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ZEH-M(ゼッチマンション)の特徴や注意点、選ぶポイントを解説

家づくりの基本

2024/12/03

2024/12/03

記事監修者

1級ファイナンシャル・プランニング技能士 / 渡辺 知光

ZEH-M(ゼッチマンション)の特徴や注意点、選ぶポイントを解説

近年、環境への配慮や省エネ性能が注目される中、マンション選びでもZEH-M(ゼッチマンション)が大きな注目を集めています。ZEH-Mは、年間の一次エネルギー消費量を大幅に削減できる次世代型マンションとして期待されています。今回は、ZEH-Mの基礎知識から選び方まで、詳しく解説していきます。

ZEH(ゼッチ)とは

ZEHとは「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(Net Zero Energy House)」の略称で、断熱性能や省エネ性能を上げることで、エネルギー消費量を限りなくゼロに近づけた住宅のことを指します。太陽光発電などで創エネを行い、使用するエネルギーを相殺することで、実質的なエネルギー収支をゼロにすることを目指しています。

ZEHの4つの基準について

ZEHには、エネルギー削減率に応じて4つの区分が設定されています。『ZEH』は100%以上の削減を実現したもの、Nearly ZEHは75%以上100%未満の削減を達成したもの、ZEH Readyは50%以上75%未満の削減を実現したもの、そしてZEH Orientedは再生可能エネルギーを導入しなくても基準の省エネ性能を満たしているものを指します。

ZEHを実現する3つの要素

ZEHを実現するためには、「省エネ」「創エネ」「蓄エネ」という3つの要素が重要になります。まず省エネでは、高断熱・高気密な外皮性能を確保し、高効率な設備機器を導入します。創エネでは、太陽光発電システムなどを活用してエネルギーを作り出します。蓄エネでは、蓄電池などを使って電力を効率的に利用します。

ZEHの断熱性能について

ZEHでは、外壁や屋根、床、開口部などの断熱性能が特に重視されます。断熱材の厚みを増やしたり、高性能な断熱サッシを採用したりすることで、外部との熱の出入りを最小限に抑えます。これにより、夏は涼しく、冬は暖かい快適な室内環境を実現できます。

ZEHの省エネ設備について

ZEHでは、高効率なエアコンや給湯器、LED照明などの省エネ設備を標準的に採用します。特に、給湯にはヒートポンプ式の給湯器(エコキュート)や燃料電池(エネファーム)などの高効率機器を使用することで、エネルギー消費量を大幅に削減することができます。

ZEHの創エネシステムについて

ZEHの創エネシステムの中心となるのが太陽光発電システムです。屋根に設置した太陽光パネルで発電した電力を使用することで、外部から購入する電力量を減らすことができます。発電量が使用量を上回る場合は、余剰電力を電力会社に売ることも可能です。

ZEH化のメリット

ZEH化のメリットとして、光熱費の大幅な削減が期待できることが挙げられます。また、断熱性能が高いため、結露やカビの発生を抑制でき、健康的な住環境を実現できます。さらに、災害時のエネルギー自給にも役立ちます。加えて、国や地方自治体による様々な補助金制度を活用できる可能性もあります。

今後のZEHの展望

2030年までに新築住宅の平均でZEH化を実現することが政府目標として掲げられています。そのため、今後はさらなる技術革新や、コストダウンが進むことが期待されます。また、AIやIoTを活用したエネルギーマネジメントシステムの導入など、より高度な省エネ・創エネの仕組みの普及も見込まれています。

ZEH-M(ゼッチマンション)のメリット・デメリット

ZEH-M(ゼッチマンション)は、環境性能と居住性能を両立した次世代型マンションとして注目を集めています。ここでは、ZEH-Mのメリットとデメリットについて詳しく解説していきます。

ZEH-Mのメリット

光熱費の大幅な削減が可能です。一般的なマンションと比べて、年間の光熱費を50%以上削減できるケースも多く報告されています。特に、太陽光発電システムを導入している場合は、さらなる削減効果が期待できます。

快適な室内環境を実現できます。高い断熱性能により、夏は涼しく冬は暖かい室内環境を保ちやすく、結露やカビの発生も抑制できます。また、外部からの騒音も軽減されるため、静かな住環境を実現できます。

環境負荷を低減できます。CO2排出量を大幅に削減できることから、地球環境への配慮という観点からも注目されています。また、このような環境配慮型の住宅は、将来的な資産価値の維持にもつながると考えられています。

ZEH-Mの経済的メリット

様々な補助金制度を活用できます。国や地方自治体によって、ZEH-M向けの補助金制度が用意されています。これらを活用することで、初期費用の負担を軽減することができます。

ランニングコストを抑えられます。高効率な設備機器の採用により、水道光熱費を大幅に削減できます。長期的に見ると、一般的なマンションよりも経済的なメリットが大きくなる可能性があります。

ZEH-Mのデメリット

初期費用が高額になりやすいです。高性能な断熱材や設備機器の採用により、一般的なマンションと比べて購入価格が高くなる傾向があります。補助金を活用できる場合もありますが、予算面での検討が必要です。

物件数が限られています。現状では、ZEH-M認定を受けたマンションの供給数はまだ限られており、希望する地域や価格帯で物件を見つけることが難しい場合があります。

設備機器の維持管理が必要です。太陽光発電システムなどの設備機器は、定期的なメンテナンスが必要となります。そのため、管理費や修繕積立金が一般的なマンションより高くなる可能性があります。

ZEH-Mの設備面でのデメリット

太陽光パネルの設置場所に制約があります。マンションの場合、各住戸に十分な面積の太陽光パネルを設置することが難しく、発電効率に影響が出る可能性があります。

設備の更新時期に費用がかかります。高効率な設備機器は、一般的な設備より更新費用が高額になる傾向があります。長期的な修繕計画を立てる際は、この点も考慮に入れる必要があります。

ZEH-Mの住環境面での課題

気密性が高いため換気に注意が必要です。高気密・高断熱な住環境では、適切な換気計画が重要になります。24時間換気システムの運転維持費なども考慮に入れる必要があります。

日射遮蔽の調整が必要です。大きな開口部から入る日射は、夏場の室温上昇につながる可能性があります。そのため、カーテンやブラインドなどの遮熱対策も併せて検討する必要があります。

将来的な検討事項

技術革新への対応が必要です。省エネ技術は日々進歩しており、将来的に更新が必要になる可能性があります。その際の費用負担や工事の実施方法などについて、事前に確認しておくことが望ましいでしょう。

電力会社との契約内容の確認が重要です。太陽光発電システムを導入する場合、売電価格や契約内容について、事前に電力会社に確認しておく必要があります。将来的な制度変更の可能性も考慮に入れましょう。

ZEH-M(ZEHマンション)の取り組み事例

ZEH-Mの普及に伴い、大手デベロッパーを中心に様々な特徴を持つプロジェクトが展開されています。ここでは、具体的な事例を交えながら、ZEH-Mの代表的な取り組みを紹介していきます。

大規模タワーマンションでの取り組み事例

都心部の大規模タワーマンションでは、全住戸の共用部分の一次エネルギー消費量を75%以上削減し、Nearly ZEH-Mを達成したプロジェクトが登場しています。高層階での風力や日射を活用した創エネシステム、全館LED照明の採用、高効率な空調設備の導入などにより、環境性能の向上を実現しています。

中規模マンションでの取り組み事例

郊外型の中規模マンションでは、屋上や外壁面を効率的に活用した太陽光発電システムの設置や、地中熱を利用した空調システムの導入により、『ZEH-M』基準を達成した事例が増えています。各住戸には高性能な断熱材や省エネ設備を標準装備し、快適性と省エネ性を両立しています。

低層マンションでの取り組み事例

3階建て程度の低層マンションでは、屋上スペースを最大限活用した太陽光発電システムの設置により、高い創エネ効果を実現している事例があります。また、各住戸にバルコニー設置型の太陽光パネルを導入することで、個別の電力供給を可能にしている例もあります。

先進的な設備システムの導入事例

AIやIoTを活用したエネルギーマネジメントシステム(MEMS)を導入し、建物全体のエネルギー使用を最適化している事例も登場しています。電力使用状況の可視化や、天候予測に基づく空調制御など、先進的な取り組みが実施されています。

地域特性を活かした取り組み事例

寒冷地では、外皮性能を特に強化し、補助暖房に頼らない住環境を実現している事例があります。一方、温暖地では、通風や日射遮蔽を重視した設計により、夏場の冷房負荷を低減している例が見られます。

コミュニティ形成を重視した事例

共用部にソーラーカーポートを設置し、災害時の非常用電源として活用できる仕組みを導入している事例や、居住者同士で創エネした電力を融通し合えるシステムを採用している例など、環境性能とコミュニティ形成を両立した取り組みも増えています。

デザイン性を重視した事例

太陽光パネルをデザイン要素として取り入れ、建物の外観との調和を図った事例や、省エネ設備を室内のインテリアデザインに効果的に組み込んだ例など、環境性能とデザイン性を両立させた取り組みも見られます。

将来的な拡張性を考慮した事例

蓄電池の後付けや設備機器の更新に対応できる設計を採用している事例や、将来的なエネルギー技術の進化に合わせてシステムをアップグレードできる仕組みを導入している例など、長期的な視点に立った取り組みも増えています。

住民参加型の取り組み事例

居住者向けのエネルギー使用状況のモニタリングシステムを導入し、省エネ行動を促進している事例や、環境教育プログラムと連携した取り組みを実施している例など、ハード面とソフト面を組み合わせた先進的な取り組みも見られます。

ZEH-M(ZEHマンション)選びのポイント

ZEH-Mを選ぶ際は、環境性能だけでなく、様々な観点から検討する必要があります。ここでは、ZEH-M選びで重要となるポイントについて、詳しく解説していきます。

エネルギー削減率の確認

ZEH-Mには4つの区分があり、エネルギー削減率によって『ZEH-M』、Nearly ZEH-M、ZEH-M Ready、ZEH-M Orientedに分類されます。削減率が高いほど光熱費の削減効果は大きくなりますが、その分初期費用も上がる傾向にあります。自身の予算と照らし合わせながら、適切な区分を選択することが重要です。

断熱性能の確認

断熱性能は、快適な住環境を実現する上で非常に重要です。外壁や窓、床などの断熱仕様を確認し、使用されている断熱材の種類や厚み、開口部の断熱性能などをチェックしましょう。特に、寒冷地では断熱性能が住み心地に大きく影響します。

採用設備の確認

高効率給湯器やLED照明、24時間換気システムなど、どのような省エネ設備が採用されているかを確認することが大切です。また、設備機器の維持管理費用や更新時期についても事前に確認しておくと、将来的な費用計画が立てやすくなります。

太陽光発電システムの検討

太陽光発電システムの設置状況や発電容量、各住戸への配分方法などを確認しましょう。屋上や外壁面での設置位置、パネルの向きなども発電効率に影響します。また、売電制度の内容や、将来的な制度変更の可能性についても把握しておくことが望ましいです。

管理体制の確認

ZEH-Mでは、高性能な設備機器の適切な維持管理が重要です。管理会社の実績や、定期点検の内容、管理費や修繕積立金の設定などを詳しく確認しましょう。また、長期修繕計画における設備更新の考え方についても確認が必要です。

補助金制度の活用

国や地方自治体による補助金制度を確認し、活用可能な制度があれば申請を検討しましょう。ただし、補助金には申請期限や予算枠があるため、早めに情報収集を行うことが重要です。また、補助金の受給条件や必要書類についても確認が必要です。

立地環境との相性

周辺環境や気候条件によって、ZEH-Mの性能は大きく変わります。日照条件や風通し、周辺建物の影響なども考慮に入れて検討しましょう。特に、太陽光発電の効率は立地条件に大きく左右されます。

居住性能の確認

省エネ性能だけでなく、間取りや収納、遮音性能など、基本的な居住性能もしっかりと確認することが大切です。特に、高気密住宅特有の換気の問題や、設備機器の騒音なども考慮に入れる必要があります。

アフターサービスの内容

引き渡し後のサポート体制や、設備機器のメンテナンスサービス、保証内容などを確認しましょう。特に、省エネ設備の使い方講習や、エネルギー使用状況のモニタリングサービスなどが充実しているかどうかも重要なポイントとなります。

将来的な拡張性

技術革新への対応や、設備のアップグレードの可能性についても確認しておくと良いでしょう。特に、蓄電池の後付けや、エネルギーマネジメントシステムの更新などに対応できる設計になっているかどうかは、長期的な視点で重要となります。

よくある質問

ZEH-M(ゼッチマンション)に関して、購入検討者からよく寄せられる質問をQ&A形式でまとめました。実際の購入判断や住まい選びの参考にしてください。

費用に関する質問

Q:一般的なマンションと比べて価格はどのくらい違いますか?

A:物件によって異なりますが、一般的に10~20%程度価格が高くなる傾向にあります。ただし、補助金の活用や光熱費の削減効果を考慮すると、長期的にはメリットが大きくなる可能性があります。

Q:管理費や修繕積立金は高くなりますか?

A:高性能な設備機器の維持管理が必要なため、一般的なマンションと比べて若干高めに設定されることが多いです。ただし、光熱費の削減分でカバーできるケースも多く見られます。

Q:補助金はいくらくらい受けられますか?

A:補助金額は地域や時期、物件の性能によって大きく異なります。一般的な例では数十万円から数百万円程度の補助金が受けられるケースがありますが、詳細は各制度の案内を確認する必要があります。

性能に関する質問

Q:夏や冬の光熱費はどのくらい違いがでますか?

A:一般的なマンションと比べて、年間の光熱費を50%以上削減できるケースが多く報告されています。特に冷暖房費の削減効果が大きく、季節による光熱費の変動も小さくなる傾向があります。

Q:停電時はどうなりますか?

A:太陽光発電システムと蓄電池を組み合わせている場合、一定量の電力を自給できる可能性があります。ただし、システムの仕様や天候条件によって使用できる電力量は変動します。

Q:メンテナンスはどのくらいの頻度で必要ですか?

A:太陽光発電システムは年1回程度の点検が推奨されます。その他の設備機器についても、製品によって定期的なメンテナンスが必要になります。詳細は管理規約や管理会社に確認してください。

住環境に関する質問

Q:結露やカビの心配はありませんか?

A:高い断熱性能により、一般的なマンションと比べて結露が発生しにくい環境となっています。ただし、適切な換気を行うことが重要です。

Q:窓を開けて換気はできますか?

A:もちろん可能です。24時間換気システムが標準装備されていますが、季節や天候に応じて自然換気を行うことで、より快適な室内環境を実現できます。

Q:日当たりは確保されていますか?

A:ZEH-Mでは太陽光発電を考慮した設計が行われるため、一般的に日当たりのよい住戸が多くなっています。ただし、具体的な日照条件は物件によって異なります。

将来性に関する質問

Q:将来的な資産価値はどうなりますか?

A:環境性能の高さや省エネ性能が評価され、一般的なマンションより資産価値が維持されやすいと考えられています。ただし、立地条件や建物の管理状態なども重要な要素となります。

Q:設備の更新費用はどのくらいかかりますか?

A:一般的な設備より更新費用は高額になる傾向にありますが、修繕積立金で計画的に積み立てることで対応できるよう設定されています。具体的な金額は長期修繕計画で確認できます。

Q:売却時の評価はどうなりますか?

A:環境性能が重視される近年の傾向から、一般的なマンションより高い評価を得られる可能性があります。特に、光熱費の削減効果は中古物件としての魅力になると考えられています。

まとめ

ZEH-Mは、環境に配慮しながら快適な暮らしを実現できる次世代型マンションとして、今後さらなる普及が期待されています。初期費用は一般的なマンションより高くなる傾向にありますが、光熱費の削減や補助金の活用により、長期的にはメリットが大きいといえるでしょう。選ぶ際は、自身のライフスタイルや予算に合わせて、エネルギー削減率や採用技術などをしっかりと確認することが重要です。

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記事監修者

1級ファイナンシャル・プランニング技能士 / 渡辺 知光

大学卒業後、積水化学工業に入社し住宅「セキスイハイム」を販売。3年8カ月千葉県内で営業に従事し、営業表彰を6期連続受賞。
途中、母の急死に直面し、自分の将来について悩み始める。結果、大学のゼミで学んだ「保険」事業に実際に携わりたいと思いFP資格を取得して日本生命に転職。4年間営業に従事したが、顧客に対して提供出来る商品がなく退職を決意。FP兼保険代理店を開業する。

収入も顧客もゼロからのスタート。しかも独立直前に結婚し住宅購入した為、返済不安に陥り貯蓄が日々減っていく恐怖を覚える。

人生で初めて家計の見直しを行い、根本的な改善により失敗と不安を減らすコツを発見。自分の経験を生かしお客様が同じ道を歩まないよう伝えるべく「マイホーム検討者向けFP」として活動中。

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    :渡辺知光

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