注文住宅とは?分譲・建売住宅との違いやメリット・デメリットを分かりやすく解説!
家づくりの基本
2024/05/29
2024/05/29
家づくりを検討している方にとって、理想の住まいを実現するためにはさまざまな選択肢があります。その中でも「注文住宅」は、自分たちのライフスタイルや好みに合わせた住まいを一から設計できる魅力的な選択肢の1つです。しかし、注文住宅にはどのような特徴があり、分譲住宅や建売住宅とどのように異なるのでしょうか?
この記事では、注文住宅について詳しく解説します。注文住宅の基本的な概念や種類、注文住宅のメリット・デメリットを理解することで、自分たちにとって最適な住まい選びができるようサポートします。さらに、注文住宅を建てる際の具体的な流れや費用相場、注意点についても詳しく紹介します。
目次
注文住宅とは?
注文住宅とは、建築主が選んだ施工会社と「建築工事請負契約」を結び、自身が所有する土地や新たに購入した土地に、間取りや設備、内装、外観などをライフスタイルや好みに合わせて自由に設計・建築する一戸建て住宅のことを指します。この方式では、建築主が家づくりのあらゆる面に関与できるため、理想の住まいを実現するための選択肢が広がります。
注文住宅の最大の特徴は、その自由度です。建築主の希望に応じて、間取りやデザイン、使用する建材、設備、スイッチやコンセントの位置など細部に至るまでカスタマイズできる点が魅力です。これにより、住む人のライフスタイルや嗜好にぴったりと合った住まいを作り上げることができます。
しかし、すべてが自由に決められるわけではありません。自由度は、依頼するハウスメーカーや施工会社ごとに異なりますし、後述する注文住宅の種類によっても変わってきます。また、建築には建築基準法や地域ごとの規制があり、これらの法律やルールに従う必要があります。例えば、建ぺい率や容積率、斜線規制、地域の景観条例などがあり、これらの制約の中でプランを練ることになります。
したがって、注文住宅を建てる際には、事前にしっかりと情報収集を行い、規制やルールを把握しておくことが重要です。自由度の高い設計が魅力的な注文住宅ですが、その実現には詳細なプランニングと、法的規制の理解が不可欠です。
注文住宅の種類
注文住宅には大きく分けて3つの種類があります。それぞれの特徴や違いを理解することで、自分に最適な家づくりを選択する際の参考にしてください。
フルオーダー(完全注文)住宅
フルオーダー(完全注文)住宅は、すべてをオーダーメイドで設計する住宅です。建築主が建築家や設計者と密に連携し、間取りや全体のデザイン、使用する建築材料や導入する設備まで、すべてを希望に基づいてカスタマイズすることが可能です。部屋の数から窓の大きさ、細かな部分まで指定できるため、自分だけの理想の住まいを実現できます。
ただし、フルオーダー住宅は計画から完成まで多くのプロセスが必要となるため、完成まで時間がかかります。また、他の住宅タイプと比較しても費用が高くなる傾向があります。完全にオリジナルの住まいを求める方にとっては最適ですが、予算や時間に余裕が必要です。
セミオーダー住宅
セミオーダー住宅は、いくつかの基本となるパターンの中から自分の好みやライフスタイルに合致したものを選び、そこにカスタマイズを加えていくタイプの住宅です。フルオーダー住宅と比較してカスタマイズの自由度は少ないですが、基本となるパターンが存在するため、建設までの時間が短縮され、予算管理がしやすいという特徴があります。
施工会社やハウスメーカーによって異なりますが、セミオーダー住宅は比較的コストパフォーマンスが高く、短期間での建築が可能です。ただし、自由度が低いため、デザイン面でのオリジナリティを重視する方には不向きかもしれません。
規格住宅
規格住宅は、インテリアや間取りなど、あらかじめ用意されたパターンの中から選択して建築を進める住宅タイプです。セミオーダー住宅と似ていますが、さらに選択の幅が狭いため、自由度が低くなります。
規格住宅は標準化されたデザインのため、費用や期間が把握しやすいというメリットがあります。比較的短期間で建築が完了し、費用も抑えられるため、コストパフォーマンスを重視する方に適しています。ただし、他の住宅と似たデザインになりがちで、個性的な住まいを求める方には向かないかもしれません。
これらの注文住宅の種類を理解し、自分のライフスタイルや予算に合ったタイプを選ぶことで、満足度の高い家づくりを実現することができます。
注文住宅と分譲住宅・建売住宅の違いは?
注文住宅の特徴と種類について解説しましたが、注文住宅と比較して「分譲住宅」と「建売住宅」にはどのような違いがあるのでしょうか。ここでは、それぞれの特徴を詳しく解説していきます。
分譲住宅の特徴
分譲住宅とは、不動産会社がまとめて購入した土地を分割し、そこに住宅を建てて販売する形態です。分譲地と新築の住宅をセットとして販売されるため、統一されたデザインや間取りパターンで建てられることが多く、一昔前までは同じ外装の家が並んで建てられていました。
近年では、外装や内装のカスタマイズが可能な場合も増えてきていますが、土地が限られているため、注文住宅と比較すると自由度は制限されます。しかし、価格が低く抑えられていることが多く、価格を明確にしてから購入できるというメリットがあります。また、建物が既に完成しているため、購入後すぐに住むことができる点も魅力の一つです。
建売住宅の特徴
建売住宅とは、土地とすでに完成した住宅がセットで販売される形態です。注文住宅は施工会社と契約を結び住宅を建てるのに対して、建売住宅は不動産会社など住宅の売り主と契約を結び、住宅を購入します。住宅が完成しているため、分譲住宅と同様に早く住むことが可能です。
また、すでに建物が完成しているため、実際に暮らしてからのイメージがしやすく、モデルハウスを見学することで、具体的な生活のイメージを掴むことができます。しかし、建売住宅はすでに建築されており、建築のプランが決まっているため、間取りやデザインを自由に選ぶことができないというデメリットがあります。
建売住宅については下記記事でも解説していますので、ぜひご覧ください。
建売住宅のメリットとデメリットとは?住宅のプロが違いをわかりやすく解説
注文住宅との比較
注文住宅は、建築主が自由に設計やデザインを決めることができるため、理想の住まいを実現するための最適な選択肢です。分譲住宅や建売住宅と比較すると、自由度が高い反面、時間と費用がかかることが多いです。一方、分譲住宅や建売住宅は、注文住宅と比べると価格が低い傾向にあり、すぐに住むことができるという利便性がありますが、自由度は制限されます。
それぞれの特徴を理解し、自分のライフスタイルや予算に合わせた選択をすることが重要です。
注文住宅のメリット
注文住宅の魅力は、自由度の高さと家づくりのプロセスに関わることができる点にあります。ここでは、注文住宅の主なメリットを具体的に解説します。
オリジナルの家を建築できる
注文住宅の最大のメリットは、やはり間取りやデザイン、設備などにおいて、自分のこだわりを存分に反映させた唯一無二の家を建築できることです。共働きの家庭や子供の人数など、各家庭のライフスタイルに合わせて、納得のいくまで打ち合わせを行い、細部に至るまでこだわって設計できます。
例えば、キッチンの配置や高さ、リビングの広さ、収納スペースの多さなど、日常生活の利便性を考慮した設計が可能です。また、外観のデザインや使用する建材の選定も自由に行えるため、自分たちだけの理想の住まいを実現することができます。これにより、暮らし始めてからも満足感の高い住宅となるでしょう。
建築の過程が確認できる
もう1つのメリットは、家が完成するまでの過程を確認できることです。マイホームの購入は人生において最も大きな買い物の1つになるでしょう。建築中に現場を訪れ、進捗状況を確認することで、イメージしていた理想のマイホームがどのように実現されていくかを実感できます。
また、建築中に疑問が生じたり、予想していたものと異なる点が出てきたりした場合でも、施工会社に質問や相談を行い、必要に応じて修正や変更を依頼することができます。ただし、修正や変更には追加費用が発生することがあるため、事前に確認しておくことが重要です。
このように、建築の過程を確認しながら進めることで、完成後の住まいに対する安心感や満足度が高まります。
注文住宅のデメリット
注文住宅には多くのメリットがある一方で、デメリットも存在します。ここでは、注文住宅を建てる際に注意すべきデメリットを具体的に解説します。
コストが高くなる
注文住宅は、建物ごとに建築材料や設備を取り寄せる必要があるため、コストが高くなることがあります。まとめて資材を購入し、建築する建売住宅や分譲住宅に比べると、どうしても個別の資材調達やカスタマイズに伴う費用が大きくなる傾向にあります。また、住宅に対する要望が増えていくと、それに伴って追加費用が発生し、想定していた予算を超えてしまうといったケースも少なくありません。
そのため、こだわりたいポイントに優先順位をつけ、全体の予算をしっかりと管理することが重要です。初めから具体的な予算計画を立て、施工会社と十分にコミュニケーションを取りながら、コストを抑える工夫をすることが求められます。
入居までに時間がかかる
注文住宅は、建築費の見積りや建築申請など、さまざまなプロセスが必要です。特にフルオーダーの場合、設計から始める必要があるため打合せ回数も多くなり、必然的に入居までに時間がかかります。土地探しから始める場合は、さらに時間がかかることがあります。
建売住宅であれば、完成済みのため1ヶ月程度で入居可能ですが、注文住宅の場合は設計から完成までに7ヶ月から12ヶ月ほどかかります。最近では施工スタッフ不足の影響もあり施工開始時期が遅くなり1年半後に完成する会社もあります。転勤や子供の入学などの大きなイベントに合わせて新居への引っ越しを考えている場合は、入居までにかかる期間を逆算し、余裕をもった計画を立てることが重要です。
注文住宅を検討する際には、これらのデメリットも踏まえた上で、自分のライフスタイルや予算、スケジュールに合った選択しましょう。
注文住宅を建てる際の流れ
注文住宅を建てる際の大まかな流れを解説します。それぞれのステップについて順に解説していきます。
計画
まずは、自分のライフスタイルに合わせた家づくりの計画を立てます。予算内で実現可能な設計を行うために、明確な予算を決め、資金計画を立てましょう。必要に応じて、住宅ローンの相談や事前承認が必要な場合もあります。
次に、自分の理想のマイホームを実現するための建築家や設計事務所、ハウスメーカーを選びます。複数の会社から見積もりを取り、コスト、施工実績、保証制度、評判を比較検討し、最も自分に合った施工会社を選びましょう。施工会社との建築契約の際は、工事スケジュールや支払条件など、詳細な条件を決める必要があります。
打ち合わせ
計画が固まったら、建築士など担当者と設計の詳細な打ち合わせを行います。自身のライフスタイルを考慮し、間取りやデザイン、使用する建築材料や予算などの大枠を決めます。その後、内装や設備、窓やドアの大きさや位置などの詳細を詰めていきます。
この段階で、建築確認申請を行い、法的に問題ないかを確認します。建築確認申請は、建物が法令に適合しているかどうかを確認するための重要な手続きです。
建築
建築許可が下りたらいよいよ建築が開始されます。定期的に現場を訪れ、施工状況を確認しましょう。必要に応じて施工業者との調整を行い、問題が生じた場合でも迅速に対応できるようにしましょう。現場での確認は、品質管理と納得のいく仕上がりを実現するために重要です。
完成
すべての建築作業が完了したら、完了検査を行います。これは、建築確認申請に基づき建物が法的に問題ないかを確認する作業です。完了検査の申請は、自然災害などのやむを得ない事情がない限り、工事完了から4日以内に行う必要があります。
検査完了後、問題がなければ晴れて引き渡しとなります。引き渡し後は、新しいマイホームでの生活がスタートします。
家づくりの流れについては下記記事でも詳しく解説しています。
家づくりの流れ・ポイントをプロが解説―家づくりを始める前に知っておきたい基礎情報―
注文住宅を建てる際の注意点を解説
注文住宅を建てる際には、事前に確認しておきたいポイントがいくつかあります。これらの注意点を把握し、トラブルを避け、後悔しない家づくりを実現しましょう。
土地選びは慎重に
注文住宅を建てる際の土地選びは、将来的な快適性や利便性、資産価値に大きな影響を与えます。以下の点に注意して慎重に選びましょう。
・公共交通機関へのアクセス:通勤や通学の利便性を考慮し、最寄りの駅やバス停までの距離を確認しましょう。
・生活インフラの整備状況:スーパーや病院、学校、公園など、生活に必要な施設が近くにあるか確認します。
・地盤の状態:地盤が弱いと地震や地盤沈下のリスクが高まります。近隣含めた地盤の情報を収集して、安全性を確認しましょう。
・周辺の開発状況:将来的な周辺環境の変化を予測し、快適な生活が続けられるかを考慮します。
自分たちの理想を100%叶えた土地は見つからないと思っておきましょう。優先順位を決めて80点の土地が見つかったら購入するくらいの気持ちで探しましょう。
法規制の確認
土地の利用に関する制限や要件を事前に確認しておかないと、イメージしていた注文住宅が建てられない可能性があります。以下の点に注意しましょう。
・建ぺい率:土地面積に対する建築面積の割合を示し、どれだけの面積を建物で覆って良いかの指標です。
・容積率:土地面積に対する建築可能な延べ床面積の割合で、建物の規模を制限します。
・高さ制限:建物の高さに関する規制があり、周囲の景観や日照権を考慮する必要があります。
・斜線規制:道路境界線や隣地境界線からの距離に応じて建物の各部分を制限するための規制です。
・日影規制:建物の影が他の建物に与える影響を制限するための規制です。
これらの法規制を事前に確認し、計画段階で問題にならないようにしましょう。
多くの場合、建築会社が事前に調べてくれます。
プランニングに余裕をもたせる
注文住宅を建てる際には、建築途中で新たなニーズが発生するなど、予期せぬ問題が起こることも珍しくありません。以下の点を考慮して、プランニングに余裕を持たせましょう。
・柔軟な計画:家族全員のニーズを満たし、納得して暮らし続けるために、計画には余裕を持たせて立てましょう。予期せぬ問題に対応するための時間と予算を確保します。
・効率的な意思決定:長期間にわたる計画では、多くの確認作業や打ち合わせが必要です。情報過多で決断疲れを防ぐため、優先すべき重要なポイントを明確にしておきます。
・無理のない家づくり:家づくりの過程でストレスを感じないよう、無理のない計画を立て、家族全員が満足できる住まいを目指しましょう。
予算をあらかじめ決めておく
注文住宅の場合、明確な金額は存在しません。土地からの購入ですと尚更です。無理のない返済計画をきちんと立てておくことがとても重要です。打ち合わせ途中で予算が大幅にオーバーしてしまうのも注文住宅ではありがちです。
打合せのタイミングごとに予算が幾らくらいになっているのか概算で構わないので確認しておきましょう。
下記の3項目を事前に把握しておくと資金計画はスムーズです。
・自己資金を幾らくらい準備するか
・住宅ローンは幾らくらいまで組むか
・援助はあるか
これらの注意点を押さえた上で、理想の注文住宅を実現するための準備を進めてください。
まとめ
いかがでしたでしょうか。注文住宅は、自分のこだわりを存分に反映させることができるため、マイホームへの愛着も一層深くなることでしょう。こだわりを詰め込むとコストや時間がかかることもありますが、それでもこだわり抜いた家に住みたいとお考えの方には非常におすすめの住宅形式です。
注文住宅の種類や、分譲住宅・建売住宅との違いを理解し、自分のライフスタイルや予算に合った住宅形式を選びましょう。理想の住まいを実現するために、この記事が少しでもお役に立てば幸いです。
どの住宅形式が自分に最適かをしっかりと検討し、後悔のない家づくりを実現してください。
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