋込型が設置できない構造の場合や、既存の換気扇を取り替える際によく使用されます。直接外気に排気できるため換気効率が良く、設置工事も比較的簡単です。ただし、室内側に換気扇本体が露出するため、デザイン面では天井埋込型に劣ります。

プロペラ型換気扇

シンプルな構造で、主に小空間の換気に使用される換気扇です。価格が安価で取り付けも容易ですが、換気能力は他のタイプと比べて劣ります。キッチンの補助換気や、収納スペースの換気などに適しています。

レンジフード型換気扇

キッチン専用の換気扇で、調理時の煙や臭いを効果的に排出する能力を持っています。近年は静音性や省エネ性能が向上し、デザイン性にも優れた製品が増えています。油汚れを効果的に捕集する機能や、自動運転機能を搭載した高機能タイプも登場しています。

ダクト用換気扇

ダクトに接続して使用する換気扇で、複数の部屋の換気を1台でまかなうことができます。マンション全体の24時間換気システムの中心的な役割を果たすことが多く、高い信頼性と耐久性が求められます。消費電力を抑えた省エネタイプや、風量を自動制御できる機能を備えた製品も増えています。

DCモーター搭載タイプ

従来のACモーターに比べて消費電力が少なく、運転音も静かなDCモーターを採用した換気扇です。24時間稼働を前提とした場合、電気代の削減効果が大きく、近年需要が増加しています。また、細かな風量調整が可能で、状況に応じて最適な換気量を設定できます。

センサー付き換気扇

温度や湿度、人感センサーなどを搭載し、環境に応じて自動で運転を制御する換気扇です。必要な時に必要な換気量で運転することで、省エネと快適性を両立させることができます。特に浴室では、湿度センサーによる自動運転機能が重宝されます。

高機能フィルター搭載タイプ

花粉やPM2.5などの微細な粒子を捕集できる高性能フィルターを搭載した換気扇です。アレルギー対策や空気清浄を重視する場合に適していますが、定期的なフィルター交換や清掃が必要となります。また、フィルターの目詰まりによる換気量の低下にも注意が必要です。

熱交換型換気扇

排気する空気の熱を回収し、給気に利用することで空調効率を高める換気扇です。冷暖房負荷を軽減できる反面、設備費用が高額になる傾向があります。また、熱交換素子の清掃など、メンテナンスの手間も考慮する必要があります。

マンションの換気扇・給気口の掃除・メンテナンス方法

24時間換気システムを効率よく機能させ、快適な室内環境を維持するためには、定期的な掃除とメンテナンスが欠かせません。ここでは、換気扇と給気口のそれぞれについて、具体的な清掃方法とメンテナンスのポイントを解説します。

換気扇の掃除頻度

換気扇の掃除は、使用頻度や設置場所によって適切な頻度が異なります。キッチンのレンジフードは油汚れが多いため月1回程度、浴室やトイレの換気扇は2〜3ヶ月に1回程度の清掃が推奨されています。フィルター部分は目詰まりしやすいため、より頻繁な清掃が必要になることもあります。

換気扇のフィルター清掃

フィルターの清掃は換気効率を維持する上で最も重要です。まず、電源を切ってからフィルターを取り外し、中性洗剤を溶かしたぬるま湯に浸して汚れを落とします。油汚れがひどい場合は、専用の洗剤を使用すると効果的です。洗浄後は完全に乾かしてから取り付けることで、カビの発生を防ぐことができます。

換気扇本体の清掃方法

本体の清掃は安全に十分注意して行う必要があります。まず、電源を切ってから本体カバーを取り外し、中性洗剤を含ませた布で拭き取ります。羽根部分は取り外せる場合が多く、個別に洗浄することでより確実に汚れを落とすことができます。電気部分には水が掛からないよう注意し、清掃後は完全に乾燥させてから組み立てます。

給気口の清掃方法

給気口は外気を取り入れる重要な役割を担っているため、定期的な清掃が必要です。まず、給気口のカバーを取り外し、掃除機でほこりを吸い取ります。その後、中性洗剤を薄めた溶液で拭き取り、最後に乾いた布で水気を拭き取ります。給気口の周辺の壁も定期的に清掃することで、より効果的な換気が可能になります。

ダクトの清掃について

ダクト内部の清掃は専門業者に依頼することをお勧めします。一般的には3〜5年に1回程度の清掃が推奨されています。ダクト内に堆積した汚れは換気効率を低下させるだけでなく、カビの発生源にもなりかねないため、定期的なメンテナンスが重要です。

パーツの交換時期

換気扇のフィルターや部品には寿命があり、定期的な交換が必要です。一般的なフィルターは年1回程度の交換が推奨されています。また、モーター音が大きくなったり、振動が増えたりした場合は、部品の劣化が考えられるため、早めの交換を検討する必要があります。

メンテナンス時の注意点

換気扇のメンテナンスを行う際は、感電や怪我を防ぐため、必ず電源を切ってから作業を始めます。また、高所作業が必要な場合は、安定した足場を確保することが重要です。製品の取扱説明書に従って作業を行い、不明な点がある場合は、メーカーや専門業者に相談することをお勧めします。

予防的メンテナンス

日常的な予防的メンテナンスとして、換気扇の動作音や振動の変化に注意を払うことが大切です。異常を早期に発見することで、大きな故障を防ぎ、修理費用を抑えることができます。また、定期的な清掃計画を立てることで、メンテナンスの習慣化を図ることができます。

プロによるメンテナンス

専門的な知識や技術が必要な修理や、高所での作業が必要な場合は、専門業者に依頼することをお勧めします。特に24時間換気システム全体のメンテナンスや、ダクトの清掃などは、プロの技術が必要です。定期的な点検を受けることで、システムの長寿命化と性能維持を図ることができます。

よくある質問

マンションの24時間換気システムについて、居住者からよく寄せられる質問とその回答をまとめました。適切な使用方法や管理方法の参考にしてください。

運転に関する質問

Q:24時間換気は本当に常時運転する必要があるのでしょうか?

A:建築基準法で定められた設備であり、室内の空気環境を適切に保つために24時間運転が必要です。カビや結露の防止、シックハウス対策として重要な役割を果たしています。

Q:夜間や留守時は停止してもいいですか?

A:夜間や留守時も運転を継続することをお勧めします。停止することで室内の湿気がこもり、カビの発生や建材の劣化を招く可能性があります。

Q:換気扇の運転音が気になるのですが、どうすればよいですか?

A:運転モードを弱運転に切り替えることで音を軽減できます。また、異常な音がする場合は、フィルターの目詰まりや部品の劣化が考えられるため、点検が必要です。

メンテナンスに関する質問

Q:フィルターの掃除はどのくらいの頻度で行えばよいですか?

A:場所によって異なりますが、一般的にキッチンは月1回程度、浴室やトイレは2〜3ヶ月に1回程度の清掃が推奨されています。

Q:給気口の掃除はどうすればよいですか?

A:年に1〜2回程度、カバーを取り外して掃除機でほこりを取り除き、必要に応じて中性洗剤で拭き取ります。完全に乾燥させてから取り付けてください。

Q:専門業者によるメンテナンスは必要ですか?

A:3〜5年に1回程度、ダクト清掃を含めた総合的なメンテナンスを専門業者に依頼することをお勧めします。

費用に関する質問

Q:24時間換気の電気代はどのくらいかかりますか?

A:機種によって異なりますが、一般的なDCモーター搭載タイプで月300〜500円程度です。従来型のACモーターの場合はこれより高くなることがあります。

Q:修理費用の目安はいくらくらいですか?

A:症状や部品によって異なりますが、簡単な部品交換で5,000〜10,000円程度、モーター交換などの大きな修理で20,000〜50,000円程度かかることがあります。

効果・性能に関する質問

Q:冬場は窓を開けての換気は必要ですか?

A:24時間換気システムが正常に稼働していれば、窓開け換気は必須ではありません。ただし、調理時など一時的に強い換気が必要な場合は、窓を開けることをお勧めします。

Q:換気扇を強運転にしても効果が感じられません。故障でしょうか?

A:フィルターの目詰まりやダクトの汚れが考えられます。まず清掃を行い、改善が見られない場合は専門業者による点検をお勧めします。

トラブルに関する質問

Q:換気扇から異音がするのですが、どうすればよいですか?

A:フィルターの目詰まりや部品の緩み、経年劣化が考えられます。まず清掃を行い、改善しない場合は専門業者による点検が必要です。

Q:結露が発生するのですが、換気は正常に機能していますか?

A:換気量が不足している可能性があります。給気口や換気扇の清掃を行い、改善しない場合は設定の見直しや専門家による点検をお勧めします。

設備に関する質問

Q:給気口を塞いでも問題ないでしょうか?

A:給気口を塞ぐと換気効率が著しく低下し、結露やカビの原因となります。また、ガス機器の不完全燃焼を引き起こす危険性もあるため、絶対に塞がないでください。

Q:古い換気扇を取り替えたいのですが、どのように選べばよいですか?

A:既存の取付枠のサイズや電源容量、必要な換気能力などを確認し、これらに適合した製品を選択します。不安な場合は専門業者に相談することをお勧めします。

まとめ

24時間換気システムは、快適な住環境を維持するために欠かせない設備です。適切な運用とメンテナンスを行うことで、より効果的に機能を発揮させることができます。定期的な清掃を心がけ、快適な住まい作りに活用していきましょう。

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記事監修者

1級ファイナンシャル・プランニング技能士 / 渡辺 知光

大学卒業後、積水化学工業に入社し住宅「セキスイハイム」を販売。3年8カ月千葉県内で営業に従事し、営業表彰を6期連続受賞。
途中、母の急死に直面し、自分の将来について悩み始める。結果、大学のゼミで学んだ「保険」事業に実際に携わりたいと思いFP資格を取得して日本生命に転職。4年間営業に従事したが、顧客に対して提供出来る商品がなく退職を決意。FP兼保険代理店を開業する。

収入も顧客もゼロからのスタート。しかも独立直前に結婚し住宅購入した為、返済不安に陥り貯蓄が日々減っていく恐怖を覚える。

人生で初めて家計の見直しを行い、根本的な改善により失敗と不安を減らすコツを発見。自分の経験を生かしお客様が同じ道を歩まないよう伝えるべく「マイホーム検討者向けFP」として活動中。

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    :渡辺知光

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