住宅性能表示の基礎知識やポイントについて解説
家づくりの基本
2024/12/12
2024/12/12
注文住宅を建てるうえで、避けて通れない住宅性能表示の確認です。運よく分かりやすい説明を受けられれば安心して家づくりが進みますが、中には理解が難しく不安になってしまうというケースも。そこで、今回の記事では住宅性能表示の基礎知識から選び方のポイントまでをまとめてみました。
目次
住宅性能表示とは
住宅性能表示制度は、住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)に基づいて定められた制度です。第三者機関が住宅の性能を客観的に評価・表示することで、購入者が安心して住宅選びができる仕組みとなっています。
基本的な仕組み
国土交通大臣の登録を受けた第三者機関が、設計図書の審査と施工現場の検査を行い、住宅の性能を客観的に評価します。評価結果は「設計住宅性能評価書」と「建設住宅性能評価書」として発行されます。
評価項目の詳細
評価は大きく分けて10の分野に分かれており、それぞれの項目について等級や数値で評価が行われます。構造の安定に関すること、火災時の安全に関すること、劣化の軽減に関すること、維持管理・更新への配慮に関することなど、住まいの基本的な性能が網羅的に評価されます。
等級評価の仕組み
各評価項目は主に等級で表され、一般的に等級1から等級5まであります。等級が高いほど性能が優れていることを示します。等級1は建築基準法レベルの最低限の性能を表し、一般的な住宅では等級3程度を標準としているケースが多いです。
評価書取得のメリット
住宅性能表示制度を利用することで、複数のハウスメーカーの住宅を同じ物差しで比較検討できるようになります。また、住宅ローンの金利優遇を受けられる可能性があるほか、将来的な売却時にも客観的な資料として活用できます。
取得の流れ
まず設計段階で設計図書を第三者機関に提出し、設計住宅性能評価書を取得します。その後、建設工事中に現場検査を受け、完成時に建設住宅性能評価書が発行されます。建設評価は必ず設計評価を受けていることが前提となります。
保証との関係
住宅性能表示制度を利用した住宅では、構造耐力上主要な部分および雨水の浸入を防止する部分について10年間の瑕疵担保責任が義務付けられています。また、評価書は紛争が生じた際の有力な証拠となります。
利用上の注意点
評価書の取得には一定の費用と時間がかかります。また、すべての性能項目を評価する必要はなく、必要な項目のみを選んで評価を受けることも可能です。自身のニーズや予算に応じて、評価項目を選択することが大切です。
制度の活用方法
住宅性能表示制度は、ハウスメーカー選びの際の比較検討材料として活用できるほか、住宅の維持管理計画を立てる際の指標としても活用できます。長期的な視点で住まいの品質を確保するための重要なツールとして捉えることが大切です。
住宅性能表示のポイント
住宅性能表示制度を活用する際は、自身のライフスタイルや地域性を考慮しながら、重視すべき項目を見極めることが大切です。ここでは、主要な評価項目とその選び方のポイントについて解説します。
構造耐力に関する項目
地震に対する強さを示す重要な指標です。一般的な住宅では等級2が標準的ですが、地震の多い地域や、より安全性を重視する場合は等級3以上を検討するとよいでしょう。ただし、等級が上がるほど建設コストも上昇する傾向にあります。
劣化対策に関する項目
住宅の耐久性を表す指標です。等級3が一般的ですが、湿気の多い地域や海沿いの場合は、より上位の等級を検討することをおすすめします。将来的な維持管理コストにも大きく影響する項目となります。
温熱環境に関する項目
断熱性能や省エネ性能を評価する項目です。寒冷地では特に重要で、暖房費用の削減にも直結します。最近では省エネ住宅への関心が高まっており、等級4以上を選択する方も増えています。
空気環境に関する項目
シックハウス対策の程度を示す指標です。小さなお子さんがいる家庭や、化学物質に敏感な方がいる場合は、特に注意が必要です。等級3以上であれば、一般的な居住環境として問題ない水準とされています。
維持管理への配慮
設備配管の点検や修繕のしやすさを評価する項目です。将来的なメンテナンスコストに影響するため、長期的な視点で検討することが大切です。特に、共同住宅の場合はこの項目が重要となります。
バリアフリー性能
高齢者等への配慮を評価する項目です。将来的な住まい方を見据えて、段差解消や手すりの設置などの対策を検討しましょう。後からの改修は費用がかさむため、新築時での対応がおすすめです。
選択時の注意点
すべての項目で高い等級を目指すと、建設コストが大幅に上昇します。自身のニーズや予算を考慮しながら、重要度の高い項目を見極めることが大切です。また、将来的な売却も視野に入れる場合は、一般的な水準以上を確保することをおすすめします。
コストとのバランス
性能を上げれば上げるほど、それに応じて建設コストも上昇します。しかし、光熱費の削減や維持管理費用の低減など、長期的に見ればコストメリットが得られる項目もあります。ライフサイクルコストの視点で検討することが重要です。
保証・アフターサービスとの関係
住宅性能表示を受けることで、10年間の瑕疵担保責任が付与されます。しかし、それ以外のアフターサービスについては、ハウスメーカーによって内容が異なります。性能表示と合わせて、保証内容やアフターサービスの充実度も確認しましょう。
よくある質問
注文住宅の住宅性能表示について、お客様からよく寄せられる質問をQ&A形式でまとめてみました。安心して家づくりを進めていただくための参考にしていただければ幸いです。
制度に関する質問
Q1:住宅性能表示は必須なのですか?
A1:法律上の義務付けはありませんが、住宅の品質を客観的に判断する重要な指標となるため、取得をおすすめします。特に住宅ローンの金利優遇を受けられる可能性もあり、メリットは大きいと言えます。
Q2:評価書の取得にはどのくらいの費用がかかりますか?
A2:住宅の規模や評価項目によって異なりますが、一般的に設計評価で10万円程度、建設評価で20万円程度かかります。ただし、住宅の品質が保証される点を考えると、決して高い費用ではないと言えるでしょう。
Q3:評価の有効期限はありますか?
A3:評価書自体に有効期限はありませんが、適切な維持管理が行われていることが前提となります。定期的な点検や補修を行うことで、評価書の信頼性を保つことができます。
評価内容に関する質問
Q1:すべての項目を評価する必要がありますか?
A1:必要な項目のみを選んで評価を受けることができます。ただし、一般的によく重視される構造耐力や劣化対策などの基本的な項目は、評価を受けることをおすすめします。
Q2:等級はどのように選べばよいですか?
A2:予算と相談しながら、重視する項目を中心に高い等級を選択するのがよいでしょう。例えば、寒冷地であれば温熱環境の等級を上げるなど、地域性も考慮して決めていきます。
手続きに関する質問
Q1:評価書の取得にはどのくらい時間がかかりますか?
A1:設計評価で2週間程度、建設評価は建設工程に合わせて実施されるため、通常の工期内で完了します。早めに申請することで、スムーズに進めることができます。
Q2:取得後に評価内容を変更することはできますか?
A2:原則として、一度取得した評価書の内容を変更することはできません。そのため、設計段階でしっかりと検討することが重要です。
メリットに関する質問
Q1:住宅ローンの優遇は具体的にどの程度ですか?
A1:金融機関によって条件は異なりますが、一般的に0.1%から0.2%程度の金利優遇を受けられることがあります。詳細は各金融機関に確認することをおすすめします。
Q2:将来の売却時にメリットはありますか?
A2:住宅性能が客観的に証明されるため、中古住宅市場での評価が高くなる傾向があります。特に良好な等級を取得している場合は、資産価値の維持につながります。
トラブル時の対応
Q1:評価内容と実際の性能が異なっていた場合はどうなりますか?
A1:評価書は紛争処理の際の有力な証拠となります。性能評価住宅には専用の紛争処理機関が設けられており、迅速な解決が期待できます。
Q2:維持管理はどのように行えばよいですか?
A2:評価書に記載された性能を維持するため、定期的な点検と適切な補修を行うことが大切です。メンテナンス計画を立てて、計画的に管理を進めていきましょう。
まとめ
住宅性能表示は、安心して家づくりを進めるための重要な指標です。自身のニーズや地域性を考慮しながら、適切な性能表示を選択することが大切です。また、将来的な住宅の資産価値を考える上でも、住宅性能表示は重要な要素となります。この記事を参考に、理想の住まいづくりを進めていただければ幸いです。
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