マンション・一戸建てで可能な防音対策「防音・遮音マット編」
家づくりの基本
2024/12/27
2024/12/27
マンションや一戸建てでの生活音の悩みは尽きないものです。特に子育て世帯や楽器演奏をする方にとって、防音対策は避けては通れない課題となっています。そこで今回は、比較的手軽に導入できる防音・遮音マットについて、性能や選び方、施工方法までご紹介します。
目次
防音・遮音マットの防音性能や効果
防音・遮音マットの効果は、主に「衝撃音の低減」と「振動の吸収」の2つに分類されます。一般的な防音マットでは、15〜25デシベル程度の防音効果が期待できます。これは、日常的な生活音のかなりの部分をカバーできる数値といえるでしょう。
重量床衝撃音への効果
防音マットが特に効果を発揮するのが、重量床衝撃音と呼ばれる音です。子どもの飛び跳ねや走り回る音、家具の移動音など、比較的重い衝撃による音を軽減することができます。厚さ10mm以上の防音マットであれば、30〜40%程度の音の低減効果が期待できます。
軽量床衝撃音への効果
スリッパの音や物を落とした時の音など、比較的軽い衝撃音に対しても防音マットは効果を発揮します。特に硬い床材の上に設置した場合、足音などの軽量床衝撃音を50%程度まで軽減できるとされています。
素材による性能の違い
EVA素材の防音マットは、一般的な生活音に対して15デシベル程度の防音効果があります。一方、天然ゴムや特殊ウレタンを使用した高性能タイプでは、20〜25デシベル以上の防音効果が期待できます。
厚みによる効果の違い
防音マットの厚みは、防音効果に大きく影響します。2〜3mmの薄手タイプは、軽い生活音の軽減に適していますが、重量衝撃音への効果は限定的です。5〜8mmの中厚タイプは、一般的な生活音全般に効果を発揮します。10mm以上の厚手タイプは、ピアノなどの楽器や重量物からの振動音に対して高い効果を示します。
防音・遮音マットの限界
ただし、防音マットにも限界があることを理解しておく必要があります。特に低周波音や構造的な振動に対しては、マットだけでの対策では不十分な場合があります。また、壁からの音漏れには効果が期待できないため、総合的な防音対策の一部として考えることが重要です。
効果を最大限に引き出すポイント
防音マットの効果を最大限に引き出すためには、適切な施工が重要です。マットの継ぎ目に隙間ができないよう注意深く設置すること、また定期的なメンテナンスにより防音性能を維持することが大切です。特に経年劣化による性能低下を防ぐため、使用状況に応じて3〜5年程度での交換を検討する必要があります。
防音・遮音マットの選び方
防音・遮音マットを選ぶ際は、用途や設置場所、予算など、さまざまな要素を考慮する必要があります。ここでは、選び方のポイントを詳しくご説明していきます。
厚みで選ぶ
防音・遮音マットの厚みは、期待する防音効果によって選択します。生活音対策であれば5mm程度、楽器や重量物の防音であれば10mm以上を選びましょう。ただし、厚みが増すほど価格も上がり、また設置時の段差も大きくなることを考慮する必要があります。
素材で選ぶ
EVA素材は、安価で加工しやすく、軽量という特徴があります。ただし、経年劣化が比較的早いため、3〜5年程度での交換を想定する必要があります。天然ゴムは耐久性に優れ、防音効果も高いものの、価格が高めです。特殊ウレタンは、EVAと天然ゴムの中間的な特徴を持ち、バランスの取れた選択肢といえます。
サイズと形状で選ぶ
ジョイント式のマットは、必要な大きさに合わせて組み合わせることができ、設置も簡単です。一方、ロールタイプは継ぎ目が少なく、より確実な防音効果が期待できます。設置する部屋の広さや形状に応じて、適切なタイプを選択しましょう。
用途に応じた選び方
子どもの遊び場として使用する場合は、クッション性の高いEVA素材が適しています。ピアノなどの楽器用途では、高密度な天然ゴムや特殊ウレタンがおすすめです。フローリングの上に敷く場合は、床材を傷つけにくい素材を選ぶことが重要です。
設置環境による選び方
床暖房がある場合は、熱に強い専用タイプを選ぶ必要があります。また、水回りでの使用を検討している場合は、防水・防カビ加工された製品を選びましょう。賃貸物件の場合は、床材を傷つけにくい置き敷きタイプがおすすめです。
予算で選ぶ
防音マットの価格は、素材や厚み、サイズによって大きく異なります。一般的なEVA素材の場合、1畳あたり3,000円程度から、高性能な特殊ウレタンや天然ゴムでは1畳あたり10,000円以上するものもあります。初期費用と耐久性のバランスを考慮して選択しましょう。
メーカーや品質で選ぶ
防音マットは、信頼できるメーカーの製品を選ぶことが重要です。JIS規格などの品質基準を満たしている製品や、防音性能が数値で明示されている製品を選ぶことで、期待通りの効果を得られる可能性が高くなります。
デザイン性で選ぶ
防音マットは室内に敷き詰めるため、インテリアの一部として考える必要があります。木目調やフローリング調など、お部屋の雰囲気に合わせやすいデザインの製品も多く販売されています。また、カラーバリエーションも豊富なので、お部屋の雰囲気に合わせて選びましょう。
防音・遮音マットの取り付け方
防音・遮音マットの性能を最大限に引き出すためには、適切な施工が重要です。ここでは、取り付け手順と注意点について詳しく解説していきます。
設置前の準備
まず、床面の入念な清掃が必要です。ゴミやホコリを完全に取り除き、必要に応じて床面の水拭きを行います。また、設置予定場所の採寸を行い、必要な防音マットの枚数やカットの要否を確認しましょう。設置に必要な工具類(メジャー、カッター、養生テープなど)も事前に用意します。
基本的な設置手順
床面の清掃後、壁際から順にマットを敷き詰めていきます。この時、壁との間に5〜10mm程度の隙間を設けることで、マットの膨張による反り返りを防ぐことができます。また、部屋の中心に向かって作業を進めることで、よりきれいに仕上げることができます。
ジョイント式マットの設置方法
ジョイント式のマットは、凸凹をしっかりとかみ合わせることが重要です。かみ合わせが甘いと、使用時に外れたり、隙間から音が漏れたりする原因となります。また、ジョイント部分は床に対して垂直に押し込むように設置することで、よりしっかりとした接合が可能です。
ロールタイプの設置方法
ロールタイプの場合、まずマットを広げて馴染ませることが大切です。その後、端から順に気泡が入らないように慎重に敷き詰めていきます。継ぎ目が必要な場合は、できるだけ目立たない場所で処理し、必要に応じて専用のテープで固定します。
カットと加工の方法
マットのカットが必要な場合は、裏面に寸法を記入してから、定規などを使って慎重にカットします。特に壁際や柱周りなど、複雑な形状が必要な箇所は、型紙を使用すると正確にカットすることができます。カッターを使用する際は、一度に切り込まず、何度かに分けて切ることをおすすめします。
固定方法について
基本的に防音マットは置き敷きで問題ありませんが、滑り止め加工や両面テープでの固定が必要な場合もあります。特に、玄関やキッチンなど、水や汚れが気になる場所では、適切な固定方法を検討する必要があります。
施工時の注意点
施工時の室温は20度前後が理想的です。極端な高温や低温の環境では、マットの伸縮が大きくなる可能性があります。また、直射日光の当たる場所への設置は、マットの劣化を早める原因となるため、必要に応じてカーテンやブラインドで日光を遮ることをおすすめします。
メンテナンス方法
設置後は定期的なメンテナンスが重要です。日常的な掃除に加えて、3ヶ月に1回程度は全体的な点検を行い、継ぎ目のズレや劣化がないかを確認しましょう。また、汚れが目立つ場合は、中性洗剤を薄めた水で軽く拭き取ることができます。
よくある質問
防音・遮音マットについて、お客様からよく寄せられるご質問とその回答をまとめました。施工前の不安や疑問点の解消にお役立てください。
基本的な質問
Q:賃貸物件でも防音マットは使用できますか?
A:基本的には使用可能です。ただし、床材を傷つける可能性がある粘着タイプは避け、置き敷きタイプを選ぶことをおすすめします。撤去時に原状回復が必要な場合もありますので、契約内容の確認をお勧めします。
Q:防音マットは何年くらい使えますか?
A:素材や使用状況にもよりますが、一般的なEVA素材で3〜5年、高性能な特殊ゴム素材であれば5〜10年程度の使用が可能です。ただし、日常的に重量物を置く場所や、頻繁に人が行き来する場所では、耐用年数が短くなる可能性があります。
性能に関する質問
Q:上の階の音は本当に軽減されますか?
A:防音マットを設置することで、15〜25デシベル程度の防音効果が期待できます。特に子供の飛び跳ねや走り回る音など、重量床衝撃音の軽減に効果を発揮します。ただし、構造的な振動や低周波音に対しては、効果が限定的な場合があります。
Q:厚ければ厚いほど効果は高くなりますか?
A:基本的に厚みが増すほど防音効果は高くなりますが、ある程度の厚みを超えると効果の上昇は緩やかになります。一般的な生活音であれば5〜8mm程度、重量衝撃音対策であれば10mm以上を目安に選択することをおすすめします。
施工に関する質問
Q:素人でも簡単に施工できますか?
A:基本的にはDIYでの施工が可能です。特にジョイント式のマットは、説明書に従って順番に設置していけば問題ありません。ただし、複雑な形状のカットが必要な場合や、大面積の施工の場合は、専門業者への依頼をご検討ください。
Q:施工後、すぐに使用できますか?
A:ほとんどの場合、施工直後から使用可能です。ただし、接着タイプの場合は、接着剤が完全に固まるまで24時間程度の養生期間を設けることをおすすめします。
メンテナンスに関する質問
Q:日常的なお手入れはどうすればよいですか?
A:掃除機がけや、固く絞った雑巾での水拭きで十分です。汚れがひどい場合は、中性洗剤を薄めた水で拭き取ることができます。ただし、洗剤を使用する場合は、必ず目立たない場所で試してから行ってください。
Q:カビや臭いの心配はありませんか?
A:防水・防カビ加工された製品であれば、通常の使用では問題ありません。ただし、水回りでの使用や、湿気の多い場所での使用の場合は、定期的な点検と換気が重要です。気になる場合は、防カビ・消臭機能付きの製品を選択することをおすすめします。
まとめ
防音・遮音マットは、比較的手軽に導入できる防音対策として人気があります。効果を最大限に引き出すためには、用途に応じた適切な素材・厚みの選択と、正しい施工が重要です。まずは生活音の発生源となる場所から順次導入を検討してみてはいかがでしょうか。
なお、当社が提供している「housemarriage」では、住宅コンシェルジュが理想の家づくりのサポートとして、住まいを探す上で重要なハウスメーカーや工務店の営業担当者とのマッチングサポートをさせていただきます。住宅購入の資金計画の相談・作成や、相性良く親身になってくれる「営業担当者」をご紹介します。家づくりに関して少しでも不安を感じるようであれば、お問い合わせください。
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