住宅ローンの借り換えのメリットや時期、返済額の変化などを解説
家づくりの基本
2024/12/25
2024/12/25
住宅ローンの借り換えは、より有利な条件で住宅ローンを組み直すことで、毎月の返済額を減らしたり総支払額を抑えたりできる重要な選択肢です。本記事では、借り換えの基礎知識からメリット・デメリット、適切なタイミングまで詳しく解説します。
目次
住宅ローンの借り換えとは
住宅ローンの借り換えとは、現在契約している住宅ローンを解約し、別の金融機関で新たな住宅ローンを組むことです。主な目的は、より有利な条件のローンに切り替えることで、返済負担を軽減することにあります。
借り換えの基本的な流れ
借り換えの手続きは、まず新しい金融機関に借り換えの申し込みを行い、審査を受けます。審査に通過すると、新しい金融機関から借り入れた資金で、既存の住宅ローンの残債を一括返済します。その後は、新しい条件での返済が始まります。
借り換えが検討される主な理由
住宅ローンの借り換えが検討される背景には、市場金利の低下、借入当初と比べて収入状況の変化、ライフプランの見直しなどがあります。特に金利が下がっている場合は、毎月の返済額や総支払額を抑えられる可能性が高くなります。
借り換え可能な時期
借り換えは基本的にローン返済開始後いつでも可能です。ただし、返済開始直後は諸費用の回収に時間がかかるため、一般的には返済開始から3年以上経過してからの検討が推奨されています。金利の動向や自身の返済状況を見ながら、最適なタイミングを見極めることが重要です。
借り換えに必要な条件
借り換えには、現在の収入や返済実績などの審査があります。一般的に必要な条件としては、安定した収入があること、返済実績が良好であること、残債額が一定額以上あることなどが挙げられます。また、物件の評価額や築年数なども審査の対象となります。
借り換え時の諸費用
借り換えの際には、新規の住宅ローン契約と同様に各種費用が発生します。具体的には、保証料、事務手数料、抵当権設定費用、不動産登記費用などです。これらの費用は、借り換えによる節約効果を計算する際の重要な考慮要素となります。
借り換え時の注意点
借り換えを検討する際は、単に金利の低さだけでなく、返済期間、金利タイプ(変動・固定)、諸費用、団体信用生命保険の条件なども含めて総合的に判断する必要があります。また、現在の金融機関での金利交渉も選択肢の一つとして検討することをお勧めします。
借り換え時の必要書類
借り換えの際には、本人確認書類、収入証明書、源泉徴収票、現在の住宅ローンの返済予定表、残高証明書、物件の登記簿謄本などが必要となります。事前に準備しておくことで、スムーズな手続きが可能となります。
住宅ローン借り換えのメリット・デメリット
住宅ローンの借り換えには様々なメリットとデメリットがあります。借り換えを検討する際は、これらを十分に理解し、自身の状況に照らし合わせて判断することが重要です。
借り換えのメリット
金利の低下による返済負担の軽減が最大のメリットです。例えば、1億円の住宅ローンで金利が1%下がった場合、毎月の返済額は数万円の削減が期待できます。また、借り換えによって総支払額を大きく抑えられる可能性もあります。
金利タイプの見直しによるメリット
変動金利から固定金利、またはその逆へと金利タイプを変更できます。市場環境や将来の見通しに応じて、より自分に合った返済計画を立てられます。特に、長期的な金利上昇が予想される場合は、固定金利への切り替えによってリスクヘッジが可能です。
返済期間の調整によるメリット
借り換え時に返済期間を見直すことができます。例えば、返済期間を延長することで毎月の返済額を減らしたり、逆に短縮することで総支払額を抑えたりすることが可能です。ライフプランに合わせた柔軟な返済計画を立てられます。
新たなサービスの活用
借り換え先の金融機関が提供する新しいサービスを利用できます。例えば、繰り上げ返済手数料の無料化、ネットバンキングでの手続き簡素化、団体信用生命保険の保障内容の充実などのメリットを得られる可能性があります。
借り換えのデメリット
借り換えには様々な手数料が発生します。具体的には、保証料(20〜40万円程度)、事務手数料(3〜5万円程度)、登記費用(10〜15万円程度)などが必要となります。これらの費用は借り換えによる節約効果を減少させる要因となります。
審査に関するリスク
借り換えには新規の審査が必要です。年齢や収入状況によっては審査に通らない可能性があります。また、物件の築年数や現在の評価額なども審査の対象となり、これらの条件次第では借り換えができない場合もあります。
手続きの手間と時間
借り換えには多くの書類準備と手続きが必要で、完了までに2〜3ヶ月程度かかります。また、複数の金融機関を比較検討する際の時間と労力も必要です。現在の勤務先への在籍確認や収入証明書の取得なども必要となります。
金利変動のリスク
借り換えを決意してから実行までのタイムラグにより、市場金利が上昇してしまい、当初想定していた金利での借り換えができなくなるリスクがあります。特に変動金利を選択した場合、将来の金利上昇により返済額が増加する可能性もあります。
借り換え時の保険の注意点
団体信用生命保険は借り換えに伴い切り替えが必要となります。年齢や健康状態によっては、新しい保険の加入が難しかったり、保険料が高額になったりする可能性があります。特に持病がある場合は、慎重な検討が必要です。
判断のポイント
借り換えの判断には、現在の金利と新規の金利差、残債額、返済残期間、諸費用などを総合的に考慮する必要があります。一般的には、金利差が0.5%以上あり、残債額が1,000万円以上ある場合に検討する価値があるとされています。また、諸費用の回収期間を考慮し、その期間内に転居や完済の予定がないことを確認することも重要です。
住宅ローン借り換えによる返済額の変化
住宅ローン借り換えによる返済額の変化は、主に金利差、残債額、返済期間、借り換え費用などの要素によって決まります。ここでは、具体的な数字を用いながら、返済額の変化について詳しく解説していきます。
金利差による返済額の変化
例えば、残債額3,000万円、残り返済期間25年の場合、金利が1%下がると毎月の返済額は約15,000円減少します。年間では約18万円の削減となり、25年間で約450万円の総支払額削減が期待できます。ただし、これは借り換え費用を考慮しない場合の単純計算となります。
借り換え費用の影響
借り換えには一般的に50万円程度の諸費用が必要です。内訳は、保証料(30万円程度)、事務手数料(5万円程度)、登記費用(15万円程度)などです。この費用は返済額の削減効果から差し引いて考える必要があります。例えば、毎月15,000円の削減効果がある場合、諸費用50万円の回収には約3年かかることになります。
返済期間の調整による変化
借り換え時に返済期間を調整することで、返済額を大きく変えることができます。例えば、残債額2,000万円、金利1%低下の場合、返済期間を5年延長すると毎月の返済額は約30,000円減少します。逆に、返済期間を5年短縮すると毎月の返済額は約20,000円増加しますが、総支払額は大きく削減できます。
ボーナス払いの見直し効果
借り換え時にボーナス払いの割合を見直すことで、毎月の返済額をさらに調整できます。例えば、ボーナス払いの比率を50%から30%に下げることで、毎月の返済額は増加しますが、ボーナス時の負担を軽減できます。逆に、ボーナス払いの比率を上げることで、毎月の返済額を抑えることができます。
金利タイプ変更による影響
変動金利から固定金利への変更、またはその逆の場合、返済額に影響が出ます。変動金利は一般的に固定金利より低金利ですが、将来の金利上昇リスクがあります。固定金利は金利が高めですが、返済額が確定するため、家計の見通しが立てやすくなります。
繰り上げ返済オプションの活用
借り換え時に繰り上げ返済のオプションを見直すことで、将来的な返済額の調整が可能になります。手数料無料の繰り上げ返済サービスを提供する金融機関に借り換えることで、臨時収入などがあった際に柔軟な返済が可能になります。
返済額シミュレーションのポイント
借り換えによる効果を正確に把握するには、以下の要素を含めた総合的なシミュレーションが必要です。現在の返済額と金利、新しい金利と返済期間、借り換え費用、返済方式(元利均等返済・元金均等返済)、ボーナス払いの割合、団体信用生命保険料の変化などを考慮して計算する必要があります。
将来的な返済計画の見直し
借り換えを機に、将来的な返済計画を見直すことも重要です。子どもの教育費や退職後の生活費なども考慮し、無理のない返済計画を立てることが大切です。必要に応じて、ファイナンシャルプランナーなどの専門家に相談することも検討してください。
住宅ローン控除期間中の借り換えのポイント
住宅ローン控除(住宅ローン減税)を受けている期間中に借り換えを行う場合、特に注意が必要です。控除を継続して受けられるように、適切な手続きと要件の確認が重要となります。
住宅ローン控除の継続要件
住宅ローン借り換え後も控除を継続して受けるためには、以下の条件を満たす必要があります。借り換え後の住宅ローン残高が、借り換え前の残高を上回らないこと、借り換えと同時に追加の借り入れを行わないこと、新しい住宅ローンが控除対象となるローンであること、などが主な要件となります。
手続きに必要な書類
借り換え時の住宅ローン控除継続には、「住宅借入金等の年末残高等証明書」「新旧両方の金銭消費貸借契約書」「借り換え時の未償還残高証明書」などの書類が必要です。これらの書類は確定申告の際に提出が求められるため、借り換え時に必ず入手しておく必要があります。
控除額への影響
借り換えによって金利が下がると、年末の住宅ローン残高も減少するペースが速くなり、控除額が若干減少する可能性があります。ただし、これは総支払額の削減というメリットと比較すると、通常は問題にならない程度の影響です。
控除期間中の金利タイプ変更
住宅ローン控除を受けている場合でも、変動金利から固定金利への変更、またはその逆は可能です。ただし、借り換えによって金利タイプを変更する場合は、新しいローンが控除対象となる要件を満たしているか確認が必要です。
借り換えのタイミング
年末の住宅ローン残高が控除額の計算基準となるため、年末近くの借り換えは控除額に影響を与える可能性があります。可能であれば、年の前半での借り換えを検討することで、手続きや確定申告の準備に余裕を持つことができます。
追加融資への注意
借り換えと同時にリフォーム費用などの追加融資を受ける場合、住宅ローン控除の対象外となる可能性があります。追加の借り入れが必要な場合は、借り換えとは別に新規ローンを組むなどの工夫が必要です。
確定申告の注意点
借り換えを行った年の確定申告では、旧ローンと新ローンの両方の年末残高証明書が必要となります。また、借り換えに関する書類の提出も必要です。確定申告の期限に間に合うよう、早めの準備を心がけることが重要です。
専門家への相談
住宅ローン控除は制度が複雑で、借り換えによる影響も個々の状況によって異なります。不安がある場合は、税理士やファイナンシャルプランナーなどの専門家に相談することをお勧めします。特に、複数の住宅ローンがある場合や、特殊な借り換えを検討している場合は、専門家のアドバイスが有用です。
将来的な控除計画
借り換えによって返済額が減少した分を、繰り上げ返済に回すことも検討できます。ただし、繰り上げ返済によって年末残高が大きく減少すると、控除額も減少することになります。長期的な視点で、控除のメリットと返済負担の軽減のバランスを考えることが重要です。
住宅ローンの返済方法を変更して借り換える際の注意点
住宅ローンの借り換え時には、返済方法を見直すことで、より自身の経済状況に合わせた返済計画を立てることができます。ここでは、返済方法の変更に関する重要なポイントを解説します。
返済方法の種類と特徴
主な返済方法には、元利均等返済と元金均等返済があります。元利均等返済は毎月の返済額が一定で計画が立てやすい一方、元金均等返済は初期の返済額は多いものの、総支払額を抑えられる特徴があります。借り換え時にはこれらの方式を変更することが可能です。
ボーナス払いの見直し
借り換え時にボーナス払いの割合を変更することができます。ボーナス払いを減らすことで毎月の返済額は増えますが、ボーナス時の負担を軽減できます。逆にボーナス払いを増やすことで、毎月の返済額を抑えることができます。ただし、将来のボーナスの変動リスクも考慮する必要があります。
返済期間の調整に関する注意点
返済期間の延長や短縮を検討する際は、年齢制限に注意が必要です。多くの金融機関では完済時の年齢制限(70〜80歳)があります。また、返済期間を延長すると毎月の返済額は減りますが、総支払額は増加する点にも注意が必要です。
繰り上げ返済オプションの確認
新しい金融機関の繰り上げ返済の条件(手数料、最低金額、受付方法など)を確認することが重要です。インターネットバンキングで手数料無料の繰り上げ返済が可能な金融機関もあり、将来の返済計画の柔軟性を高めることができます。
団体信用生命保険への影響
返済方法の変更に伴い、団体信用生命保険の保障内容や保険料が変わる可能性があります。特に返済期間を延長する場合は、保険料の増加に注意が必要です。また、健康状態によっては新しい保険への加入が制限される場合もあります。
金利タイプ変更との組み合わせ
返済方法の変更と同時に金利タイプ(固定・変動)も変更することができます。例えば、変動金利に変更することで金利負担を減らしつつ、返済期間を短縮するなどの組み合わせが可能です。ただし、将来の金利変動リスクも考慮する必要があります。
収入状況との整合性
返済方法を変更する際は、現在の収入状況だけでなく、将来の収入見通しも考慮することが重要です。昇給や転職の可能性、退職後の収入減少なども踏まえて、長期的な視点で返済計画を立てる必要があります。
税金への影響
住宅ローン控除を受けている場合、返済方法の変更が控除額に影響を与える可能性があります。特に、返済期間を大きく変更する場合は、控除額の変化も考慮に入れる必要があります。不明な点がある場合は、税理士に相談することをお勧めします。
返済シミュレーションの活用
返済方法を変更する前に、複数のパターンでシミュレーションを行うことが重要です。毎月の返済額、総支払額、返済期間などを比較検討し、最適な返済方法を選択してください。金融機関やファイナンシャルプランナーに相談することも有効です。
よくある質問(Q&A)
住宅ローンの借り換えに関して、多くの方が疑問や不安を抱えています。ここでは、特に問い合わせの多い質問について、詳しく解説していきます。
借り換えの基本的な疑問
Q:借り換えは住宅ローンの返済期間中いつでもできますか?
A:基本的にはいつでも可能です。ただし、借り換えの費用回収を考えると、返済開始から3年以上経過してからの方が効果的です。また、完済までの期間が短すぎると、借り換えのメリットが少なくなる可能性があります。
Q:借り換えの手続きにはどのくらいの期間がかかりますか?
A:申し込みから実行まで、通常2〜3ヶ月程度かかります。審査や必要書類の準備、実地調査など、様々な手続きが必要となるためです。スムーズに進めるためには、事前に必要書類を準備しておくことをお勧めします。
費用に関する疑問
Q:借り換えにかかる費用の相場はいくらですか?
A:一般的に総額で30〜50万円程度です。内訳は、保証料(20〜40万円)、事務手数料(3〜5万円)、登記費用(10〜15万円)などです。金融機関によって費用は異なりますので、複数の金融機関で比較検討することをお勧めします。
Q:借り換え費用は分割での支払いは可能ですか?
A:金融機関によっては、諸費用を住宅ローンに含めて分割返済することが可能です。ただし、その場合は諸費用分も金利がかかることになります。一括での支払いが難しい場合は、この選択肢を検討できます。
審査に関する疑問
Q:借り換えの審査は厳しいのでしょうか?
A:基本的には新規の住宅ローンと同様の審査基準が適用されます。ただし、これまでの返済実績が良好で、安定した収入がある場合は、比較的審査に通りやすい傾向にあります。年収や年齢、勤務年数なども重要な審査項目となります。
Q:持病がある場合、団体信用生命保険に加入できませんか?
A:持病の種類や程度によって判断が異なります。通常の保険への加入が難しい場合でも、持病がある方向けの団信に加入できる金融機関もあります。ただし、保険料が割増になる可能性があります。
返済に関する疑問
Q:返済期間は延長できますか?
A:基本的に延長は可能です。ただし、延長後の完済時の年齢制限(通常70〜80歳)があります。返済期間を延長すると毎月の返済額は減りますが、総支払額は増加する点に注意が必要です。
Q:固定金利と変動金利、どちらを選ぶべきですか?
A:将来の金利動向の予測や、ご自身のリスク許容度によって判断します。固定金利は返済額が確定するメリットがありますが、変動金利より金利が高めです。変動金利は当初の返済額は抑えられますが、将来の金利上昇リスクがあります。
住宅ローン控除に関する疑問
Q:借り換えると住宅ローン控除は継続できますか?
A:一定の要件を満たせば継続可能です。主な要件は、借り換え後の借入額が借り換え前の残債以下であること、借り換えと同時に追加借り入れを行わないことなどです。必要書類をきちんと準備することが重要です。
Q:住宅ローン控除を受けながら、金利タイプを変更できますか?
A:変更可能です。変動金利から固定金利への変更、またはその逆も、控除を継続しながら行えます。ただし、新しいローンが控除対象となる要件を満たしている必要があります。
その他の疑問
Q:複数の金融機関から借り入れている場合、まとめて借り換えできますか?
A:可能です。むしろ、まとめて借り換えることで手続きの手間や費用を削減できる場合があります。ただし、それぞれのローンの条件や残債状況を考慮する必要があります。
Q:住宅ローンの借り換えは何回でもできますか?
A:回数制限はありません。ただし、借り換えには相応の費用がかかるため、金利差や費用回収期間を考慮して判断する必要があります。また、頻繁な借り換えは審査に影響する可能性もあります。
まとめ
住宅ローンの借り換えは、適切なタイミングと条件で行えば、大きな経済的メリットが得られる可能性があります。ただし、諸費用や手続きの手間も考慮する必要があります。自身の経済状況や将来計画を踏まえ、慎重に検討することが重要です。金融機関に相談し、シミュレーションを行った上で判断することをお勧めします。
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