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長期優良住宅入門 〜経済的メリットや、認定取得から維持管理まで徹底ガイド~

家づくりの基本

2024/07/24

2024/07/24

記事監修者

1級ファイナンシャル・プランニング技能士 / 渡辺 知光

長期優良住宅入門 〜経済的メリットや、認定取得から維持管理まで徹底ガイド~

長期優良住宅は、高品質で長期にわたって使用できる住宅を普及させるために国が認定する制度です。この記事では、長期優良住宅の特徴やメリット・デメリット、認定プロセス、そして後悔しないための注意点について詳しく解説します。住宅購入を検討している方や、より良質な住まいづくりに関心がある方にとって、有益な情報となるでしょう。

目次

長期優良住宅とは。どんな家のこと?

1.長く安心・快適に住み続けられる住宅

長期優良住宅とは、長期にわたり良好な状態で使用するための措置が講じられた優良な住宅のことを指します。この制度は、2009年6月に施行された「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」に基づいています。

2.戸建住宅の場合、7つの評価項目を満たす必要がある

長期優良住宅の認定を受けるには、以下の7つの基準を満たす必要があります。

1. 劣化対策

2. 耐震性

3. 維持管理・更新の容易性

4. 可変性

5. バリアフリー性

6. 省エネルギー性

7. 居住環境

3.申請は建築主か建築会社が、着工前に行う

長期優良住宅の認定申請は、建築主または建築会社が行います。重要なのは、この申請を着工前に行う必要があるという点です。

長期優良住宅のメリットは?

メリット1:快適かつ安心できる家に、世代を超えて住み継ぐことができる

長期優良住宅は、高い耐久性と快適性を備えているため、長期間にわたって安心して暮らすことができます。また、世代を超えて住み継ぐことも可能です。

メリット2:減税が受けられる

住宅ローン減税

長期優良住宅では、通常の住宅よりも長期間の住宅ローン減税が受けられます。具体的には、控除期間が10年から13年に延長されます。

不動産取得税

不動産取得税の課税標準から控除される額が、通常の1,200万円から1,300万円に増額されます。

登録免許税

所有権保存登記に係る登録免許税が、通常の0.15%から0.1%に軽減されます。

固定資産税

新築住宅に係る固定資産税の減額措置が、通常の3年間から5年間に延長されます。

メリット3:住宅ローン金利が引き下げられる

多くの金融機関で、長期優良住宅を対象とした優遇金利が設定されています。これにより、長期的な住宅ローンの返済額を抑えることができます。

メリット4:地震保険料の割引きがある

長期優良住宅は、地震保険料が最大で50%割引されます。これは、高い耐震性能が評価されているためです。

メリット5:補助金制度を利用できる

国や地方自治体によっては、長期優良住宅の建設に対して補助金を支給する制度があります。これらの制度を活用することで、建築コストを抑えることができます。

長期優良住宅のデメリットは?

デメリット1:申請に費用がかかる

長期優良住宅の認定を受けるには、申請費用が必要です。この費用は、住宅の規模や地域によって異なりますが、一般的に数万円から10万円程度かかります。

デメリット2:建築コストが割高になる

長期優良住宅の基準を満たすために、高性能な材料や設備を使用する必要があります。そのため、通常の住宅と比べて建築コストが10%程度高くなる傾向があります。

デメリット3:メンテナンス履歴の作成・保存が必要

長期優良住宅の認定を維持するためには、定期的なメンテナンスとその履歴の作成・保存が必要です。これは、長期的な視点では住宅の価値を維持するために有益ですが、所有者にとっては手間がかかる作業となります。

長期優良住宅は、様々なライフステージや生活シーンで活用されています。以下に、長期優良住宅の一般的な活用シーンをいくつか挙げてみましょう。

長期優良住宅の活用シーン例

1. 子育て世帯の家族向け住宅

・広々とした間取りで、子どもの成長に合わせて部屋を分けられる。

・高い耐久性により、子どもの元気な活動にも安心。

・省エネ性能が高く、光熱費の節約ができる。

2. 三世代同居のための住宅

・バリアフリー設計により、高齢者も安全に暮らせる。

・可変性の高い間取りで、家族構成の変化に対応できる。

・十分な広さがあり、プライバシーを確保しつつ共有スペースも充実。

3. 地震や災害に強い安全な住宅

・高い耐震性能により、地震時の安全性が確保されている。

・耐久性に優れ、台風や豪雨などの自然災害にも強い。

・避難所としての機能も期待できる。

4. 環境に配慮したエコ住宅

・高い省エネ性能により、CO2排出量を削減。

・太陽光発電システムなどの再生可能エネルギーとの相性が良い。

・長寿命化により、建て替えに伴う廃棄物を削減。

5. 資産価値の維持を重視する投資的住宅

・長期にわたり品質が保たれるため、資産価値が維持される。

・将来の売却や賃貸の際に有利に働く可能性がある。

・税制優遇により、長期的な経済的メリットがある。

6. テレワーク対応の住宅

・可変性の高い間取りにより、在宅勤務用のスペースを確保しやすい。

・高い断熱性能により、一年中快適な室内環境で作業ができる。

・耐久性が高いため、業務用機器の設置にも対応しやすい。

7. 田舎暮らしや二拠点生活の拠点

・メンテナンス性が高いため、長期不在時も安心。

・耐久性が高く、厳しい自然環境にも対応。

・世代を超えて住み継げるため、将来的な U ターンにも対応。

8. 高齢者の終の棲家

・バリアフリー設計により、加齢に伴う身体機能の低下にも対応。

・メンテナンスが容易で、高齢者でも管理しやすい。

・高い断熱性能により、ヒートショックのリスクを軽減。

これらの活用シーンは、長期優良住宅の特徴である耐久性、可変性、バリアフリー性、省エネ性能などを活かしたものです。実際の活用方法は、個々の生活スタイルや価値観、将来のビジョンによって異なりますが、長期優良住宅は多様なニーズに対応できる柔軟性を持っています。自分たちの理想の暮らしを実現するための選択肢として、長期優良住宅を検討してみるのも良いでしょう。

長期優良住宅の認定を受けるには?

長期優良住宅の認定を受けるための手続きは、いくつかのステップに分かれています。以下に、その詳細な流れを解説します。

1.登録住宅性能評価機関に、確認申請書を提出する

・まず、登録住宅性能評価機関に長期優良住宅建築等計画の確認申請書を提出します。

・必要書類:

– 確認申請書

– 設計図書(配置図、平面図、立面図、断面図など)

– 長期優良住宅の基準への適合を示す資料

– その他、評価機関が求める資料

・この段階で、長期優良住宅の基準を満たしているかどうかの技術的審査が行われます。

2.登録住宅性能評価機関から、確認書などの交付を受ける

・技術的審査に通過すると、登録住宅性能評価機関から以下の書類が交付されます。

– 長期優良住宅建築等計画に係る確認書

– 技術的審査適合証

– 住宅性能評価書(申請している場合)

・交付までの期間は通常2〜3週間程度ですが、評価機関や案件の複雑さによって異なる場合があります。

3. 所管行政庁に、認定申請書を提出する

・次に、確認書を添えて所管行政庁(都道府県や市区町村)に認定申請書を提出します。

・必要書類:

– 認定申請書

– 長期優良住宅建築等計画に係る確認書

– 設計図書

– その他、行政庁が求める資料

・申請は、原則として着工前に行う必要があります。

4.所管行政庁から、認定通知書の交付を受ける

・審査の結果、基準を満たしていると判断されれば、所管行政庁から認定通知書が交付されます。

・交付までの期間は通常2〜4週間程度ですが、行政庁や案件の複雑さによって異なる場合があります。

5. 認定後の手続き

・認定を受けた後、工事完了時に所管行政庁に完了報告書を提出する必要があります。

・完了報告書には、工事が認定を受けた計画通りに行われたことを証明する書類を添付します。

注意点

・申請は通常、建築主や工務店、設計事務所が代行して行います。

・申請にかかる費用は、住宅の規模や地域によって異なりますが、一般的に数万円から10万円程度です。

・認定後も、定期的なメンテナンスと記録の保管が必要です。

・計画の変更が必要になった場合は、変更認定申請または軽微な変更の届出が必要になります。

長期優良住宅の認定を受けるプロセスは、一見複雑に思えるかもしれません。しかし、多くの場合、建築会社や設計事務所がサポートしてくれます。重要なのは、各段階で提出する書類の内容を自分でもしっかりと確認し、理解することです。また、認定後も適切なメンテナンスを行い、記録を保管することで、長期にわたって住宅の価値を維持することができます。

後悔しないためのポイントは?

長期優良住宅の認定を受けるかどうかを決める際は、十分な検討が必要です。後悔しないための重要なポイントについて、詳しく解説します。

1. 長期的な住まいのビジョンを持つ

・将来の家族構成の変化を考慮する:子どもの成長や親との同居など、将来的な家族の変化を想定しましょう。

・ライフスタイルの変化を予測する:在宅勤務の増加や趣味の変化など、生活スタイルの変化も考慮に入れます。

・住み続ける期間を明確にする:転勤の可能性や老後の生活プランなども踏まえ、どれくらいの期間その家に住むつもりかを明確にしましょう。

2. 初期コストと長期的なメリットのバランスを考える

・追加コストの詳細を確認する:長期優良住宅の認定を受けるために必要な追加コストの内訳を詳しく確認しましょう。

・長期的な経済効果を計算する:税制優遇や光熱費の削減効果など、長期的な経済メリットを具体的に計算してみましょう。

・住宅ローンの総返済額を比較する:通常の住宅と長期優良住宅で、住宅ローンの総返済額がどう違うかを比較検討しましょう。

3. メンテナンス計画を立てる

・定期点検の内容と頻度を確認する:長期優良住宅に求められる定期点検の内容と頻度を事前に確認しましょう。

・メンテナンス費用の見積もりを立てる:長期的な視点で、メンテナンスにかかる費用の見積もりを立てておきましょう。

・記録管理の方法を検討する:メンテナンス履歴の記録と保管方法について、具体的な計画を立てましょう。

4. 専門家のアドバイスを積極的に求める

・複数の建築会社や設計事務所に相談する:様々な視点からのアドバイスを得るため、複数の専門家に相談しましょう。

・ファイナンシャルプランナーに相談する:長期的な資金計画について、専門家のアドバイスを受けることも有効です。

・実際に住んでいる人の声を聞く:可能であれば、長期優良住宅に住んでいる人の実際の体験談を聞いてみましょう。

5. 地域の特性や環境を考慮する

・気候条件を考慮する:その地域の気候特性(積雪、台風、高温多湿など)に適した設計になっているか確認しましょう。

・地域の景観との調和を考える:長期的に住み続けるためには、地域の景観と調和した外観デザインも重要です。

・将来的な地域の発展計画を調べる:その地域の将来的な開発計画や人口動態なども考慮に入れましょう。

6. 柔軟性と可変性を重視する

・間取りの可変性を確認する:将来的な需要の変化に対応できるよう、間取りの可変性を確保しているか確認しましょう。

・設備のアップグレード可能性を検討する:将来的な技術革新に対応できるよう、設備の更新やアップグレードが容易な設計になっているか確認しましょう。

・拡張性を考慮する:将来的な増築や改築の可能性も視野に入れた設計になっているか確認しましょう。

これらのポイントを十分に検討することで、長期優良住宅の選択に対する後悔のリスクを大きく減らすことができます。自分たちのニーズと長期的なビジョンに合った選択をすることが、満足度の高い住まいづくりにつながります。

よくある質問(Q&A)

長期優良住宅に関して、多くの人が抱く疑問についてQ&A形式で詳しく解説します。

Q1: 長期優良住宅は新築住宅だけが対象ですか?

A1: いいえ、既存住宅でも一定の基準を満たせば認定を受けることができます。

・新築時の認定基準と同等の性能を有することが求められます。

・耐震性、劣化対策、維持管理・更新の容易性などの基準を満たす必要があります。

・既存住宅の場合、建築後の経過年数に応じて、より詳細な調査や改修が必要になることがあります。

Q2: 長期優良住宅の認定期間はどのくらいですか?

A2: 認定に期限はありません。ただし、適切なメンテナンスを行い、基準を維持し続ける必要があります。

・定期的な点検と補修が求められます。

・維持保全計画に基づいたメンテナンス記録の保管が必要です。

・基準を満たさなくなった場合、認定が取り消される可能性があります。

Q3: 長期優良住宅は売却時に有利になりますか?

A3: 一般的に、長期優良住宅は高品質であることが証明されているため、売却時に有利に働く可能性があります。

・耐久性や省エネ性能が高いことが、付加価値として評価されます。

・ただし、市場状況や物件の個別の条件によって評価は異なります。

・メンテナンス記録が適切に保管されていることも、売却時の信頼性向上につながります。

Q4: 長期優良住宅の建築コストは通常の住宅と比べてどのくらい高くなりますか?

A4: 一般的に、通常の住宅と比べて5〜10%程度コストが高くなると言われています。

・高性能な材料や設備の使用により、初期コストは上昇します。

・ただし、長期的には光熱費の削減や税制優遇などのメリットがあります。

・具体的なコストは、住宅の規模や仕様、地域によって大きく異なります。

Q5: 長期優良住宅の認定を受けた後、増改築をする場合はどうなりますか?

A5: 増改築を行う場合、変更認定申請または軽微な変更の届出が必要になります。

・変更後も長期優良住宅の基準を満たす必要があります。

・大規模な変更の場合は変更認定申請、軽微な変更の場合は届出で対応します。

・変更内容によっては、再度技術的審査を受ける必要がある場合もあります。

Q6: マンションでも長期優良住宅の認定は受けられますか?

A6: はい、マンションでも長期優良住宅の認定を受けることができます。

・分譲マンションの場合、通常は建築主(デベロッパー)が一括して認定を取得します。

・個別の住戸ではなく、建物全体で認定基準を満たす必要があります。

・管理組合による適切な維持管理が求められます。

Q7: 長期優良住宅の認定を受けると、どのくらいの税制優遇が受けられますか?

A7: 税制優遇の内容は以下の通りです(2023年現在)

・所得税(住宅ローン控除):控除期間が10年から13年に延長

・固定資産税:新築後の軽減措置が3年から5年に延長

・登録免許税:所有権保存登記が0.15%から0.1%に軽減

・不動産取得税:課税標準からの控除額が1,200万円から1,300万円に増額

これらの質問と回答は、長期優良住宅を検討する際によく挙がるものです。ただし、制度の詳細や税制優遇の内容は変更される可能性があるため、最新の情報を確認することをおすすめします。また、個別の状況によって対応が異なる場合もあるため、専門家や行政機関に直接相談することも重要です。

まとめ

長期優良住宅は、高品質で長期にわたって使用できる住宅を実現するための制度です。税制優遇や住宅ローンの優遇など、様々なメリットがある一方で、初期コストの増加やメンテナンス履歴の管理など、考慮すべき点もあります。

長期優良住宅の認定を受けるかどうかは、自身のライフプランや経済状況、住まいに対する価値観などを総合的に判断して決める必要があります。興味がある場合は、早めに専門家に相談し、十分な情報を得た上で判断することをおすすめします。長期的な視点で考えれば、快適で安心な住まいづくりの選択肢として、長期優良住宅は十分に検討する価値があるでしょう。

なお、当社が提供している「housemarriage」では、住宅コンシェルジュが理想の家づくりのサポートとして、住まいを探す上で重要なハウスメーカーや工務店の営業担当者とのマッチングサポートをさせていただきます。住宅購入の資金計画の相談・作成や、相性良く親身になってくれる「営業担当者」をご紹介します。家づくりに関して少しでも不安を感じるようであれば、お問い合わせください。

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記事監修者

1級ファイナンシャル・プランニング技能士 / 渡辺 知光

大学卒業後、積水化学工業に入社し住宅「セキスイハイム」を販売。3年8カ月千葉県内で営業に従事し、営業表彰を6期連続受賞。
途中、母の急死に直面し、自分の将来について悩み始める。結果、大学のゼミで学んだ「保険」事業に実際に携わりたいと思いFP資格を取得して日本生命に転職。4年間営業に従事したが、顧客に対して提供出来る商品がなく退職を決意。FP兼保険代理店を開業する。

収入も顧客もゼロからのスタート。しかも独立直前に結婚し住宅購入した為、返済不安に陥り貯蓄が日々減っていく恐怖を覚える。

人生で初めて家計の見直しを行い、根本的な改善により失敗と不安を減らすコツを発見。自分の経験を生かしお客様が同じ道を歩まないよう伝えるべく「マイホーム検討者向けFP」として活動中。

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    :有限会社ティーエムライフデザイン総合研究所

  • 代表者

    :渡辺知光

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