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不動産取得税の計算方法や軽減措置、支払うタイミングを解説

家づくりの基本

2024/12/23

2024/12/23

記事監修者

1級ファイナンシャル・プランニング技能士 / 渡辺 知光

不動産取得税の計算方法や軽減措置、支払うタイミングを解説

マイホームの購入時には、不動産取得税という税金の支払いが必要になってきます。住宅ローンの返済以外にもこうした税金の支払いがあることを知らず、予想外の出費に困ってしまう方も少なくありません。そこで今回は、不動産取得税の基本的な内容から計算方法、軽減措置の適用条件、支払いのタイミングまでをわかりやすく解説していきます。

不動産取得税とは

不動産取得税は、土地や建物を購入したり、新築したりした際に一度だけ課される地方税です。この税金は、不動産を取得した人が都道府県に納める必要があります。新築住宅の購入はもちろん、中古住宅や更地の購入、建物の新築、増築、改築なども課税対象となります。

課税対象となる取得の種類

不動産取得税の課税対象となる取得には、売買、贈与、交換、建築など、有償・無償を問わず、さまざまな取得方法が含まれます。ただし、相続による取得は課税対象外となっています。また、配偶者への贈与や、特定の公共・公益事業用の不動産取得なども非課税措置の対象となることがあります。

課税される不動産の範囲

課税対象となる不動産には、土地と建物の両方が含まれます。土地については、宅地、田畑、山林などの土地そのものと、土地の上に存する権利(借地権など)も課税対象です。建物については、住宅や店舗、工場など、建物の用途を問わず課税対象となります。

課税主体と税収の使途

不動産取得税は都道府県税として位置づけられており、取得した不動産が所在する都道府県に納付することになります。徴収された税金は、道路整備や教育施設の充実など、地域の公共サービスの財源として活用されています。

取得時期の考え方

不動産取得税における取得時期は、原則として登記簿に登記された日となります。ただし、建物を新築した場合は工事が完了して建物を使用できるようになった日、登記を必要としない場合は引渡しを受けた日が取得時期となります。この取得時期は税額の計算や納付時期を決める重要な基準となります。

非課税となるケース

以下のような場合には、不動産取得税が非課税となります。

・相続による不動産の取得

・法人の合併による不動産の取得

・公用または公共の用に供する不動産の取得

・宗教法人が本来の用に供する不動産の取得

・学校法人が教育の用に供する不動産の取得

税率の基本的な考え方

不動産取得税の標準税率は、土地・建物ともに4%と定められています。ただし、住宅や住宅用地として使用する場合には、様々な軽減措置が設けられており、実質的な負担は軽減されることが一般的です。税率は全国一律であり、都道府県による違いはありません。

課税標準額の決定方法

不動産取得税の課税標準額は、原則として固定資産税評価額となります。土地については取得時期の直前の基準年度の価格が、建物については新築時などの価格が基準となります。実際の取引価格ではなく、固定資産税評価額を基準とすることで、課税の公平性が保たれています。

不動産取得税の金額目安、計算方法

不動産取得税の金額は、取得した不動産の固定資産税評価額をもとに計算されます。土地と建物それぞれに課税されるため、一戸建て住宅を購入する場合は、土地分と建物分の両方について計算する必要があります。実際の購入価格ではなく、固定資産税評価額が基準となる点に注意が必要です。

基本的な計算式

不動産取得税の基本的な計算式は以下の通りです。

固定資産税評価額 × 税率(4%) = 不動産取得税額

例えば、固定資産税評価額が2,000万円の新築一戸建てを購入した場合、2,000万円×4%=80万円が不動産取得税として課税されることになります。ただし、これは軽減措置適用前の金額です。

土地の計算方法

土地の不動産取得税は、以下の計算式で算出します。

土地の固定資産税評価額 × 税率(4%)

ただし、住宅用地として使用する場合は、課税標準額が2分の1に軽減されます。そのため、実質的な計算式は以下のようになります。

土地の固定資産税評価額 × 1/2 × 税率(4%)

建物の計算方法

建物の不動産取得税は、以下の計算式で算出します。

建物の固定資産税評価額 × 税率(4%)

新築住宅の場合、課税標準額から1,200万円が控除される特例措置があります。そのため、実質的な計算式は以下のようになります。

(建物の固定資産税評価額 – 1,200万円)× 税率(4%)

具体的な計算例

例えば、以下のような条件で新築一戸建てを購入した場合の計算例を見てみましょう。

土地の固定資産税評価額:1,500万円

建物の固定資産税評価額:2,000万円

土地の税額:1,500万円 × 1/2 × 4% = 30万円

建物の税額:(2,000万円 – 1,200万円)× 4% = 32万円

合計税額:30万円 + 32万円 = 62万円

マンションの場合の計算方法

マンションを購入した場合、専有部分の建物価格と土地の持分価格それぞれに対して課税されます。計算方法は一戸建ての場合と同様ですが、土地については持分割合に応じた評価額をもとに計算します。共用部分については各区分所有者の専有面積割合に応じて課税されます。

中古住宅の場合の計算方法

中古住宅の場合も、基本的な計算方法は新築住宅と同じです。ただし、固定資産税評価額は経年劣化などを考慮して減額された金額となります。また、一定の条件を満たす場合は、新築住宅と同様の軽減措置を受けることができます。

評価額の確認方法

不動産の固定資産税評価額は、売買契約前に不動産会社や売主に確認することができます。また、物件が所在する市区町村の固定資産税課でも確認が可能です。購入前に評価額を確認し、おおよその税額を把握しておくことで、より正確な資金計画を立てることができます。

増改築の場合の計算方法

増改築を行った場合、増改築部分の工事価格に応じて不動産取得税が課税されます。ただし、増改築後の床面積が50㎡以上で、一定の条件を満たす場合は、新築住宅と同様の軽減措置を受けることができます。工事着手前に条件を確認し、必要な手続きを行うことが重要です。

不動産取得税の軽減措置

不動産取得税には、住宅の取得を支援するためのさまざまな軽減措置が用意されています。これらの制度をうまく活用することで、税負担を大きく減らすことができます。ただし、適用には一定の条件を満たす必要があり、申請手続きも必要となります。

新築住宅に関する軽減措置

新築住宅を取得する場合は、以下の軽減措置を受けることができます。

・課税標準額から1,200万円を控除

・床面積が50㎡以上240㎡以下であること

・専ら居住用として使用すること

この軽減措置により、例えば固定資産税評価額2,000万円の新築住宅の場合、(2,000万円-1,200万円)×4%=32万円となり、軽減前と比べて48万円の税負担が減ることになります。

土地の軽減措置

住宅用土地を取得する場合、以下のような軽減措置があります。

・課税標準額が2分の1に軽減

・住宅の床面積が要件を満たすこと

・土地取得後3年以内に住宅を新築すること

例えば、評価額1,500万円の土地の場合、通常なら60万円の税額が、軽減措置により30万円となります。

中古住宅の軽減措置

中古住宅であっても、以下の条件を満たせば新築住宅と同様の軽減措置を受けることができます。

・昭和57年1月1日以降に建築された住宅

・耐震基準に適合している住宅

・床面積が50㎡以上240㎡以下であること

耐震基準を満たさない場合でも、取得後に耐震改修を行うことで軽減措置を受けられる場合があります。

マンションの軽減措置

マンションについても、一戸建て住宅と同様の軽減措置が適用されます。

・専有部分の床面積が50㎡以上240㎡以下であること

・居住用として使用すること

土地については、専有面積割合に応じた持分に対して軽減措置が適用されます。

特定の取得者に対する軽減措置

以下のような場合には、追加の軽減措置が適用される場合があります。

・住宅ローン控除を受ける場合

・住宅金融支援機構からの融資を受ける場合

・災害により従前の住宅を失った場合

・収用等により代替住宅を取得する場合

軽減措置の申請手続き

軽減措置を受けるためには、以下の書類を準備し申請する必要があります。

・不動産取得税申告書

・売買契約書の写し

・登記事項証明書

・住宅の床面積を証明する書類

・耐震基準適合証明書(中古住宅の場合)

申請は、不動産が所在する都道府県の税務事務所で行います。

適用期限と注意点

軽減措置の多くには適用期限が設けられていますが、定期的に延長されることが一般的です。また、一度軽減措置を受けた後に用途を変更したり、要件を満たさなくなったりした場合は、軽減された税額を追加で納付する必要が生じる場合があります。事前に条件をよく確認し、計画的に申請を行うことが重要です。

不動産取得税を支払うタイミング

不動産取得税は、不動産を取得してから一定期間後に都道府県から納税通知書が送付され、その後納付する流れとなります。事前に支払い時期を把握し、計画的に資金を準備しておくことが重要です。

納税通知書が届くタイミング

納税通知書が届くタイミングは、不動産の取得後約3〜8ヶ月後となります。これは、固定資産税評価額の算定や、軽減措置の適用判断などの事務処理に時間を要するためです。ただし、都道府県によって多少の違いがあり、取得から1年程度かかる場合もあります。

支払期限について

納税通知書が届いてから納付までの期限は、通常約1ヶ月以内と定められています。例えば、4月1日に納税通知書が届いた場合、4月30日までに納付する必要があります。期限を過ぎると延滞金が発生する可能性があるため、余裕をもって納付するようにしましょう。

具体的な納付の流れ

納付の流れは以下のようになります。

・都道府県から納税通知書が送付される

・納税通知書に記載された納付書を使用して納付

・金融機関、コンビニエンスストア、都道府県税事務所などで支払い可能

・口座振替の利用も可能(事前に手続きが必要)

なお、クレジットカードでの支払いに対応している都道府県もあります。

分割払いの可能性

原則として一括納付が必要ですが、納税が困難な場合は分割納付が認められる場合があります。ただし、分割納付の申請には以下のような条件があります。

・一定の要件を満たすこと

・都道府県税事務所への申請が必要

・担保の提供が必要な場合もある

経済的な事情がある場合は、早めに都道府県税事務所に相談することをおすすめします。

住宅ローンとの関係

不動産取得税は、一般的な住宅ローンの借入対象とはなりません。そのため、住宅ローンとは別に資金を準備する必要があります。また、住宅ローンの返済開始時期と不動産取得税の納付時期が重なる可能性もあるため、計画的な資金準備が重要です。

事前の資金計画

不動産取得税の支払いに向けて、以下のような準備をしておくことをおすすめします。

・取得予定の不動産の評価額を事前に確認

・軽減措置の適用可能性を確認

・おおよその税額を計算して資金を準備

・納税通知書が届く時期を考慮した資金計画を立てる

延滞金について

納付期限を過ぎると、延滞金が発生します。延滞金の利率は以下の通りです。

・納期限の翌日から1ヶ月を経過する日まで:年7.3%(令和4年の場合)

・納期限の翌日から1ヶ月を経過した日以後:年14.6%(令和4年の場合)

延滞金の発生を避けるためにも、期限内の納付を心がけましょう。

還付について

軽減措置の申請が納付後に認められた場合や、課税額の計算に誤りがあった場合には、納めすぎた税金が還付されます。還付金の受け取りには、都道府県が指定する書類の提出が必要となります。軽減措置の適用を受ける場合は、できるだけ納付前に申請を済ませておくことをおすすめします。

よくある質問

不動産取得税に関して、購入検討者からよく寄せられる質問をQ&A形式でまとめました。実務経験に基づく具体的な回答を心がけ、できるだけわかりやすく解説していきます。

税金の基本について

Q:不動産取得税は住宅ローンの借入額に含められますか?

A:一般的な住宅ローンでは、不動産取得税は借入対象外となります。取得費用とは別に資金を準備する必要があります。住宅ローンの諸費用に関する融資を行う金融機関もありますので、事前に確認することをおすすめします。

Q:不動産取得税は必ず支払う必要がありますか?

A:不動産を取得した場合、原則として支払い義務が生じます。ただし、相続による取得や一定の公共目的での取得など、非課税となるケースもあります。

Q:固定資産税と不動産取得税の違いは何ですか?

A:不動産取得税は取得時の一回限りの税金であるのに対し、固定資産税は毎年継続して課される税金です。課税主体も、不動産取得税は都道府県、固定資産税は市区町村と異なります。

軽減措置について

Q:軽減措置は自動的に適用されますか?

A:多くの場合、申請が必要です。必要書類を準備し、期限内に申請を行うことが重要です。申請漏れがないよう、不動産会社や税理士に相談することをおすすめします。

Q:中古住宅でも軽減措置は受けられますか?

A:一定の条件(耐震基準適合や床面積要件など)を満たせば、新築住宅と同様の軽減措置を受けることができます。条件を満たさない場合でも、耐震改修を行うことで適用される場合があります。

支払い方法について

Q:分割払いは可能ですか?

A:原則として一括納付が必要ですが、納付が困難な場合は都道府県の窓口に相談することで、分割納付が認められる場合があります。ただし、申請と審査が必要です。

Q:クレジットカードでの支払いは可能ですか?

A:都道府県によって対応が異なります。対応している場合でも、手数料が必要となることが一般的です。詳細は各都道府県の税務担当窓口に確認してください。

特殊なケースについて

Q:住宅を建て替える場合はどうなりますか?

A:既存建物の解体後に新築する場合、新築部分について不動産取得税が課税されます。土地については、すでに所有している場合は課税対象外です。

Q:贈与された不動産にも課税されますか?

A:贈与により不動産を取得した場合も課税対象となります。ただし、配偶者からの贈与など、特定の場合には非課税措置が適用されることがあります。

手続きについて

Q:納税通知書が届かない場合はどうすればよいですか?

A:不動産取得後、半年以上経過しても納税通知書が届かない場合は、都道府県の税務事務所に問い合わせることをおすすめします。住所変更の届出漏れなどが原因の可能性があります。

Q:支払い期限に間に合わない場合はどうすればよいですか?

A:期限内の納付が難しい場合は、必ず事前に都道府県税事務所に相談してください。事情によっては、納期の延長や分割納付が認められる場合があります。

Q:引っ越し先の住所変更は必要ですか?

A:納税通知書を確実に受け取るため、引っ越しが決まっている場合は、都道府県税事務所に住所変更の届出を行うことが重要です。手続きは比較的簡単で、オンラインで対応している自治体もあります。

まとめ

不動産取得税は、マイホーム購入時の重要な諸費用の一つです。税額の計算方法を理解し、適用可能な軽減措置を把握しておくことで、支払いの準備を計画的に進めることができます。また、納付時期についても事前に確認し、住宅ローンの返済と合わせた資金計画を立てることをおすすめします。不明な点がある場合は、早めに都道府県の窓口や不動産の専門家に相談することで、スムーズな手続きにつながります。

なお、当社が提供している「housemarriage」では、住宅コンシェルジュが理想の家づくりのサポートとして、住まいを探す上で重要なハウスメーカーや工務店の営業担当者とのマッチングサポートをさせていただきます。住宅購入の資金計画の相談・作成や、相性良く親身になってくれる「営業担当者」をご紹介します。家づくりに関して少しでも不安を感じるようであれば、お問い合わせください。

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記事監修者

1級ファイナンシャル・プランニング技能士 / 渡辺 知光

大学卒業後、積水化学工業に入社し住宅「セキスイハイム」を販売。3年8カ月千葉県内で営業に従事し、営業表彰を6期連続受賞。
途中、母の急死に直面し、自分の将来について悩み始める。結果、大学のゼミで学んだ「保険」事業に実際に携わりたいと思いFP資格を取得して日本生命に転職。4年間営業に従事したが、顧客に対して提供出来る商品がなく退職を決意。FP兼保険代理店を開業する。

収入も顧客もゼロからのスタート。しかも独立直前に結婚し住宅購入した為、返済不安に陥り貯蓄が日々減っていく恐怖を覚える。

人生で初めて家計の見直しを行い、根本的な改善により失敗と不安を減らすコツを発見。自分の経験を生かしお客様が同じ道を歩まないよう伝えるべく「マイホーム検討者向けFP」として活動中。

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    :有限会社ティーエムライフデザイン総合研究所

  • 代表者

    :渡辺知光

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