不動産や住宅取得等資金の贈与税の仕組みや非課税措置などを解説
家づくりの基本
2024/12/24
2024/12/24
住宅取得に関して、親や祖父母からの資金援助を検討されている方は多いのではないでしょうか。税制上の特例を活用することで、贈与税の負担を抑えることが可能です。そこで、今回の記事では贈与税の基本的な仕組みから、不動産贈与、住宅取得等資金の贈与についてまとめてみました。
贈与税とは
贈与税とは、個人から財産を無償でもらった際にかかる税金のことです。親や祖父母から住宅取得のための援助を受ける場合も、贈与税の対象となる可能性があります。
贈与税の基礎控除額
贈与税の基礎控除額は年間110万円となっています。つまり、1年間に受け取った贈与の合計額が110万円を超えると、超えた分に対して贈与税が課税されることになります。
贈与税の計算方法
贈与税は、贈与を受けた財産の価額から基礎控除額110万円を差し引いた残額に対して課税されます。税率は10%から50%まで段階的に設定されており、贈与額が大きくなるほど税率も高くなります。
贈与税が設けられている理由
贈与税は、相続税の補完税として位置づけられています。もし贈与税がなければ、相続財産を生前に贈与することで相続税を回避できてしまいます。そのため、贈与税は相続税よりも高い税率が設定されているのです。
贈与税の申告義務
贈与税の対象となる贈与を受けた場合、受贈者は翌年の3月15日までに贈与税の申告をする必要があります。申告が遅れると加算税がかかる可能性がありますので注意が必要です。
贈与税の特例措置
贈与税には、住宅取得等資金の贈与や教育資金の贈与など、一定の要件を満たす場合に適用される特例措置が設けられています。これらの特例を活用することで、贈与税の負担を軽減できる場合があります。
贈与税の配偶者控除
婚姻期間が20年以上の配偶者から、居住用の不動産や居住用の不動産を取得するための金銭の贈与を受けた場合、2,000万円までの配偶者控除を受けることができます。ただし、一定の要件を満たす必要があります。
注意すべきポイント
贈与税の計算や特例の適用は複雑なため、専門家への相談をおすすめします。また、贈与契約書の作成など、適切な書類手続きをしておくことも重要です。
特に不動産の贈与や多額の現金贈与を受ける場合は、税理士などの専門家に相談し、適切な申告手続きを行うようにしましょう。
不動産の贈与にかかる贈与税
不動産の贈与を受けた場合、その不動産の時価を基準に贈与税が計算されます。ただし、実際の取引価格ではなく、路線価などをもとに計算された評価額が基準となります。
不動産贈与の評価方法
不動産贈与における評価額の算出方法は、土地と建物で異なります。土地の場合は路線価方式か倍率方式、建物の場合は固定資産税評価額をもとに計算されます。
路線価方式とは、国税庁が毎年公表する路線価に面積を掛け合わせて評価額を算出する方法です。路線価が定められていない地域では、固定資産税評価額に一定の倍率を掛けて計算する倍率方式が採用されます。
不動産贈与の申告手続き
不動産の贈与を受けた場合、贈与を受けた年の翌年の3月15日までに贈与税の申告をする必要があります。また、不動産の所有権移転登記も行う必要があり、登録免許税も発生します。
不動産贈与のメリット
不動産を生前贈与することで、将来の相続税の負担を軽減できる可能性があります。また、配偶者や子供への贈与には特例措置が設けられており、税負担を抑えられるケースもあります。
不動産贈与のデメリット
不動産を贈与した場合、その時点での時価で譲渡したとみなされ、贈与者側に譲渡所得税が課される可能性があります。また、受贈者側には贈与税が課されるため、二重の税負担が発生する可能性があります。
配偶者への不動産贈与
婚姻期間が20年以上の配偶者から居住用不動産の贈与を受けた場合、2,000万円までの配偶者控除を受けることができます。ただし、贈与を受けた配偶者がその不動産に実際に居住する必要があります。
子供への不動産贈与
子供への不動産贈与の場合、住宅取得等資金の贈与に関する特例を活用できる可能性があります。この特例を利用する場合、一定の要件を満たす必要がありますが、非課税枠の範囲内で贈与税を抑えることができます。
注意すべきポイント
不動産の贈与は、その後の相続や税金に大きな影響を与える可能性があります。そのため、贈与を行う前に税理士などの専門家に相談し、適切な方法を選択することが重要です。
また、贈与契約書の作成や登記手続きなど、必要な書類をきちんと整えることも忘れずに行いましょう。将来のトラブルを防ぐためにも、適切な書類手続きは欠かせません。
住宅取得等資金の贈与
住宅取得等資金の贈与については、一定の要件を満たすことで非課税措置を受けられる特例が設けられています。親や祖父母からの贈与を受けた場合、非課税枠の範囲内で贈与税がかからない制度があります。
非課税措置の概要
住宅取得等資金の贈与を受けた場合、一定額までの贈与税が非課税となります。非課税限度額は、住宅の種類や契約時期によって異なり、省エネ性能等に応じて金額が設定されています。
非課税措置の適用要件
この特例を利用するためには、以下のような要件を満たす必要があります。受贈者は20歳以上で、合計所得金額が2,000万円以下であることが条件となります。また、取得する住宅も一定の床面積要件(50平方メートル以上)を満たす必要があります。
対象となる住宅取得等資金
非課税措置の対象となる資金は、住宅の新築や取得、増改築等の対価に充てるための金銭です。具体的には、土地や建物の購入費用、建築費用、リフォーム費用などが含まれます。
手続きの流れ
住宅取得等資金の贈与を受けた場合、贈与を受けた年の翌年の3月15日までに贈与税の申告をする必要があります。申告の際には、住宅取得に関する契約書や領収書など、必要な書類を添付する必要があります。
注意すべきポイント
非課税措置を受けた後、一定期間内に居住要件を満たさない場合や、住宅に入居しない場合には、贈与税が課税される可能性があります。また、複数回にわたって贈与を受ける場合は、贈与時期や金額に注意が必要です。
資金贈与の方法
贈与の際は、贈与契約書を作成し、贈与者から受贈者の口座に直接振り込むことをおすすめします。現金での贈与は、後々のトラブルを避けるため避けた方が無難です。
特例措置の活用例
たとえば、親から3,000万円の住宅取得資金の贈与を受ける場合、非課税枠を最大限活用することで、贈与税の負担を大幅に抑えることができます。ただし、非課税限度額は年度によって変動する可能性があるため、最新の情報を確認することが重要です。
専門家への相談
住宅取得等資金の贈与は、税制上の特例を活用することで大きなメリットが得られる一方で、要件や手続きが複雑です。そのため、税理士などの専門家に相談し、自身の状況に合った最適な方法を選択することをおすすめします。
特に、複数回の贈与を検討している場合や、他の税制優遇措置との併用を考えている場合は、専門家のアドバイスを受けることで、より効果的な資金計画を立てることができます。
よくある質問(Q&A)
Q1:贈与税の基礎控除額はいくらですか?
A1:贈与税の基礎控除額は年間110万円です。1年間に受け取った贈与の合計額が110万円を超えると、超えた分に対して贈与税が課税されます。
Q2:住宅取得等資金の贈与で非課税となる金額の上限はいくらまでですか?
A2:非課税限度額は、住宅の省エネ性能や耐震性能、取得時期によって異なります。最新の非課税限度額については、税理士などの専門家にご相談ください。
Q3:不動産の贈与を受けた場合、いつまでに申告が必要ですか?
A3:贈与を受けた年の翌年の3月15日までに申告する必要があります。期限を過ぎると加算税がかかる可能性がありますので、ご注意ください。
Q4:配偶者からの贈与には特例がありますか?
A4:婚姻期間が20年以上の配偶者から、居住用不動産または居住用不動産を取得するための金銭の贈与を受けた場合、2,000万円までの配偶者控除を受けることができます。
Q5:住宅取得等資金の贈与を受ける場合、年齢制限はありますか?
A5:受贈者は20歳以上である必要があります。また、合計所得金額が2,000万円以下といった要件も設けられています。
Q6:贈与税の申告は自分でできますか?
A6:申告自体は自分でもできますが、計算方法や特例の適用条件が複雑なため、税理士などの専門家に相談することをおすすめします。
Q7:住宅取得等資金の贈与を複数回に分けて受けることは可能ですか?
A7:可能ですが、非課税措置の適用には様々な要件があります。贈与の時期や金額について、税理士に相談することをおすすめします。
Q8:不動産の評価額はどのように決まりますか?
A8:土地の場合は路線価方式か倍率方式、建物の場合は固定資産税評価額をもとに計算されます。実際の取引価格ではなく、これらの評価額が基準となります。
Q9:住宅取得等資金の贈与を受けた後、すぐに入居しなければいけませんか?
A9:一定期間内に居住する必要があります。入居要件を満たさない場合、贈与税が課税される可能性がありますので注意が必要です。
Q10:贈与契約書は必要ですか?
A10:特に不動産の贈与や高額の現金贈与の場合は、贈与契約書を作成することをおすすめします。後々のトラブル防止のため、書面での記録を残しておくことが重要です。
まとめ
今回の記事では、住宅に関する贈与税について解説しました。贈与税には様々な特例措置が設けられていますが、要件や手続きが複雑なため、専門家に相談することをおすすめします。
税制は毎年のように変更される可能性があることから、最新の情報を確認したうえで、ご自身の状況に合った方法を選択するようにしましょう。
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