住宅ローンの収入合算とは?メリットやデメリット、ペアローンとの違いを解説
家づくりの予算・費用
2023/09/08
2023/09/26
収入合算の借り入れを検討している方々に向けて、この記事では収入合算の仕組みやそのメリットとデメリット、そしてペアローンとの異なる側面について詳しく解説いたします。住宅ローンの収入合算は、複数の借り手の収入を合算する方法であり、特に夫婦や親子などが共同で住宅を購入する際に注目されるテーマです。この記事では、皆さまが自身に最適な選択を行うための情報を提供いたします。
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収入合算とは?ペアローンとの違い
住宅ローンにおける収入合算とは、夫婦や親子などで収入を合算し、住宅ローンを組む方法です。これにより、世帯収入を増やすことができ、個人で住宅ローンを組むよりも借入金額を増やすことが可能です。ただし、収入合算を利用するためには多くの銀行で「原則として同居する配偶者または親子」という要件が設定されており、誰とでも合算が可能なわけではありません。例外のケースとして入籍前のパートナーでも合算可能です。ただし住宅完成までに入籍することを条件としています。また、収入合算の金額の扱いは金融機関ごとに異なるため、検討する際には事前に各金融機関の要件を確認することが重要です。
収入合算には「連帯債務型」と「連帯保証型」という2つのタイプが存在します。連帯債務型は、どちらか一方が債務者となり、もう一方が連帯債務者となる方法です。一方の収入だけでなく、もう一方の収入も考慮されるため、より多くの資金を借りることが可能です。連帯保証型は、もう一方が「連帯保証人」となる方法であり、収入が合算されるわけではありませんが、返済の際に保証人としての収入も考慮されます。
また、収入を合算して住宅ローンを組む方法としてペアローンという選択肢もあります。ペアローンの場合、収入合算とは異なり、それぞれ個人で別々の住宅ローンを組みます。この場合、お互いが債務者として借入を行い、相手の借入に対してはお互いが連帯保証人となります。ただし、住宅ローン契約が2つになるため、事務手数料などの諸費用が2倍になることもあります。ペアローンと収入合算の主な違いは、借入契約の構造にあります。収入合算は1つの借入契約であり、借入金額が大きくなりますが、ペアローンは2つの借入契約であるため、事務的な手続きが複雑になることがあります。
ペアローンについて、下記記事でも詳しく解説しているので、ぜひご覧ください。
ペアローンとはどんな人に向いている?概要やメリット、デメリットを解説
収入合算の主な審査内容や職業別の合算基準
基本的な審査内容に関しては、住宅ローンの審査と同様の審査内容が適用されます。しかし、収入合算を行う場合には、どのような審査内容が重要になるのか、特に気になることでしょう。以下では、合算審査のポイントと、主な職業別の合算基準について解説します。
収入合算において注意すべき審査内容は以下の通りです。
同居関係の確認
収入合算を行うためには、同居する配偶者や親子であることが求められます。ただし、入籍している場合に限り、ほとんどの金融機関で収入合算が認められます。一部の金融機関では、婚約状態や同棲、内縁関係などでは制限がある場合もあります。
配偶者の職業と収入の継続性
合算する配偶者の職業や収入の継続性も審査されます。安定している職業や収入であるほど、合算が認められやすくなる傾向があります。
ただし、勤続年数によっては合格基準が厳しくなるケースがあります。転職前後の勤務先が同業の場合や、ステップアップのための転職の場合は審査基準に影響は少ないのですが、別業界への転職や独立の場合だと厳しくなる傾向があります。
また、主な職業別の合算基準は以下になります。
派遣社員、契約社員の場合
非正規社員の中では、収入合算が比較的容易な場合があります。ただし、労働契約書などの内容が審査に影響を与えることもあります。
産休、育児休暇中の場合
前年度に収入がある場合、それを証明する書類があると審査に有利です。復職予定や復帰後の給与予定を示す書類も役立ちます。
アルバイトやパートの場合
多くの場合、収入合算は認められませんが、一部の銀行では許可されることもあります。勤続年数が長いほど認められやすい傾向があります。
自営業、不動産収入者、内職の場合
一般的には、3年分の収入証明が求められます。公的な収入証明を提出できることが審査条件となります。
年金受給者の場合
ごく一部の金融機関で収入合算が認められますが、審査は通常よりも厳しくなることがあります。
このように、収入合算を検討する際には、配偶者の職業や収入の状況、職業別の合算基準を確認し、審査に通過するための情報を事前に整理することが重要です。
基本的な審査内容に関しては、下記記事でも解説していますので、ぜひご覧ください。
住宅ローンとは?基礎知識から住宅ローンを組む際に失敗しないためのポイントをご紹介
収入合算のメリット
収入合算には、以下のようなメリットがあります。
住宅ローンの借入額を増やすことができる
収入合算を利用することで、申告する収入額を合算できます。このため、単独で申告するよりも借入額を増やすことが可能です。1人の年収だけでは希望する借入金額に達しない場合でも、収入合算を利用することで、必要な資金を借り入れることができる可能性が高まります。結果として、理想的な住宅を購入するチャンスが広がることでしょう。
契約するローンが1本のため、諸費用が1人分のみ
収入合算を行う場合、複数の人物が契約者となる1本の住宅ローンを組むため、手数料や諸費用も1本分で済みます。通常、個別にローンを組む場合よりも諸費用が削減されるため、無駄な費用を抑えながら、合算を活用した借入額の増加が実現します。
連帯債務型の場合、それぞれ住宅ローン控除の適用を受けることができる
連帯債務型の場合、契約者と連帯債務者の両者が住宅ローン控除の適用を受けることが可能です。住宅ローン控除を受けるためには債務者である必要があり、連帯債務型の住宅ローンでは、契約者と合算者2人が債務者となるため、それぞれが控除を受けることができます。このため、税制面でも利点を享受できるという点が挙げられます。
収入合算のデメリット
収入合算にはメリットもありますが、以下のようなデメリットも考慮した上で検討する必要があります。
団信の保証を受けられない可能性がある
連帯債務型の場合、金融機関によっては、団体信用生命保険(団信)の保証を受けられない可能性があります。また、連帯保証型の場合も同様に、団信の保証を受けることができません。団信は、債務者が亡くなった際に残された債務を保険がカバーするものであり、保険の安心感が失われる可能性がある点に注意が必要です。
返済の負担が上がる
収入合算によって借入額が増えることは大きなメリットですが、その反面、返済の負担も増加します。増えた借入額に応じて、月々の返済額も大きくなるため、家計の支出計画を見直し、返済能力を確認することが重要です。
贈与税がかかる可能性がある
住宅ローンを負担する割合と住宅の所有割合が異なる場合、贈与税が発生する可能性があります。相続税や贈与税のルールに詳しくない場合、意図せずに税金負担が増えることがあるため、税務面でも注意深く検討する必要があります。
連帯保証型の場合、パートナーは住宅ローン控除を受けることができない
連帯保証型の収入合算を利用する場合、住宅ローン控除の恩恵を受けることができません。住宅ローン控除を受けるためには、債務者である必要がありますが、連帯保証人はその条件を満たさないため、この点に留意することが重要です。
離婚した場合に揉める可能性がある
将来離婚した場合にも住宅ローンの負担は残ります。どちらかが債務を継承できれば良いのでしょうが、ローン継承者が単独で組めるくらいの収入があれば引き継げるケースもありますが、実際にはかなりハードルが高いと思ってください。
収入合算を利用する際の注意点
収入合算を検討する際には、以下の注意点を把握して選択することが重要です。
共有名義の場合の負担額と持ち分割合
収入合算を活用して住宅を共有名義で購入する際には、実際の資金負担割合に応じて持ち分割合を適切に設定する必要があります。頭金や住宅ローンの返済において、それぞれが出資した金額に基づいて持ち分割合を定めることが重要です。持ち分割合を無視したまま所有権を共有名義で登記すると、贈与税の対象になる可能性があります。登記の取り消しは難しいため、住宅購入前に慎重に検討しましょう。
借りることができる金額と返済することができる金額は異なることを考慮する
収入合算によって借入額が増えることで、毎月の返済負担が増加します。さらに、借入金額が増えると融資期間も長くなることが一般的です。しかし、住宅購入には返済以外にも様々な固定費やライフイベントに伴う支出が発生します。将来的な子供の教育費や突発的な出費に備えて、借入金額を慎重に決定し、将来の収支を考慮することが大切です。
収入合算を利用する際には、これらの注意点をしっかりと把握し、将来的なリスクや負担を踏まえた上で最適な選択をすることが賢明です。
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まとめ
収入合算は、夫婦や親子などが世帯収入を合算して住宅ローンを組む方法です。個人での借入では達成しきれない購入希望額を実現するメリットがありますが、その一方でデメリットや注意点も忘れてはいけません。収入合算のメリットを活かしつつ、デメリットや注意点も確認し、将来のライフプランに合った選択をすることが大切です。住宅購入においては、慎重な検討と十分な情報収集が成功への第一歩です。
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