”デメリットだらけ”と言われる二 世帯住宅でトラブルを回避するポイント〈住宅のプロが解説〉
間取り・住宅の特徴
2022/09/16
2023/10/02
「二世帯住宅はやめたほうがいい」
「二世帯住宅にしたらストレスが増えた」
「二世帯住宅にしたが、後悔している」
こんな声を一度は耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか。
結論から言えば、二世帯住宅には多数のデメリットが存在し、場合によっては親子間の関係に溝が生じてしまうケースも少なくありません。
ですが、デメリットを回避するために意識的に行動することで、そうした不安を払拭できるのもまた事実です。
今回の記事では二世帯住宅のデメリットとメリット、また成功させるためのコツについてお伝えします。
目次
「二世帯住宅はデメリットだらけ」といわれる理由
一見、お互い協力し合って生活できそうな二世帯住宅がなぜ「デメリットだらけ」と言われることが多いのでしょうか。
ここでは二世帯住宅の代表的なデメリットを7つ、取り上げてみました。
世代間ギャップによる考え方の違い
二世帯住宅では、それまで別々に暮らしていた2つの世帯がひとつ屋根の下に暮らすことになります。いくら親と子の関係にあるといっても、価値観に対する違いや考え方のズレは少なからず生じるでしょう。
たとえば掃除の仕方や料理の味付けなど些細なことでなにかと文句を言われ続けると、どうしてもストレスを抱えてしまいます。
また、子世帯からすると同居するのがどちらの親なのか、親世帯からすると自分の娘なのか息子なのかといった違いによっても、感じるストレスの内容が異なるでしょう。
生まれ育った年代が異なることによって引き起こされるジェネレーションギャップ問題は、二世帯住宅ならではのデメリットといえます。
生活リズムがあわない
世代間ギャップにつづき、よく聞くトラブルが生活リズムの違いに起因するものです。働き盛りの子世帯と、リタイアした親世帯の活動時間が合わず、なにかと問題が生じやすくなります。
例として以下のようなケースが挙げられるでしょう。
● 両親が寝た後、夜遅くに息子(娘)が仕事から帰宅。食事や入浴、足音といった生活音が気になり寝付けない
● 仕事が休みの日はゆっくり寝ていたいと考える子世帯に対し、親世帯は基本常に朝早く起きて活動を開始することから、なかなかゆっくり寝ていられない
こちらも世代間ギャップによる考え方の違いと同じように、お互いの生活を改めることが非常に難しくデメリットのひとつだといえます。
プライバシーの確保が難しい
二世帯住宅ではプライバシーの確保が困難です。一番厄介なことかもしれません。
同じ建物に親世帯と子世帯が一緒に住むことからプライバシーの垣根がほとんどなくなり、実の親子関係がない配偶者は特に大きなストレスに晒されやすくなります。
また、リビングに加えてキッチンや浴室、トイレなどが共用となっているケースも多く、そうした場合には自分が使いたいタイミングで使用できないといったストレスも生じるでしょう。
どこでなにをするにも誰かに気を遣わなければならず、自宅といったプライベートな空間が常に気を張らなければいけない空間となってしまっては何かとトラブルが絶えないのも無理はありません。
実際に二世帯住宅に住んでトラブルに発展したケースもあります。
間取り自体は玄関が共有で親世帯と子世帯がお互い行き来可能なケースでした。
子世帯が不在の時に親が断りなく勝手に子世帯専用のリビングやダイニングを掃除したり冷蔵庫を片づけたりしていたことも。
冷蔵庫に親が作った料理がいつの間にか入っていたらしく。
勝手に入室しないで欲しいと言っても中々聞き入れてもらえず、溜まり兼ねて子世帯が家を飛び出したり離婚に発展した話は何世帯も報告受けてます。
建築費の割合で揉める
お互い遠慮し合ってしまい後々トラブルに発展するケースです。
家づくりの場合、頭金と住宅ローンそれぞれの負担について話し合うべきです。
よくあるケースとしては、頭金を親世帯が出し住宅ローンを子世帯が払うケースやお互い完全に折半にして支払っていくケースです。
お互い出すから良いのではと思われがちですが揉めるケースは多いです。
子世帯が何となく親世帯の拠出に期待してしまい実際に出てきた頭金が想像と全然異なっていたら揉めるきっかけになりそうですね。
また完全にローンは折半と話したのに、親世帯が収入が減ったから払えなくなったと言われたり、子世帯の収入が減ってしまい返済がきついと言われたり。
ローン返済が滞ると二世帯住宅を売却しなければいけなくなります。
水道光熱費の支払いの分担
二世帯住宅に住む場合、線引きが難しくなりがちなのが水道光熱費です。
メーターを分けて各世帯で負担する場合にはそれぞれの利用分を支払うことになるため、特に問題は生じません。しかし、基本料金などを1軒分として契約している場合、世帯ごとにいくら負担するのかといった悩みが生じるでしょう。
光熱費が折半だった場合、日中働きに出ている子世帯と家で過ごすことが多い親世帯では特に電気代において子世帯が不公平だと不満を抱く恐れがあります。
同様に家族の人数が多く、お風呂を使う回数が多い子世帯と二人が入れば済む親世帯の水道料金が折半だった場合も、親世帯が不公平を感じる恐れがあるでしょう。
家計はひとつにまとめたほうがコストカットの面で効果が見込めますが、人数が多くなればなるほど意思の調整といった部分で難易度が上昇してしまいます。
最近は光熱費も高騰していますので節約意識を持って欲しいところですが、注意しにくいですよね。
いくら親子間とはいえお金の話は話題にしにくく、些細な認識の違いが大きな溝を生んでしまうケースも少なくありません。
そもそも二世帯住宅は売却しにくい
一般的な単世帯住宅とは異なり二世帯住宅を求めるケースは少なく、いざ売却を考えても中々買い手がつかないことも多いです。
もちろん価格を下げたらお得感も出てきますが、間取りが個性的だったりリフォーム箇所が多過ぎると敬遠されてしまいます。
土地が広く建物が大きくなりがちですので、固定資産税やメンテナンス費は単世帯よりも割高になりがちです。
相続問題でもめ事に発展することもある
二世帯住宅を親と子の共有名義としていた場合、親が他界すると親の共有部分は相続の対象となります。
その際、相続人が子世帯だけであればそれほど揉めることはありませんが、兄弟姉妹などがいる場合は遺産分割方法を巡ってトラブルが生じるケースも散見されます。
たとえば、兄弟姉妹がいる場合において親の遺産が二世帯住宅の共用持ち分しかない場合、兄弟姉妹に土地以外で譲れる遺産が他にありません。
結果として、家を売却して遺産を分配する案が浮上することも多く、売却したと仮定した場合の資金を用意することができなければ、子世帯がそのまま二世帯住宅で暮らし続けることは難しくなってしまうでしょう。
実は年数回ご相談を頂くもめ事です。特に土地の評価が高くなりがちな都心部での二世帯住宅建築の場合は慎重に計画すべきです。
間取り別二世帯住宅のデメリット
二世帯住宅の代表的なデメリットについて理解したところで、間取り別のデメリットについて見ていきましょう。
完全同居の間取り
キッチン・浴室・玄関・リビングが共有で寝室のみが分離する完全共有型の二世帯住宅の場合、考えられるデメリットは以下の通りです。
● プライベートが保ちにくい
● 共有部分が多く、家事分担でもめる元になりやすい
● 嫁や婿が気疲れしやすい
二世帯住宅では子世帯のどちらかが義理の両親と同居することになります。中でも完全同居型を選択した場合、双方の関係性を良好に維持するためのルール作りが欠かせません。
共通のモノと個々のモノが混在しますし、特定の場所を占有する時には気を遣うことが増えてきます。
お互いに譲れない部分を洗い出すことはもちろん、話し合いをしっかりと重ねた上で同居をスタートするようにしましょう。
部分共有の間取り
一定のスペースだけを共有とする部分共有では、次のようなデメリットが考えられます。
● 世帯ごとの水道光熱費が把握しづらい
● 共用部分の使い方や掃除分担などを決めて置かないとトラブルに発展しやすい
● (玄関を共用とした場合に)玄関周りが散らかりやすい
部分共有の場合も一定のルールを設けた上で、お互いがきちんと意識し合うことが大切です。
せっかくルールを作ったにもかかわらず、それが守られなければ部分共有を選択したメリットがなくなってしまいかねません。
完全分離の間取り
最後に、完全分離型の間取りは以下の通りです。
● 建築費がかかる
● 屋内で行き来できないため、介護になると負担が増す
● プライベートが保てる一方、上下階で分離型にすると足音が気になるケースがある
完全分離の場合、二世帯住宅でよくあるデメリットを払拭できる一方で、費用の面が最大のネックとなります。
資金計画をきちんと立てないまま進めてしまうとその後の返済計画に支障が出るほか、子世帯の負担が想定よりも大きくなる恐れがあるでしょう。
ニ世帯住宅でトラブルを起こさない為の3つのポイント
同じ屋根の下で暮らす二世帯住宅です。
トラブルを回避するポイントを3つ挙げていきます。
お互いの行動を干渉しない
一番大切なトラブル回避策です。生活のリズムが異なることが多い上に家族以外の付き合いも異なります。
相手が出かけたり誰かを家に呼んでも気にしたり干渉したりしないことです。
納得いく間取りを選択する
二世帯住宅の間取りには三つほど種類があると申し上げました。
「完全同居型」「部分同居型」「完全分離型」です。
一番トラブルが起きにくいのは「完全分離型」とよく言われます。
親子間での接点が一番低いのでトラブルが起きにくいと言われますが、接点が少ない為に逆にストレスとなることも。
親子間でよく話し合って一番しっくりくる間取りを選択しましょう。
お金をはっきりさせる
「同居型」の二世帯住宅で起こりがちですが、どの支出項目に誰がお金を出すのか事前に決めておくべきです。
途中からお金を出してくれとも言いにくく後々トラブルに発展することも。
入居前にきちんと決めておけばトラブルは避けられます。
デメリットに負けない!二世帯住宅のメリット
二世帯住宅のデメリットを見てきましたが、二世帯住宅にもよい点はたくさんあります。
デメリットに負けない、二世帯住宅のメリットは以下の通りです。
● 家事の協力・分担ができる
● 子どもの面倒を見てもらえる
● 介護がしやすい
● 防犯面での安心が得られる
● 建築費の負担が軽くなる
● 補助金や税制上のメリットが使える
中でも共働き世帯が増加している昨今において、家事の分担ができることや子どもの面倒をお願いできることは二世帯ならではのメリットといえるでしょう。
また、連帯債務・親子ペアローン・親子リレーローンなどを利用することにより「住宅ローン控除」が利用できるほか、固定資産税や不動産取得税の軽減措置を活用できます。
まとめ
今回の記事では二世帯住宅は本当にデメリットだらけなのかどうか、例を幾つかお伝えしました。
二世帯住宅では「遮音性」「間取り」「ルール決め」「支払い関係」について、親子間でしっかりと話し合いをしておくことが欠かせません。お互いに譲れる部分と譲れない部分を正直に話し合い、意見を摺り合わせられればデメリットを回避することは十分に可能でしょう。
また、実際に同居がスタートした後も相手がいることを当たり前と思わず、お互いの意思を時には尊重しながら柔軟に対応していくことが大切です。
とはいえ、金銭面や間取りといった面では親子間だけだとなかなか話がまとまらないケースも少なくありません。
そのため、実績が豊富な不動産業者を頼るほか、中立的な立場で物事が相談できるFP担当者を見つけるのも一つの手です。
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きっと皆さんの家づくりに対するこだわりをきちんと受け止めてくれて、どうすればその夢を解決できるのか一緒に悩みながらも満足のいく家づくりを導いてくれる担当者に出会えるはずです。
担当者との偶然の引き合わせも良いかもしれませんが、ご自身で家づくりのパートナーを指名してしてください。
運営会社情報
会社名
:有限会社ティーエムライフデザイン総合研究所
代表者
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