housemarriage

市街化調整区域の特徴や住宅購入時の注意点について解説

家づくりの基本

2025/01/07

2025/01/07

記事監修者

1級ファイナンシャル・プランニング技能士 / 渡辺 知光

市街化調整区域の特徴や住宅購入時の注意点について解説

市街化調整区域は、都市計画法によって定められた区域で、市街化を抑制すべき区域として位置づけられています。本記事では、市街化調整区域の基本的な特徴から注意点まで、土地活用や不動産取引を検討されている方向けに詳しく解説します。

市街化調整区域の特徴

市街化調整区域の主な特徴について、区域の性質、土地利用、規制内容、環境面から詳しく解説します。

法的位置づけと目的

市街化調整区域は、都市計画法第7条において「市街化を抑制すべき区域」として定められています。無秩序な市街地の拡大を防ぎ、計画的な都市の発展を促すことを目的としています。

開発・建築の規制

この区域での開発行為は原則として禁止されており、例外的に認められる開発は以下のようなケースに限定されています。農業、林業または漁業の用に供する建築物の建築、農家の分家住宅の建築、既存集落内での自己用住宅の建築などが該当します。

土地価格の特徴

市街化区域と比較して土地価格が安価である傾向があります。これは開発の制限により、土地の利用価値が限定されているためです。ただし、将来的な区域区分の見直しへの期待から、一部の地域では相応の価格水準を保っているケースもあります。

自然環境の保全

市街化調整区域は、農地や緑地などの自然環境を積極的に保全する役割を担っています。そのため、豊かな自然環境や良好な営農環境が維持されており、環境保全の観点から重要な意味を持つ区域となっています。

インフラ整備状況

市街化を抑制する区域であるため、道路、上下水道、公共施設などのインフラ整備は市街化区域と比べて限定的です。ただし、既存集落内では一定のインフラが整備されている場合もあります。

許可を受けられる建築物

開発許可を受けることができる建築物には、地域住民の日常生活のために必要な物品の販売・加工・修理の店舗等、農林漁業用施設、公共公益施設などが含まれます。ただし、これらも一定の要件を満たす必要があります。

土地利用の実態

主に農地、山林、原野などとして利用されており、既存集落や農家住宅が点在する形態が一般的です。また、市街化区域に隣接する地域では、将来の市街化区域編入を見据えた土地利用が行われているケースもあります。

地域コミュニティの特徴

古くからの農村集落が維持されている地域が多く、伝統的な地域コミュニティが残っています。一方で、新規の居住者を受け入れる余地が限られているため、人口減少や高齢化が進行している地域も少なくありません。

不動産取引上の特徴

不動産取引が比較的少なく、市場の流動性が低いという特徴があります。また、建築制限により建物の用途が限定されるため、投資用不動産としての活用は困難なケースが多くなっています。

将来的な開発可能性

原則として開発が制限されていますが、都市計画の見直しにより市街化区域に編入される可能性もあります。ただし、そのような見直しは慎重に行われ、実現までには相当な期間を要することが一般的です。

市街化調整区域で住宅を購入する際の注意点

市街化調整区域での住宅購入は、一般の不動産取引とは異なる特殊な注意点があります。購入を検討されている方に向けて、重要な確認事項と注意点を詳しく解説します。

建物の法的状況の確認

市街化調整区域内の建物が適法に建築されたものであるかの確認が最も重要です。違法建築物の場合、将来の建て替えや増改築が一切認められない可能性があります。建築確認済証や検査済証の有無、建築時期の確認が必須となります。

既存建物の建て替え制限

適法に建てられた建物であっても、建て替えの際には厳しい制限があります。建て替えが可能な場合でも、従前の建物と同じ規模や用途に制限される場合が多く、間取りの大幅な変更や増築が認められないことがあります。

インフラ整備状況の確認

上下水道、ガス、インターネット回線などのインフラ整備状況を詳細に確認する必要があります。特に浄化槽の設置状況や維持管理費用、道路の除雪対応の有無なども重要な確認ポイントです。

周辺環境の将来性

市街化調整区域は開発が制限されるため、将来的な生活利便施設の増加は期待できません。むしろ、人口減少により既存の施設が撤退するリスクも考慮する必要があります。通勤、通学、買い物などの生活動線を十分に確認することが重要です。

地域特有のリスク確認

農地や山林に囲まれた環境特有のリスクがあります。獣害の可能性、農薬散布の影響、土砂災害警戒区域などの災害リスク、地盤の状況など、都市部とは異なる観点からの確認が必要です。

金融機関の融資条件

市街化調整区域の物件は、金融機関によって融資の審査基準が厳しくなる場合があります。特に建て替えを前提とした購入の場合、将来の建て替えの可能性も含めて融資の可否が判断されることがあります。

不動産価値の変動

市街化調整区域の物件は一般的に資産価値の上昇を期待することが難しく、むしろ下落するリスクが高いといえます。転売を考慮する場合は、この点を十分に理解しておく必要があります。

地域コミュニティへの配慮

古くからの集落では、地域特有の慣習や共同作業(道普請や草刈りなど)への参加が求められることがあります。事前に地域のルールや慣習について確認することが重要です。

専門家への相談

市街化調整区域の不動産取引は専門的な知識が必要です。不動産業者だけでなく、建築士や土地家屋調査士などの専門家に相談し、建築制限や法的リスクについて十分な確認を行うことをお勧めします。

将来の相続対策

市街化調整区域の物件は、相続時の評価額が低くなる傾向にあります。一方で、建て替え制限により次世代の活用が制限される可能性もあるため、将来の相続対策も考慮に入れる必要があります。

行政への事前確認

物件購入前に、必ず市町村の都市計画課などで建築制限の詳細や将来的な土地利用計画について確認することが重要です。地域によって規制の内容が異なる場合もあるため、具体的な確認が必要です。

よくある質問(Q&A)

市街化調整区域に関して多く寄せられる質問について、具体的に回答します。土地活用や不動産取引の判断にお役立てください。

建築・開発に関する質問

Q:市街化調整区域でも一般の住宅は建てられますか?

A:原則として新規の一般住宅の建築はできません。ただし、以下の場合は例外的に許可される可能性があります: ・農家の分家住宅 ・既存集落内での自己用住宅 ・線引き前から宅地だった土地での建築 ・開発許可を得た開発区域内での建築

Q:既存の建物を建て替えることはできますか?

A:適法に建築された建物であれば、原則として同じ規模・用途での建て替えは可能です。ただし、建て替え後の床面積を1.5倍までに制限されるなど、様々な条件があります。

Q:空き家を購入してカフェに改装することはできますか?

A:既存建築物の用途変更には厳しい制限があり、原則として認められません。ただし、地域の活性化に資する施設として特例で認められる場合もあるため、事前に行政への相談が必要です。

土地利用に関する質問

Q:市街化調整区域の土地は、将来的に市街化区域になる可能性はありますか?

A:都市計画の見直しにより市街化区域に編入される可能性はありますが、人口減少社会において、そのようなケースは極めて稀です。投資目的での期待は避けるべきでしょう。

Q:農地を宅地に変更することは可能ですか?

A:農地転用許可と開発許可の両方が必要となり、一般的な宅地化は極めて困難です。農業用施設や農家住宅など、農業関連の用途に限り検討の余地があります。

不動産取引に関する質問

Q:市街化調整区域の土地は資産価値が下がりやすいのですか?

A:開発制限により利用価値が限定されるため、一般的に資産価値は下落傾向にあります。ただし、立地条件や既存インフラの整備状況により、価格の安定性は異なります。

Q:住宅ローンは組めますか?

A:適法な建物であれば住宅ローンを組むことは可能です。ただし、金融機関によって審査基準が厳しくなる場合があり、建て替えの可能性なども含めて総合的に判断されます。

生活環境に関する質問

Q:インフラ整備は十分ですか?

A:地域によって大きく異なります。既存集落では基本的なインフラは整備されていますが、下水道が未整備で合併浄化槽が必要な地域も多くあります。購入前の詳細な確認が必要です。

Q:地域の共同作業には必ず参加しなければなりませんか?

A:地域により異なりますが、道路の清掃や草刈りなどの共同作業への参加が求められることが多いです。地域コミュニティの一員として、可能な範囲での協力が望ましいとされています。

法規制に関する質問

Q:違法建築物を購入してしまった場合はどうなりますか?

A:建て替えや大規模修繕が一切できなくなる可能性があります。また、災害時の支援や保険適用にも影響が出る可能性があるため、購入前の法的状況の確認が極めて重要です。

Q:開発許可を得るにはどうすればいいですか?

A:まずは市町村の都市計画課に相談することをお勧めします。開発の目的や規模、周辺環境との調和など、様々な要件を満たす必要があり、専門家のサポートを受けることが一般的です。

まとめ

市街化調整区域は、自然環境の保全と計画的な土地利用を目的とした区域です。土地や建物の取得を検討する際には、開発規制や建築制限について十分な理解が必要です。特に、将来的な土地活用の可能性や生活利便性については慎重な検討が求められます。不動産取引の際は、専門家への相談を通じて、自身のニーズに合った選択をすることが重要です。

なお、当社が提供している「housemarriage」では、住宅コンシェルジュが理想の家づくりのサポートとして、住まいを探す上で重要なハウスメーカーや工務店の営業担当者とのマッチングサポートをさせていただきます。住宅購入の資金計画の相談・作成や、相性良く親身になってくれる「営業担当者」をご紹介します。家づくりに関して少しでも不安を感じるようであれば、お問い合わせください。

サービスについて
詳しく知りたい方はこちら

この記事のタグ

記事監修者

1級ファイナンシャル・プランニング技能士 / 渡辺 知光

大学卒業後、積水化学工業に入社し住宅「セキスイハイム」を販売。3年8カ月千葉県内で営業に従事し、営業表彰を6期連続受賞。
途中、母の急死に直面し、自分の将来について悩み始める。結果、大学のゼミで学んだ「保険」事業に実際に携わりたいと思いFP資格を取得して日本生命に転職。4年間営業に従事したが、顧客に対して提供出来る商品がなく退職を決意。FP兼保険代理店を開業する。

収入も顧客もゼロからのスタート。しかも独立直前に結婚し住宅購入した為、返済不安に陥り貯蓄が日々減っていく恐怖を覚える。

人生で初めて家計の見直しを行い、根本的な改善により失敗と不安を減らすコツを発見。自分の経験を生かしお客様が同じ道を歩まないよう伝えるべく「マイホーム検討者向けFP」として活動中。

運営会社情報

  • 会社名

    :有限会社ティーエムライフデザイン総合研究所

  • 代表者

    :渡辺知光

  • 本社
    所在地

    :〒104-0045 東京都中央区築地2-15-15 セントラル東銀座1002

  • アクセス

    :地下鉄日比谷線築地駅より徒歩3分

    :地下鉄日比谷線都営浅草線東銀座駅より徒歩3分

housemarriage(住宅営業担当者とのマッチングサービス)についてご紹介します