ビルトイン食洗機の種類や後付け・交換費用、選ぶポイントを解説
家づくりの基本
2024/12/03
2024/12/03
キッチンに設置するビルトイン食洗機は、見た目もスッキリとして使い勝手も良い人気の設備です。しかし、種類や価格帯も様々で、後付けや交換となると工事費用も考慮する必要があります。そこで今回は、ビルトイン食洗機の基礎知識から選び方のポイントまで、詳しく解説していきます。
ビルトイン食洗機の特徴や種類
ビルトイン食洗機には大きく分けて「スライドオープン式」と「引き出し式」の2種類があります。それぞれの特徴を見ていきましょう。
スライドオープン式の特徴
スライドオープン式は、扉を手前に引いて開けるタイプの食洗機で、最も一般的な形状です。収納力が高く、一度に多くの食器を洗えることが最大の特徴です。
通常、4~6人分の食器を一度に洗うことができ、大皿や深めの鍋なども収納しやすいのが利点です。また、扉部分にキッチンと同じ素材を使用できるため、見た目の統一感も抜群です。
引き出し式の特徴
引き出し式は、文字通り引き出しのように手前に引いて使用するタイプです。上部に調理スペースを確保できることから、狭いキッチンでも効率的にスペースを活用できます。
ただし、収納力はスライドオープン式に比べてやや劣り、大きな食器を入れづらい傾向にあります。一般的に2~4人分の食器を洗える容量となっています。
設置場所による分類
ビルトイン食洗機は設置場所によっても分類することができます。キッチンカウンター下に設置する「カウンター下タイプ」、シンク下に設置する「シンク下タイプ」、キッチン収納部分に組み込む「収納キャビネットタイプ」などがあります。
運転方式による違い
運転方式は、上下から噴射して洗浄する「両面噴射式」と、下部からのみ噴射する「下面噴射式」があります。両面噴射式の方が洗浄力は高いものの、その分価格も高くなる傾向にあります。
乾燥方式の種類
乾燥方式には、「ヒーター乾燥」と「送風乾燥」があります。ヒーター乾燥は乾燥時間が短く確実な乾燥が可能ですが、電気代がかかります。送風乾燥は省エネですが、乾燥時間が長くなる傾向にあります。
容量による分類
食洗機の容量は、一度に洗える食器の数で表されます。小容量タイプ(3人分程度)、標準タイプ(4~5人分)、大容量タイプ(6人分以上)と、家族構成や使用頻度に応じて選択することができます。
操作パネルの違い
操作パネルは、扉面に配置される「フロントパネル式」と、扉を開けた中に配置される「インナーパネル式」があります。インナーパネル式は見た目がすっきりとしますが、操作時に扉を開ける必要があります。
節水機能の有無
最新のビルトイン食洗機には、使用する水量を自動で調整する節水機能が搭載されているものがあります。食器の量や汚れ具合を感知して、最適な水量で洗浄を行うことで、水道代の節約にもつながります。
ビルトイン食洗機のメリット・デメリット
ビルトイン食洗機の導入を検討されている方に向けて、メリットとデメリットを詳しく解説していきます。設置を決める前に、しっかりと確認しておきましょう。
ビルトイン食洗機のメリット
キッチンとの一体感が最大の特徴で、システムキッチンの美観を損なうことなく設置できます。扉材をキッチンに合わせることで、統一感のある仕上がりを実現できます。
据置型と比べて収納力が高く、一度により多くの食器を洗うことができます。標準的なタイプでも4~5人分の食器を一度に洗えるため、大人数の家庭でも効率的に使用できます。
設置スペースを取らないため、キッチンを広く使うことができます。据置型のように置き場所に困ることもなく、作業スペースを確保しやすいのも特徴です。
節水効果も高く、手洗いと比べて使用する水量を抑えることができます。最新機種では、食器の量や汚れ具合に応じて水量を自動調整する機能も搭載されています。
ビルトイン食洗機のデメリット
設置工事が必要なため、初期費用が高額になります。本体価格に加えて、給排水工事や電気工事などの費用が必要となり、トータルで20万円以上かかることも。
引っ越し時に持ち運びができないため、賃貸物件での導入には注意が必要です。また、設置には家主の許可が必要となる場合がほとんどです。
故障した際の修理費用が高額になりやすく、修理に時間がかかることもあります。特に、給排水に関わる故障は業者による修理が必要となります。
経済面でのメリット・デメリット
水道代や光熱費の削減につながるものの、本体価格と工事費用が高額なため、経済的なメリットを実感するまでには時間がかかります。一般的に、投資回収には数年程度かかると考えられます。
使用面でのメリット・デメリット
手洗いの手間が省け、家事の負担を大幅に軽減できます。特に、共働き世帯や小さな子どもがいる家庭では、時間の節約になります。
一方で、すべての食器が洗えるわけではありません。木製品や漆器、耐熱温度の低いプラスチック製品は変形や劣化の可能性があるため、手洗いが必要です。
設置場所に関するメリット・デメリット
キッチンに組み込むため、見た目がスッキリとしてインテリア性が高まります。しかし、設置には一定のスペースが必要で、既存のキッチンによっては設置できない場合もあります。
メンテナンス面でのメリット・デメリット
フィルターの掃除や庫内の清掃など、定期的なメンテナンスが必要です。ただし、最新機種では自動洗浄機能が搭載されているものもあり、メンテナンスの手間を軽減できます。
環境面でのメリット・デメリット
手洗いに比べて水の使用量を抑えられ、環境負荷の低減につながります。ただし、電気を使用するため、使用頻度や使用時間によっては電気代が増加する可能性があります。
ビルトイン食洗機の後付け・交換費用
ビルトイン食洗機の設置には、本体価格に加えて様々な工事費用が発生します。ここでは、後付けや交換にかかる費用について詳しく解説していきます。
本体価格の相場
ビルトイン食洗機の本体価格は、メーカーや機能によって大きく異なります。エントリーモデルで10万円前後、標準的なモデルで15万円から20万円程度、高機能モデルになると30万円以上することもあります。
後付け工事にかかる費用
後付けの場合、給排水工事や電気工事が必要となり、工事費用は8万円から15万円ほどが目安です。具体的な工事内容として、給水管・排水管の接続工事、電源の増設工事、キャビネットの加工などが含まれます。
また、既存のキッチンを改修する必要がある場合は、さらに費用が上乗せされ、20万円以上かかることもあります。特に、収納スペースの確保や給排水管の位置変更が必要な場合は、工事費用が高額になりやすいです。
交換工事にかかる費用
既存の食洗機を交換する場合は、後付けに比べて工事費用を抑えることができます。基本的な交換工事費用は2万円から5万円程度が相場です。ただし、機種によって設置方法が異なる場合は、追加の工事が必要になることもあります。
工事費用に影響する要因
工事費用は、設置場所の状況や既存の設備によって大きく変わってきます。給排水管の位置、電源の有無、キッチンの構造などが主な要因となります。また、地域や工事業者によっても費用は異なってきます。
隠れた費用について
工事の際には、予期せぬ追加費用が発生することがあります。例えば、古いキッチンの場合、配管の劣化が見つかり交換が必要になったり、防水工事が必要になったりすることも。事前の調査で把握できない部分もあるため、余裕を持った予算設定が推奨されます。
費用を抑えるポイント
複数の業者から見積もりを取ることで、適正な価格での工事が可能になります。また、キッチンリフォームと同時に行うことで、トータルの工事費用を抑えることができます。
保証・メンテナンス費用
通常、本体の保証期間は1年から5年程度です。延長保証に加入する場合は、別途費用が必要となります。また、定期的なメンテナンスを業者に依頼する場合も、その都度費用が発生します。
設置までの流れと費用の目安
一般的な設置の流れは、現場調査→見積もり→工事日程調整→工事実施となります。現場調査は無料で行ってくれる業者も多いですが、調査費用が発生する場合は5,000円から1万円程度が相場です。
支払い方法について
高額な投資となるため、ローンやクレジット払いを利用することも可能です。メーカーや販売店によって、無金利ローンなどの支払いプランが用意されていることもあります。
ビルトイン食洗機選びのポイント
ビルトイン食洗機は長期間使用する設備です。後悔しない選択をするために、以下のポイントをしっかりと確認しましょう。
家族構成に合わせた容量選び
まずは家族の人数や使用頻度に合わせて、適切な容量を選びましょう。2~3人家族であれば3人分程度、4~5人家族では5人分程度の容量が目安となります。また、来客が多い家庭では、余裕を持った容量選びがおすすめです。
設置場所の確認
既存のキッチンの構造や、給排水設備の位置を確認することが重要です。特に後付けの場合は、設置スペースの確保や給排水工事の可否を事前に確認しておく必要があります。
節水・省エネ性能
水道代や電気代の節約のため、節水・省エネ性能は重要なポイントです。最新機種では、食器の量や汚れ具合に応じて水量を自動調整する機能が搭載されているものも。また、省エネ性能の高い機種は、光熱費の削減につながります。
運転音の大きさ
キッチンの位置によっては、運転音が気になる場合があります。特に、リビングに近い場所に設置する場合や、夜間の使用を考えている場合は、静音設計のモデルを選ぶことをおすすめします。
洗浄力と乾燥性能
洗浄力は食洗機の基本性能として重要です。油汚れや焦げ付きにも対応できる高い洗浄力があるかどうかを確認しましょう。また、乾燥性能も重要で、ヒーター乾燥か送風乾燥かによって、乾燥時間や電気代に差が出ます。
操作性とお手入れのしやすさ
日々使用する設備なので、操作パネルの見やすさや使いやすさも重要です。また、フィルターの掃除や庫内の清掃など、メンテナンスのしやすさも考慮に入れましょう。
価格と工事費用のバランス
本体価格だけでなく、設置工事費用も含めた総額で検討することが大切です。高機能な機種ほど初期費用は高くなりますが、節水・省エネ効果による光熱費の削減も考慮に入れましょう。
メーカーのサポート体制
故障時のアフターサービスや部品の供給期間なども重要なポイントです。メーカーによってサポート体制は異なるため、保証内容や修理対応の体制をしっかりと確認しましょう。
デザインと収納力のバランス
キッチンとの統一感を考慮しつつ、必要な収納力を確保することが大切です。扉材のカラーや取っ手のデザインなど、細かな部分まで確認しましょう。
オプション機能の必要性
除菌機能や自動投入機能など、様々なオプション機能が用意されています。ただし、機能が多いほど価格は高くなるため、本当に必要な機能を見極めることが大切です。
将来を見据えた選択
家族構成の変化や、ライフスタイルの変化も考慮に入れましょう。5年、10年先を見据えた選択をすることで、長期的な満足度を高めることができます。
よくある質問
ビルトイン食洗機に関して、よく寄せられる質問とその回答をまとめました。設置を検討される際の参考にしてください。
Q:ビルトイン食洗機は取り付けできない物件もありますか?
A:賃貸物件や給排水設備が整っていない物件では、取り付けが難しい場合があります。設置には家主の許可が必要で、給排水工事が可能かどうかの確認も必要です。また、キッチンの構造によっては設置スペースの確保が難しい場合もあります。
Q:食器は全て洗えますか?
A:耐熱性の低いプラスチック製品や、木製・漆器などの食器は変形や劣化の可能性があるため、手洗いをおすすめします。また、クリスタルガラスや高級な漆器、金箔の入った食器なども食洗機での洗浄は避けた方が無難です。
Q:維持費はどのくらいかかりますか?
A:電気代と水道代で月に1,000円から2,000円程度が目安です。ただし、使用頻度や機種の性能によって変動します。また、定期的なメンテナンス費用や消耗品の交換費用も考慮する必要があります。
Q:食器は完全に乾きますか?
A:乾燥方式や運転コースによって異なります。ヒーター乾燥タイプであれば比較的しっかりと乾きますが、送風乾燥タイプは多少の水滴が残ることがあります。特にプラスチック製品は水滴が残りやすい傾向にあります。
Q:後付けの工事期間はどのくらいですか?
A:通常、工事自体は1日で完了します。ただし、キッチンの改修が必要な場合や、給排水設備の大幅な変更が必要な場合は、2~3日かかることもあります。また、工事の予約状況によっては、申し込みから工事完了まで数週間かかる場合もあります。
Q:油汚れはしっかり落ちますか?
A:最近の機種は洗浄力が高く、通常の油汚れであれば問題なく洗浄できます。ただし、焦げ付きや長時間放置した油汚れは、事前に軽く洗い流しておくことをおすすめします。また、機種によって洗浄力に差があるため、選ぶ際の重要なポイントとなります。
Q:電気代は高くなりますか?
A:1回の運転で20円から40円程度の電気代がかかります。ただし、手洗いと比べると水道代は大幅に節約できるため、トータルでの光熱費は抑えられる傾向にあります。
Q:引っ越しの際は持っていけますか?
A:ビルトイン食洗機は原則として持ち運びができません。キッチンに組み込む形で設置されるため、取り外しには工事が必要となり、新居への設置にも再度工事費用がかかります。
Q:故障した場合の修理費用はどのくらいですか?
A:故障の内容によって大きく異なりますが、簡単な部品交換で1万円程度から、大がかりな修理になると10万円以上かかることもあります。保証期間内であれば無償で修理できる場合もありますので、保証内容の確認は重要です。
Q:食洗機用の洗剤は必要ですか?
A:はい、通常の食器用洗剤とは異なる専用の洗剤が必要です。一般的な食器用洗剤を使用すると泡が大量に発生し、故障の原因となる可能性があります。専用洗剤のほか、リンス剤や庫内クリーナーなども定期的に使用することをおすすめします。
まとめ
ビルトイン食洗機は、キッチンの見た目と機能性を両立できる優れた設備です。後付けや交換となると費用面での検討が必要ですが、毎日の家事の負担を大きく軽減してくれる頼もしい味方となってくれるでしょう。設置を検討される際は、本記事で紹介したポイントを参考に、ご家庭に最適な機種を選んでいただければ幸いです。
なお、当社が提供している「housemarriage」では、住宅コンシェルジュが理想の家づくりのサポートとして、住まいを探す上で重要なハウスメーカーや工務店の営業担当者とのマッチングサポートをさせていただきます。住宅購入の資金計画の相談・作成や、相性良く親身になってくれる「営業担当者」をご紹介します。家づくりに関して少しでも不安を感じるようであれば、お問い合わせください。
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