団体信用生命保険(団信)の保障内容や保険料、加入時のポイント
家づくりの基本
2024/12/23
2024/12/23
住宅ローンを組む際に必ず加入が必要となる団体信用生命保険(団信)。近年は保障内容が多様化し、3大疾病特約や7大疾病特約など、さまざまなオプションが追加できるようになりました。しかし、特約を付けることで保険料も上乗せになることから、本当に必要なのか悩む方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、団体信用生命保険(団信)の基本的な仕組みから、各特約の保障内容、選び方のポイントまでをご説明します。
団体信用生命保険(団信)とは
団体信用生命保険(通称:団信)は、住宅ローンを組む際に金融機関が加入を義務付けている生命保険です。住宅ローンの借入れ人が死亡または所定の高度障害状態になった場合に、残りの住宅ローンを保険金で返済する仕組みとなっています。
団信の基本的な仕組み
団信は、住宅ローンの残高が保険金額となる「逓減定期保険」の一種です。住宅ローンの返済が進むにつれて保険金額も減っていくため、通常の生命保険と比べて保険料を抑えることができます。また、保険料は一般的に住宅ローンの金利に含まれているため、別途支払う必要がありません。
団信の加入者
団信の契約形態は、金融機関が保険契約者となり、住宅ローンの借入人が被保険者となります。保険金の受取人は金融機関であり、保険金は直接住宅ローンの返済に充てられます。なお、連帯債務者(例:夫婦)がいる場合は、どちらか一方または両方が加入することができます。
団信の保障対象
一般的な団信では、以下の場合に保障の対象となります。
・死亡した場合
・所定の高度障害状態になった場合
・余命が6ヶ月以内と診断された場合(リビング・ニーズ特約)
団信に加入できない場合
健康状態や年齢によっては、団信に加入できない場合があります。その場合は以下のような対応が必要となります。
・一般の生命保険に加入して対応する
・団信不要型の住宅ローンを選択する
・健康上の理由で加入できない場合は、特別条件付きでの加入を検討する
保険期間と保険料
団信の保険期間は住宅ローンの返済期間と同じです。例えば35年の住宅ローンを組む場合、団信の保険期間も35年となります。保険料は通常、住宅ローンの金利に含まれており、借入人が意識して支払う必要はありません。ただし、3大疾病特約などの特約を付帯する場合は、別途保険料が必要となります。
団信の必要性
住宅ローンは多くの場合、数千万円という大きな借入となります。団信に加入することで、万が一の際にご家族に住宅ローンの返済負担を残さずに済みます。特に、主たる生計維持者が住宅ローンを組む場合は、団信による保障が重要な役割を果たします。
団信と一般の生命保険の違い
団信と一般の生命保険には、以下のような違いがあります。
・保険金額が住宅ローンの残高に応じて逓減する
・保険金の受取人が金融機関となる
・加入時の選択肢が限られている ・解約返戻金がない
団体信用生命保険(団信)の保障内容や保険料負担
住宅ローンにおける団体信用生命保険(団信)の保障内容や保険料は、選択する商品や特約によって大きく異なります。ここでは、基本的な保障内容から特約による追加保障、そして保険料負担の詳細についてご説明します。
基本的な保障内容
通常の団信では、死亡時と所定の高度障害状態になった場合に保障が適用されます。この場合、住宅ローンの残債が全額返済されることになります。また、多くの団信では余命6ヶ月以内と診断された場合にも、住宅ローンの残債が保障されるリビング・ニーズ特約が付帯されています。
3大疾病特約の保障内容
3大疾病特約を付帯すると、がん(上皮内がんを除く)、急性心筋梗塞、脳卒中により所定の状態となった場合に保障が適用されます。具体的には、がんと診断確定された場合や、急性心筋梗塞・脳卒中により所定の状態が60日以上継続した場合に、住宅ローンの残債が保障されることになります。
7大疾病特約の保障内容
7大疾病特約では、3大疾病に加えて、高血圧症、糖尿病、慢性腎不全、肝硬変による所定の状態も保障対象となります。これらの疾病により働けなくなるなど、所定の状態に該当した場合に保障が適用されます。保障内容の詳細は金融機関によって異なるため、契約時には十分な確認が必要です。
就業不能保障特約について
就業不能保障特約は、病気やケガにより長期間働けなくなった場合に、その期間の住宅ローン返済をカバーする特約です。一般的に、就業不能状態が一定期間(例:12ヶ月)継続した場合に保障が適用され、最長で所定の期間まで毎月の返済額が保障されます。
基本保障の保険料負担
通常の団信における死亡・高度障害の保障に関する保険料は、住宅ローンの金利に含まれています。そのため、借入人が別途保険料を支払う必要はありません。この保険料は、住宅ローンの返済とともに徐々に減っていく仕組みとなっています。
特約保険料の負担
3大疾病特約や7大疾病特約などの特約を付帯する場合は、別途保険料の支払いが必要となります。保険料は年齢や借入額、返済期間によって異なりますが、一般的に月々数千円程度の負担となることが多いようです。なお、この特約保険料は住宅ローンの返済額とは別に支払う必要があります。
保険料の支払い方法
特約保険料の支払い方法は、月払い、年払い、一括払いなど、金融機関によって異なります。また、住宅ローンの返済口座から自動引き落としされる形が一般的です。なお、一括払いの場合は、金利が上乗せされる形で住宅ローンに組み込まれることもあります。
保険料に影響する要因
特約保険料は、加入時の年齢、借入金額、返済期間などによって変動します。一般的に、年齢が高くなるほど、また借入金額が大きくなるほど保険料は高くなります。また、金融機関によって保険料の設定も異なるため、複数の金融機関で比較検討することをおすすめします。
団体信用生命保険(団信)のオプション
団体信用生命保険(団信)には、基本の保障内容に加えて様々なオプション(特約)を付帯することができます。ここでは、主なオプションの特徴や選び方のポイントについて詳しく解説いたします。
3大疾病保障特約
3大疾病保障特約は、がん(悪性新生物)、急性心筋梗塞、脳卒中により所定の状態となった場合に保障される特約です。これらの疾病は働き盛り世代での発症リスクが高く、治療に時間がかかることから、住宅ローンの返済継続に影響を及ぼす可能性が高い病気として知られています。なお、がんについては、上皮内がんは保障対象外となるケースが一般的です。
5大疾病保障特約
5大疾病保障特約は、3大疾病に加えて、高血圧症と糖尿病による所定の状態も保障対象となります。これらの生活習慣病は、重症化すると就労継続に支障をきたす可能性があることから、保障対象に含まれています。ただし、単なる診断だけでなく、所定の状態が一定期間継続することが保障の条件となることが一般的です。
7大疾病保障特約
7大疾病保障特約では、5大疾病に慢性腎不全と肝硬変が加わります。これらの疾病は長期の治療が必要となり、就労継続が困難になるケースが多いことから、保障対象として追加されています。保障内容は金融機関によって異なりますが、一般的に人工透析治療や肝移植が必要な状態となった場合などが対象となります。
就業不能保障特約
就業不能保障特約は、病気やケガにより長期間働けなくなった場合に、住宅ローンの返済をサポートする特約です。一般的に、就業不能状態が継続して12ヶ月以上続いた場合に保障が適用され、最長で所定の期間まで毎月の返済額が保障されます。なお、精神疾患による就業不能は保障対象外となることが多いため、注意が必要です。
介護保障特約
介護保障特約は、公的介護保険制度の要介護状態に認定された場合に保障される特約です。高齢化社会の進展に伴い、注目度が高まっているオプションの一つです。一般的に要介護2以上の認定を受けた場合に保障対象となりますが、金融機関によって基準は異なります。
ペアローン団信
ペアローン団信は、住宅ローンの連帯債務者(例:夫婦)がそれぞれ団信に加入するオプションです。どちらかに万が一のことがあった場合に、残りの住宅ローンが保障される仕組みとなっています。共働き世帯の増加に伴い、選択されるケースが増えています。
オプション選択のポイント
オプションを選択する際は、自身の年齢や健康状態、家族の病歴、収入状況などを総合的に考慮する必要があります。また、他の生命保険の加入状況も重要な判断材料となります。特に、住宅ローンの返済期間が長期になる場合は、将来の疾病リスクも考慮して検討することをおすすめします。
オプション加入の注意点
オプションの追加には追加保険料が必要となり、年齢や借入額によって保険料は変動します。また、健康状態によっては加入できない場合もあります。加入時には保障内容や保険料負担を十分に確認し、必要性を慎重に検討することが大切です。なお、契約後のオプション追加は原則としてできないため、契約時によく検討することが重要です。
団体信用生命保険(団信)に加入する際のポイント
住宅ローンを組む際の団信加入では、基本の保障内容に加えて、どのような特約を付帯するかが重要なポイントとなります。ご自身やご家族の状況に合わせて、必要な保障を検討していく必要があります。
基本保障と特約の種類
基本となる死亡・高度障害保障の他に、様々な特約を検討することができます。代表的なものとして、がん、急性心筋梗塞、脳卒中を保障する3大疾病特約があります。さらに、これに高血圧症と糖尿病を加えた5大疾病特約、慢性腎不全と肝硬変まで保障する7大疾病特約などがあります。また、病気やケガで働けなくなった場合に備える就業不能保障特約なども選択できます。
加入時の年齢制限について
団信には年齢制限が設けられており、一般的には加入時の年齢上限が満65歳まで、保障期間の年齢上限が満80歳までとなっています。なお、特約によってはさらに厳しい年齢制限が設けられている場合もあるため、事前の確認が必要です。
健康状態による加入制限
団信への加入時には、健康状態の告知が必要となります。持病がある場合や通院歴がある場合は、特別条件付きでの加入や保険料の割増が必要となることがあります。場合によっては、代替となる保険プランを検討する必要も出てくるでしょう。
特約選択のポイント
特約を選ぶ際は、自身の年齢や健康状態はもちろんのこと、家族の病歴なども考慮に入れる必要があります。また、勤務形態や収入状況、他の生命保険の加入状況、追加保険料の負担可能額なども重要な判断材料となります。
夫婦連帯債務の場合の検討
夫婦で住宅ローンを組む場合、どちらか一方のみが加入するか、二人とも加入するか(ペアローン団信)を選択することができます。この際は、それぞれの収入や年齢を考慮して加入者を決めることが重要です。
保険料の支払い方法
基本保障分の保険料は住宅ローン金利に含まれる形で支払うのが一般的です。一方、特約保障分は別途月払いでの支払いとなることが多く、金融機関によっては一括での前払いを求められる場合もあります。
金融機関による違い
団信の内容は金融機関によって大きく異なります。保障内容や特約の種類、保険料の設定方法、加入条件や年齢制限、特約付帯時の保険料などが、それぞれの金融機関で独自に設定されています。
見直しのタイミング
住宅ローンの借り換えを行う場合や、家族構成・収入状況が変わる場合、また健康状態に大きな変化があった場合などは、団信の見直しを検討する必要があります。
加入前の確認事項
団信に加入する前には、保障内容の詳細や保険料の具体的な金額、支払い方法や時期、加入条件や制限事項などをしっかりと確認することが大切です。また、告知内容に誤りがないよう、正確な情報提供を心がけましょう。
よくある質問(Q&A)
団体信用生命保険(団信)について、お客様からよく寄せられるご質問とその回答をまとめました。住宅ローンの契約時に不安や疑問に感じやすいポイントを中心に解説いたします。
加入に関する質問
Q. 団信の加入は必ず必要なのですか?
A. 住宅ローンを組む際は、原則として団信への加入が必要です。ただし、金融機関によっては団信不要型の住宅ローン商品も用意されています。ただし、団信不要型は金利が若干高めに設定されていることが一般的です。
Q. 健康状態が良くない場合でも加入できますか?
A. 健康状態によっては通常の団信への加入が難しい場合があります。その場合でも、特別条件付きでの加入や、引受緩和型の団信を選択できる可能性があります。また、団信不要型の住宅ローンを検討することも一つの選択肢となります。
保障内容に関する質問
Q. 特約は後から追加できますか?
A. 基本的に、住宅ローン契約時にどの特約を付帯するか決める必要があります。契約後の特約の追加や変更は原則としてできません。そのため、契約時によく検討することが重要です。
Q. 3大疾病特約と7大疾病特約の違いは何ですか?
A. 3大疾病特約は「がん・急性心筋梗塞・脳卒中」が保障対象です。7大疾病特約はこれらに加えて「高血圧症・糖尿病・慢性腎不全・肝硬変」も保障対象となります。保障範囲が広がる分、保険料も高くなります。
保険料に関する質問
Q. 保険料は年齢によって変わりますか?
A. 基本の団信は年齢による保険料の違いはありませんが、特約を付帯する場合は加入時の年齢によって保険料が変動することがあります。一般的に年齢が高くなるほど保険料も高くなる傾向にあります。
Q. 保険料の支払いはいつまで続くのですか?
A. 団信の保険料は住宅ローンの完済まで継続します。ただし、保険料が金利に含まれている基本保障分は、返済とともに逓減していきます。特約の保険料は、設定された保険料のお支払いが完済まで必要となります。
保障の適用に関する質問
Q. がんと診断された場合、すぐに保険金が支払われますか?
A. 3大疾病特約などでがんと診断された場合、医師により診断確定された時点で保険金の支払い対象となります。ただし、上皮内がんは対象外となることが一般的です。また、保険金の支払いには所定の請求手続きが必要です。
Q. 就業不能保障はどのような場合に適用されますか?
A. 病気やケガにより就業が困難となり、その状態が所定の期間(通常12ヶ月以上)継続した場合に適用されます。ただし、金融機関によって保障の適用条件は異なりますので、契約時に詳細を確認することが重要です。
その他の質問
Q. 住宅ローンの借り換え時に団信はどうなりますか?
A. 借り換えの際は、新しい金融機関の団信に加入し直す必要があります。この時、年齢や健康状態によっては加入できない場合もありますので、事前確認が重要です。
Q. 夫婦二人で住宅ローンを組む場合、二人とも団信に入る必要がありますか?
A. 必ずしも二人とも加入する必要はありません。収入状況や年齢などを考慮して、どちらか一方のみの加入や、二人とも加入(ペアローン団信)など、状況に応じて選択することができます。
まとめ
団体信用生命保険(団信)の特約選びは、将来の生活設計に大きく影響する重要な決断といえます。ご自身やご家族の状況を十分に考慮したうえで、必要な保障を選択することをおすすめします。また、複数の金融機関の商品を比較検討することで、より自分に合った保障内容を見つけることができるでしょう。
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