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火山灰災害への備えや火山灰災害に強い家づくりのポイントを解説

家づくりの基本

2025/01/06

2025/01/06

記事監修者

1級ファイナンシャル・プランニング技能士 / 渡辺 知光

火山灰災害への備えや火山灰災害に強い家づくりのポイントを解説

火山大国である日本では、火山灰による被害が深刻な問題となっています。本記事では、火山灰災害の特徴から具体的な備え、そして災害に強い家づくりまで、総合的に解説します。適切な対策を講じることで、火山灰による被害を最小限に抑えることができます。

火山灰災害とは

火山灰災害とは、火山噴火に伴って放出された火山灰によって引き起こされる複合的な被害を指します。火山灰は直径2mm以下の細かい火山噴出物で、風に乗って広範囲に拡散する特徴があります。火山灰災害による主な被害は以下の通りです。

【健康被害】

火山灰には二酸化ケイ素などの有害物質が含まれており、呼吸器系の疾患や目の炎症、皮膚のかぶれなどを引き起こす可能性があります。特に高齢者や子供、既往症のある方は深刻な健康被害を受けやすいとされています。

【建築物への被害】

火山灰は乾燥時でも1平方メートルあたり数百キログラムの重量があり、湿った状態ではさらに重くなります。屋根に堆積すると建物の倒壊や損壊を引き起こす危険があります。また、エアコンや換気システムの故障の原因にもなります。

【農業被害】

作物の表面に火山灰が付着すると、光合成が阻害され生育不良を引き起こします。また、土壌に堆積した火山灰は農地の質を低下させ、長期的な農業被害をもたらす可能性があります。

【交通障害】

道路上に堆積した火山灰は、視界不良やスリップ事故の原因となります。また、航空機のエンジンに深刻なダメージを与える可能性があるため、航空便の欠航や空港の閉鎖を引き起こすことがあります。

【ライフラインへの影響】

火山灰は電気設備に悪影響を及ぼし、停電の原因となることがあります。また、水道施設や下水道システムの詰まりを引き起こし、水の供給や排水に支障をきたす可能性があります。

【経済的影響】

清掃作業や修繕費用、事業活動の停止による損失など、火山灰災害は甚大な経済的被害をもたらします。特に観光業や農業、製造業への影響が大きいとされています。

【長期的な環境影響】

火山灰の堆積は、生態系や地域の環境に長期的な影響を与える可能性があります。水質の悪化や土壌環境の変化、植生の変化などが報告されています。

火山灰災害への備え

火山灰災害への備えは、「事前の準備」「発生時の対応」「事後の対策」の3段階に分けて考える必要があります。それぞれの段階で適切な対策を講じることで、被害を最小限に抑えることができます。

【事前の準備】

家庭での備蓄品として以下のものを用意しておくことが推奨されます。

防災用品:防塵マスク(N95規格推奨)、ゴーグル、長袖・長ズボン、帽子、ヘルメット、懐中電灯、携帯ラジオ

清掃用具:スコップ、ほうき、ちりとり、雨どい清掃道具、ビニール袋(厚手)

生活必需品:飲料水(1人1日3リットル×最低3日分)、非常食、常備薬、衛生用品

家屋の対策:窓や扉の目張り用テープ、雨どいの補強材、屋根の点検・補修

【情報収集と避難計画】

・居住地域の火山ハザードマップの確認

・避難所や避難経路の事前確認

・地域の防災訓練への参加

・家族との連絡方法や集合場所の確認

・防災無線やスマートフォンアプリなどの情報収集手段の確保

【発生時の対応】

建物内での対策:

・窓や扉を完全に閉める

・換気扇を停止し、外気の侵入を防ぐ

・エアコンの使用を控える

・不要な外出を避ける

外出が必要な場合:

・防塵マスクとゴーグルの着用

・長袖・長ズボンの着用

・帽子やヘルメットの着用

・運転を避ける(視界不良やスリップの危険性)

【火山灰除去作業】

作業時の安全確保:

・適切な防護具の着用

・こまめな休憩と水分補給

・複数人での作業実施

除去作業のポイント:

・屋根からの除去を優先(荷重軽減)

・ドライ掃除は避け、少量の水で湿らせてから除去

・排水溝や雨どいの詰まり防止

・電気機器への侵入防止

【健康管理】

室内での対策:

・こまめな手洗いとうがい

・室内の清掃(掃除機は使用しない)

・十分な水分摂取

体調管理:

・目の洗浄(コンタクトレンズの使用を避ける)

・呼吸器系の症状に注意

・皮膚のケア(火山灰は強いアルカリ性)

【コミュニティでの対応】

・近隣住民との協力体制の構築

・高齢者や要支援者への配慮

・共有スペースの清掃分担

・情報の共有と相互支援

【行政サービスの活用】

・自治体の清掃サービスの確認

・災害ゴミの処理方法の確認

・補助金や支援制度の確認

・被害状況の報告方法の把握

これらの備えを総合的に行うことで、火山灰災害による被害を最小限に抑えることができます。特に重要なのは、事前の準備と情報収集、そして適切な防護措置の実施です。

火山灰災害への備え「地震保険」について

火山灰災害による建物被害は、一般的な火災保険では補償されませんが、地震保険によって補償される可能性があります。火山活動による被害への経済的な備えとして、地震保険の加入を検討することが重要な選択肢となります。

地震保険の補償範囲について説明します。地震保険では、地震・噴火・津波を原因とする損壊、埋没、流失による損害が補償対象となります。具体的には、火山灰の重みによる建物の損壊や、火山灰の堆積による建物の埋没なども、噴火による直接的な被害として補償の対象に含まれます。建物の損害程度に応じて補償額が決定され、全損の場合は地震保険の保険金額の100%、大半損の場合は60%、小半損の場合は30%、一部損の場合は5%が支払われます。

地震保険には重要な特徴があります。まず、この保険は単独では加入できず、必ず火災保険とセットでの契約となります。保険金額は火災保険の30%から50%の範囲内で設定され、住宅の所在地や構造によって保険料が異なります。また、この保険制度は政府と民間保険会社の共同運営による特殊な制度となっています。建物と家財は別々に契約する必要があり、それぞれに応じた補償内容を検討する必要があります。

地震保険に加入する際は、いくつかの重要な点に注意が必要です。まず居住地域の火山リスクを十分に確認し、それに応じた適切な保険金額を設定することが大切です。また、具体的にどのような被害が補償対象となるのか、免責事項は何かを事前によく確認しておくことも重要です。地域によって保険料に大きな差があることも知っておくべき点です。

実際に被害が発生し、保険金を請求する際の手続きについても理解しておく必要があります。被害が発生した場合は、まず被害状況を写真で記録し、損害状況を詳細に記録することが重要です。保険会社への連絡は速やかに行い、り災証明書などの必要書類を準備する必要があります。その後、保険会社の調査員による査定が行われ、それに基づいて保険金が支払われることになります。

地震保険以外にも、様々な保険や共済制度が存在します。JA共済(農協の建物更生共済)や全労済(労働者共済)、市民共済、各種互助会の共済制度、地方自治体独自の保険制度などがあります。さらに、災害救助法による支援や被災者生活再建支援制度、市町村の独自支援制度、災害融資制度、税の減免措置といった公的支援制度も用意されています。

火山灰災害への備えとして地震保険は重要な選択肢の一つですが、加入にあたっては補償内容や条件を十分に理解することが大切です。また、地震保険だけでなく、その他の支援制度についても把握しておくことで、より充実した災害への備えが可能となります。

火山灰災害に強い家づくりのポイント

火山灰災害に強い家づくりでは、建物の構造的な強化から設備の保護まで、総合的な対策が必要です。特に重要なのは、火山灰の重みに耐えられる構造設計と、火山灰の侵入を防ぐ防災機能です。それぞれの要素について詳しく解説します。

屋根の設計と構造強化は最も重要な要素となります。火山灰は1平方メートルあたり数百キログラムもの重量になることがあり、特に降雨で濡れた場合はさらに重くなります。そのため、屋根は45度以上の急勾配にすることで、火山灰が自然に落下しやすい構造にすることが推奨されます。また、屋根材には耐荷重性の高い材料を使用し、補強材を適切に配置することで構造的な強度を確保します。

雨どいと排水システムの設計も重要です。火山灰は雨どいに詰まりやすく、その重みで雨どいが破損する可能性があります。そのため、通常より大きめの雨どいを設置し、途中に点検口を設けることで、定期的な清掃や点検が行いやすい構造にすることが必要です。また、排水溝も通常より大きめに設計し、火山灰が詰まりにくい構造にすることが推奨されます。

換気システムの設計も火山灰対策として重要です。外気を取り入れる換気口には高性能なフィルターを設置し、火山灰の侵入を防ぐ必要があります。また、フィルターの交換や清掃が容易な構造にすることで、メンテナンス性を確保します。空調設備の室外機は、火山灰から保護するためのカバーの設置が可能な場所に配置することが望ましいです。

窓や出入り口の気密性も重要な要素です。火山灰は非常に細かい粒子で、わずかな隙間からも侵入します。そのため、高気密性のサッシを採用し、必要に応じて二重サッシの設置も検討します。また、玄関には風除室を設けることで、火山灰の室内への侵入を最小限に抑えることができます。

外壁材の選択も重要な検討事項です。火山灰は強い酸性を持つことがあり、建材を腐食させる可能性があります。そのため、耐候性と耐酸性に優れた外壁材を選択する必要があります。また、定期的な清掃が容易な材質や表面処理を施した外壁材を選ぶことで、メンテナンス性を向上させることができます。

建物周辺の設計も考慮が必要です。火山灰の除去作業を考慮し、建物周囲に十分なスペースを確保します。また、火山灰を一時的に集積できる場所を設けることで、効率的な清掃作業が可能になります。庭や駐車場の舗装材も、火山灰の影響を受けにくい材質を選択することが推奨されます。

電気設備の保護も忘れてはいけません。配電盤やコンセントなどの電気設備は、火山灰の侵入を防ぐ防塵カバーで保護する必要があります。また、太陽光パネルを設置する場合は、火山灰の堆積を考慮した角度や清掃のしやすさを考慮した設置方法を選択します。

これらの対策を総合的に実施することで、火山灰災害に対する建物の耐性を高めることができます。ただし、これらの対策には追加のコストが発生することも考慮に入れる必要があります。地域の火山リスクに応じて、必要な対策の優先順位を検討することが賢明です。

よくある質問(Q&A)

Q1:火山灰はどのくらいの範囲まで飛ぶのでしょうか?

A1:火山灰の到達範囲は、噴火の規模や気象条件によって大きく異なります。大規模な噴火の場合、数百キロメートル以上離れた地域にまで到達することがあります。特に上空の風向きによって、予想外の地域まで飛散することもあるため、火山から離れた地域でも注意が必要です。また、微細な火山灰粒子は成層圏まで達し、地球規模で拡散する可能性もあります。

Q2:火山灰が降ってきた時、どのような対策をすればよいですか?

A2:まず、不要な外出は控え、室内に留まることが重要です。窓やドアを閉め、換気扇の使用を停止し、外気の侵入を防ぎます。外出が必要な場合は、防塵マスク、ゴーグル、長袖・長ズボンを着用し、帽子をかぶることを推奨します。また、室内に入る前に衣服についた火山灰をよく払い落とし、手洗い・うがいを徹底することが大切です。

Q3:火山灰はいつまで影響が続くのでしょうか?

A3:火山灰の影響は、短期的なものから長期的なものまで様々です。降灰直後は視界不良や呼吸器への影響が問題となり、その後、清掃や除去作業が必要となります。堆積した火山灰は風で舞い上がるため、完全に除去されるまでは影響が継続する可能性があります。また、土壌への影響は数年から数十年続くことがあり、農業などへの長期的な影響も考慮する必要があります。

Q4:火山灰の除去はどのように行えばよいですか?

A4:火山灰の除去は、乾燥した状態での掃き掃除は避け、少量の水で湿らせてから行うことが推奨されます。屋根や高所の作業は危険を伴うため、専門業者への依頼を検討してください。除去した火山灰は、自治体の指示に従って適切に処分する必要があります。また、作業時は必ず防護具を着用し、定期的に休憩を取りながら行うことが重要です。

Q5:火山灰は健康にどのような影響がありますか?

A5:火山灰は呼吸器系への刺激、目の炎症、皮膚のかぶれなどを引き起こす可能性があります。特に、気管支喘息や呼吸器疾患のある方、高齢者、子供は影響を受けやすいため注意が必要です。また、火山灰に含まれる成分によっては、長期的な健康影響も懸念されるため、適切な防護措置を取ることが重要です。

Q6:火山灰が降った後、車の運転は可能ですか?

A6:火山灰が降っている最中や直後の運転は極めて危険です。火山灰は視界を著しく妨げ、路面を滑りやすくします。また、エンジンに火山灰が入り込むと、深刻な故障の原因となる可能性があります。どうしても運転が必要な場合は、十分な車間距離を保ち、低速で慎重に運転する必要があります。

Q7:火山灰による被害は保険でカバーされますか?

A7:火山灰による被害は、一般的な火災保険では補償されませんが、地震保険で補償される可能性があります。地震保険は火山の噴火やそれに伴う津波による損害もカバーしています。ただし、保険の種類や契約内容によって補償範囲が異なるため、事前に確認することが重要です。

Q8:家電製品や電気設備への影響はありますか?

A8:火山灰は電気製品に深刻な影響を与える可能性があります。特に、エアコンの室外機、パソコン、テレビなどの精密機器は、火山灰の侵入によって故障する可能性があります。予防策として、機器にカバーをかけたり、使用を控えたりすることが推奨されます。また、火山灰の清掃後も、専門家による点検を受けることをお勧めします。

まとめ

火山灰災害への備えは、事前の対策と適切な家づくりの両面から考える必要があります。日頃からの備蓄品の準備、保険加入の検討、そして家屋の構造的な対策を講じることで、被害を最小限に抑えることができます。特に日本の火山地域に住む方々は、これらの対策を十分に検討することをお勧めします。

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記事監修者

1級ファイナンシャル・プランニング技能士 / 渡辺 知光

大学卒業後、積水化学工業に入社し住宅「セキスイハイム」を販売。3年8カ月千葉県内で営業に従事し、営業表彰を6期連続受賞。
途中、母の急死に直面し、自分の将来について悩み始める。結果、大学のゼミで学んだ「保険」事業に実際に携わりたいと思いFP資格を取得して日本生命に転職。4年間営業に従事したが、顧客に対して提供出来る商品がなく退職を決意。FP兼保険代理店を開業する。

収入も顧客もゼロからのスタート。しかも独立直前に結婚し住宅購入した為、返済不安に陥り貯蓄が日々減っていく恐怖を覚える。

人生で初めて家計の見直しを行い、根本的な改善により失敗と不安を減らすコツを発見。自分の経験を生かしお客様が同じ道を歩まないよう伝えるべく「マイホーム検討者向けFP」として活動中。

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    :有限会社ティーエムライフデザイン総合研究所

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    :渡辺知光

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