100年住める家?長期優良住宅の魅力と認定基準、注意点を徹底解剖
家づくりの基本
2024/07/23
2024/07/23
長期優良住宅は、住宅の長寿命化を図るために国が定めた基準を満たす高品質な住宅のことです。認定を受けることで、税制面や住宅ローンなどさまざまな優遇措置を受けられますが、申請手続きや追加コストなどのデメリットもあります。この記事では、長期優良住宅の概要やメリット・デメリットについて詳しく解説していきます。
目次
長期優良住宅とは?
長期優良住宅認定制度の基準をクリアした家
長期優良住宅とは、2009年6月に施行された「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」に基づいて認定される住宅のことを指します。この制度は、長期にわたり良好な状態で使用するための措置が講じられた優良な住宅の普及を促進することを目的としています。
長期優良住宅の認定を受けるには、以下のような基準をクリアする必要があります。
・劣化対策:75年以上の耐久性
・耐震性:極めて稀に発生する地震に対し倒壊、崩壊しない程度
・維持管理、更新の容易性:配管の点検・清掃・補修が容易にできること
・省エネルギー性:断熱性能が高く、設備の省エネ性能が優れていること
・居住環境:良好な景観の形成、騒音対策などが講じられていること
・住戸面積:戸建て住宅の場合、75㎡以上(2人世帯の一般的な広さ)
・維持保全計画:長期にわたる維持保全計画が作成されていること
長期優良住宅認定制度の基準をクリアした家の一般的なイメージは、以下のようなものです。
・頑丈で長持ちする家:75年以上の耐久性を持つ構造材や外装材が使用されています。例えば、高品質な木材や耐久性の高いコンクリートなどが採用されています。
・地震に強い家:一般的な住宅よりも高い耐震性能を持ち、大地震にも耐えられる構造になっています。壁量が多かったり、金属製の補強材が使われていたりします。
・メンテナンスがしやすい家:配管などの設備が点検や修理しやすい位置に配置されています。例えば、床下や天井裏に点検口が設けられていたり、配管スペースが確保されていたりします。
・省エネ性能が高い家:高性能な断熱材や省エネ設備が採用されています。二重窓や厚い断熱材、高効率給湯器などが標準的に装備されています。
・ゆとりある間取りの家:最低居住面積が定められており、家族構成に応じた十分な広さが確保されています。
・計画的に維持管理される家:建築時から将来にわたる点検・修繕計画が立てられており、定期的なメンテナンスが行われます。
このように、長期優良住宅は一般的な住宅よりも高品質で長寿命、そして環境に配慮した住宅というイメージがあります。ただし、外観や間取りは一般住宅と大きく変わらないケースも多く、見た目だけでは判断しにくいことも特徴です。
税制にはどんなメリットがあるの?
住宅ローン控除の控除額が13年間で最大455万円に
長期優良住宅の認定を受けると、住宅ローン控除の控除期間が通常の10年間から13年間に延長されます。これにより、最大で455万円の控除を受けられるようになります。一般住宅の場合、最大控除額が400万円なので、55万円多く控除を受けられることになります。
登録免許税や不動産取得税、固定資産税などの税金にもメリットがある
長期優良住宅の認定を受けると、さまざまな税金の軽減措置を受けられます。具体的には以下のような特例があります。
一般住宅と長期優良住宅の税の特例措置(新築住宅の場合)
税目:登録免許税
一般住宅:0.15%
長期優良住宅:0.1%
税目:不動産取得税
一般住宅:1,200万円控除
長期優良住宅:1,300万円控除
税目:固定資産税
一般住宅:1/2減額(3年間)
長期優良住宅:1/2減額(5年間)
長期優良住宅は住宅ローンが低金利で借りられるって本当?
【フラット35】Sで金利が当初5年間引き下げられる
長期優良住宅の認定を受けると、住宅金融支援機構の【フラット35】Sを利用することができます。これにより、当初5年間の金利が年0.25%引き下げられます。この金利引き下げにより、返済額を大幅に抑えることができます。
一般住宅と長期優良住宅、毎月返済額はどう違う?
例えば、借入額3,000万円、借入期間35年、金利1.0%の場合、一般住宅と長期優良住宅では以下のように毎月の返済額が異なります:
・一般住宅:約80,000円
・長期優良住宅:約75,000円(当初5年間)
長期優良住宅の場合、当初5年間で約30万円の返済額が軽減されることになります。
【フラット50】の利用や地震保険料が割引されることも
長期優良住宅の認定を受けると、最長50年の住宅ローン【フラット50】を利用することができます。また、地震保険料も最大で50%割引されるなど、さまざまな経済的メリットがあります。
長期優良住宅の認定を受けるデメリットはある?
着工前の申請や完成後の点検などさまざまな手間がかかる
長期優良住宅の認定を受けるには、着工前に申請を行う必要があります。また、完成後も定期的な点検や維持管理が求められるため、一般住宅に比べて手間がかかります。これらの手続きや管理を適切に行わないと、認定が取り消されてしまう可能性もあります。
長期優良住宅の認定を受けるために費用がかかる
長期優良住宅の認定を受けるためには、追加の設備や性能向上のための工事が必要になることがあります。そのため、一般住宅に比べて建築コストが高くなる傾向があります。認定手数料なども含めると、数十万円から百万円程度の追加費用がかかることも珍しくありません。
長期優良住宅の認定を受けるために必要な申請手続き
長期優良住宅の認定を受けるためには、一定の手続きを踏む必要があります。以下に、その手順を詳しく説明します。
1. 事前相談
まずは、建築士や住宅メーカーと相談し、長期優良住宅の認定を受けるかどうかを決めます。この段階で、認定基準を満たすための設計や追加コストについても確認しておくとよいでしょう。
2. 設計図書の作成
長期優良住宅の基準に適合した設計図書を作成します。これには、通常の設計図書に加えて、長期優良住宅の認定基準に関する詳細な資料も含まれます。
3. 技術的審査の依頼
設計図書が完成したら、登録住宅性能評価機関などの第三者機関に技術的審査を依頼します。ここで、長期優良住宅の認定基準を満たしているかどうかの確認が行われます。
4. 認定申請書の作成
技術的審査の結果を受けて、認定申請書を作成します。申請書には、設計内容や維持保全計画などの詳細な情報を記載します。
5. 認定申請
完成した認定申請書を、所管行政庁(都道府県、政令指定都市、中核市など)に提出します。この際、審査手数料も併せて支払います。
6. 審査と認定
所管行政庁が申請内容を審査し、基準に適合していると判断された場合、認定書が交付されます。審査期間は通常2〜3週間程度かかります。
7. 着工と完了検査
認定を受けた後、建築工事を開始します。工事が完了したら、通常の建築確認の完了検査に加えて、長期優良住宅としての基準を満たしているかの確認も行われます。
8. 維持保全計画の実施
完成後は、認定時に提出した維持保全計画に基づいて、定期的な点検や修繕を行います。これは認定を維持するために重要な作業となります。
以上が、長期優良住宅の認定を受けるための一般的な手続きの流れです。実際の手続きは地域や状況によって多少異なる場合がありますので、詳細は所管行政庁や住宅メーカー、建築士に確認することをおすすめします。
長期優良住宅の認定を受けていない住宅は問題ない?
気になる耐震性や省エネ性。最近の住宅は安心なケースが多い
長期優良住宅の認定を受けていない一般住宅でも、近年の建築基準法の改正により、耐震性や省エネ性能は大幅に向上しています。2000年以降に建てられた住宅であれば、長期優良住宅の基準に近い性能を持っているケースも多いでしょう。
一般住宅も良質な今、長期優良住宅を選ぶポイントは?
一般住宅の品質も向上している中で、長期優良住宅を選ぶポイントは以下のようなものが挙げられます。
・50年以上の長期居住を考えている場合
・税制優遇や住宅ローンの優遇を最大限に活用したい場合
・将来的な資産価値の維持を重視する場合
・高い環境性能や省エネ性能にこだわりたい場合
これらの点を考慮しながら、自身のライフプランや予算に合わせて選択することが大切です。
よくある質問(Q&A)
長期優良住宅に関して、よくある質問とその回答を詳しく解説します。
Q1: 長期優良住宅の認定は必ず新築時に受ける必要がありますか?
A1: 基本的には新築時に認定を受けることが一般的ですが、既存住宅でも一定の基準を満たせば認定を受けることができます。ただし、既存住宅の場合は以下の点に注意が必要です。
・建築後の経過年数が一定以内(戸建ては築20年以内が目安)であること
・新築時の図面や施工記録が残っていること
・劣化状況の詳細な調査が必要となる場合があること
・改修工事が必要となる可能性が高いこと
既存住宅の認定は新築時よりもハードルが高くなる傾向にありますが、良質な住宅ストックの形成という観点から、制度の普及が進められています。
Q2: 長期優良住宅の認定は誰が行うのですか?
A2: 長期優良住宅の認定は、各都道府県や政令指定都市、中核市などの所管行政庁が行います。具体的な流れは以下のとおりです。
1. 建築主(施主)が認定を申請する
2. 申請書類を所管行政庁に提出する
3. 所管行政庁が内容を審査する
4. 基準に適合していれば認定書が交付される
ただし、実際の申請手続きは複雑なため、通常は建築士や住宅メーカーが代行して行います。施主自身が直接申請することは稀です。
Q3: 長期優良住宅の認定を受けた後、維持管理を怠るとどうなりますか?
A3: 長期優良住宅の認定を受けた後も、定期的な点検や維持管理が必要です。これらを怠ると、以下のような問題が生じる可能性があります。
・認定が取り消される可能性:維持保全計画に従った管理が行われていないと判断された場合、最悪の場合、認定が取り消されることがあります。 ・税制優遇などのメリットが失われる:認定が取り消されると、住宅ローン減税の延長や固定資産税の減額など、各種の優遇措置を受けられなくなります。
・住宅の性能低下:適切な維持管理を怠ると、住宅の耐久性や省エネ性能が低下し、長期優良住宅としての価値が失われる可能性があります。
・資産価値の低下:維持管理が不十分だと、将来的に住宅の資産価値が下がる可能性があります。
そのため、認定を受けた後も、維持保全計画に基づいた定期的な点検や修繕を確実に行うことが重要です。
Q4: 長期優良住宅の認定にはどのくらいの費用がかかりますか?
A4: 長期優良住宅の認定には、主に以下の費用がかかります:
1. 技術的審査費用:約5〜10万円
2. 認定申請手数料:約1〜3万円(自治体により異なる)
3. 性能向上のための追加工事費:数十万〜数百万円
具体的な金額は、住宅の規模や地域、住宅メーカーによって大きく異なります。一般的には、通常の住宅と比べて総額で100万円前後の追加費用が必要になると言われています。ただし、長期的には税制優遇などのメリットでこの追加費用を相殺できる可能性があります。
これらの質問と回答は、長期優良住宅を検討する際の参考になるでしょう。ただし、細かい条件や規定は変更される可能性があるため、最新の情報は関係機関や専門家に確認することをおすすめします。
まとめ
長期優良住宅は、高い性能と耐久性を持つ住宅として国が認定する制度です。税制優遇や住宅ローンの優遇など、さまざまなメリットがありますが、一方で認定にかかる費用や手間などのデメリットもあります。
長期優良住宅の選択は、長期的な視点での住まいづくりを考える良い機会となります。自身のライフプランや予算、住宅に求める性能などを十分に検討し、適切な選択をすることが大切です。また、認定を受けた後も適切な維持管理を行うことで、長く快適な住まいを実現することができるでしょう。
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