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ボーナス返済併用の住宅ローンの注意点や資金計画のポイントを解説

家づくりの予算・費用

2024/12/20

2024/12/20

記事監修者

1級ファイナンシャル・プランニング技能士 / 渡辺 知光

ボーナス返済併用の住宅ローンの注意点や資金計画のポイントを解説

住宅ローンを組む際、毎月の返済に加えてボーナス返済を併用するかどうかは重要な検討ポイントとなります。ボーナス返済には、毎月の返済額を抑えられるメリットがある一方で、収入が不安定になった際のリスクも伴います。本記事では、住宅ローンでボーナス返済を利用する際の注意点や資金計画について、具体的に解説していきます。

ボーナス返済利用有無での資金計画の違い

住宅ローンの返済方法として、ボーナス返済を利用するかしないかで資金計画は大きく変わってきます。それぞれの特徴を理解し、自身の状況に合った返済方法を選択することが重要です。

ボーナス返済を利用する場合の資金計画

ボーナス返済を利用する場合は、毎月の返済額を抑えることができます。例えば、3,000万円を35年で借り入れた場合、毎月の返済額は以下のように変化します。

 ・ボーナス返済なし:約8.5万円

・ボーナス返済あり(借入額の40%):毎月約5.1万円+ボーナス時約70万円

ただし、ボーナス返済がある場合は、以下の点に注意が必要です。

・手取りボーナスの50%以内に設定する

・ボーナス時期の大型出費との調整が必要

・収入変動リスクへの備えが必要

ボーナス返済を利用しない場合の資金計画

ボーナス返済を利用しない場合は、毎月の返済額は増えますが、以下のようなメリットがあります。

・収入の変動に左右されにくい

・ボーナスを自由に使える

・返済計画が立てやすい

毎月の返済額は手取り収入の25%以内に抑えることが望ましく、残りは以下のように配分することをお勧めします。

・生活費:50%

・その他の固定費:15%

・貯蓄・投資:10%

それぞれの場合の資金配分例

手取り月収40万円、ボーナス100万円の場合の資金配分例

【ボーナス返済を利用する場合】

毎月の配分:

・住宅ローン:5.1万円

・生活費:20万円

・その他固定費:8万円

・貯蓄:6.9万円

ボーナス時の配分:

・住宅ローン:40万円

・生活費・教育費:30万円

・貯蓄:30万円

【ボーナス返済を利用しない場合】

毎月の配分:

・住宅ローン:8.5万円

・生活費:20万円

・その他固定費:6万円

・貯蓄:5.5万円 ボーナス時は全額を自由に配分可能

それぞれに適した世帯の特徴

ボーナス返済が適している世帯:

・安定した収入がある会社員

・ボーナスの変動が少ない職種

・将来的な収入増加が見込める若手社員

ボーナス返済を利用しない方が良い世帯:

・収入が不安定な自営業者

・転職や独立を考えている方

・ボーナスが少ない、または不定期な方

長期的な視点での違い

両者の違いは総支払額にも現れます。

・ボーナス返済ありの場合:金利負担が若干増える

・ボーナス返済なしの場合:総支払額を抑えられる可能性がある

また、以下の点でも違いが出ます。

・資産形成の柔軟性

・教育費などの大型支出への対応

・老後の資金計画

いずれの方法を選択する場合も、将来的な収入の変動可能性や、ライフプランを踏まえた慎重な検討が必要です。また、選択した後も定期的な見直しを行い、必要に応じて返済方法の変更を検討することが重要です。

住宅ローンでボーナス返済を利用する場合の注意点

ボーナス返済を利用する際は、以下の点について特に注意が必要です。これらの要素を慎重に検討することで、将来的なリスクを最小限に抑えることができます。

将来的な収入変動リスクへの備え

ボーナスは会社の業績や経済状況によって変動しやすい収入です。特に近年は、終身雇用制度の崩壊や経済の不安定化により、ボーナスの減額や廃止を実施する企業も増えています。そのため、現在のボーナス額が将来も継続すると考えるのは危険です。

転職や独立を考えている方は、特に慎重な検討が必要です。新しい職場ではボーナスの支給体系が大きく異なる可能性があり、返済計画に支障をきたす恐れがあります。

適切なボーナス返済割合の設定

金融機関では、住宅ローンの借入額に対してボーナス返済の割合を最大50%まで設定することが可能です。しかし、実際の設定では手取りボーナスの50%以内に抑えることが推奨されます。これは、ボーナスが予期せず減額された場合のリスクを考慮した設定です。

金利負担の考慮

ボーナス返済を利用すると、毎月の返済に比べて金利負担が若干大きくなる傾向があります。これは、ボーナス返済分の元金が減るペースが遅くなるためです。総返済額を試算し、金利負担の増加分を考慮に入れた判断が必要です。

返済計画の柔軟性

ボーナス返済を設定した後でも、多くの金融機関では返済方法の見直しが可能です。ただし、変更には手続きや手数料が必要な場合があります。また、ボーナス返済から毎月返済に変更すると、毎月の返済額が大幅に増加する可能性があることも理解しておく必要があります。

生活設計との整合性

ボーナスは、家族旅行や子どもの教育費、まとまった支出に充てる計画を立てている方も多いでしょう。ボーナス返済を設定する際は、こうした生活設計上の支出計画との整合性も確認する必要があります。

緊急時の資金確保

ボーナスの一部は、緊急時の資金として確保しておくことが重要です。住宅の修繕費用や予期せぬ支出に備え、ある程度の金額は貯蓄に回せるよう、返済額を設定する必要があります。

配偶者の収入状況の考慮

共働き世帯の場合、配偶者の収入状況も考慮に入れる必要があります。一方の収入が減少した場合でも返済を継続できるよう、余裕を持った計画を立てることが重要です。

以上の点を総合的に検討し、自身の状況に合った適切なボーナス返済プランを設定することが、安定的な返済を続けるためのポイントとなります。

住宅ローンでボーナス返済を利用する場合の資金計画のポイント

住宅ローンでボーナス返済を利用する場合、適切な資金計画を立てることが重要です。無理のない返済を継続するため、以下のポイントを押さえた計画を立てましょう。

手取りボーナス額の正確な把握

まず重要なのが、実際に手元に入るボーナスの金額を正確に把握することです。税金や社会保険料などの控除後の手取り額をベースに計画を立てる必要があります。また、過去数年分のボーナス支給実績を確認し、変動幅も考慮に入れましょう。

適切なボーナス返済割合の設定

ボーナス返済額は、手取りボーナスの50%以内に設定することが推奨されます。残りの50%は、生活費や教育費、将来の資金需要に備えた貯蓄に充てることで、安定的な返済が可能になります。

具体的な資金配分の例

手取りボーナス100万円の場合の一般的な資金配分例は以下の通りです。

・住宅ローン返済:40-50万円(40-50%)

・生活費・教育費:20-30万円(20-30%)

・貯蓄・予備費:20-30万円(20-30%)

返済シミュレーションの活用

金融機関が提供する返済シミュレーションを活用し、ボーナス返済を含めた総返済額や返済期間を確認しましょう。毎月の返済額とボーナス返済額のバランスを検討し、最適な組み合わせを見つけることが重要です。

将来的な支出計画との整合性確認

子どもの教育費や老後の資金など、将来的な支出計画との整合性を確認することも重要です。特に以下の項目については、具体的な金額と時期を想定しておく必要があります。

・子どもの教育費(受験費用、学費など)

・車の買い替え費用

・住宅のメンテナンス費用

・老後の生活資金

緊急時の備えの確保

予期せぬ支出や収入減少に備え、最低でも半年分の返済資金を緊急用として確保しておくことをお勧めします。この資金は、通常の生活費や返済とは別に管理することで、不測の事態に対応できる体制を整えることができます。

返済計画の定期的な見直し

資金計画は、定期的な見直しが必要です。特に以下のタイミングでは、計画の再検討を行いましょう。

・昇給・昇格時

・転職時

・家族構成の変化時

・ライフプランの変更時

金利変動への備え

変動金利を選択している場合は、金利上昇に備えた資金的な余裕も必要です。金利が1%上昇した場合の返済額の変化をシミュレーションし、その分の余裕を持った計画を立てることをお勧めします。

以上のポイントを踏まえ、無理のない返済計画を立てることで、長期的な住宅ローンの返済を安定的に継続することができます。また、定期的な見直しを行うことで、状況の変化にも柔軟に対応することが可能になります。

よくある質問(Q&A)

住宅ローンのボーナス返済に関して、多くの方が疑問に感じる点について、Q&A形式で詳しく解説します。

ボーナス返済の基本について

Q1. ボーナス返済の最低金額はありますか?

A1. 金融機関によって異なりますが、一般的に10万円以上から設定可能です。ただし、金融機関によっては50万円以上からの設定となる場合もあります。

Q2. ボーナス返済の回数は年何回まで設定できますか?

A2. 一般的には年2回(夏・冬)ですが、金融機関によっては年4回まで設定できる場合もあります。ただし、過度な分割は金利負担が増える可能性があるため、慎重な検討が必要です。

Q3. ボーナス返済の割合に決まりはありますか?

A3. 借入金額の50%が上限となります。ただし、実務上は手取りボーナスの50%以内に抑えることが推奨されます。

返済方法の変更について

Q1. ボーナス返済の割合は変更できますか?

A1. はい、多くの金融機関では返済途中でボーナス返済の割合を変更することが可能です。ただし、手続きや手数料が必要な場合があります。

Q2. ボーナス返済を途中で止めることはできますか?

A2. 金融機関との相談により、ボーナス返済から毎月返済に変更することは可能です。ただし、毎月の返済額は増加します。早めに金融機関に相談することをお勧めします。

金利・返済額について

Q1. ボーナス返済を利用すると金利は高くなりますか?

A1. 金利自体は変わりませんが、元金の返済が遅くなるため、総支払額は若干増える傾向にあります。

Q2. 毎月の返済額はどのくらい下がりますか?

A2. ボーナス返済の割合によって異なりますが、30%のボーナス返済を設定した場合、毎月の返済額は約20-25%程度下がります。

収入や生活設計に関して

Q1. 転職を考えていますが、ボーナス返済は避けた方がよいですか?

A1. 転職先でのボーナス支給体系が不明な場合は、ボーナス返済を避けるか、低めの割合に設定することをお勧めします。

Q2. 共働き世帯の場合、どちらのボーナスを基準にすべきですか?

A2. より安定的な収入がある方のボーナスを基準にすることをお勧めします。また、両者のボーナスを合わせて計画を立てる場合は、より保守的な設定にすることが望ましいです。

その他の疑問について

Q1. ボーナス返済月に一時的に支払いが難しい場合はどうすればよいですか?

A1. 事前に金融機関に相談することで、返済方法の一時的な変更や、返済日の調整が可能な場合があります。

Q2. 繰り上げ返済はボーナス返済分に充てることができますか?

A2. はい、可能です。ボーナス返済分を減らすことで、将来的な返済負担を軽減することができます。

Q3. 退職金は住宅ローンの返済に充てられますか?

A3. はい、退職金を繰り上げ返済に充てることは可能です。ただし、老後の生活資金との兼ね合いを考慮する必要があります。

まとめ

住宅ローンのボーナス返済は、毎月の返済負担を軽減できる一方で、収入の変動リスクも考慮する必要があります。ボーナス返済を利用する場合は、将来的な収入の変動も見据えた慎重な計画立てが重要です。また、ボーナス返済の割合は手取りの50%以内に抑え、残りは予期せぬ支出に備えた貯蓄に回すことをお勧めします。住宅ローンの返済方法は、自身の収入状況や将来設計に合わせて、じっくりと検討しましょう。

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記事監修者

1級ファイナンシャル・プランニング技能士 / 渡辺 知光

大学卒業後、積水化学工業に入社し住宅「セキスイハイム」を販売。3年8カ月千葉県内で営業に従事し、営業表彰を6期連続受賞。
途中、母の急死に直面し、自分の将来について悩み始める。結果、大学のゼミで学んだ「保険」事業に実際に携わりたいと思いFP資格を取得して日本生命に転職。4年間営業に従事したが、顧客に対して提供出来る商品がなく退職を決意。FP兼保険代理店を開業する。

収入も顧客もゼロからのスタート。しかも独立直前に結婚し住宅購入した為、返済不安に陥り貯蓄が日々減っていく恐怖を覚える。

人生で初めて家計の見直しを行い、根本的な改善により失敗と不安を減らすコツを発見。自分の経験を生かしお客様が同じ道を歩まないよう伝えるべく「マイホーム検討者向けFP」として活動中。

運営会社情報

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    :有限会社ティーエムライフデザイン総合研究所

  • 代表者

    :渡辺知光

  • 本社
    所在地

    :〒104-0045 東京都中央区築地2-15-15 セントラル東銀座1002

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    :地下鉄日比谷線築地駅より徒歩3分

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