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欠陥住宅と気付いた際の対応や、事前の予防策・チェックポイント

家づくりの基本

2025/01/06

2025/01/06

記事監修者

1級ファイナンシャル・プランニング技能士 / 渡辺 知光

欠陥住宅と気付いた際の対応や、事前の予防策・チェックポイント

住宅は人生で最も大きな買い物の一つです。しかし、購入後に欠陥が見つかり、多大な精神的・経済的負担を強いられるケースが後を絶ちません。本記事では欠陥住宅の定義から対処法、事前の予防策までを詳しく解説します。

欠陥住宅とは

欠陥住宅とは、建築基準法などの法令に違反する、または契約内容と著しく異なる重大な欠陥がある住宅のことを指します。これらの欠陥により、住宅としての基本的な安全性や居住性が大きく損なわれている状態を意味します。

欠陥住宅の主な特徴

欠陥住宅には、構造的欠陥、設備的欠陥、施工的欠陥という3つの主要な分類があります。構造的欠陥は建物の安全性に関わる重大な問題であり、設備的欠陥は生活の快適性を損なう問題、施工的欠陥は工事の不備による問題を指します。

具体的な欠陥の例

構造的欠陥としては、基礎のひび割れ、柱や梁の強度不足、耐震性能の不足などが挙げられます。これらは建物の倒壊リスクに直結する重大な問題です。設備的欠陥には、断熱材の施工不良、防音性能の不足、設備配管の不具合などがあります。施工的欠陥としては、防水工事の不備による雨漏り、外壁の剥離、内装材の施工ミスなどが該当します。

法的な定義と基準

法律上、住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)では、構造耐力上主要な部分または雨水の浸入を防止する部分に欠陥がある場合、瑕疵担保責任の対象となると定めています。建築基準法においても、安全性や衛生面での最低限の基準が定められており、これらに違反する場合は欠陥住宅となる可能性が高くなります。

発見が難しい理由

欠陥住宅の問題点は、外観からは判断が難しく、専門的な知識がないと発見できないケースが多いことです。また、施工時に隠蔽されてしまう部分の欠陥は、実際に生活を始めてから問題が顕在化することも少なくありません。このため、購入前の専門家による詳細な調査が重要となります。

欠陥住宅が及ぼす影響

欠陥住宅による影響は、居住者の生命や財産に関わる深刻なものとなり得ます。安全性の問題だけでなく、修繕費用の発生による経済的負担、居住環境の悪化によるストレス、資産価値の大幅な低下など、多岐にわたる影響を及ぼす可能性があります。

見分け方のポイント

欠陥住宅を見分けるためには、以下の点に特に注意が必要です。まず、建物の傾きや歪みがないか、基礎部分にひび割れや湿気がないかを確認します。次に、壁や天井のシミや変色、床の異常な沈み込みなどをチェックします。また、窓や扉の開閉具合、設備の動作状況なども重要な判断材料となります。

欠陥住宅と判断される基準

欠陥住宅と判断される基準は、主に3つあります。1つ目は建築基準法などの法令違反、2つ目は契約内容との重大な相違、3つ目は住宅の基本的な安全性や居住性を損なう重大な欠陥の存在です。これらの基準に該当する場合、法的な救済措置を求めることが可能となります。

欠陥住宅と気付いた際の対応

欠陥住宅と気付いた場合、冷静かつ迅速な対応が必要です。適切な手順で対応することで、問題解決の可能性が高まり、被害を最小限に抑えることができます。以下に具体的な対応手順と注意点を詳しく解説します。

初期対応の重要性

欠陥を発見したら、まず詳細な記録を残すことが重要です。日付、時間、状況、被害の程度などを文書化し、写真や動画で視覚的な記録を残します。これらの記録は、後の交渉や法的手続きにおいて重要な証拠となります。また、欠陥による被害の拡大を防ぐための応急処置も検討する必要があります。

専門家への相談

建築士や住宅診断の専門家に依頼し、欠陥の程度や原因について専門的な調査を行うことが推奨されます。この調査報告書は、施工会社との交渉や法的手続きの際の重要な証拠となります。また、住宅専門の弁護士に相談し、法的なアドバイスを受けることも検討すべきです。

施工会社への申し入れ

調査結果をもとに、施工会社に対して補修要求を行います。この際、内容証明郵便を利用し、書面での正式な申し入れを行うことが重要です。要求内容には、発見された欠陥の詳細、望む対応(補修や損害賠償など)、回答期限などを明確に記載します。

交渉のポイント

施工会社との交渉では、感情的にならず、証拠に基づいた冷静な対応を心がけます。交渉内容は必ず記録し、口頭での約束は書面化を求めます。また、安易な示談や補修提案に応じる前に、専門家に相談することが推奨されます。

紛争解決機関の活用

交渉が難航する場合、住宅紛争審査会や住宅専門の調停機関などの紛争解決機関を利用することができます。これらの機関は、専門的知識を活かした公平な判断を提供し、比較的低コストで紛争解決を図ることができます。

法的手続きの検討

話し合いによる解決が困難な場合は、訴訟を含めた法的手続きを検討します。この場合、瑕疵担保責任や契約不適合責任に基づく損害賠償請求などの法的手段を取ることになります。ただし、訴訟には時間と費用がかかるため、慎重な判断が必要です。

保険・保証の確認

住宅瑕疵担保責任保険や住宅保証機構による保証の有無を確認します。これらが適用される場合、保険金や保証金による補償を受けられる可能性があります。保険や保証を利用する場合は、定められた期限内に手続きを行う必要があります。

記録の保管と更新

すべての対応過程における記録(写真、文書、やり取りの記録など)を適切に保管し、必要に応じて更新します。特に修繕工事を行う場合は、工事前後の状況や工事内容を詳細に記録することが重要です。

居住者の健康と安全確保

欠陥による健康被害や安全上のリスクが懸念される場合は、一時的な転居を含めた安全確保措置を検討します。この際の費用についても、損害賠償の対象となる可能性があるため、記録を残しておくことが重要です。

欠陥住宅をつかまないための事前の予防策・チェックポイント

欠陥住宅を回避するためには、購入前の徹底した調査と確認が不可欠です。適切な予防策を講じることで、将来的な問題を未然に防ぐことができます。以下に重要なチェックポイントと予防策を詳しく解説します。

建設会社・不動産会社の選定

信頼できる業者選びは最も重要な予防策です。実績や評判、財務状況、アフターサービス体制などを徹底的に調査します。具体的には、過去の施工実績、業界での評価、経営状態、建設業許可の有無、住宅性能保証の加入状況などを確認します。また、過去に欠陥住宅に関する訴訟歴がないかも調べる必要があります。

設計図書・契約書の確認

設計図書や契約書は細部まで確認することが重要です。特に構造計算書、建築確認申請書、仕様書などの技術資料は、専門家に確認を依頼することをお勧めします。契約書では、瑕疵担保責任の範囲や期間、保証内容、アフターサービスの条件などを明確に確認し、不明な点は必ず質問して書面での回答を得ます。

第三者による建物検査

建設会社とは独立した第三者の建築士による建物検査を実施することが重要です。特に中古住宅の場合は、建物状況調査(インスペクション)を必ず実施します。検査では、構造躯体、防水性能、設備の状態など、住宅の重要な部分を専門的な視点でチェックします。

工事段階での確認ポイント

新築の場合、工事の各段階で現場確認を行うことが重要です。特に基礎工事、躯体工事、防水工事など、後から確認が難しい重要な工程では、必ず立ち会いを求めます。また、使用される建材や施工方法が契約時の仕様と一致しているかも確認します。写真やビデオによる記録も残しておくことをお勧めします。

住宅性能表示制度の活用

住宅性能表示制度を利用することで、住宅の品質を客観的に評価することができます。新築住宅の場合は設計住宅性能評価書と建設住宅性能評価書の両方を取得し、中古住宅の場合は既存住宅性能評価書の取得を検討します。これにより、構造耐力、防火性能、省エネルギー性能などが明確になります。

保険・保証の確認

住宅瑕疵担保責任保険への加入状況や保証内容を確認します。特に新築住宅の場合、この保険の加入は法律で義務付けられています。保証期間や補償範囲、免責事項などの詳細を確認し、書面で残すことが重要です。

専門家への相談

購入前に建築士や不動産専門の弁護士に相談することをお勧めします。専門家の視点から、契約内容や建物の品質、法的リスクなどについて助言を受けることができます。特に高額な買い物となる住宅購入では、専門家への相談費用は必要な投資と考えるべきです。

周辺環境の調査

建物自体だけでなく、周辺環境も重要なチェックポイントです。地盤の状態、過去の災害履歴、周辺の開発計画、日照条件、騒音環境などを調査します。これらの要因は、住宅の長期的な価値や居住性に大きな影響を与える可能性があります。

引渡し時の確認事項

引渡し時には、専門家立会いのもと、細部まで確認を行います。設備の動作確認、仕上がりの確認、契約内容との整合性チェックなどを実施します。また、取扱説明書や保証書、メンテナンス情報などの必要書類がすべて揃っているかも確認します。

よくある質問(Q&A)

欠陥住宅に関して、多くの方が疑問や不安を抱えています。以下に、特に質問の多い事項とその回答をまとめました。これらの情報は、住宅購入や問題発生時の参考となります。

購入前の疑問

Q:欠陥住宅かどうかの判断基準は?

A:主な判断基準は、建築基準法違反の有無、安全性や居住性を損なう重大な欠陥の存在、契約内容との著しい相違です。具体的には、構造上の問題、防水性能の不足、設備の重大な不具合などが該当します。判断が難しい場合は、専門家による調査が推奨されます。

Q:インスペクション(建物状況調査)は必ず必要?

A:特に中古住宅の購入時には強く推奨されます。費用は10万円前後かかりますが、将来的な高額修繕を防ぐための重要な投資となります。新築住宅でも第三者の視点での確認として有効です。

Q:住宅の保証期間はどのくらい?

A:新築住宅の場合、基本構造部分は10年間の瑕疵担保責任が法定されています。設備等の保証期間は通常1-2年程度です。中古住宅の場合は、売買契約での取り決めによります。

発見時の対応

Q:欠陥が見つかった場合の請求権の時効は?

A:欠陥を知った時から1年以内に請求する必要があります。ただし、引き渡しから最長10年が経過すると、原則として請求権は消滅します。早期発見・早期対応が重要です。

Q:修補費用の相場はどのくらい?

A:欠陥の種類や程度によって大きく異なります。軽微な修理で数十万円から、大規模な補修工事では数千万円になることもあります。費用負担については、保険や保証の適用可能性を確認することが重要です。

Q:施工会社が倒産した場合はどうすればよい?

A:住宅瑕疵担保責任保険に加入している場合は、保険による補償を受けられる可能性があります。また、保証機関による保証が適用される場合もあります。これらが適用されない場合は、法的手続きを検討する必要があります。

法的対応

Q:弁護士への相談は必要?

A:深刻な欠陥が見つかった場合や、施工会社との交渉が難航する場合は、専門の弁護士への相談が推奨されます。特に損害賠償請求を検討する場合は、法的なアドバイスが重要です。

Q:訴訟にかかる費用と期間は?

A:一般的な訴訟費用は、着手金と成功報酬を合わせて100万円以上かかることが多く、期間は1-2年程度を要します。ただし、調停や住宅紛争審査会などの代替的解決手段もあります。

予防・対策

Q:売主・施工会社の信頼性はどう確認する?

A:建設業許可の有無、施工実績、財務状況、顧客評価などを複数の情報源から確認します。また、住宅展示場や完成物件の見学、過去の施主への問い合わせなども有効です。

Q:契約時に特に注意すべき点は?

A:瑕疵担保責任の範囲や期間、保証内容、アフターサービスの条件などを明確に確認し、書面化することが重要です。また、使用される材料や工法についても具体的な記載を求めます。

Q:定期的な点検は必要?

A:年1回程度の定期点検が推奨されます。特に梅雨時期前後での防水性能の確認や、台風シーズン前の建物外部の点検は重要です。早期発見が修繕費用の削減につながります。

まとめ

欠陥住宅問題は、事前の予防と早期発見・対応が鍵となります。購入前の徹底した調査、専門家への相談、適切な記録の保管など、細心の注意を払うことが重要です。問題が発生した場合は、冷静に証拠を収集し、必要に応じて法的手段も含めた適切な対応を取ることが解決への近道となります。

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記事監修者

1級ファイナンシャル・プランニング技能士 / 渡辺 知光

大学卒業後、積水化学工業に入社し住宅「セキスイハイム」を販売。3年8カ月千葉県内で営業に従事し、営業表彰を6期連続受賞。
途中、母の急死に直面し、自分の将来について悩み始める。結果、大学のゼミで学んだ「保険」事業に実際に携わりたいと思いFP資格を取得して日本生命に転職。4年間営業に従事したが、顧客に対して提供出来る商品がなく退職を決意。FP兼保険代理店を開業する。

収入も顧客もゼロからのスタート。しかも独立直前に結婚し住宅購入した為、返済不安に陥り貯蓄が日々減っていく恐怖を覚える。

人生で初めて家計の見直しを行い、根本的な改善により失敗と不安を減らすコツを発見。自分の経験を生かしお客様が同じ道を歩まないよう伝えるべく「マイホーム検討者向けFP」として活動中。

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    :渡辺知光

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