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ZEH(ゼッチ)住宅で実現する、エネルギー自給自足の暮らし 〜知っておきたいネット・ゼロ・エネルギー・ハウスの特徴と魅力〜

間取り・住宅の特徴

2024/08/01

2024/08/01

記事監修者

1級ファイナンシャル・プランニング技能士 / 渡辺 知光

ZEH(ゼッチ)住宅で実現する、エネルギー自給自足の暮らし 〜知っておきたいネット・ゼロ・エネルギー・ハウスの特徴と魅力〜

近年、環境問題への関心が高まる中で、住宅業界でも省エネ化の取り組みが進んでいます。その究極の形として注目を集めているのが「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス」です。この記事では、ネット・ゼロ・エネルギー・ハウスの概念や特徴、そして将来的な展望について詳しく解説していきます。

差し引きのエネルギー消費量がゼロ以下になる住宅

ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH。ゼッチ)の最大の特徴は、その名の通り、年間の一次エネルギー消費量の収支がゼロ以下になることです。これは単に省エネルギーを追求するだけでなく、エネルギーの創出も含めた総合的なアプローチによって実現されます。

具体的には、ZEHは以下の二つの側面から構成されています。

省エネルギー: 住宅での消費エネルギーを可能な限り削減します。これには高性能な断熱材の使用、二重窓や断熱サッシの採用、高効率な設備機器の導入などが含まれます。例えば、LED照明、ヒートポンプ式給湯器、高効率エアコンなどの導入により、従来の住宅と比べて大幅なエネルギー消費の削減が可能となります。

創エネルギー: 主に太陽光発電システムを活用して、住宅自体でエネルギーを生み出します。屋根に設置された太陽光パネルが、日中の太陽光を電力に変換し、住宅で使用する電力をまかないます。

ZEHでは、これらの省エネと創エネの取り組みにより、年間を通じて消費するエネルギー量よりも多くのエネルギーを創出することを目指します。つまり、「消費エネルギー量 – 創出エネルギー量 ≦ 0」という式が成り立つことが、ZEHの定義となります。

例えば、ある家庭の年間エネルギー消費量が10,000kWhだったとします。ZEHでは、まず高効率な設備や断熱性能の向上により、この消費量を例えば6,000kWhまで削減します。そして、太陽光発電システムで年間7,000kWhの電力を創出することで、差し引き1,000kWhのプラスとなり、ネット・ゼロ・エネルギーを達成することができます。

このように、ZEHは単にエネルギーを節約するだけでなく、積極的にエネルギーを生み出す「エネルギー生産者」としての役割も果たします。これにより、家庭レベルでのエネルギー自給自足を実現し、電力会社からの購入電力を大幅に削減、あるいはゼロにすることが可能となります。

さらに、蓄電池システムを導入することで、昼間に余剰生産した電力を夜間に使用したり、非常時のバックアップ電源として活用したりすることもできます。これにより、エネルギーの自給自足性がさらに高まり、レジリエンスの向上にもつながります。

ZEHの実現は、居住者にとっては光熱費の大幅な削減というメリットがあるだけでなく、社会全体としても化石燃料への依存度低下や二酸化炭素排出量の削減につながる重要な取り組みと言えるでしょう。

2020年にはネット・ゼロ・エネルギー・ハウスを標準仕様に

日本政府は、地球温暖化対策やエネルギー自給率向上の観点から、2020年までに新築住宅の過半数をZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)にするという野心的な目標を掲げていました。この目標に向けて、住宅業界全体が大きく動き出しました。

多くの大手ハウスメーカーは、この政府目標に呼応する形で、ZEH仕様の住宅を標準化する動きを加速させました。例えば、ある大手メーカーでは2020年度の新築戸建住宅の87%をZEH化するなど、業界全体でZEHの普及に向けた取り組みが進められてきました。

ZEHの標準化に向けては、以下のような取り組みが行われています。

技術開発の推進:より効率的な太陽光発電システムや蓄電池、高性能な断熱材など、ZEHに必要な技術の開発が進められています。

コストダウンの努力:量産効果や技術の進歩により、ZEH関連設備のコスト低減が図られています。

消費者への啓発:ZEHのメリットや補助金制度などについて、積極的な情報提供が行われています。

人材育成:ZEHの設計や施工に携わる専門家の育成が進められています。

このような取り組みにより、ZEHは特別な住宅ではなく、新築住宅の標準的な選択肢の一つとなりつつあります。ただし、2020年の目標達成状況については、完全には達成されていない可能性もあります。それでも、ZEHの普及は着実に進んでおり、今後さらなる拡大が期待されています。

ZEHの標準化は、単に環境対策としてだけでなく、居住者の快適性向上や光熱費削減にも寄与します。また、災害時のエネルギー自給にも役立つことから、レジリエンス(回復力)の高い住宅として注目されています。

今後は、新築住宅だけでなく、既存住宅のZEH化(ZEH-R)も課題となってくるでしょう。政府や業界団体は、2030年までにはZEHをさらに普及させる目標を掲げており、住宅のエネルギー消費のあり方が大きく変わっていく可能性があります。

設備の省エネ化に加えて住宅の断熱化も重要

ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)を実現するためには、省エネ設備の導入だけでなく、住宅自体の高断熱化が非常に重要です。断熱性能の向上は、冷暖房効率を大幅に改善し、エネルギー消費量を削減する上で crucial (重要) な役割を果たします。

断熱化の主な手法としては、以下のようなものがあります。

高性能断熱材の使用: 壁や天井、床に高性能な断熱材を十分な厚さで施工します。従来の断熱材よりも断熱性能が高い新素材の断熱材も開発されており、これらを活用することで、より薄い壁でも高い断熱効果が得られます。

二重窓や断熱サッシの採用: 窓は熱の出入りが最も多い部分の一つです。二重窓(ペアガラス)や断熱サッシを採用することで、熱の出入りを大幅に抑制できます。最新の技術では、真空ガラスや低放射(Low-E)ガラスなども活用されています。

気密性の向上: 隙間風を防ぐために、住宅全体の気密性を高めることも重要です。気密シートの施工や、開口部周りの丁寧な施工により、不要な空気の流入を防ぎます。

熱橋(ヒートブリッジ)の対策: 柱や梁など、断熱材が途切れる部分での熱の逃げを防ぐため、熱橋対策を行います。断熱材の連続した施工や、外断熱工法の採用などが有効です。

これらの断熱化対策により、夏は外部からの熱の流入を抑え、冬は室内の暖気が逃げるのを防ぎます。結果として、冷暖房の負荷が大幅に軽減され、エネルギー消費量の削減につながります。

一方、設備の省エネ化も重要な要素です。主な省エネ設備には以下のようなものがあります。

高効率給湯器: ヒートポンプ式給湯器(エコキュート)や燃料電池(エネファーム)など、従来の給湯器よりも大幅に効率の良い機器を採用します。

LED照明: 従来の蛍光灯や白熱電球と比べて、消費電力が少なく寿命の長いLED照明を全館に採用します。

高効率エアコン: 省エネ性能の高いインバーター式エアコンを使用し、冷暖房の効率を上げます。

HEMS(ホーム・エネルギー・マネジメント・システム): 家全体のエネルギー使用状況を可視化し、効率的な運用を支援するシステムを導入します。

これらの断熱化と省エネ設備の組み合わせにより、ZEHでは従来の住宅と比べて50〜75%程度のエネルギー消費量の削減が可能となります。さらに、太陽光発電システムによる創エネを加えることで、年間のエネルギー収支をゼロ以下にすることができるのです。

断熱化と設備の省エネ化は、単にエネルギー消費を抑えるだけでなく、居住者の快適性向上にも大きく寄与します。例えば、高断熱住宅では室内の温度ムラが少なく、結露の発生も抑えられるため、健康的な住環境を実現できます。また、騒音の侵入も軽減されるため、静かな室内環境を保つことができます。

このように、ZEHにおける断熱化と設備の省エネ化は、エネルギー消費の削減と居住性の向上を両立させる crucial な要素であり、今後の住宅設計において欠かせない視点となっています。

よくある質問(Q&A)

ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)に関して、多くの方が疑問や不安を抱えています。ここでは、よくある質問とその回答をまとめてみました。

Q1: ZEHの導入コストは通常の住宅と比べて高くなりますか?

A1: 初期投資は通常の住宅よりも高くなる傾向にあります。高性能な断熱材や省エネ設備、太陽光発電システムなどの導入にコストがかかるためです。しかし、長期的には光熱費の大幅な削減が見込めるため、トータルでのコスト削減が可能です。また、政府や自治体による補助金制度を利用することで、初期費用を抑えることができます。具体的な金額は、住宅の規模や仕様によって大きく異なりますので、ハウスメーカーや工務店に相談することをおすすめします。

Q2: ZEHは夏や冬の極端な気候でも快適に過ごせますか?

A2: はい、ZEHは高い断熱性能と気密性を持っているため、外部の気温変化の影響を受けにくく、一年を通じて快適な室内環境を維持しやすいのが特徴です。夏は外部からの熱の侵入を防ぎ、冬は暖かい空気が逃げるのを防ぐため、少ないエネルギーで快適な温度を保つことができます。また、温度ムラも少なくなるため、ヒートショックのリスクも軽減されます。

Q3: 停電時でも電気は使えますか?

A3: 太陽光発電システムと蓄電池を併用している場合、日中の発電電力を蓄電しておくことで、夜間や停電時にも電気を使用することができます。ただし、使用できる電力量には限りがあるため、必要最小限の電力使用に留める必要があります。また、太陽光発電システムのみで蓄電池がない場合、停電時は発電しても使用できないケースがありますので、事前に確認が必要です。

Q4: ZEHは既存の住宅でも実現できますか?

A4: 既存住宅をZEHにリノベーションすることも可能です(ZEH-R)。ただし、建物の構造や状態によっては、新築の場合ほど高い性能を実現できない場合もあります。断熱改修、高効率設備への更新、太陽光発電システムの設置などを組み合わせることで、ZEHに近い性能を達成することができます。具体的な方法や可能性については、専門家に相談することをおすすめします。

Q5: ZEHは環境にやさしいと言えますか?

A5: はい、ZEHは環境負荷の低減に大きく貢献します。エネルギー消費量を大幅に削減し、再生可能エネルギーを活用することで、CO2排出量を抑制します。また、高性能な部材や設備を使用することで、建物の長寿命化にもつながり、資源の有効活用にも寄与します。ただし、建設時や設備製造時のCO2排出も考慮する必要があり、ライフサイクル全体での環境負荷評価も重要です。

Q6: ZEHに住むにあたって、特別な生活の変更は必要ですか?

A6: 基本的には従来の住宅と同じように生活できます。むしろ、高い断熱性能により快適性が向上し、生活の質が上がる可能性があります。ただし、エネルギー使用の最適化のために、HEMSを活用して電力使用状況を把握したり、太陽光発電量が多い日中に家電製品を使用するなど、少しの工夫をすることでより効果的にZEHのメリットを享受できます。

これらの質問と回答は、ZEHについて理解を深める上で参考になるでしょう。ただし、具体的な導入に際しては、専門家に相談し、自身の生活スタイルや地域の気候条件などを考慮した上で判断することが重要です。

まとめ

ネット・ゼロ・エネルギー・ハウスは、環境への配慮と快適な暮らしを両立する次世代の住宅です。高い省エネ性能と創エネ機能を併せ持つZEHは、今後ますます普及が進むことが予想されます。初期費用は従来の住宅よりも高くなる可能性がありますが、長期的な視点で見れば、光熱費の削減や環境負荷の低減など、多くのメリットがあります。これからの住宅選びの際には、ZEHという選択肢も積極的に検討してみてはいかがでしょうか。

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記事監修者

1級ファイナンシャル・プランニング技能士 / 渡辺 知光

大学卒業後、積水化学工業に入社し住宅「セキスイハイム」を販売。3年8カ月千葉県内で営業に従事し、営業表彰を6期連続受賞。
途中、母の急死に直面し、自分の将来について悩み始める。結果、大学のゼミで学んだ「保険」事業に実際に携わりたいと思いFP資格を取得して日本生命に転職。4年間営業に従事したが、顧客に対して提供出来る商品がなく退職を決意。FP兼保険代理店を開業する。

収入も顧客もゼロからのスタート。しかも独立直前に結婚し住宅購入した為、返済不安に陥り貯蓄が日々減っていく恐怖を覚える。

人生で初めて家計の見直しを行い、根本的な改善により失敗と不安を減らすコツを発見。自分の経験を生かしお客様が同じ道を歩まないよう伝えるべく「マイホーム検討者向けFP」として活動中。

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    :渡辺知光

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