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住宅ローンの完済に適した年齢やポイントについて解説

家づくりの基本

2024/12/25

2024/12/25

記事監修者

1級ファイナンシャル・プランニング技能士 / 渡辺 知光

住宅ローンの完済に適した年齢やポイントについて解説

近年の雇用環境の変化や高齢化社会の進展により、住宅ローンの返済計画を立てる際には、従来よりも柔軟な考え方が必要となってきています。本記事では、住宅ローンの完済時期について、最新の法改正を踏まえながら詳しく解説していきます。

高年齢者雇用安定法の改正と住宅ローンの関係性

高年齢者雇用安定法の改正により、企業には70歳までの就業機会確保が努力義務として課されることとなりました。この法改正は、住宅ローンを考える上で重要な意味を持っています。

具体的には、企業には以下の選択肢が示されており、これらの施策により、住宅ローンの返済計画にも大きな影響を与えています。

1. 定年廃止:従来の定年制度を完全に撤廃し、能力と意欲がある限り働き続けることができる環境を整備。これにより、安定した収入を前提とした長期の住宅ローン返済計画が立てやすくなりました。

2. 定年延長:定年年齢を70歳まで引き上げることで、より長期的な雇用保障が得られます。住宅ローンの返済計画においても、65歳以降の収入をより確実に見込むことが可能となっています。

3. 継続雇用制度:定年後も継続して雇用される制度の導入により、収入の見通しが立てやすくなっています。ただし、給与水準が変更される可能性があるため、住宅ローンの返済計画では注意が必要です。

4. 創業支援:定年後の起業支援も選択肢の一つとなっており、新たな収入源の確保が可能となっています。ただし、収入の不確実性が高いため、住宅ローンの返済計画では慎重な判断が求められます。

この法改正により、住宅ローンの返済計画において以下のような変化が生じています。

・返済期間の柔軟化:70歳までの就業機会確保により、従来の65歳完済にこだわる必要性が低下。

・収入予測の確実性向上:雇用継続の可能性が高まることで、将来の返済計画がより立てやすくなっています。

・金融機関の審査基準の変化:就業機会の確保を踏まえ、より柔軟な年齢条件での融資が可能となってきています。

住宅ローンの完済に適した年齢

住宅ローンの完済時期については、一般的に65歳までが望ましいとされてきましたが、近年の雇用環境や社会情勢の変化により、より柔軟な考え方が可能となっています。ここでは、年齢別の特徴と注意点について詳しく解説していきます。

60歳までの完済を目指すケース

住宅ローンの完済時期として、60歳までの完済は最も理想的とされています。この年齢までに完済することで、定年後の生活設計が立てやすくなり、退職金を他の目的に活用することが可能となります。60歳までの完済を実現するためには、35歳までに住宅ローンを組むことが望ましいとされています。これにより、返済期間を25年程度に設定しても無理なく返済を進めることができます。

65歳までの完済を目指すケース

65歳までの完済は、従来から標準的とされてきた完済時期です。この年齢を目標とする最大の利点は、年金受給開始年齢と合わせやすく、生活設計が立てやすい点にあります。ただし、退職金での返済を前提とする場合は、事前に退職金額の確認が重要となります。また、年金支給開始年齢の段階的な引き上げについても考慮する必要があります。さらに、健康面でのリスクが60歳完済と比べて高まる可能性があることも念頭に置く必要があります。

70歳までの完済を検討するケース

高年齢者雇用安定法の改正により、70歳までの完済も現実的な選択肢となってきています。ただし、この選択肢を検討する場合は、いくつかの重要な条件を満たすことが望ましいとされています。具体的には、安定した収入が70歳まで見込めることが前提となり、健康面での問題がないことも重要です。加えて、十分な貯蓄や資産を保有していることや、万が一収入が途絶えた場合の代替的な返済計画が立てられていることも必要条件となります。

年齢別の返済計画の特徴

30代で住宅ローンを借り入れる場合、返済期間を30年に設定しても60歳までに完済することが可能です。この年代は収入の増加が見込めるため、返済負担は比較的軽くなります。また、団体信用生命保険の保険料も比較的安価に抑えられるという利点があります。

40代での住宅ローン借り入れの場合は、25年以内の返済期間が望ましいとされています。この年代では月々の返済額が高くなる可能性があるため、計画的な繰り上げ返済を検討することが重要です。また、将来の収入見通しをより慎重に検討する必要があります。

50代で住宅ローンを検討する場合は、15年以内の返済期間が推奨されます。この年代では、退職金での返済計画をより具体的に立てる必要があり、健康面でのリスク管理も特に重要となります。将来の収入や健康状態について、より慎重な見通しを立てることが求められます。

完済時期を決める際の重要な考慮点

完済時期を決定する際には、将来の収入見通しを慎重に検討する必要があります。現在の職種や雇用形態はもちろん、昇給やボーナスの可能性、副業や資産収入の有無なども重要な要素となります。また、健康状態についても現在の状況だけでなく、家族の病歴や生活習慣病のリスクなども考慮に入れる必要があります。

資産状況も重要な判断材料となります。現在の貯蓄額に加えて、将来の退職金の見込み額、投資や保険の運用状況なども総合的に判断する必要があります。さらに、家族構成による影響も考慮すべき要素です。配偶者の収入状況、子どもの教育費、老親の介護の可能性なども、返済計画に大きく影響を与える要因となります。

例外的に返済期間を長くしてもいい人の特徴

住宅ローンの返済期間は一般的に65歳までに完済することが推奨されていますが、特定の条件を満たす場合には、例外的に返済期間を長く設定することも可能です。ここでは、返済期間の長期化を検討できる人の特徴や条件について詳しく見ていきましょう。

安定した職業に就いている場合

公務員や教職員などの公的機関で働く人々は、定年後も再任用制度を活用できる可能性が高く、収入の安定性が見込めます。また、医師や弁護士などの専門職は、高齢になっても個人で開業を続けることができ、継続的な収入を得られる可能性が高いため、返済期間を長めに設定することが検討できます。特に、大学病院や総合病院などの医療機関に勤務する医師の場合、定年後も非常勤として継続して働ける環境が整っていることが多いのが特徴です。

事業承継が確実な経営者

安定した経営基盤を持つ企業の経営者で、かつ事業承継が確実に見込める場合は、返済期間の長期化を検討できます。特に、複数の不動産を所有し、安定した賃料収入がある場合や、長年にわたって安定した業績を維持している企業の経営者は、返済能力の面で信頼性が高いと判断されます。ただし、事業環境の変化にも対応できるよう、十分な資産的な裏付けを持っていることが重要です。

十分な金融資産を保有している場合

預貯金や投資信託、株式などの金融資産を十分に保有している場合、返済期間を長く設定することも可能です。具体的には、住宅ローンの借入額の50%以上に相当する金融資産を保有している場合や、毎月の返済額の24か月分以上の流動性の高い資産がある場合などが該当します。これらの資産は、万が一の収入減少時のバッファーとして機能し、返済の安全性を高めることができます。

将来的な収入増加が確実な場合

昇進や昇給が制度として確立されている大手企業に勤務し、将来的な収入増加が見込める場合も、返済期間の長期化を検討できます。特に、管理職への昇進が確実に見込める場合や、実力主義の報酬体系が整備されている企業で、継続的な収入増加が期待できる場合が該当します。ただし、こうした収入増加の見込みは、過去の実績や企業の人事制度などで客観的に裏付けられる必要があります。

配偶者の収入も安定している共働き世帯

夫婦ともに安定した職業に就いている共働き世帯の場合、一方の収入が途絶えても返済を継続できる可能性が高くなります。特に、両者とも正社員として勤務し、それぞれが返済額の負担能力を持っている場合は、返済期間の長期化を検討する余地があります。また、両者が専門職や公務員として勤務している場合は、より安定性が高いと判断されます。

不動産投資としての側面を持つ場合

購入する物件が、将来的に安定した賃料収入を生み出す可能性が高い場合、返済期間を長く設定することも検討できます。例えば、駅前や繁華街など、将来的な価値の維持や上昇が期待できる立地の物件や、賃貸需要が安定している地域の物件などが該当します。ただし、この場合は物件の資産価値の維持や賃貸需要の継続性について、慎重な判断が必要となります。

留意すべき重要事項

返済期間の長期化を検討する場合でも、総返済額の増加や、高齢期における返済負担、相続時の問題など、様々なリスクについて十分に検討する必要があります。また、定期的な健康診断の受診や、十分な保険加入など、リスク管理の観点からの対策も重要となります。返済期間を長期化する場合は、これらの要素を総合的に判断し、慎重に決定することが推奨されます。

よくある質問(Q&A)

返済期間や完済時期に関して、多くの方が不安や疑問を抱えています。ここでは、よくいただく質問について詳しく解説していきます。

返済期間と年齢に関する質問

Q: 65歳以降も住宅ローンを組むことはできますか?

A: 近年は高齢者向けの住宅ローン商品も増えており、条件次第で可能です。特に、十分な金融資産を保有している場合や、安定した収入が見込める場合は、70歳以降の返済設定も検討できます。ただし、金融機関によって審査基準は異なり、多くの場合、通常より厳格な審査が行われます。また、団体信用生命保険の加入可否も重要な要素となります。

Q: 返済期間を延長する場合のデメリットは何ですか?

A: 主なデメリットとして、総支払額の増加が挙げられます。返済期間が長くなることで支払う利息の総額が増えることになります。また、高齢時の返済負担が増えることで、予期せぬ健康問題や収入減少のリスクが高まります。さらに、相続が発生した際の債務の処理についても考慮が必要です。これらのリスクを踏まえた上で、慎重に判断することが重要です。

返済方法に関する質問

Q: 繰り上げ返済は有効な選択肢ですか?

A: 繰り上げ返済は、総支払額を削減する効果的な方法の一つです。特にローン開始から数年以内の繰り上げ返済は、その後の利息負担を大きく軽減できます。ただし、手数料がかかる場合があることや、生活資金とのバランスを考慮する必要があります。また、将来の支出に備えた貯蓄とのバランスも重要な検討事項となります。

Q: 返済方式の選択は完済時期に影響しますか?

A: 返済方式は完済時期に大きな影響を与えます。元利均等返済の場合、当初は利息の支払いが多くなりますが、月々の返済額は一定です。一方、元金均等返済では、当初の返済額は多くなりますが、返済額は徐々に減少していきます。ライフプランに合わせた返済方式の選択が、安定した返済継続につながります。

収入と返済に関する質問

Q: 退職金は住宅ローン返済に充てるべきですか?

A: 退職金の活用は個々の状況によって判断が必要です。住宅ローンの返済に充てることで、総支払額を削減できる利点がありますが、老後の生活資金や予期せぬ支出への備えとしても重要な役割があります。退職後の生活設計全体を見据えた上で、退職金の活用方法を検討することが望ましいでしょう。

Q: 収入が減少した場合、どのような対応が可能ですか?

A: 収入減少時には、返済期間の延長や返済額の見直しなど、様々な対応策があります。金融機関との早期相談が重要で、条件変更などの柔軟な対応が可能な場合もあります。また、住宅ローン返済保証制度や団体信用生命保険の活用も検討できます。重要なのは、収入減少の可能性を事前に想定し、対策を準備しておくことです。

保険と保証に関する質問

Q: 団体信用生命保険は必ず必要ですか?

A: 多くの金融機関では、団体信用生命保険への加入を住宅ローン契約の条件としています。この保険は、借入者が死亡または高度障害状態となった場合に、残債を償還する機能を持ちます。高齢での借入れの場合、保険料が高額になる可能性がありますが、家族の保護という観点から重要な役割を果たします。

Q: 住宅ローン減税は年齢制限がありますか?

A: 住宅ローン減税自体に年齢制限はありませんが、適用要件として所得制限や住宅の価格制限などがあります。また、減税期間中に定年退職を迎える場合、所得の減少により減税効果が十分に得られない可能性があることにも注意が必要です。将来の収入状況を考慮した上で、減税効果を検討することが重要です。

まとめ

住宅ローンの完済時期は、個人の状況や時代の変化に応じて柔軟に考える必要があります。高年齢者雇用安定法の改正により、従来よりも長期の返済計画を立てることが可能になってきていますが、健康面や収入面でのリスクも考慮しながら、慎重に判断することが重要です。

特に、安定した収入が見込める場合は、返済期間を長く設定することも選択肢の一つとなりますが、できるだけ早期の完済を目指すことが望ましいでしょう。将来の不確実性に備え、余裕をもった返済計画を立てることをお勧めします。

なお、当社が提供している「housemarriage」では、住宅コンシェルジュが理想の家づくりのサポートとして、住まいを探す上で重要なハウスメーカーや工務店の営業担当者とのマッチングサポートをさせていただきます。住宅購入の資金計画の相談・作成や、相性良く親身になってくれる「営業担当者」をご紹介します。家づくりに関して少しでも不安を感じるようであれば、お問い合わせください。

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記事監修者

1級ファイナンシャル・プランニング技能士 / 渡辺 知光

大学卒業後、積水化学工業に入社し住宅「セキスイハイム」を販売。3年8カ月千葉県内で営業に従事し、営業表彰を6期連続受賞。
途中、母の急死に直面し、自分の将来について悩み始める。結果、大学のゼミで学んだ「保険」事業に実際に携わりたいと思いFP資格を取得して日本生命に転職。4年間営業に従事したが、顧客に対して提供出来る商品がなく退職を決意。FP兼保険代理店を開業する。

収入も顧客もゼロからのスタート。しかも独立直前に結婚し住宅購入した為、返済不安に陥り貯蓄が日々減っていく恐怖を覚える。

人生で初めて家計の見直しを行い、根本的な改善により失敗と不安を減らすコツを発見。自分の経験を生かしお客様が同じ道を歩まないよう伝えるべく「マイホーム検討者向けFP」として活動中。

運営会社情報

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    :有限会社ティーエムライフデザイン総合研究所

  • 代表者

    :渡辺知光

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