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第一種住居地域の基礎知識 〜建築制限から活用法まで〜

家づくりの基本

2024/07/24

2024/07/25

記事監修者

1級ファイナンシャル・プランニング技能士 / 渡辺 知光

第一種住居地域の基礎知識 〜建築制限から活用法まで〜

第一種住居地域は、都市計画法に基づいて定められた用途地域の一つです。この地域は、主に住宅の環境を守りつつ、一定の利便施設の建設も許容する地域として設定されています。本記事では、第一種住居地域の特徴、建築可能な建物、建蔽率や容積率、その他の規制について詳しく解説します。土地の購入や建築を検討している方にとって、重要な情報となるでしょう。

目次

第一種住居地域の特徴は?

住宅の環境を守るための地域

第一種住居地域は、主に良好な住居の環境を保護することを目的としています。住宅を中心としつつ、小規模な店舗や事務所などの建設も認められており、生活に必要な利便施設とのバランスが取れた地域となっています。

第二種住居地域との違いは

第二種住居地域と比較すると、第一種住居地域の方が住居の環境保護により重点が置かれています。第二種住居地域では、より大規模な店舗や事務所の建設が可能ですが、第一種住居地域ではそれらが制限されています。

第一種低層住居専用地域との違いは

第一種低層住居専用地域が主に低層住宅の良好な環境を守るための地域であるのに対し、第一種住居地域ではより多様な建築物の建設が認められています。また、建物の高さ制限も異なり、第一種住居地域の方がより高い建物を建てることができます。

同じ第一種住居地域内でも、固定資産税は異なる

同じ第一種住居地域内であっても、固定資産税は土地の評価額によって異なります。評価額は、道路へのアクセス、公共施設への距離、地形などの要因によって決定されるため、同じ地域内でも場所によって税額が異なる場合があります。

第一種住居地域ではどんな建物が建てられる?用途制限はある?

建てられる建築物

第一種住居地域で建設可能な主な建築物は以下の通りです。

・住宅(戸建て、共同住宅)

・小規模な店舗(床面積3,000㎡以下)

・小規模な事務所

・学校、図書館などの教育施設

・病院、診療所 ・老人ホーム、保育所などの福祉施設

・公衆浴場

・ホテル、旅館(床面積3,000㎡以下)

建てられない建築物

第一種住居地域で建設が制限される主な建築物は以下の通りです。

・大規模な店舗(床面積3,000㎡超)

・大規模な事務所(床面積3,000㎡超)

・工場(一部の小規模なものを除く)

・倉庫業を営む倉庫 ・自動車教習所

・麻雀屋、パチンコ屋などの遊技場

・カラオケボックスなどの風俗営業施設

第一種住居地域の建物の建蔽率(建ぺい率)と容積率は?

建蔽率(建ぺい率)

第一種住居地域の建蔽率は、一般的に60%に設定されています。つまり、敷地面積の60%まで建物の床面積を広げることができます。

容積率

容積率は、地域によって200%、300%、400%のいずれかに設定されています。例えば、容積率が200%の場合、敷地面積の2倍まで延べ床面積を確保できます。

軽減や緩和措置が設定されていることも

一定の条件を満たす場合、建蔽率や容積率の緩和措置が適用されることがあります。例えば、角地の場合は建蔽率が10%緩和されるなど、状況に応じて異なる規制が適用される可能性があります。

第一種住居地域の建物に関する規制・制限は?

第一種住居地域では、良好な住環境を維持するために様々な規制や制限が設けられています。これらの規制は、建物の高さや形状、日照条件などに影響を与えます。以下、主な規制について詳しく解説します。

道路斜線制限

道路斜線制限は、道路に面する建物の高さを制限する規制です。具体的には以下のような特徴があります。

・適用される勾配:1.25(住居系地域の場合)

・計算方法:道路の反対側の境界線から、勾配1.25で斜線を引き、その斜線以下に建物の高さを抑える

・目的:道路に面した建物の圧迫感を軽減し、街路の開放感や日照、通風を確保する

・例外:前面道路の幅員が12m以上の場合、一定の緩和措置がある

隣地斜線制限

隣地斜線制限は、隣接する敷地との境界線からの建物の高さを制限する規制です。

・適用される勾配:1.25(第一種住居地域の場合)

・計算方法:隣地境界線から2.5mの高さを基準点とし、そこから勾配1.25で斜線を引く

・目的:隣接する敷地の日照や通風、プライバシーを確保する

・特記事項:敷地が広い場合、中央部分では高い建物が建てられる可能性がある

日影規制

日影規制は、周辺の敷地に落とす影の時間を制限する規制です。

・対象期間:冬至日(12月22日頃)の午前8時から午後4時まで

・測定点:敷地境界線から5m以内の範囲で4時間以上、10m以内の範囲で2.5時間以上の日影を生じさせてはならない(地域によって異なる場合あり)

・測定高さ:地盤面から一定の高さ(通常4m)

・目的:周辺住宅の日照権を保護し、良好な住環境を維持する

北側斜線制限や外壁後退、絶対高さ制限はない

第一種住居地域では、以下の制限は一般的に設定されていません。

・北側斜線制限:主に第一種低層住居専用地域などで適用される制限

・外壁後退:建物の外壁を敷地境界線から一定距離後退させる制限

・絶対高さ制限:建物の最高高さを一律に制限するもの

ただし、以下の点に注意が必要です。

・地域の条例:地方自治体によっては、独自の条例でこれらの制限を設けている場合がある

・地区計画:特定の地区で、これらの制限が設けられている可能性がある

・建築協定:地域住民の合意により、独自の建築ルールが設定されている場合がある

その他の規制・制限

上記以外にも、以下のような規制や制限が適用される場合があります。

・防火地域・準防火地域の指定:建物の構造や使用材料に制限がかかる

・景観条例:建物の外観や色彩に制限がかかる場合がある

・緑地率の規定:敷地内の一定割合を緑地にする必要がある場合がある

これらの規制や制限は、地域の特性や自治体の方針によって異なる場合があります。そのため、具体的な建築計画を立てる際には、必ず地域の都市計画課や建築指導課に確認し、最新かつ正確な情報を入手することが重要です。また、複雑な規制の解釈や適用については、建築士や不動産の専門家に相談することをおすすめします。

第一種住居地域に3階建ては建てられる?

建てられるが法規制に注意

第一種住居地域では、原則として3階建ての建物を建てることができます。ただし、建蔽率、容積率、各種斜線制限などの法規制を遵守する必要があります。

前面道路の幅も確認を

建物の高さは前面道路の幅員にも影響されます。道路が狭い場合、建物の高さが制限される可能性があるため、3階建てを計画する際は前面道路の幅も確認しておく必要があります。

土地購入前には必ず現地に行こう

土地を購入する前に、必ず現地を訪れて周辺環境を確認することが重要です。道路の状況、周辺の建物の高さ、日照条件などを実際に見ることで、建築計画の実現可能性をより正確に判断できます。

第一種住居地域に適した住宅例

第一種住居地域は、良好な住環境を保ちつつ、一定の利便性も確保できる地域です。この特性を活かした住宅例をいくつか詳しく紹介します。

二世帯住宅

二世帯住宅は、第一種住居地域の特性を活かせる住宅の一例です。

特徴:

・建蔽率60%、容積率200%〜400%の範囲内で、十分な居住空間を確保できる。

・親世帯と子世帯が同じ建物内で独立した生活を送れる。

・共用部分を設けることで、家族の交流を促進できる。

設計ポイント:

・各世帯のプライバシーを確保するための動線計画

・将来的な家族構成の変化に対応できる可変性のある間取り

・庭やテラスなどの共用スペースの確保

店舗併用住宅

小規模な店舗や事務所を併設した住宅も、第一種住居地域で可能です。

特徴:

・1階に店舗や事務所、2階以上を住居とするなど、職住近接を実現できる。

・店舗部分は3,000㎡以下に抑える必要がある。

・地域の利便性向上に貢献しつつ、自宅で事業を営める。

設計ポイント:

・住居部分と店舗部分の動線を明確に分ける。

・騒音や臭気が住居部分に影響しないよう配慮する。

・看板や外観デザインが住宅地に調和するよう工夫する。

庭付き一戸建て住宅

ゆとりある敷地に庭付きの一戸建て住宅を建てることも可能です。

特徴:

・広めの敷地を活かし、プライベートガーデンを楽しめる。

・日照や通風に配慮した快適な住環境を実現できる。

・子育て世帯に適した、安全で緑豊かな住まいを作れる。

設計ポイント:

・庭の一部を菜園にするなど、自然とふれあえる空間づくり

・屋外リビングやデッキテラスなど、内外をつなぐ空間の創出

・周辺環境と調和した外観デザイン

小規模集合住宅

アパートやマンションなどの小規模な集合住宅も建設可能です。

特徴:

・複数世帯が居住できるため、土地の有効活用ができる。

・賃貸や分譲など、多様な住宅ニーズに対応できる。

・適切な規模であれば、周辺の住環境と調和しやすい。

設計ポイント:

・各住戸のプライバシーを確保しつつ、コミュニティ形成も促進する共用スペースの設置

・周辺への日照や騒音の影響を最小限に抑える配置計画

・緑地や駐車場の適切な配置

在宅ワーク対応住宅

近年のライフスタイルの変化に対応した、在宅ワーク向けの住宅も注目されています。

特徴:

・住居内に仕事用のスペースを確保し、職住一体の生活を実現。

・通勤時間の削減や柔軟な働き方を可能にする。

・小規模事務所としても活用可能。

設計ポイント:

・仕事用スペースと生活空間を適度に分離する間取り

・オンライン会議などに対応できる防音設備

・自然光を取り入れつつ、集中できる環境づくり

これらの住宅例は、第一種住居地域の特性を活かしつつ、現代の多様なライフスタイルや家族構成に対応したものです。実際の計画においては、地域の具体的な規制や周辺環境、個々の生活ニーズを考慮し、建築士や不動産の専門家と相談しながら最適な住宅を設計することが重要です。

よくある質問(Q&A)

第一種住居地域に関して、多くの人が抱く疑問についてQ&A形式で詳しく解説します。

Q1: 第一種住居地域で店舗付き住宅は建てられますか?

A1: はい、建てられます。ただし、以下の点に注意が必要です。

・店舗部分の床面積が3,000㎡以下である必要があります。

・住宅部分と店舗部分の割合に関する制限はありませんが、主たる用途が住宅であることが望ましいです。

・業種によっては制限がある場合があるため、具体的な業種については事前に確認が必要です。

・騒音や臭気など、周辺の住環境に悪影響を与えないよう配慮が必要です。

Q2: 第一種住居地域で駐車場経営はできますか?

A2: 一般的に可能です。ただし、以下の点に注意が必要です。

・自走式の平面駐車場であれば、基本的に問題ありません。

・機械式駐車場や立体駐車場の場合、規模や構造によっては制限がかかる可能性があります。

・大規模な駐車場(例:床面積が3,000㎡を超えるもの)は建設できない場合があります。

・騒音対策や景観への配慮が求められる場合があります。

・地域の条例によっては、追加の制限がある場合もあるため、事前に確認が必要です。

Q3: 第一種住居地域の建蔽率や容積率は変更できますか?

A3: 原則として、個人の要望で変更することはできません。ただし、以下のような場合に変更の可能性があります。

・都市計画の変更:自治体が地域全体の都市計画を見直す際に、変更される可能性があります。

・特別用途地区の指定:特定の目的のために、建蔽率や容積率が緩和されることがあります。

・総合設計制度の適用:公開空地の確保など、一定の条件を満たす場合に容積率が緩和されることがあります。

・建蔽率や容積率の緩和措置:角地や防火地域内にある耐火建築物など、特定の条件下で緩和措置が適用される場合があります。

Q4: 第一種住居地域でマンションは建てられますか?

A4: はい、建てられます。ただし、以下の点に注意が必要です。

・建蔽率、容積率、高さ制限などの各種規制を遵守する必要があります。

・大規模なマンションの場合、日影規制や斜線制限が厳しく影響する可能性があります。

・地域によっては、マンションの建設に関する独自の条例がある場合があります。

・周辺環境との調和や、地域住民との合意形成が重要になる場合があります。

Q5: 第一種住居地域で事務所は開設できますか?

A5: 小規模な事務所であれば開設可能です。具体的には以下の点に注意が必要です。

・事務所の床面積が3,000㎡以下であれば、原則として建設可能です。

・ただし、その事務所で行う業務の内容によっては制限がかかる場合があります。

・住居地域の性質上、騒音や交通量の増加など、周辺の住環境に配慮する必要があります。

・建物の外観や看板などについても、住宅地にふさわしいものである必要があります。

Q6: 第一種住居地域と第二種住居地域の違いは何ですか?

A6: 主な違いは以下の通りです。

・建築可能な施設:第二種住居地域の方が、より多様な用途の建物(例:ホテル、カラオケボックスなど)が建設可能です。

・商業施設の規模:第二種住居地域では、より大規模な店舗や事務所(床面積10,000㎡まで)が建設可能です。

・住環境の保護:第一種住居地域の方が、より住環境の保護に重点が置かれています。

・建蔽率・容積率:基本的には同じですが、地域によって異なる場合があります。

これらの質問と回答は、第一種住居地域に関する一般的な疑問に対応しています。ただし、具体的な状況によっては異なる場合もあるため、実際の計画を立てる際には、必ず地域の都市計画課や建築指導課に確認することをおすすめします。

まとめ

第一種住居地域は、良好な住居の環境を保護しつつ、一定の利便施設の建設も認める地域です。この地域では、主に住宅や小規模な店舗、事務所などが建設可能ですが、大規模な商業施設や工場などは制限されています。建蔽率は一般的に60%、容積率は200%〜400%に設定されており、道路斜線制限や日影規制などの各種規制も適用されます。

土地の購入や建築を検討する際は、これらの規制を十分に理解し、専門家に相談しながら計画を進めることが重要です。また、実際に現地を訪れて周辺環境を確認することも、適切な判断を下すための重要なステップです。第一種住居地域の特性を活かし、快適で調和のとれた住環境を実現することが、この地域での建築の理想的な姿と言えるでしょう。

なお、当社が提供している「housemarriage」では、住宅コンシェルジュが理想の家づくりのサポートとして、住まいを探す上で重要なハウスメーカーや工務店の営業担当者とのマッチングサポートをさせていただきます。住宅購入の資金計画の相談・作成や、相性良く親身になってくれる「営業担当者」をご紹介します。家づくりに関して少しでも不安を感じるようであれば、お問い合わせください。

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記事監修者

1級ファイナンシャル・プランニング技能士 / 渡辺 知光

大学卒業後、積水化学工業に入社し住宅「セキスイハイム」を販売。3年8カ月千葉県内で営業に従事し、営業表彰を6期連続受賞。
途中、母の急死に直面し、自分の将来について悩み始める。結果、大学のゼミで学んだ「保険」事業に実際に携わりたいと思いFP資格を取得して日本生命に転職。4年間営業に従事したが、顧客に対して提供出来る商品がなく退職を決意。FP兼保険代理店を開業する。

収入も顧客もゼロからのスタート。しかも独立直前に結婚し住宅購入した為、返済不安に陥り貯蓄が日々減っていく恐怖を覚える。

人生で初めて家計の見直しを行い、根本的な改善により失敗と不安を減らすコツを発見。自分の経験を生かしお客様が同じ道を歩まないよう伝えるべく「マイホーム検討者向けFP」として活動中。

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    :有限会社ティーエムライフデザイン総合研究所

  • 代表者

    :渡辺知光

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