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耐震基準とは?基本情報や「旧」と「新」の違いを解説

家づくりの基本

2024/07/12

2024/07/12

記事監修者

1級ファイナンシャル・プランニング技能士 / 渡辺 知光

耐震基準とは?基本情報や「旧」と「新」の違いを解説

耐震基準は地震大国である日本において、住まいの安全を確保するために重要な役割を果たします。過去の大地震の経験から、日本の耐震基準は何度も改訂され、現在の厳しい基準が確立されました。本記事では、耐震基準の基本から、旧耐震基準と現行基準の違い、マンションでの耐震補強方法、そして耐震性に優れた家づくりのポイントまでを詳しく解説します。

住まいを守る「耐震基準」とは?

耐震基準とは、建物が地震に対してどの程度の耐久性を持つべきかを定めた規則です。日本では地震が頻繁に発生するため、建物が地震の揺れに耐えられるように設計・建築されることが求められています。耐震基準は、建物の構造や設計、使用する材料に関する詳細な規定を含んでおり、これらを遵守することで建物の安全性を確保します。

耐震基準は、主に以下の要素で構成されています:

構造設計:建物の骨組みや基礎の設計に関する規定です。建物の形状や使用する材料、接合部の強度などが詳細に定められています。

施工品質:建物が設計通りに施工されるための品質管理基準です。施工時の検査や確認事項が規定されています。

材料品質:使用する建材の品質や性能に関する規定です。コンクリートや鉄筋、木材などの強度や耐久性が求められます。

これらの基準を遵守することで、建物が地震に対して必要な耐久性を持ち、住民の安全を確保することができます。

旧耐震って何?日本の耐震基準の変遷

日本の耐震基準は、過去の大地震を契機に幾度となく改訂されてきました。旧耐震基準とは、1981年以前に制定された耐震基準を指します。この基準は、現行の基準に比べて地震に対する耐久性が低いため、特に大地震の際には建物の倒壊リスクが高いとされています。

1971年の改訂

1971年には、昭和43年の地震により大規模な被害が発生したことを受けて、耐震基準が改訂されました。この改訂では、建物の耐震性を向上させるための新しい設計基準が導入されました。具体的には、建物の構造に対する地震の影響をより厳密に評価し、耐震性能を強化するための規定が追加されました。

1981年の改訂(新耐震基準)

1981年には、宮城県沖地震の教訓から、さらに厳しい耐震基準が導入されました。この新しい基準は「新耐震基準」と呼ばれ、現在の耐震基準の基礎となっています。この基準では、建物が大地震に対して倒壊しないことを目的とし、耐震性能が大幅に向上しました。

新耐震基準の主なポイントは以下の通りです:

構造計算の強化:地震力をより厳密に計算し、建物の設計に反映させる。

基礎構造の強化:基礎の強度を高め、地震時の建物の安定性を確保する。

接合部の強化:柱と梁の接合部の強度を強化し、建物全体の剛性を向上させる。

このように、1981年の改訂により、建物の耐震性能が大幅に向上し、地震による被害を最小限に抑えることができるようになりました。

現行の耐震基準とは

現行の耐震基準は、1981年に導入された新耐震基準を基礎とし、その後の地震や研究成果を反映して改訂されています。最新の耐震基準は、建物が大地震に耐えうるだけでなく、損傷を最小限に抑えることを目的としています。

耐震性能の評価

現行基準では、建物の耐震性能は「耐震等級」という指標で評価されます。耐震等級は1から3まであり、数値が高いほど耐震性能が優れていることを示します。耐震等級3は、消防署や警察署などの防災拠点と同等の耐震性能を持つことを意味します。

具体的な基準内容

現行の耐震基準には、建物の構造体の強度や剛性、基礎の設計、接合部の強度など、詳細な規定が含まれています。また、建物の用途や規模に応じて、必要な耐震性能が異なるため、設計時にはこれらの要素を総合的に考慮する必要があります。

例えば、以下のような具体的な規定があります:

建物の形状:地震時の揺れに対して均等に耐えられるよう、建物の形状に関する規定が設けられています。例えば、階段やエレベーターシャフトの位置や配置に関する制約があります。

材料の品質:コンクリートや鉄筋、木材など、使用する材料の品質や性能に関する規定があります。これにより、建物全体の耐震性能が確保されます。

施工の品質管理:建物が設計通りに施工されるための品質管理基準があります。施工時には、専門の検査員による検査や確認が行われます。

これらの規定を遵守することで、現行の耐震基準に適合した安全な建物が建設されます。

マンションでの耐震補強はどうする?

マンションの耐震補強は、一戸建て住宅とは異なる課題が存在します。特に、既存のマンションを耐震補強する際には、住民の合意やコストの問題が重要です。以下に、マンションでの一般的な耐震補強方法を紹介します。

耐震診断の実施

まず、マンションの耐震性を評価するために、専門家による耐震診断を行います。耐震診断では、建物の構造や材料の状態を調査し、耐震性能を評価します。診断結果を基に、必要な補強工事の内容や費用を見積もります。

補強方法の選択

耐震診断の結果を基に、最適な補強方法を選択します。一般的な補強方法には、耐震壁の設置や柱・梁の補強、基礎の強化などがあります。補強方法は、建物の構造や状態に応じて異なります。

例えば、以下のような補強方法があります:

耐震壁の設置:既存の建物に耐震壁を追加することで、建物全体の剛性を向上させます。

柱・梁の補強:既存の柱や梁に補強材を追加することで、建物の耐震性能を向上させます。

基礎の強化:建物の基礎部分を補強することで、地震時の揺れに対する耐久性を向上させます。

住民の合意と費用負担

マンションの耐震補強には、住民全体の合意が必要です。補強工事には高額な費用がかかるため、費用負担の分担方法や補助金の利用など、具体的な計画を立てることが重要です。

例えば、以下のような取り組みが考えられます:

住民説明会の開催:補強工事の必要性や内容、費用について説明し、住民の理解と協力を得るための説明会を開催します。

補助金の活用:自治体や国の補助金制度を活用することで、費用負担を軽減します。

費用分担の協議:住民間で費用負担の分担方法を協議し、合意を得ることで円滑な工事の実施を目指します。

できるだけ耐震性に不安のない家を建てるためにできることは?

新築住宅を建てる際には、できるだけ耐震性に優れた家を建てることが重要です。以下に、耐震性に優れた家を建てるためのポイントを紹介します。

耐震設計の重要性

設計段階で耐震性能を考慮することが最も重要です。建築士と協力し、最新の耐震基準に基づいた設計を行いましょう。また、耐震等級3を目指すことで、より安全な住まいを実現できます。

具体的には、以下のような設計が考えられます:

シンプルな形状:地震時の揺れを均等に受け流すために、シンプルな形状の建物を設計します。

均等な重量配分:建物全体の重量を均等に配分し、地震時の揺れを抑えます。

柔軟な構造:揺れに対して柔軟に対応できる構造を設計し、地震のエネルギーを効果的に吸収します。

品質の高い材料の選択

建物の耐震性能は、使用する材料の品質にも大きく依存します。耐震性に優れた材料を選び、信頼性の高い施工業者に依頼することが重要です。

例えば、以下のような材料が使用されます:

高強度コンクリート:通常のコンクリートよりも強度が高く、耐久性に優れています。

高性能鉄筋:引っ張り強度が高く、地震時の揺れに対して強い抵抗力を持ちます。

耐震パネル:軽量で強度が高く、地震時のエネルギーを効果的に吸収します。

地盤調査の実施

建物の基礎は地盤の状態に大きく影響されます。事前に地盤調査を行い、必要に応じて地盤改良を行うことで、建物の耐震性能を向上させることができます。

地盤調査では、以下の点が確認されます:

地盤の強度:地盤が建物の重量を支えるのに十分な強度を持っているかを確認します。

地盤の安定性:地盤が地震時の揺れに対してどの程度安定しているかを評価します。

地盤の改良方法:必要に応じて地盤改良を行い、建物の基礎を強化します。

耐震設備の導入

耐震性を高めるためには、免震装置や制震装置の導入も検討しましょう。これらの設備は、地震の揺れを吸収・緩和する役割を果たし、建物の損傷を最小限に抑えます。

以下に、一般的な耐震設備を紹介します:

免震装置:建物の基礎に設置され、地震の揺れを吸収・緩和する役割を果たします。地震時の建物の揺れを大幅に軽減し、内部の損傷を防ぎます。

制震装置:建物の構造に組み込まれ、地震のエネルギーを吸収する装置です。建物全体の揺れを抑え、耐震性能を向上させます。

耐震壁:地震時の横揺れに対して強い抵抗力を持つ壁を設置し、建物の剛性を高めます。

まとめ

耐震基準は、地震に対する住まいの安全を確保するための重要な規定です。旧耐震基準と現行基準の違いを理解し、適切な耐震補強を行うことで、安心して暮らせる住まいを実現できます。新築住宅を建てる際には、最新の耐震基準に基づいた設計や品質の高い材料の選択、地盤調査の実施など、耐震性を高めるための対策をしっかりと講じることが重要です。耐震基準を遵守し、安全な住まいを築くことで、家族の安心と未来を守りましょう。

また、既存の建物についても定期的な耐震診断を行い、必要に応じて耐震補強を行うことが大切です。特に、旧耐震基準で建てられた建物や、耐震性に不安のある建物については、早急に対策を講じることで、地震による被害を最小限に抑えることができます。

最後に、耐震性を高めるための意識を持ち、日常生活の中でも防災対策を徹底することが重要です。家族全員で防災訓練を行い、地震発生時の行動を確認しておくことで、緊急時にも冷静に対応することができます。地震大国日本において、耐震基準を理解し、実践することで、安全で安心な暮らしを実現しましょう。

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記事監修者

1級ファイナンシャル・プランニング技能士 / 渡辺 知光

大学卒業後、積水化学工業に入社し住宅「セキスイハイム」を販売。3年8カ月千葉県内で営業に従事し、営業表彰を6期連続受賞。
途中、母の急死に直面し、自分の将来について悩み始める。結果、大学のゼミで学んだ「保険」事業に実際に携わりたいと思いFP資格を取得して日本生命に転職。4年間営業に従事したが、顧客に対して提供出来る商品がなく退職を決意。FP兼保険代理店を開業する。

収入も顧客もゼロからのスタート。しかも独立直前に結婚し住宅購入した為、返済不安に陥り貯蓄が日々減っていく恐怖を覚える。

人生で初めて家計の見直しを行い、根本的な改善により失敗と不安を減らすコツを発見。自分の経験を生かしお客様が同じ道を歩まないよう伝えるべく「マイホーム検討者向けFP」として活動中。

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    :有限会社ティーエムライフデザイン総合研究所

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    :渡辺知光

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